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異世界崩壊編 後編
212話 「諦める」と「諦めない」の間
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上空に聳え立つ様に浮遊する古代神カノプスに対して恐怖で体が震える。
「シノブ殿!」「シノブ!」
古代神カノプスの放った無数の黒い魔力球型の上位魔法がミサイルの様に周囲を旋回しながら皆を襲う。
咄嗟に飛び付いて来たサクラに庇われる形で魔法を回避するが地面に直撃した魔法は爆発し吹き飛ばされる。
「くそっ!浮かれたら攻撃が出来ない!」
セーニアが上空を見上げ、歯痒そうに拳を強く握る。
「くっ・・・怪我は無いでござるか?」
「サクラ・・・ごめん。」
先程の爆風で飛んできた岩の破片でダメージを負ったサクラの頭部から血液が一筋滴る。サクラは笑顔で「この程度平気でござる。」と瘦せ我慢をしていた。
今の身体能力ではレベルの低い攻撃で流血する事は無い。
実際には滅茶苦茶痛いだろう。
申し訳無い気持ちと恐怖が混じり合い、動く事が出来ない。
城で塞ぎ込んでいるミカさんも、こんな気持ちなのだろうか。
「シノブ殿は勝てないと思ったら駄目でござるよ。この世界の法則を歪める事が出来るのはヨグトスとシノブ殿だけなのでござろう?ヨグトスが好き勝手にゲームデータを改竄したのが、目の前のデカブツでござる。」
サクラはそう言いながら古代神カノプスを見上げる。
「でも、拙者達はいつだって・・・どんな困難だって勝って来たでござる。それは多分、シノブ殿が居たからでござる。」
「・・・・・」
「覚えているでござるか?アルテナの草原で再会した時の事を。もしあの時、拙者がシノブ殿と会えなかったら赤龍に単独で挑んで死んでいたと思うでござる。」
レッドドラゴン「ヴルドゥ」・・・皆で協力して倒した。
もし最初に出会った時に2人で戦いを挑んで居たら確実に負けていたと思う。
あの時、サクラはケンカ腰で話していた様子が脳裏に蘇る。
「蜃気楼の街で分断された時もシノブ殿が合流した瞬間にメジードの動きが鈍くなり、フィールドに居た皆の能力が向上した様な気がするでござる。」
「・・・それは気のせいだと思うよ。」
余りにも褒めるので、思わず苦笑してしまう。
ああ、そうかサクラは私を元気付けようとしてくれているんだ。
破壊神アザドゥが言う様な力は自覚出来無いけど、この非現実的な世界で生き残って来れたのは生きる事を諦めなかったからだ。
「イタイ」「ツライ」「クルシイ」そう言う感情を全部乗り超えて来た。
・・・皆で!
・・・そして倒すべきボスは残り2体。
「サクラ!あそこに見えるのはミカエルじゃないか!?」
セーニアが指差す先には、暗黒神ハーデスと話しをしているミカさんの姿が見えた。
その瞬間、古代神カノプスの放った上位魔法がサクラに向かって来たのが見え、咄嗟に庇う。
黒い魔力の塊が私の左脚に直撃し爆発する。
「あぐぅ!?」
「くそっ!シノブ殿、大丈夫でござるか!?」
サクラは私の肩を担ぐ様に抱え後退する。
咲耶は遥か遠くでシャルとクリス君の回復をしている様だった。
市販の回復薬は尽き、近くで回復が出来るのは暗黒神ハーデスの長杖【カドゥケウス】とミカさんの上位魔法のみだ。
「ハーデス殿!シノブ殿の回復をしてくれないでござるか!」
暗黒神ハーデスはミカさんを粗雑に突き倒し、此方に走って来る。
良く見えないがミカさんは助けに駆けつけてくれた訳じゃ無い様に見えた。
今なら少しだけミカさんの状態が理解出来る、この感情は理屈じゃないんだ。
その時、轟音と共に空から幾つもの隕石が降り注ぎその幾つかが古代神カノプスに直撃する。
デイアが2度目の極大攻撃魔法を放ったのだ。
優先攻撃順位は完全にデイアに向いている。
だがデイアに魔法は効かない。
両腕の無い古代神カノプスは物理攻撃力が極端に下がっているのでデイアさんもそこまでダメージを受けていない様子だ。
走って来た暗黒神ハーデスはイラ立った表情で私とサクラを回復してくれる。
セーニアは暗黒神ハーデスと擦れ違う様にミカさんの方に走って行ってしまった。
「ミカエル殿は戦えそうになかったでござるか?」
「・・・・ふん、どうかな。」
【カドゥケウス】から温かな光が溢れ、傷が癒える。
「ありがとう。暗黒神ハーデス。」
「気にするな。お前は我々の切札だ、命に代えても守る。」
「シノブ殿を守るのは拙者の役目でござる。このポジションは誰にも譲らないでござるよ。」
そうだ、私が戦わないと皆は無理をしてでも庇おうとしてくれる。
攻撃回避が唯一得意な私が被弾してどうする・・・
逆に皆に攻撃が及ばない様に敵を翻弄してこそ、忍者じゃないのか?
