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異世界崩壊編 後編
207話 共同戦線案
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作戦の為に造った巨大な落とし穴の中央でキャンプを張る。
いつものキャンプの様に焚き木を囲み簡単な夕食を作るが皆無言で食べている。
戦死者数は数知れない。
それこそ古代神カノプスの攻撃で数千人以上を一瞬で消し去ったのだ。
ミカさんとDOSはその光景を目の当たりにした訳だ。
精神的ダメージは誰よりも大きいだろう。
クリス君も故郷や友人を失った事で「独りにして欲しい。」と言い残し街の有った方へと歩いて行ってしまった。
シグやセアスさん・・・元近衛兵団の皆も死体も残らない状態だ。
私も空気を読み誰にも話し掛ける事無く、少し離れた所で【破壊刀イレース】の手入れをしながらレイに話し掛けていた。
『・・・暗いね、何か悩んでるの?』
「そうね、ゲーム内でも倒した事の無いボスキャラを倒す方法を教えて。」
『僕を突き刺して斬るで良いと思うけど。』
何とも単純明快な答えだ。そうじゃなくて、その手段の話をしているんだけれども・・・。
「いや、そうだけども。本体が浮いてて届かないし、ほぼ一撃で瀕死になって気絶してしまう魔法攻撃をして来るんだよ。」
『シノブだけじゃ無理だね。僕とシノブは勝率を上げる鍵にはなれるけどね。』
「うん、そうだね。」
「・・・・何を独り言を言ってるでござるか?」
「うわっと!」
急に背後からサクラが話しかけて来た。
後ろを振り向くとサクラとシャルとセーニアと咲耶と暗黒神ハーデスが心配そうな顔をして覗き込む様に此方を見ていた。
翌々考えたら第3者からしたら完全に妖刀に取り憑かれて、独りでブツブツと刀に語り掛ける怪しい人物にしか見えないだろう。
皆の心配そうな顔を見て、改めて恥ずかしい気持ちが込み上げて来て赤面する。
「いや!ほら!前話したよね!この刀喋れるの!装備出来無いと聞こえないからサクラしか聞いた事無いんだけどね!ね!サクラ!」
焦って早口になった感じに弁明をするとサクラが揶揄って「何の事でござるか?」等と惚ける。
私が真っ赤な顔で怒るとサクラはおどけながら「じょ、冗談でござるよ!」と言いながら皆に再説明をしてくれた。
私達のやり取りを見て周囲が少し和やかな雰囲気になる。
もしかして重い雰囲気を和ます為にサクラはワザと・・・
いや、考え過ぎだろう。
サクラはそんな空気を読むタイプではない。
「ミカエルは重症ですね、あんな姿は見た事が無いです。」
「心配だ、食事も食べてなかったからな。」
咲耶とセーニアはミカさんの事を頻りに心配していた。
ミカさんは見た目からも完全に落ち込んでいるのが分かる。
表情の無いDOSも多分同じだと思う。
「しかし、のんびりもしてられないでござる。カノプスは残りの都市を破壊する為に進行しているとしたら・・・明日にはギュノスかハイメスに進行する可能性が有るでござる。」
「アニマ国も1日も掛からずに島ごと消滅したと聞きました。国王もエウルゥも・・・」
泣きそうな顔のシャルの頭をそっと撫でる。
「ギュノス国の守護機械兵は役に立たないかも知れんがドーム状の強固な防壁が有る強国。ハイメス国もレイドボス姫が自慢する程の最新鋭魔法結界が有るんだ、そう簡単には落とせんだろう。」
暗黒神ハーデスは現実的に古代神カノプスを倒す方法を話し合おうと言う。
しかし皆は乗り気では無い表情を浮かべる。
当然だ、只でさえ巨大な上に圧倒的な力の差見せつけられたのだから。
しばしの沈黙が辺りを包む。
