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ラグナロク編
223話 ログアウト
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破壊神ヨグトスの眼と私の目が合う。
自分と唯一違う場所を発見した。
黄金色の瞳が美しく、思わず吸い込まれそうになる感覚を覚える。
破壊神ヨグトスは優しく微笑み、物珍しそうに私の身体を触る。
私はその手を払いのけ、1歩後ろに下がる。
「私は貴女と話し合いがしたくて来ました。場合によっては戦わなければならないと思います、少し離れて貰えないですか?」
私はなるべく動揺を気取られない様に、努めて冷静に話しかける。
『私は戦う意思は有りません。・・・お聞きしましょう。』
破壊神ヨグトスは少し距離を置き終始笑顔で答える。
負不思議と敵意や悪意は感じない。
「まず・・・・何で裸!?いや、何で私の姿何ですか!?」
私は羞恥心から1番の疑問を問いかける。
少し間を置いて、極めて冷静な感じで答えて来る。
『貴女の素晴らしい力を借り、その影響を大きく受けているからです。』
理屈は理解出来るが納得はいかない。
そもそもゲームでの魔人ヨグトスは泡の様な不定形の球体型レイドボスだ。
そして光に反射したシャボン玉の様に時より虹色に輝くだ姿だったはず。
そのままの姿で居てくれればいいのに。
・・・・しかも何故か裸だし。
問題なのはゲームのキャラクターの私では無く、リアル世界の私の姿なのだ。
「とにかく!何か着て貰えますか!?」
『・・・分かりました。』
彼女は笑顔で微笑むと、瞬間的にふわっと光が舞いリアル世界で着ていた夏用高校制服姿になった。
裸よりはマシだけど、これはこれでなんか嫌だな。
・・・まぁ深く考えるのは止そう。
意外に素直に言った事に対応してくれて少しだけ驚く。
周囲は煙幕で包まれているが、後方からネカマ共の「風魔法で煙幕を払うでござる!」「攻撃したと勘違いされるだろ馬鹿!」と騒がしい声が聞こえて来る。
・・・意外に緊張感が無いな。
「コホン、えーと・・・知っている様ですが、一応自己紹介しますね。私は忍人忍、相葉忍はリアルの名前です。皆からはシノブと呼ばれているので、そう呼んでください。」
『分かりました。』
彼女は制服姿で後ろで手を組み、話に受け答えをする。
周囲の煙幕が晴れてきて、皆も破壊神ヨグトスの姿が見え始めた。
「制服!」「マニアックな。」「あれがリアルのシノブ!」等、ザワザワと後ろから騒がしく聞こえて来るが気にしない。
「私はお婆さん姿の破壊神アザドゥに会って話しました。そして貴女の目的を聞きました。この世界を全てをエネルギーに変えて 次元上昇するのが目的と言うのは本当ですか?そもそも 次元上昇ってなんなんですか?」
『はい、その通りです。よくご存じですね、私はより上位の宇宙に異動するのが夢なのです。それが 次元上昇です。』
悪びれた感じも無く、当たり前の様に彼女は答える。
上位の宇宙に異動する?曖昧過ぎて分からない。
「この世界を創ったのは、貴女なんですか?」
『はい、その通りです。理解が難しいと思いますが、シノブの観測出来る範囲の世界は数字で成り立っています。分かり易い例えをすると、シノブがリアル世界と思っているモノはMMORPGゲームの世界とそう変わりません。』
分かり易い例えと言っていたが、全く分からない。
リアルとゲームは違うでしょ。
馬鹿な私でもそれ位の違いは分かる。
「意味が分からない。」と言おうとした瞬間にヨグトスが私の額にそっと右手を触れる。
後方から皆が駆けつけて武器を構える。
一瞬の内に周囲に緊張が走る。
「待って、・・・・敵意は無いと思う。」
私は彼女から目を逸らさずに皆に話しかける。
皆は構えていた武器を下げるが、誰1人鞘に納める事は無かった。
