204 / 252
異世界崩壊編 後編
204話 見えていた
しおりを挟む
古代神カノプスの姿は全身が黒い影に覆われている様な人型で、1歩は約50メートルと言った所だ。
そして4足歩行でオスロウ国へ向けて直進して来る。
素早い動きの人型巨大4足歩行生物とか不気味過ぎる。
ゲームではもっとサイズが小さく特に気にならなかったがリアルだと動きが超キモい。
後数分もすれば作戦実行範囲に侵入しそうだ。
果たして上手く誘導出来るのだろうか。
聖騎士隊がシグの指示に従い戦闘配置を微調整し始める。
「剣撃用意!・・・・撃てぇぇ!」
15名の上位聖騎士がシグの号令に合わせ【セイクルレイン】を放つ。
無数の光の矢が弧を描く様に古代神カノプスの肩から顔面に掛けて直撃する。
流石に的がでかいだけ有って、全てクリーンヒットするがダメージは全く無さそうだ。
しかし、思惑通り優先攻撃順位は聖騎士隊の方向へと向けられる。
古代神カノプスは大きく体を翻し、聖騎士隊に向けて突進する。
60メートル、40メートル、20メートル・・・・いける!
地面を偽装している巨大落とし穴の手前で古代神カノプスの進撃がピタリと止まる。
様子が変だ、城壁の上部の皆も気が付き状況を見守る。
古代神カノプスは大きく息を吸い込むと、偽装している地面に対して強力なブレス攻撃を発する。
大きな地響きと共に地面が陥没し直径50メートル以上の大穴が露わになる。
完全に気付かれた!
「シノブ!あいつは見てたんだよ!私達の動きを・・・遠くから睨んでただけじゃない!落とし穴を作る所も全部!」
シャルが尻尾の毛を逆立てながら叫ぶ。
「そんな馬鹿な!?山岳地帯から見える距離じゃ・・・・」
私達が山岳地帯で古代神カノプスの光る眼を目撃して直ぐに落とし穴を作成したあの場所から城門前まで40キロメートル以上は有るはずだ。
見えている訳が無い・・・と、思う。
それよりも恐ろしいのは獣の様な動きをしているがかなり狡猾なモンスターだと言う事だ。
どの道、落とし穴を使った作戦は失敗したと考えた方が良さそうだ。
古代神カノプスは、その場でゆっくりと立ち上がり「オオオオオオオオオォォォ!!」と周囲の空気を振動させる程の大きな咆哮を上げる。
誘導部隊の聖騎士と魔導士の一部が恐怖で気絶する者や、逃げ出す者が多数現れ陣形が崩れる。
あれは恐怖・恐慌状態にする特殊技能か?
分からないが全長100メートル近くの化物を目の前にしたら並みの冒険者程度なら正気を保てないかも知れない。
「サクラ!シノブ!クリス!作戦Bだ、近接部隊を率いて下さい!」
「りょ、了解!」「了解しました!」
「まかせるでござる!」
落とし穴に誘い込む作戦が失敗した場合、古代神カノプスの両脚を破壊し頭部に集中攻撃をする作戦に移行する。
シグとラウルは一時退避しつつ部隊の立て直しを始めている。
踏み潰されたら即死は免れないだろう。
私はカイゼルの率いる冒険者部隊と左脚の破壊に参加する。
「サクラの使い魔!足ぃ引っ張るなよ!」
イラッ!誰がサクラの使い魔だ、腹が立つ!