その時後方から足音が近づいてくる。
「DOS・・・」
「心配かけた、ミカエルはまだ戦える状態じゃないがここで立ち止まっている訳にはいかない。作戦を立てよう、勝つためのな!」
私達はそれぞれの意見を出し合った。
ゲーム内で古代神カノプスの第2形態を倒したプレイヤーは少ない。
実際討伐動画も2本のみしかアップロードされていなかった。
ランキング上位ギルドのトッププレイヤー40人がパーティーを組み対第2形態用に職業厳選、指揮官は4名の10チーム。
それぞれの職のプロフェッショナルが無駄の無い立ち回りをして倒す。
しかしそれは、あくまでゲーム内での事だ、
この世界に居るプレイヤーは私達6人だけでシャル達NPC出身者はレベル的にシャルとセーニアが60位でイベントボス位置のクリス君が80位だろう。
そして全員が近接職なのだ。
第2形態と戦う際に重要なのが遠距離・中距離から攻撃の出来る職業が空中を浮遊している古代神カノプスを撃墜する必要が有る。
DOSと暗黒神ハーデスの2人は遠距離攻撃が出来る、ミカさんと咲耶はギリギリ中距離攻撃範囲の特殊技能を持っている。
そう、圧倒的に遠距離攻撃を担当する人数が足りないのだ。
「ハイメス国の協力を仰ごう。あの魔法国家なら上位魔法を使える魔法戦士の大部隊と魔法反射装備を着たレイドボス級の姫が居る。あの国の協力を得て迎撃をするしかない。」
DOSの意見に暗黒神ハーデスも賛同する。
ハイメス国の王女デイアは魔法反射する装備とレイドボス専用の極大攻撃魔法【アストラインダクス】が使用出来る。
前半のレイドボス設定とは言え、我々最大レベルプレイヤー数人分の能力を有しているはず、共同作戦を組めれば心強い。
漠然としてはいるが、今の私達で勝機が有るとすればハイメス国での共同迎撃作戦に賭けるしかない。
私達はクリス君と合流し項垂れて動く事の出来ないミカさんを支え、瓦礫に埋まった転送装置を探し出しハイメス国を目指した。
いつものキャンプの様に焚き木を囲み簡単な夕食を作るが皆無言で食べている。
戦死者数は数知れない。
それこそ古代神カノプスの攻撃で数千人以上を一瞬で消し去ったのだ。
ミカさんとDOSはその光景を目の当たりにした訳だ。
精神的ダメージは誰よりも大きいだろう。
クリス君も故郷や友人を失った事で「独りにして欲しい。」と言い残し街の有った方へと歩いて行ってしまった。
シグやセアスさん・・・元近衛兵団の皆も死体も残らない状態だ。
私も空気を読み誰にも話し掛ける事無く、少し離れた所で【破壊刀イレース】の手入れをしながらレイに話し掛けていた。
『・・・暗いね、何か悩んでるの?』
「そうね、ゲーム内でも倒した事の無いボスキャラを倒す方法を教えて。」
『僕を突き刺して斬るで良いと思うけど。』
何とも単純明快な答えだ。そうじゃなくて、その手段の話をしているんだけれども・・・。
「いや、そうだけども。本体が浮いてて届かないし、ほぼ一撃で瀕死になって気絶してしまう魔法攻撃をして来るんだよ。」
『シノブだけじゃ無理だね。僕とシノブは勝率を上げる鍵にはなれるけどね。』
「うん、そうだね。」
「・・・・何を独り言を言ってるでござるか?」
「うわっと!」
急に背後からサクラが話しかけて来た。
後ろを振り向くとサクラとシャルとセーニアと咲耶と暗黒神ハーデスが心配そうな顔をして覗き込む様に此方を見ていた。
翌々考えたら第3者からしたら完全に妖刀に取り憑かれて、独りでブツブツと刀に語り掛ける怪しい人物にしか見えないだろう。
皆の心配そうな顔を見て、改めて恥ずかしい気持ちが込み上げて来て赤面する。
「いや!ほら!前話したよね!この刀喋れるの!装備出来無いと聞こえないからサクラしか聞いた事無いんだけどね!ね!サクラ!」