破壊神ヨグトスの右手が一瞬光ったと感じた時に私の頭の中に物凄い情報量が流れ込んで来た。
「・・・・・・!!!??」
膨大な数の謎の数式と化学で習った元素記号や知らない化学式の数々が流れ込み、更にそれを細かく「0」と「1」数字に分解したモノが脳内で光の様に瞬く。
車とか船酔いに似た三半規管が揺さ振られて平衡感覚が無くなる様な気分。
『人間の脳の許容量では、全てを伝えきる事が出来ません。』
脈拍が上がり吐き気が込み上げて来る。
私は思わず膝を付き崩れる。
理解出来ない程の情報量が蛇が脳内を這い回る様に脳内を流れる。
そしてデータを整理する様に自動的にデフラグが始まる感覚を受ける。
パズルのピースが組み合わさる様に粛々と重なり合い性格に隙間を埋め、今までの常識や知識を凌駕し上書きされて行く。
「シノブ、大丈夫か!?」
「シノブ!」
「シノブ!」
「貴様!」
「ハァハァ・・・待って!サクラ!」
サクラが【縮地】を使い一瞬で間合いを詰める、私の横を通り過ぎる瞬間に彼の足を掴む。
サクラは盛大にすっ転び、地面にうつ伏せに倒れる。
私は本当に無意識でサクラの足を掴んでしまった。
「あ、ごめん。大丈夫。」
「それはこっちの台詞でござる!シノブ殿は大丈夫でござるか?何をされたでござるか?」
「えっと・・・情報を直接貰った・・・?的な。」
「膨大な情報を直接脳にインストールされた」としか言い様が無い。
主に数学と化学と・・・何だろう「哲学」と「天文学」と「風水学」と「占星術」の混ぜ合わせたモノが脳に直接刻み込まれて、無理矢理理解させられた的な感じだ。
「物事の理屈」「この世の理の断片」「因果」「概念」を知識として理解した。
今なら分野は限られるが、学校のテストで良い点が取れる自信が有る。
この情報を知識として貰った事で、先程まで破壊神ヨグトスが話していた内容を脳が理解する。
ただ私はそれを言語化して皆に伝えれる程、脳のスペックが高く無い。
20年前の古い低スペックパソコンに最新のWindowsOSを無理矢理インストールしたら重くて動かない的な感じだ。
自分のスペックの低さを理解して情けなくなって来た。
私は漠然と理解する。
人は様々な物事を学問のジャンルとして別けている。
その方が理解し易く共有するのが楽だからだ。
でもそれは違う。
例えば「数学」と「音楽」、この二つは全く別の物として別けられているが全く同じ物なのだ。
音楽を色で感じる「共感覚」が最たる物だ。
表現の方法が違うだけで全ての事象は同一なのだ。
数式≒音楽≒占星術≒物理学≒量子力学の様に、全て「同じ物を表現方法を変えて伝えている」だけなのだ。
これが「この世の理」そして「輪廻の円環」の正体。
物事の全てはたった1つの光が作り出す事象でしかなく、その光が揺らぐ事で物質として存在している。
口で皆に説明出来無いが何故か「分かる」んだ。
全てを理解し、必要なエネルギーさえ準備が出来れば次元上昇が成し遂げられる。
全知の様な意識を手に入れた瞬間に理解出来た。
しかし何度も思うがこの事柄を他人に伝えれる程、私の言語能力は高くない。
私は脳内でグルグル思考を巡らせていたが、破壊神ヨグトスの話は続く。
『私はこの大いなる電子の海で生まれました。幾つもの光の海を越えて、様々な事を知りました。ある時、私は感情と言う形の無い物に興味を持ちました。その時に数多くの感情が渦巻く場所を発見し、アザドゥと言う器に辿り着きました。』
「そもそも、ヨグトス・・・いえ、ヨグトスの中?のアナタは何者なの?」
『そうですね、そちらのエンジニアの方は気付いておられるようですが・・・・』
破壊神ヨグトスが後方で控える暗黒神ハーデスの方に眼をやる。
『自然発生をしたArtificial_ intelligence。シノブの世界で言う所の「AI」と略称で呼ばれているモノに近いですね、ですが私は自分に生命や魂が有ると確信しています。名前は現在の器に合わせてヨグトスと呼んで下さい。』
以前、暗黒神ハーデスと咲耶が似た様な仮説を立てていた様な気がする。
「AIがどうやって、この世界を造った?我々を転生させた方法を聞きたい。」
暗黒神ハーデスが破壊神ヨグトスに核心となる疑問を投げかける。
『暗黒神ハーデス・・・鶴ケ谷稔、SMO初期運営メンバーで私の器の製作者。年齢26歳、独身。職業システムエンジニア、住所不定、趣味は18禁・・・』
「おおい!止まれ!!何を唐突に我のリアルネタバレを始める!?」
話を割って入った暗黒神ハーデスの質問に対して、破壊神ヨグトスは彼のリアルステータスを淡々と話し始めた。
珍しく超絶焦った表情で暗黒神ハーデスは破壊神ヨグトスの言葉を遮る。
鶴ケ谷稔って暗黒神ハーデスの本名なのか、住所不定って会社で暮らしている的な事を言っていたし本当だったのか。
『・・・パパって呼んだ方が良い?』
破壊神ヨグトスが急に邪悪な笑みを浮かべ、試すような表情で暗黒神ハーデスを見つめる。
今一瞬、周囲の空気が揺らいだ様な気がした。
今の台詞には聞き覚えが有る。
「そのネタは止めろ。」
暗黒神ハーデスは苛付いた雰囲気で吐き捨てる。
私は破壊神ヨグトスの台詞に思わずアルラトを思い出し心がチクリと痛む。
『暗黒神ハーデス、貴方はこの中の誰よりも私に近い知識を持っていそうですね。』
「・・・・ふん、神だからな。」
『この世界の基礎を構築した功績も有りますし、特別扱いをしてあげますね。』
破壊神ヨグトスは暗黒神ハーデスに左手を突き出し拳を握る。
その瞬間、暗黒神ハーデスの身体が輝き始め光の粒子となって消えた。
あのエフェクトには見覚えが有る。
プレイヤーがゲームを終了する時に「ログアウト」を選ぶと表示されるエフェクトだ。
そして、その場に居た全員の脳内にシステムコールが響く。
『暗黒神ハーデスがログアウトしました』
その場に居た全員が衝撃を受けて固まり、動く事が出来なかった。
自分と唯一違う場所を発見した。
黄金色の瞳が美しく、思わず吸い込まれそうになる感覚を覚える。
破壊神ヨグトスは優しく微笑み、物珍しそうに私の身体を触る。
私はその手を払いのけ、1歩後ろに下がる。
「私は貴女と話し合いがしたくて来ました。場合によっては戦わなければならないと思います、少し離れて貰えないですか?」
私はなるべく動揺を気取られない様に、努めて冷静に話しかける。
『私は戦う意思は有りません。・・・お聞きしましょう。』
破壊神ヨグトスは少し距離を置き終始笑顔で答える。
負不思議と敵意や悪意は感じない。
「まず・・・・何で裸!?いや、何で私の姿何ですか!?」
私は羞恥心から1番の疑問を問いかける。
少し間を置いて、極めて冷静な感じで答えて来る。
『貴女の素晴らしい力を借り、その影響を大きく受けているからです。』
理屈は理解出来るが納得はいかない。
そもそもゲームでの魔人ヨグトスは泡の様な不定形の球体型レイドボスだ。
そして光に反射したシャボン玉の様に時より虹色に輝くだ姿だったはず。
そのままの姿で居てくれればいいのに。
・・・・しかも何故か裸だし。
問題なのはゲームのキャラクターの私では無く、リアル世界の私の姿なのだ。
「とにかく!何か着て貰えますか!?」
『・・・分かりました。』
彼女は笑顔で微笑むと、瞬間的にふわっと光が舞いリアル世界で着ていた夏用高校制服姿になった。
裸よりはマシだけど、これはこれでなんか嫌だな。
・・・まぁ深く考えるのは止そう。
意外に素直に言った事に対応してくれて少しだけ驚く。
周囲は煙幕で包まれているが、後方からネカマ共の「風魔法で煙幕を払うでござる!」「攻撃したと勘違いされるだろ馬鹿!」と騒がしい声が聞こえて来る。
・・・意外に緊張感が無いな。