傷が癒えるにつれて、諦めない気力が湧いてくる。
仲間が居る・・・
互いに短所を補い、長所を活かす。
皆がいれば、どんな敵にも勝てる!
多分ミカさんも心と体が拒否しながらでも、無意識に皆を助けにこの戦場に来たんだ。
最後まで諦めない。
古代神カノプスを倒して魔人ヨグトスを説得して見せる!
『シノブ、いい感じだね。見て、多分ミカエルにも伝わったんじゃないかな?シノブの想い。』
不意にレイが話し掛けて来る。
少し先の丘にミカさんが剣を抜き放ち、セーニアと共に此方に向かって歩いて来ている。
その表情は以前のミカさんの様に凛々しく精気に満ち溢れている様だった。
ミカさんは私とサクラに回復魔法を掛けた後、急に頭を垂れて謝って来た。
「ハーデス・・・サクラ、シノブ済まなかった。私は諦めそうになっていた、本当にごめん!」
久しぶりに聞いた男性声も有ったが、唐突に謝られて私達は驚く。
「ミカさん、私も今諦めそうになってたんだ。でもミカさんが来てくれたから勝てそうな気になって来たよ。」
本心だ、やっと「深紅の薔薇」のメンバー全員が揃ったんだ。
「ああ、ギルマスが居ないと無口なDOS殿では指示が少ないからな。ってか変声ジュースが無くなったでござるな、拙者もそろそろ切れる頃合いでござる。」
「ふん、目が覚めて少しはマシになった様だな。」
一呼吸置いてミカさんは真剣な表情で皆に宣言する。
「皆、力を貸してくれ。あの強大な敵を倒したい!」
私も倒したい、もう諦めたりしない。
ミカさんは皆に作戦指示を出し、私達は他のメンバーに作戦を伝える為に戦火の荒野を走り出した。
「シノブ殿!」「シノブ!」
古代神カノプスの放った無数の黒い魔力球型の上位魔法がミサイルの様に周囲を旋回しながら皆を襲う。
咄嗟に飛び付いて来たサクラに庇われる形で魔法を回避するが地面に直撃した魔法は爆発し吹き飛ばされる。
「くそっ!浮かれたら攻撃が出来ない!」
セーニアが上空を見上げ、歯痒そうに拳を強く握る。
「くっ・・・怪我は無いでござるか?」
「サクラ・・・ごめん。」
先程の爆風で飛んできた岩の破片でダメージを負ったサクラの頭部から血液が一筋滴る。サクラは笑顔で「この程度平気でござる。」と瘦せ我慢をしていた。
今の身体能力ではレベルの低い攻撃で流血する事は無い。
実際には滅茶苦茶痛いだろう。
申し訳無い気持ちと恐怖が混じり合い、動く事が出来ない。
城で塞ぎ込んでいるミカさんも、こんな気持ちなのだろうか。
「シノブ殿は勝てないと思ったら駄目でござるよ。この世界の法則を歪める事が出来るのはヨグトスとシノブ殿だけなのでござろう?ヨグトスが好き勝手にゲームデータを改竄したのが、目の前のデカブツでござる。」
サクラはそう言いながら古代神カノプスを見上げる。
「でも、拙者達はいつだって・・・どんな困難だって勝って来たでござる。それは多分、シノブ殿が居たからでござる。」
「・・・・・」
「覚えているでござるか?アルテナの草原で再会した時の事を。もしあの時、拙者がシノブ殿と会えなかったら赤龍に単独で挑んで死んでいたと思うでござる。」
レッドドラゴン「ヴルドゥ」・・・皆で協力して倒した。
もし最初に出会った時に2人で戦いを挑んで居たら確実に負けていたと思う。
あの時、サクラはケンカ腰で話していた様子が脳裏に蘇る。
「蜃気楼の街で分断された時もシノブ殿が合流した瞬間にメジードの動きが鈍くなり、フィールドに居た皆の能力が向上した様な気がするでござる。」
「・・・それは気のせいだと思うよ。」
余りにも褒めるので、思わず苦笑してしまう。
ああ、そうかサクラは私を元気付けようとしてくれているんだ。
破壊神アザドゥが言う様な力は自覚出来無いけど、この非現実的な世界で生き残って来れたのは生きる事を諦めなかったからだ。
「イタイ」「ツライ」「クルシイ」そう言う感情を全部乗り超えて来た。
・・・皆で!
