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異世界崩壊編 前編

187話 虹色の宝刀と情報を斬り裂く刀

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砂漠に出た私は【索敵】を使用する。
索敵範囲ギリギリの所に敵勢反応の赤いマーキングが複数映っているのが見える。
多分皆はこの場所に居る。

私は【索敵】の位置を皆に伝え戦闘に立ちティオネムで先行する。
距離はさほど遠くない。
ティオネムの足なら20分も掛からないだろう。

最高速度で砂漠を駆け抜ける、。
半分の距離を駆け抜けた所で待ち構えたかの様に前方の地面が盛り上り、強化されて赤黒い皮膚に覆われた巨大なディワームが2匹立ちふさがる。

なーにが絶滅危惧種だ!
労働組合ギルドの常連はホラ吹きばかりか!
普通に居るじゃないか、まったく適当な噂を流して迷惑な。

「シノブ殿達は先に行くでござる!ここは拙者が引き受ける!」

嬉々とした表情でサクラがティオネムから飛び降りる。
試し切りに最適な巨大な肉の塊に見えてるんじゃ無いだろうか・・・

サクラの乗っていたティオネムはディワームに恐怖し早々に街に向けて逃亡してしまった。
基本飼い主の場所に戻る様に教育されているので無事に帰れるとは思う。

クリス君もスピードを落としディワームから距離の有る所に待機する。

「シノブさん、私がサクラ様を乗せて追いつきますのでシャルさんと先に行ってください!」

「分かった!よろしく!行こうシャル!」

「了解!」

私はスピードを上げる様に手綱を打ち、目的地に向かう。
どうせ一瞬で細切れにして直ぐに追い着いて来るはずだ。

砂漠の目的地に向けてひた走る。
前方で大規模な戦闘が行われているのが見え始める。

村とは呼べない程の小さな集落跡が戦闘の中心になっている様で多数の冒険者に混じりミカさん達の姿も見えた。

近くまで来た私達はティオネムを降り戦闘準備をする。
以前買った砂漠用の靴を装備し動き易くなった私は縮地を使いレイドクエストに颯爽と参加する。

巨大モンスター数は残り12体。
完全に黒い色に変色した金属の様な皮膚の巨大ディワームが4匹と同じく黒い甲殻の巨大蠍が6匹、ピトゥリア国を襲った人型モンスターのクロムベーダにそっくりなモンスターが2体だ。

「シノブ!来たのか、武器はどうなった?サクラとは会えたのか?」

「うん、成功したよ!超強そうな武器が出来た!もうすぐサクラも追いつくよ!」

「やりましたね!流石はシノブ!・・・おや、シャルか?」

「咲耶さん、皆さんお久しぶりです!」

シャルが色違いクロムベーダの顔に飛び付き両目を自身の鍵爪で切り裂き視界を完全に奪う。

金切声に似た叫び声を上げたクロムベーダの首筋に新しく手に入れた黒い妖気を纏った【無名の刀】で思いっきり斬り上げる。
まるでプリンにスプーンを当てた様な感覚で相手の首を両断する。

「なっ!?」

不気味な見た目と怪しげな妖気を放つ見た目とは裏腹に武器としての攻撃力は見込めないと思っていた。

感覚でしか無いが攻撃力自体は主力武器メインウエポンの【五月雨さみだれ】よりも低い様に思っていたが、それは私の目測違いだった。
この刀は凄い斬れ味だ。
しかも特殊技能スキルを使っていないのにSPを大量に消費したのが分かる。

クロムベーダの首筋はテクスチャが乱れる様なエフェクトと共に「ジジッ」と言う音を鳴らしながら切り口から体が消え去る様に消滅する。

私は余りに威力に・・・と言うか何が起きたか分からずに驚愕し唖然とする。
目の前で見ていたシャルも前進の毛を一瞬逆立てる程驚いていた。

「シノブ、何その怪しい武器は!?」

「凄い・・・何か・・・まるでデータごと消滅させた様な・・・怖っ!」

使用した自分でさえ恐怖する。
本当にバグ武器みたいな物だろうか?

斬った感覚がまるで無く、添えて押し込んだ瞬間に相手のプログラムデータを消去した様な感覚だった。

これはアレだ。
都市伝説に有ったデバック用の武器の様な感じじゃないか。

この武器使ってて大丈夫だろうか、?
フィールド自体を消滅させたりしないだろうか。

少し怖くなり鞘に納めアイテムストレージにそっとしまい込む。

これはロイロ検証してからじゃないと危険な香りがする。
私は【五月雨さみだれ】と【村雨むらさめ】に装備し直し、シャルともう1匹のクロムベーダを難無く殲滅する。

「皆!待たせたでござるな!真打登場でござる!」

少し後方から追い付いて来たサクラがクリス君のティオネムに2人乗りでやって来た。
流石に2人乗せたティオネムは速度が落ちており、多少バテている様に見える。

なんか気の毒に・・・
ティオネムから颯爽とジャンプして空中で【しん童子切安綱どうじぎりやすつな】を構え、硬い甲殻で覆われた大蠍を七色に光る刀の軌跡を残しながら縦薙ぎでいとも簡単に両断する。

周囲で戦っていた冒険者が驚きの歓声を上げる。
その時のサクラの顔は世界一のドヤ顔に見えたのは私だけだろうか。

それにしても確かに凄い威力だ。
単純な攻撃力なら最強に近いミカさんの剣よりも強いかも知れない。

その後も調子に乗ったサクラの快進撃は続き、難無く緊急レイドクエストを終了させた。

DOSドスと咲耶の足取りを追ってコダ国へ来て合流出来たのだが、転送装置が機動出来なくて戻れなくなったのです。4人で途方に暮れていたんだが近くの集落にモンスターの集団が発生したと情報が入り駆け付けた訳だ。しかし間に合わず、この有様だ。」

この場所に存在していたであろう集落は既に形をなしておらず誰1人救えなかったと言っていた。

こんな小さい集落までも破壊するなんて、魔人ヨグトスは本当に全ての人間を殺すつもりらしい。

「それにしても・・・サクラ、凄い武器ですね。」

「くっ・・・我がもっと食い下がるべきだった。」

咲耶と暗黒神ハーデスハーちゃんが新しい刀の威力を見て羨ましさが増したのか、刀にしがみ付き再加工させろと言っていた。
1度しか加工出来ないのを知っているから完全に嫉妬から来る冗談だろう。

ニヤニヤしながら「駄目!あげないでござる!」とジャレ有っている。

あいつら小学生男子か・・・まったく。
シャルと呆れた表情で3人を眺めているとDOSどっちゃんが歩いて来て小声で話す。

「シノブ、さっきの武器・・・。」

どうやら例の【無名の刀】で攻撃した所をDOSどっちゃんに見られていた様で、明らかに変な威力を懸念したのだろう。

サクラが目立ってくれていたおかげで、私の刀の事に気が付いたのはDOSどっちゃんだけだった様子だ。

先程の状況をDOSどっちゃんに話すと私と同じ考えを持った様で一応封印しておこうと言う話になった。
後で皆にも報告をして暗黒神ハーデスハーちゃんにも確認して貰った方が良いかも知れない。

レイドクエストでドロップしたアイテムは全て同行していた冒険者に譲った。
現在冒険資金には困っていないし冒険者達はアイテムストレージが無いにも関わらず大喜びをしている様なので良かった。

その後私達は暑い気温な中、徒歩でコダ国へと帰還した。
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