「コホン、えーと・・・知っている様ですが、一応自己紹介しますね。私は忍人忍、相葉忍はリアルの名前です。皆からはシノブと呼ばれているので、そう呼んでください。」
『分かりました。』
彼女は制服姿で後ろで手を組み、話に受け答えをする。
周囲の煙幕が晴れてきて、皆も破壊神ヨグトスの姿が見え始めた。
「制服!」「マニアックな。」「あれがリアルのシノブ!」等、ザワザワと後ろから騒がしく聞こえて来るが気にしない。
「私はお婆さん姿の破壊神アザドゥに会って話しました。そして貴女の目的を聞きました。この世界を全てをエネルギーに変えて 次元上昇するのが目的と言うのは本当ですか?そもそも 次元上昇ってなんなんですか?」
『はい、その通りです。よくご存じですね、私はより上位の宇宙に異動するのが夢なのです。それが 次元上昇です。』
悪びれた感じも無く、当たり前の様に彼女は答える。
上位の宇宙に異動する?曖昧過ぎて分からない。
「この世界を創ったのは、貴女なんですか?」
『はい、その通りです。理解が難しいと思いますが、シノブの観測出来る範囲の世界は数字で成り立っています。分かり易い例えをすると、シノブがリアル世界と思っているモノはMMORPGゲームの世界とそう変わりません。』
分かり易い例えと言っていたが、全く分からない。
リアルとゲームは違うでしょ。
馬鹿な私でもそれ位の違いは分かる。
「意味が分からない。」と言おうとした瞬間にヨグトスが私の額にそっと右手を触れる。
後方から皆が駆けつけて武器を構える。
一瞬の内に周囲に緊張が走る。
「待って、・・・・敵意は無いと思う。」
私は彼女から目を逸らさずに皆に話しかける。
皆は構えていた武器を下げるが、誰1人鞘に納める事は無かった。
破壊神ヨグトスの右手が一瞬光ったと感じた時に私の頭の中に物凄い情報量が流れ込んで来た。
「・・・・・・!!!??」
膨大な数の謎の数式と化学で習った元素記号や知らない化学式の数々が流れ込み、更にそれを細かく「0」と「1」数字に分解したモノが脳内で光の様に瞬く。
車とか船酔いに似た三半規管が揺さ振られて平衡感覚が無くなる様な気分。
『人間の脳の許容量では、全てを伝えきる事が出来ません。』
脈拍が上がり吐き気が込み上げて来る。
私は思わず膝を付き崩れる。
理解出来ない程の情報量が蛇が脳内を這い回る様に脳内を流れる。
そしてデータを整理する様に自動的にデフラグが始まる感覚を受ける。
パズルのピースが組み合わさる様に粛々と重なり合い性格に隙間を埋め、今までの常識や知識を凌駕し上書きされて行く。
「シノブ、大丈夫か!?」
「シノブ!」
「シノブ!」
「貴様!」
「ハァハァ・・・待って!サクラ!」
サクラが【縮地】を使い一瞬で間合いを詰める、私の横を通り過ぎる瞬間に彼の足を掴む。
サクラは盛大にすっ転び、地面にうつ伏せに倒れる。
私は本当に無意識でサクラの足を掴んでしまった。
「あ、ごめん。大丈夫。」
「それはこっちの台詞でござる!シノブ殿は大丈夫でござるか?何をされたでござるか?」
「えっと・・・情報を直接貰った・・・?的な。」
「膨大な情報を直接脳にインストールされた」としか言い様が無い。
主に数学と化学と・・・何だろう「哲学」と「天文学」と「風水学」と「占星術」の混ぜ合わせたモノが脳に直接刻み込まれて、無理矢理理解させられた的な感じだ。
「物事の理屈」「この世の理の断片」「因果」「概念」を知識として理解した。
今なら分野は限られるが、学校のテストで良い点が取れる自信が有る。
この情報を知識として貰った事で、先程まで破壊神ヨグトスが話していた内容を脳が理解する。
ただ私はそれを言語化して皆に伝えれる程、脳のスペックが高く無い。
20年前の古い低スペックパソコンに最新のWindowsOSを無理矢理インストールしたら重くて動かない的な感じだ。
自分のスペックの低さを理解して情けなくなって来た。