・・・そして倒すべきボスは残り2体。
「サクラ!あそこに見えるのはミカエルじゃないか!?」
セーニアが指差す先には、暗黒神ハーデスと話しをしているミカさんの姿が見えた。
その瞬間、古代神カノプスの放った上位魔法がサクラに向かって来たのが見え、咄嗟に庇う。
黒い魔力の塊が私の左脚に直撃し爆発する。
「あぐぅ!?」
「くそっ!シノブ殿、大丈夫でござるか!?」
サクラは私の肩を担ぐ様に抱え後退する。
咲耶は遥か遠くでシャルとクリス君の回復をしている様だった。
市販の回復薬は尽き、近くで回復が出来るのは暗黒神ハーデスの長杖【カドゥケウス】とミカさんの上位魔法のみだ。
「ハーデス殿!シノブ殿の回復をしてくれないでござるか!」
暗黒神ハーデスはミカさんを粗雑に突き倒し、此方に走って来る。
良く見えないがミカさんは助けに駆けつけてくれた訳じゃ無い様に見えた。
今なら少しだけミカさんの状態が理解出来る、この感情は理屈じゃないんだ。
その時、轟音と共に空から幾つもの隕石が降り注ぎその幾つかが古代神カノプスに直撃する。
デイアが2度目の極大攻撃魔法を放ったのだ。
優先攻撃順位は完全にデイアに向いている。
だがデイアに魔法は効かない。
両腕の無い古代神カノプスは物理攻撃力が極端に下がっているのでデイアさんもそこまでダメージを受けていない様子だ。
走って来た暗黒神ハーデスはイラ立った表情で私とサクラを回復してくれる。
セーニアは暗黒神ハーデスと擦れ違う様にミカさんの方に走って行ってしまった。
「ミカエル殿は戦えそうになかったでござるか?」
「・・・・ふん、どうかな。」
【カドゥケウス】から温かな光が溢れ、傷が癒える。
「ありがとう。暗黒神ハーデス。」
「気にするな。お前は我々の切札だ、命に代えても守る。」
「シノブ殿を守るのは拙者の役目でござる。このポジションは誰にも譲らないでござるよ。」
そうだ、私が戦わないと皆は無理をしてでも庇おうとしてくれる。
攻撃回避が唯一得意な私が被弾してどうする・・・
逆に皆に攻撃が及ばない様に敵を翻弄してこそ、忍者じゃないのか?
傷が癒えるにつれて、諦めない気力が湧いてくる。
仲間が居る・・・
互いに短所を補い、長所を活かす。
皆がいれば、どんな敵にも勝てる!
多分ミカさんも心と体が拒否しながらでも、無意識に皆を助けにこの戦場に来たんだ。
最後まで諦めない。
古代神カノプスを倒して魔人ヨグトスを説得して見せる!
『シノブ、いい感じだね。見て、多分ミカエルにも伝わったんじゃないかな?シノブの想い。』
不意にレイが話し掛けて来る。
少し先の丘にミカさんが剣を抜き放ち、セーニアと共に此方に向かって歩いて来ている。
その表情は以前のミカさんの様に凛々しく精気に満ち溢れている様だった。
ミカさんは私とサクラに回復魔法を掛けた後、急に頭を垂れて謝って来た。
「ハーデス・・・サクラ、シノブ済まなかった。私は諦めそうになっていた、本当にごめん!」
久しぶりに聞いた男性声も有ったが、唐突に謝られて私達は驚く。
「ミカさん、私も今諦めそうになってたんだ。でもミカさんが来てくれたから勝てそうな気になって来たよ。」
本心だ、やっと「深紅の薔薇」のメンバー全員が揃ったんだ。
「ああ、ギルマスが居ないと無口なDOS殿では指示が少ないからな。ってか変声ジュースが無くなったでござるな、拙者もそろそろ切れる頃合いでござる。」
「ふん、目が覚めて少しはマシになった様だな。」
一呼吸置いてミカさんは真剣な表情で皆に宣言する。
「皆、力を貸してくれ。あの強大な敵を倒したい!」
私も倒したい、もう諦めたりしない。
ミカさんは皆に作戦指示を出し、私達は他のメンバーに作戦を伝える為に戦火の荒野を走り出した。
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