焦って早口になった感じに弁明をするとサクラが揶揄って「何の事でござるか?」等と惚ける。
私が真っ赤な顔で怒るとサクラはおどけながら「じょ、冗談でござるよ!」と言いながら皆に再説明をしてくれた。
私達のやり取りを見て周囲が少し和やかな雰囲気になる。
もしかして重い雰囲気を和ます為にサクラはワザと・・・
いや、考え過ぎだろう。
サクラはそんな空気を読むタイプではない。
「ミカエルは重症ですね、あんな姿は見た事が無いです。」
「心配だ、食事も食べてなかったからな。」
咲耶とセーニアはミカさんの事を頻りに心配していた。
ミカさんは見た目からも完全に落ち込んでいるのが分かる。
表情の無いDOSも多分同じだと思う。
「しかし、のんびりもしてられないでござる。カノプスは残りの都市を破壊する為に進行しているとしたら・・・明日にはギュノスかハイメスに進行する可能性が有るでござる。」
「アニマ国も1日も掛からずに島ごと消滅したと聞きました。国王もエウルゥも・・・」
泣きそうな顔のシャルの頭をそっと撫でる。
「ギュノス国の守護機械兵は役に立たないかも知れんがドーム状の強固な防壁が有る強国。ハイメス国もレイドボス姫が自慢する程の最新鋭魔法結界が有るんだ、そう簡単には落とせんだろう。」
暗黒神ハーデスは現実的に古代神カノプスを倒す方法を話し合おうと言う。
しかし皆は乗り気では無い表情を浮かべる。
当然だ、只でさえ巨大な上に圧倒的な力の差見せつけられたのだから。
しばしの沈黙が辺りを包む。
その時後方から足音が近づいてくる。
「DOS・・・」
「心配かけた、ミカエルはまだ戦える状態じゃないがここで立ち止まっている訳にはいかない。作戦を立てよう、勝つためのな!」
私達はそれぞれの意見を出し合った。
ゲーム内で古代神カノプスの第2形態を倒したプレイヤーは少ない。
実際討伐動画も2本のみしかアップロードされていなかった。
ランキング上位ギルドのトッププレイヤー40人がパーティーを組み対第2形態用に職業厳選、指揮官は4名の10チーム。
それぞれの職のプロフェッショナルが無駄の無い立ち回りをして倒す。
しかしそれは、あくまでゲーム内での事だ、
この世界に居るプレイヤーは私達6人だけでシャル達NPC出身者はレベル的にシャルとセーニアが60位でイベントボス位置のクリス君が80位だろう。
そして全員が近接職なのだ。
第2形態と戦う際に重要なのが遠距離・中距離から攻撃の出来る職業が空中を浮遊している古代神カノプスを撃墜する必要が有る。
DOSと暗黒神ハーデスの2人は遠距離攻撃が出来る、ミカさんと咲耶はギリギリ中距離攻撃範囲の特殊技能を持っている。
そう、圧倒的に遠距離攻撃を担当する人数が足りないのだ。
「ハイメス国の協力を仰ごう。あの魔法国家なら上位魔法を使える魔法戦士の大部隊と魔法反射装備を着たレイドボス級の姫が居る。あの国の協力を得て迎撃をするしかない。」
DOSの意見に暗黒神ハーデスも賛同する。
ハイメス国の王女デイアは魔法反射する装備とレイドボス専用の極大攻撃魔法【アストラインダクス】が使用出来る。
前半のレイドボス設定とは言え、我々最大レベルプレイヤー数人分の能力を有しているはず、共同作戦を組めれば心強い。
漠然としてはいるが、今の私達で勝機が有るとすればハイメス国での共同迎撃作戦に賭けるしかない。
私達はクリス君と合流し項垂れて動く事の出来ないミカさんを支え、瓦礫に埋まった転送装置を探し出しハイメス国を目指した。
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