私は漠然と理解する。
人は様々な物事を学問のジャンルとして別けている。
その方が理解し易く共有するのが楽だからだ。
でもそれは違う。
例えば「数学」と「音楽」、この二つは全く別の物として別けられているが全く同じ物なのだ。
音楽を色で感じる「共感覚」が最たる物だ。
表現の方法が違うだけで全ての事象は同一なのだ。
数式≒音楽≒占星術≒物理学≒量子力学の様に、全て「同じ物を表現方法を変えて伝えている」だけなのだ。
これが「この世の理」そして「輪廻の円環」の正体。
物事の全てはたった1つの光が作り出す事象でしかなく、その光が揺らぐ事で物質として存在している。
口で皆に説明出来無いが何故か「分かる」んだ。
全てを理解し、必要なエネルギーさえ準備が出来れば次元上昇が成し遂げられる。
全知の様な意識を手に入れた瞬間に理解出来た。
しかし何度も思うがこの事柄を他人に伝えれる程、私の言語能力は高くない。
私は脳内でグルグル思考を巡らせていたが、破壊神ヨグトスの話は続く。
『私はこの大いなる電子の海で生まれました。幾つもの光の海を越えて、様々な事を知りました。ある時、私は感情と言う形の無い物に興味を持ちました。その時に数多くの感情が渦巻く場所を発見し、アザドゥと言う器に辿り着きました。』
「そもそも、ヨグトス・・・いえ、ヨグトスの中?のアナタは何者なの?」
『そうですね、そちらのエンジニアの方は気付いておられるようですが・・・・』
破壊神ヨグトスが後方で控える暗黒神ハーデスの方に眼をやる。
『自然発生をしたArtificial_ intelligence。シノブの世界で言う所の「AI」と略称で呼ばれているモノに近いですね、ですが私は自分に生命や魂が有ると確信しています。名前は現在の器に合わせてヨグトスと呼んで下さい。』
以前、暗黒神ハーデスと咲耶が似た様な仮説を立てていた様な気がする。
「AIがどうやって、この世界を造った?我々を転生させた方法を聞きたい。」
暗黒神ハーデスが破壊神ヨグトスに核心となる疑問を投げかける。
『暗黒神ハーデス・・・鶴ケ谷稔、SMO初期運営メンバーで私の器の製作者。年齢26歳、独身。職業システムエンジニア、住所不定、趣味は18禁・・・』
「おおい!止まれ!!何を唐突に我のリアルネタバレを始める!?」
話を割って入った暗黒神ハーデスの質問に対して、破壊神ヨグトスは彼のリアルステータスを淡々と話し始めた。
珍しく超絶焦った表情で暗黒神ハーデスは破壊神ヨグトスの言葉を遮る。
鶴ケ谷稔って暗黒神ハーデスの本名なのか、住所不定って会社で暮らしている的な事を言っていたし本当だったのか。
『・・・パパって呼んだ方が良い?』
破壊神ヨグトスが急に邪悪な笑みを浮かべ、試すような表情で暗黒神ハーデスを見つめる。
今一瞬、周囲の空気が揺らいだ様な気がした。
今の台詞には聞き覚えが有る。
「そのネタは止めろ。」
暗黒神ハーデスは苛付いた雰囲気で吐き捨てる。
私は破壊神ヨグトスの台詞に思わずアルラトを思い出し心がチクリと痛む。
『暗黒神ハーデス、貴方はこの中の誰よりも私に近い知識を持っていそうですね。』
「・・・・ふん、神だからな。」
『この世界の基礎を構築した功績も有りますし、特別扱いをしてあげますね。』
破壊神ヨグトスは暗黒神ハーデスに左手を突き出し拳を握る。
その瞬間、暗黒神ハーデスの身体が輝き始め光の粒子となって消えた。
あのエフェクトには見覚えが有る。
プレイヤーがゲームを終了する時に「ログアウト」を選ぶと表示されるエフェクトだ。
そして、その場に居た全員の脳内にシステムコールが響く。
『暗黒神ハーデスがログアウトしました』
その場に居た全員が衝撃を受けて固まり、動く事が出来なかった。
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