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異世界崩壊編 後編

201話 オスロウ国防衛戦

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-オスロウ国-

転送装置でオスロウ国へ移動する。
感覚的には数日前だが、実際には約1ヶ月経過したオスロウ国は現在モンスターの群れと戦火の真っ最中といった様子だ。

逃げ惑う人々と街の入口を守る大きな門が破壊され、侵入するモンスターと付近で交戦する聖騎士隊と魔法師団、衛兵が住民の避難と救護をしている状況だ。

「皆、街を救うぞ!まずは入口の防衛に回りモンスターの侵入を阻害する!シノブは【索敵】を使って詳細な状況報告を!咲耶は能力向上魔法バフを掛けた後、怪我人の回復を優先してください!セーニアは深追いしない様に気を付けて!」

「了解!」「了解です!」「りょ!」
「行くでござる!」「余裕だ。」「行きましょう!」
「頑張る!」「分かった!」

私達は街の入口に向かって走り出し、すぐさま【索敵】を使用する。

街の入口には大型が6体、小型が43体。
街中に侵入した大型が2体と周囲に4体。

侵入した数はさほど多くは無いが大型は一般能力の聖騎士数十人居ても抑える事が出来ないだろう。
私は把握した状況を全員に叫ぶ様に報告する。

DOSドスとサクラは侵入したモンスターを抑えて下さい!入口を一掃してから手伝います!」

「了解だ!」

「ミカエル殿、倒してしまっても良いでござるな!」

「ああ!だが無理はするなよ!」

伝説の武器【アグネイア】を装備したDOSどっちゃんと、それに匹敵する程の攻撃力の【しん童子切安綱どうじぎりやすつな】を持ったサクラなら大型タイプと1対1でも引けは取らないだろう。

本人達もそれを自覚しているから声が自信に満ち溢れていた。
その場からDOSどっちゃんとサクラは別ルートへと移動して行った。

壊された門の前で大勢の聖騎士が獣型モンスターと乱戦を繰り広げていた。
1人の聖騎士が大型モンスター2体抑え込み、残りの4体大型モンスターを魔法師団と聖騎士団が必死に戦っていた。

「シグ!助太刀をする!」

クリス君が【縮地】で飛び出し叫ぶ、ピトゥリア国で戦ったクロムを様な形状の大型モンスター2体を抑えていたのは傷だらけでボロボロの鎧を来た聖騎士団長のシグだった。

クリス君の声を聞いて振り向いたシグは一瞬隙が出来る。
その瞬間に間合いのすぐ近くに居た大型モンスターの鋭い爪で薙ぎ払われる。

「ミカさん!私は小型を掃討するから!」

「お願いします!セーニアは私と、クリスはシャル組んで大型を各個撃破で!ハーデスは後方から攻撃をお願いします!」

私は【影分身】を使用し暗殺特殊技能アサシンスキルを2本の刀に付与する。

強化モンスターとは言え所詮は雑魚だ、即死攻撃に対する耐性は低い。
モンスターの首筋を狙い大きく斬り裂く、2体、4体、8体、16体。

「な、なんだ!?冒険者か!?」

「あの3人は忍者か!?凄いぞ!」

「おい、見ろ!あれは元近衛兵長のクリスさんだぞ!戻ってくれたんだ!」

暗黒神ハーデスハーちゃん極大攻撃魔法アルティメルスペルがシグの戦っていた大型モンスター2体に直撃。
間髪入れずにシャルが新装備の大爪で1撃を加える。

大振りの攻撃がモンスターの太い左腕にクリーンヒットすると、まるで木の枝を折る様に簡単にへし折り鋭い爪で斬り飛ばした。

「へっ!?あれ!?」

今までの装備と攻撃力が雲泥の差で、攻撃したシャル自身が1番驚いていた。

赤黒い炎を纏った【ドラグスレイヤー】が大型モンスターの頭部に直撃し、ものの数分で大型モンスター1体を倒す。

ミカさんはセーニアに攻撃が向かない様に立ち回り戦い。
シャルも同様に高ランク武器の攻撃力に驚きつつも最近の鬱憤やストレスを発散するかの様に大型モンスターを殴り倒していた。

「はぁああああ!」

「喰らえぇ!」

2人の拳が唸り大型モンスターをなぎ倒す。

職業こそ違えどセーニアとシャルは使用武器の関係で肉弾戦を主軸とした戦闘で、連携が取り易い。

2人共両手の拳が主力武器となり、セーニアが強固な拳とパワーによる打撃攻撃でシャルはスピード重視の鍵爪による斬撃攻撃と言った戦闘スタイルだ。

「なんと言う強さだ!」

「サクラ様!最高です!」

今まで苦戦しながら戦っていた聖騎士隊と魔法師団は邪魔にならない様に完全に観戦者に回り、我々の戦いを応援する様になった。

約30分の後入口のモンスターは全て討伐終了、街の内部に侵入したモンスターもDOSどっちゃんとサクラが2人で掃討したらしい。
大人数で防衛戦をしていたからか死亡者はゼロで怪我人は咲耶が全て治療を終えた様だ。

「クリス、戻って来てくれたのだな。それにシノブ様も助かりました。」

「シノブ様お久しぶりです、今日もキュートですね。サクラ様は来ていないのですか!?」

魔法師団を指揮していた王国魔法省長のラウルとシグが迎えてくれる。
そして聖騎士団長は相変わらず騒がしいイケメンだ、この対応が嫌でサクラは雲隠れをしている様だ。

ミカさんはシグとラウルに現在の状況を確認する。

現在何度もこうしたモンスターの集団が押し寄せ、山岳地帯には巨大生物の姿を目撃したと情報が入ったと。

その報告を経て偵察に出たオスロウ国の斥候の話では約2日後に巨大生物がオスロウに到着すると試算しているらしい。

私達は以前宿泊していた宿を借りた、なんだか少し懐かしい。
最初は【黒猫スーツ】を着てサクラと2人で泊まっていたなと思い出し苦笑した。

その夜、衛兵長のセアスや職場復帰したダンネル大臣と貴族の集団が押しかけて来て、ミカさんとクリス君が忙しそうに対応していた。

更に驚いた事にアルテナの街の少年探偵団の3人がサクラを訪ねて来たのだ。

以前より少し成長した彼らは、家族と早々にオスロウ国に避難していたらしく無事で元気そうな姿で現れた。
私は人間の姿で改めて自己紹介をした。

・・・色々有ったが街の防衛が成功して、懐かしい顔も見れて良かったと久々に暖かい気持ちに包まれたのだった。
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