公衆の面前でサクラを拘束して装備を脱がす変態野郎に上から目線で指図されると非常にムカツク。
クラスアップして調子に乗っているな、コイツは・・・
よぉし、同じ忍者として格の違いを見せてやる。
『シノブ、高揚してる?良い事だけど。』
「レイ、行くよ!」
カイゼルの部隊は左脚の正面から、私達は後方に回り込む。
カイゼルとスカウト達がレイドボスに成功率の低い特殊技能【影縫い】を仕掛ける。
近接職は脚の甲に上がり直接攻撃をしかけるが分厚い皮に覆われた脚に剣が刺さらない様子だ。
そしてそれを見て「コイツら使えねぇ」と言う表情をしている。
武闘大会でサクラと戦った時と中身は成長して無い様な印象を受ける。
「魔法部隊は能力向上魔法を近接職に掛けてあげて下さい!土魔法を使える人は脚に未着している地面を高質化して下さい!スカウト部隊は【粘着罠】で足の甲を狙って攻撃!私は脚の腱がなるべく伸びる形に誘導をお願いします!」
土魔法で硬質化された地面と粘着罠が交わり古代神カノプスの左脚を地面に密着させる。
能力向上魔法の掛かった近接職の攻撃が通る様になり、振り払おうとした古代神カノプスは脚に力をいれ腱が引き延ばされる。
『シノブ!』
「うん!」
【地獄ノ業火】を使い【破壊刀イレース】で伸びきった脚の腱を斬る為に飛び込む。
刀を包む黒い霧状の物が大きく広がり、そして収束し黒い線となる。
脚の腱を斬り態勢を崩す予定で攻撃したが気合が入り過ぎたせいか脚の腱から真直ぐ刃が通り、黒い線が流れる様に左脚自体を真っ二つに斬り落とす。
斬れた脚のテクスチャが崩れる様にブレ消滅を始める。
「おいおいおいおいおいおいおいおい!」
「げぇ!?」「き、斬った!?」
「なんじゃこりゃぁ!」
「あの忍者只者ではないな!」
「おい!倒れるぞ離れろ!」
左脚を受け持っていた部隊の各所から驚きの声が上がる。
カイゼルも目を見開き唖然とした表情で動きが止まっていたのが見えて思わずほくそ笑んでしまう。
カイゼルは私の事を多分知らない。
自分と同じ上位職の忍者の小娘が圧倒的な力の差を目の前で見せ付けたのだ。
私は少しだけ優越感に浸る。
レイドボスを一撃で部位破壊してしまった。
直径20メートルはあろうかと言う巨大な脚を1撃で真っ二つに斬ったのだから、自分自身も驚いている位だ。
そして一気に半分近くのSPが消費された様な感覚が有り少し力が抜ける。
急に左脚を失い古代神カノプスはバランスを崩して落とし穴の方向に倒れ込む。
ズウゥゥンと言う大きな音を立てて上半身を落とし穴に沈める形で腕を付き四つん這いで耐える。
その隙をミカさんが見逃さない。
姿勢が低くなったカノプスの頭部に目掛けて一斉攻撃の指示を出す。
DOSの【イグナイトストライク】とミカさんの【エデンズレイ】が同時に直撃するのを皮切りに、周囲を取り巻いていた聖騎士隊と魔導士隊が一気に雪崩れ込む。
サクラの率いていた部隊も右脚を破壊し頭部に向けて突撃を開始した。
古代神カノプスは移動速度は速いが1度バランスを崩すと直ぐに起き上がれない。
どうやら巨体が仇となっている様だ。
多少自然回復するが、まだSPは半分残っている。
私はこのまま全力で頭部を潰す為に走り出した。
そして4足歩行でオスロウ国へ向けて直進して来る。
素早い動きの人型巨大4足歩行生物とか不気味過ぎる。
ゲームではもっとサイズが小さく特に気にならなかったがリアルだと動きが超キモい。
後数分もすれば作戦実行範囲に侵入しそうだ。
果たして上手く誘導出来るのだろうか。
聖騎士隊がシグの指示に従い戦闘配置を微調整し始める。
「剣撃用意!・・・・撃てぇぇ!」
15名の上位聖騎士がシグの号令に合わせ【セイクルレイン】を放つ。
無数の光の矢が弧を描く様に古代神カノプスの肩から顔面に掛けて直撃する。
流石に的がでかいだけ有って、全てクリーンヒットするがダメージは全く無さそうだ。
しかし、思惑通り優先攻撃順位は聖騎士隊の方向へと向けられる。
古代神カノプスは大きく体を翻し、聖騎士隊に向けて突進する。
60メートル、40メートル、20メートル・・・・いける!
地面を偽装している巨大落とし穴の手前で古代神カノプスの進撃がピタリと止まる。
様子が変だ、城壁の上部の皆も気が付き状況を見守る。
古代神カノプスは大きく息を吸い込むと、偽装している地面に対して強力なブレス攻撃を発する。
大きな地響きと共に地面が陥没し直径50メートル以上の大穴が露わになる。
完全に気付かれた!
「シノブ!あいつは見てたんだよ!私達の動きを・・・遠くから睨んでただけじゃない!落とし穴を作る所も全部!」
シャルが尻尾の毛を逆立てながら叫ぶ。
「そんな馬鹿な!?山岳地帯から見える距離じゃ・・・・」
私達が山岳地帯で古代神カノプスの光る眼を目撃して直ぐに落とし穴を作成したあの場所から城門前まで40キロメートル以上は有るはずだ。
見えている訳が無い・・・と、思う。
それよりも恐ろしいのは獣の様な動きをしているがかなり狡猾なモンスターだと言う事だ。
どの道、落とし穴を使った作戦は失敗したと考えた方が良さそうだ。
古代神カノプスは、その場でゆっくりと立ち上がり「オオオオオオオオオォォォ!!」と周囲の空気を振動させる程の大きな咆哮を上げる。
誘導部隊の聖騎士と魔導士の一部が恐怖で気絶する者や、逃げ出す者が多数現れ陣形が崩れる。
あれは恐怖・恐慌状態にする特殊技能か?
