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異世界崩壊編 後編
208話 魔法都市共同作戦締結
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-魔法都市ハイメス国-
転送装置で転送を終えた私達はハイメス国の城内の一室に降り立った。
そこは薄暗い部屋になっており、外側から硬く閉ざされている様だった。
私は内側から開錠特殊技能を使用して扉を開ける。
扉の外には魔法騎士の扉番が1名待機していた。
中から扉を解放して出て来た私達の姿を見て、慌てて逃げ出して行った。
「・・・・逃げちゃった。」
「まぁ新人っぽかったからな。」
「私とDOSの顔を知らないみたいでしたしね。この開かずの間の警備は新人の仕事なんでしょう。」
以前この国の兵士長的立場で所属していたDOSと咲耶は、この城で暮らしていた時期が有ったので内部情報に詳しい。
2人に案内される形で城内を歩いていると大勢の兵士に囲まれる。
どうやら先程部屋の番をしていた兵士が不法侵入して来た不審者対応の為に応援を呼んだのだろう。
「あ、あいつらです!神具の間の中から出て来た不審者共は!」
寝具?
あ、神具なのかな?
起動出来無い転送装置は神の道具として祭られていたのだろうか。
「貴様等何者だ!・・・・うん?ま、魔槍様に爆雷の女神様ではございませんか!?」
なんか懐かしい呼び方だな、オスロウ国との戦争時にハイメス国軍として参加していたDOSは「姿無き魔槍」、咲耶は「爆雷の女神」と呼ばれていたんだっけ。
「お久しぶりです、驚かせてすみません。」
「い、いえ。しかし一体どうやって城に入られたのですか?」
咲耶は転送装置の事を簡潔に説明し、新人兵士に非が無い事を伝える。
数人の兵士が国王に報告に行き、兵士達はそれぞれの持ち場に戻って行った。
私達は応接室に案内されて待機される様に促される。
相変わらずここのSP回復効果の有るハーブティーは美味しい。
殆どの国は転送装置は街の入口に設置されているがイベントの関係でこの都市は城内に設置されている。
私達元プレイヤーしか起動出来無いのだから「神具」と言って祭っていた様だ。
まさかそこから人が現れるとは驚いたに違い無い。
・
・
・
その後デイアと魔法騎士隊長と警備兵に守られた国王と王妃が部屋へとやって来た。
まずはサクラがデイアにお礼を述べる。
希少鉱石【森羅万象】で強化された【真・童子切安綱】見せ頭を下げる。
その美しい刀身の刀を魔法騎士達が物珍しそうに見つめ騒いでいた。
国王と王妃は以前会った時よりもやつれている様子で表情も硬い。
DOSが先頭を切って挨拶をする。
大抵ミカさんがするのだが彼は窓際の椅子に座り、心ここに在らずと言った感じで赤い空を眺めている。
DOSは転送装置の転移の事とオスロウ国崩壊、現状巨大モンスターの標的となっている事を伝える。
「そうか、オスロウ国は滅んだか。」
デイア姫はちらりとクリス君の方に一瞬目をやり、すぐに視線をDOSの方へ戻す。咲耶は改めて魔法士隊の古代神カノプス討伐の協力を願い出た。
「空を飛ぶ100メートル級のモンスターを魔法で撃墜・・・戦力は8000人以上の国民を一撃で消滅させる聖属性魔法とDOSさんを斬り刻む斬撃力をも持っているですか。」
「ええ、強力な魔法障壁とヤツを撃墜するだけの遠隔魔法攻撃力が必要なのです。」
「考えは有る。デイア様とこの国の力を貸しては貰え無いだろうか。」
「シノブ、未来予知は無いのか?」
突然会話を振られて、思わず驚く。
そう言えば、この国での私の立ち位置は「予言者」と言う特殊才能所持者とサクラが宣言してから完全に信じられていたんだった。
私は恨めしそうにサクラの方に目をやると、サクラはそっぽを向いていた。
アイツ笑いを堪えているんじゃないか?
ムカツク・・・しかし、どうする?
もはや全部説明した方が良いのだろうか・・・?
困った顔の私を見てDOSが助け船を出してくれた。
そして、この世界の実態と今起きている事態の明確な内容をつつみ隠さず話をし。
当然デイアを含め護衛の兵士や国王も信じられないと言った表情で様々な質問をDOSに投げかける。
その質問に対してDOSは淡々と答える、冗談を言うタイプでは無い事は国王も含め兵士長も知っている。
しかし、余りにも突飛な内容に受け入れられないといった感じだった。
「今の話が本当ならばシノブは予言者では無く神そのものではないか!そして、そこのソーサラーも。それにしても、ヨグトスとやらを倒しても世界は消えるとはな・・・なんとも報われないな。DOSさんが嘘を言うとは思えないが座して滅ぼされるのは納得がいかないですね。」
デイアは国王と王妃を真直ぐ見据えて話を始めた。
「お父様、私が前衛に出て軍を動かします。咲耶さん、DOSさん、そして皆さんご協力をお願いできますか?」
「こちらからもお願いします。」
「ああ、よろしく此方こそ頼む。」
DOSとデイアは硬く握手を交わし、ハイメス国との共同戦線が締結された。
その後のハイメス国の対応は早く、即時国民に対して国王からの非常事態宣言の通達が行われ全国民が都市防衛の為に行動を開始した。
ハイメス国はゲーム設定上、全国民が高い魔力を持つと言う設定が活きているらしく一般市民が都市を守る多重結界装置の魔力供給へと周る様に衛兵から指示が長されていた。
普段結界を作動させている部署の人間は戦闘部隊へと回る予定だと話していた。
こうして防衛準備は着々と進みDOSと暗黒神ハーデスとデイア姫、各種騎士隊長を中心となり古代神攻略作戦が練られて行った。
その後斥候に出ていた少数の騎士がオスロウ国とハイメス国を隔てた山岳地帯で停滞している古代神カノプスの目撃情報が入る。
話を聞いた限り、第1形態より移動速度は遅いらしく本国への到着は明朝程度になる予測が立てられていた。
転送装置で転送を終えた私達はハイメス国の城内の一室に降り立った。
そこは薄暗い部屋になっており、外側から硬く閉ざされている様だった。
私は内側から開錠特殊技能を使用して扉を開ける。
扉の外には魔法騎士の扉番が1名待機していた。
中から扉を解放して出て来た私達の姿を見て、慌てて逃げ出して行った。
「・・・・逃げちゃった。」
「まぁ新人っぽかったからな。」
「私とDOSの顔を知らないみたいでしたしね。この開かずの間の警備は新人の仕事なんでしょう。」
以前この国の兵士長的立場で所属していたDOSと咲耶は、この城で暮らしていた時期が有ったので内部情報に詳しい。
2人に案内される形で城内を歩いていると大勢の兵士に囲まれる。
どうやら先程部屋の番をしていた兵士が不法侵入して来た不審者対応の為に応援を呼んだのだろう。
「あ、あいつらです!神具の間の中から出て来た不審者共は!」
寝具?
あ、神具なのかな?
起動出来無い転送装置は神の道具として祭られていたのだろうか。
「貴様等何者だ!・・・・うん?ま、魔槍様に爆雷の女神様ではございませんか!?」
なんか懐かしい呼び方だな、オスロウ国との戦争時にハイメス国軍として参加していたDOSは「姿無き魔槍」、咲耶は「爆雷の女神」と呼ばれていたんだっけ。
「お久しぶりです、驚かせてすみません。」
「い、いえ。しかし一体どうやって城に入られたのですか?」
咲耶は転送装置の事を簡潔に説明し、新人兵士に非が無い事を伝える。
数人の兵士が国王に報告に行き、兵士達はそれぞれの持ち場に戻って行った。
私達は応接室に案内されて待機される様に促される。
相変わらずここのSP回復効果の有るハーブティーは美味しい。
殆どの国は転送装置は街の入口に設置されているがイベントの関係でこの都市は城内に設置されている。
私達元プレイヤーしか起動出来無いのだから「神具」と言って祭っていた様だ。
まさかそこから人が現れるとは驚いたに違い無い。
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その後デイアと魔法騎士隊長と警備兵に守られた国王と王妃が部屋へとやって来た。
まずはサクラがデイアにお礼を述べる。
希少鉱石【森羅万象】で強化された【真・童子切安綱】見せ頭を下げる。
その美しい刀身の刀を魔法騎士達が物珍しそうに見つめ騒いでいた。
国王と王妃は以前会った時よりもやつれている様子で表情も硬い。
DOSが先頭を切って挨拶をする。
大抵ミカさんがするのだが彼は窓際の椅子に座り、心ここに在らずと言った感じで赤い空を眺めている。
DOSは転送装置の転移の事とオスロウ国崩壊、現状巨大モンスターの標的となっている事を伝える。
「そうか、オスロウ国は滅んだか。」
デイア姫はちらりとクリス君の方に一瞬目をやり、すぐに視線をDOSの方へ戻す。咲耶は改めて魔法士隊の古代神カノプス討伐の協力を願い出た。
「空を飛ぶ100メートル級のモンスターを魔法で撃墜・・・戦力は8000人以上の国民を一撃で消滅させる聖属性魔法とDOSさんを斬り刻む斬撃力をも持っているですか。」
「ええ、強力な魔法障壁とヤツを撃墜するだけの遠隔魔法攻撃力が必要なのです。」
「考えは有る。デイア様とこの国の力を貸しては貰え無いだろうか。」
「シノブ、未来予知は無いのか?」
突然会話を振られて、思わず驚く。
そう言えば、この国での私の立ち位置は「予言者」と言う特殊才能所持者とサクラが宣言してから完全に信じられていたんだった。
私は恨めしそうにサクラの方に目をやると、サクラはそっぽを向いていた。
アイツ笑いを堪えているんじゃないか?
ムカツク・・・しかし、どうする?
もはや全部説明した方が良いのだろうか・・・?
困った顔の私を見てDOSが助け船を出してくれた。
そして、この世界の実態と今起きている事態の明確な内容をつつみ隠さず話をし。
当然デイアを含め護衛の兵士や国王も信じられないと言った表情で様々な質問をDOSに投げかける。
その質問に対してDOSは淡々と答える、冗談を言うタイプでは無い事は国王も含め兵士長も知っている。
しかし、余りにも突飛な内容に受け入れられないといった感じだった。
「今の話が本当ならばシノブは予言者では無く神そのものではないか!そして、そこのソーサラーも。それにしても、ヨグトスとやらを倒しても世界は消えるとはな・・・なんとも報われないな。DOSさんが嘘を言うとは思えないが座して滅ぼされるのは納得がいかないですね。」
デイアは国王と王妃を真直ぐ見据えて話を始めた。
「お父様、私が前衛に出て軍を動かします。咲耶さん、DOSさん、そして皆さんご協力をお願いできますか?」
「こちらからもお願いします。」
「ああ、よろしく此方こそ頼む。」
DOSとデイアは硬く握手を交わし、ハイメス国との共同戦線が締結された。
その後のハイメス国の対応は早く、即時国民に対して国王からの非常事態宣言の通達が行われ全国民が都市防衛の為に行動を開始した。
ハイメス国はゲーム設定上、全国民が高い魔力を持つと言う設定が活きているらしく一般市民が都市を守る多重結界装置の魔力供給へと周る様に衛兵から指示が長されていた。
普段結界を作動させている部署の人間は戦闘部隊へと回る予定だと話していた。
こうして防衛準備は着々と進みDOSと暗黒神ハーデスとデイア姫、各種騎士隊長を中心となり古代神攻略作戦が練られて行った。
その後斥候に出ていた少数の騎士がオスロウ国とハイメス国を隔てた山岳地帯で停滞している古代神カノプスの目撃情報が入る。
話を聞いた限り、第1形態より移動速度は遅いらしく本国への到着は明朝程度になる予測が立てられていた。
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