分からないが全長100メートル近くの化物を目の前にしたら並みの冒険者程度なら正気を保てないかも知れない。
「サクラ!シノブ!クリス!作戦Bだ、近接部隊を率いて下さい!」
「りょ、了解!」「了解しました!」
「まかせるでござる!」
落とし穴に誘い込む作戦が失敗した場合、古代神カノプスの両脚を破壊し頭部に集中攻撃をする作戦に移行する。
シグとラウルは一時退避しつつ部隊の立て直しを始めている。
踏み潰されたら即死は免れないだろう。
私はカイゼルの率いる冒険者部隊と左脚の破壊に参加する。
「サクラの使い魔!足ぃ引っ張るなよ!」
イラッ!誰がサクラの使い魔だ、腹が立つ!
公衆の面前でサクラを拘束して装備を脱がす変態野郎に上から目線で指図されると非常にムカツク。
クラスアップして調子に乗っているな、コイツは・・・
よぉし、同じ忍者として格の違いを見せてやる。
『シノブ、高揚してる?良い事だけど。』
「レイ、行くよ!」
カイゼルの部隊は左脚の正面から、私達は後方に回り込む。
カイゼルとスカウト達がレイドボスに成功率の低い特殊技能【影縫い】を仕掛ける。
近接職は脚の甲に上がり直接攻撃をしかけるが分厚い皮に覆われた脚に剣が刺さらない様子だ。
そしてそれを見て「コイツら使えねぇ」と言う表情をしている。
武闘大会でサクラと戦った時と中身は成長して無い様な印象を受ける。
「魔法部隊は能力向上魔法を近接職に掛けてあげて下さい!土魔法を使える人は脚に未着している地面を高質化して下さい!スカウト部隊は【粘着罠】で足の甲を狙って攻撃!私は脚の腱がなるべく伸びる形に誘導をお願いします!」
土魔法で硬質化された地面と粘着罠が交わり古代神カノプスの左脚を地面に密着させる。
能力向上魔法の掛かった近接職の攻撃が通る様になり、振り払おうとした古代神カノプスは脚に力をいれ腱が引き延ばされる。
『シノブ!』
「うん!」
【地獄ノ業火】を使い【破壊刀イレース】で伸びきった脚の腱を斬る為に飛び込む。
刀を包む黒い霧状の物が大きく広がり、そして収束し黒い線となる。
脚の腱を斬り態勢を崩す予定で攻撃したが気合が入り過ぎたせいか脚の腱から真直ぐ刃が通り、黒い線が流れる様に左脚自体を真っ二つに斬り落とす。
斬れた脚のテクスチャが崩れる様にブレ消滅を始める。
「おいおいおいおいおいおいおいおい!」
「げぇ!?」「き、斬った!?」
「なんじゃこりゃぁ!」
「あの忍者只者ではないな!」
「おい!倒れるぞ離れろ!」
左脚を受け持っていた部隊の各所から驚きの声が上がる。
カイゼルも目を見開き唖然とした表情で動きが止まっていたのが見えて思わずほくそ笑んでしまう。
カイゼルは私の事を多分知らない。
自分と同じ上位職の忍者の小娘が圧倒的な力の差を目の前で見せ付けたのだ。
私は少しだけ優越感に浸る。
レイドボスを一撃で部位破壊してしまった。
直径20メートルはあろうかと言う巨大な脚を1撃で真っ二つに斬ったのだから、自分自身も驚いている位だ。
そして一気に半分近くのSPが消費された様な感覚が有り少し力が抜ける。
急に左脚を失い古代神カノプスはバランスを崩して落とし穴の方向に倒れ込む。
ズウゥゥンと言う大きな音を立てて上半身を落とし穴に沈める形で腕を付き四つん這いで耐える。
その隙をミカさんが見逃さない。
姿勢が低くなったカノプスの頭部に目掛けて一斉攻撃の指示を出す。
DOSの【イグナイトストライク】とミカさんの【エデンズレイ】が同時に直撃するのを皮切りに、周囲を取り巻いていた聖騎士隊と魔導士隊が一気に雪崩れ込む。
サクラの率いていた部隊も右脚を破壊し頭部に向けて突撃を開始した。
古代神カノプスは移動速度は速いが1度バランスを崩すと直ぐに起き上がれない。
どうやら巨体が仇となっている様だ。
多少自然回復するが、まだSPは半分残っている。
私はこのまま全力で頭部を潰す為に走り出した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
77
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる