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異世界崩壊編 前編
169話 呪いのアイテム
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全ての「色」が戻る様に、止まっていた時間が動き出す。
私の意識はそのままに、身体の力が抜けた様に謎のアイテムを落しその場にへたり込み呆然とする。
「・・・! シノブ!?」
「シノブ殿!どうしたでござるか!?」
いち早く咲耶とサクラが気付き駆け寄る。
暫く呆然とした後にゆっくり深呼吸をする。
空が赤く変容した世界でも草原の風は優しい自然な香りを孕みながら肺を満たし心を落ち着かせる。
皆にとっては転送直後なのだろうか?
私は体感で30分程度、停止した時間の中で破壊神アザドゥと話をしていた。
「あのね、信じれないかも知れないけど・・・いや、私も信じれて無いんだけど。皆に聞いて欲しい。」
私は今起こった非現実的な事象と、破壊神アザドゥが語ったこの世界の在り様と現実世界の私達を状況を伝えた。
頭が良ろしくない私は低い伝達能力を駆使してなるべく丁寧に説明したつもりだ。
話が横道に逸れたり順序がズレたりと苦戦するが、DOSが話を聞きながら上手に質問によるフォローを入れて文章を繋げてくれた。
「謎の老婆が盲目・白痴の神、万物の創造主アザトースをモチーフにした破壊神アザドゥですか、私もその老婆に会って見たかったです。しかし、シノブ良く考えてみてください。私達の目的自体は変わらないですよ。」
「確かにな。ヨグトスを倒すのは当初の目的通りだからな。」
咲耶とDOSは私の荒唐無稽な話を聞いて尚、驚く事無く平然と答える。
皆も特に疑う事も無く私の話を信じてくれた。
・・・確かに私達の進むべき方向性は変わる事は無い。
「この世界は結局消えて無くなるのですか、救えないのは残念ですね。」
「ゲームはいつか終わる物でござるよ。いろんなプレイヤーから糞ゲーと言われながらも、最後の最後にこれだけ楽しめたゲームは初めてだったでござるよ。」
ミカさんとサクラが少し寂しげな表情をしながら話す。
確かに世間一般ではサービス開始時に「神ゲー」と呼ばれサービス終了付近では「糞ゲー」と呼ばれていた。
でも私達はこのゲームが好きで続けて来たのは事実だ。
そしてオンラインゲームはいつか必ずサービス終了する日が必ず来る。
それはゲームの根本的な物が時代の技術に合わなくなったり、プレイヤーの人数が減り維持費や最低運営資金が損益分岐点と合わなくなったりと要因は様々だと思う。
このリアルな世界が消えるのも仕方が無いい事なのか。
せめてそれが殺戮や破壊では無い様に出来れば、まだ救いが有るのかも知れない。
「シノブ、そんな顔するな。次元上昇は興味深いが、神を自称するAI風情を倒し元の世界へ帰還するだけだ。我が内緒で【エミュ鯖】を造ってやるさ。」
「エミュ鯖って何?」
エミュ鯖とは「エミュレーターサーバー」の造語で、主にコピーしたオンラインゲームデータを稼働させるサーバーの事らしい。
解析し違法コピーした物も有る様だ。
そんな事が出来るのか凄いな。
エミュ鯖の話を聞いて皆が盛り上がる。
違法と言う言葉が気になるが大丈夫なのか?
要は、サービス終了後でもゲームが継続出来る様にしてくれるらしい。
そんな事も出来るのか。
「もしあのお婆さんの話が本当なら、皆をこの異世界に巻き込んだのは私みたいです。本当にごめんなさい。」
私は皆に深々と頭を下げる。
私が無意識に超能力を使い皆をこの異世界に引き込んだ張本人らしい。
私の身勝手な感情で皆を危険な目に合わせているのは間違いない。
「私はこの世界が割と好きですよ。このミカエルの体も。」
「ああ、貴重な経験だ。」
「シノブ殿、な~に言ってるでござるか!拙者は楽しいでござるよ。」
「私も人生の中で1番ドキドキしているかも知れません。」
「ああ、知的好奇心を掻き立てる体験だな。」
皆が笑顔で口々に私を元気付ける言葉をくれる。
むしろ現実や元のゲームよりも楽しい経験が出来た事を語り私を励ましてくれた。
その言葉を聞いて少しだけ心が温かくなる。
「それよりシノブ殿。その地面に落ちているアイテムは何でござるか?」
「これはアニマ国の遺跡で拾った謎のアイテムを老婆が鉱石に変えてくれたんだ。これで武器を造ればヨグトスを倒せると話していたよ。」
私は先程落とした怪しげに光る謎の鉱石を改めて手に取る。
以前何個か拾った用途不明のアイテムが20×10×10センチサイズの黒いインゴットに変化していた。
黒いインゴットなのに強烈な白い光を放ち、刻まれた文字が青く発光していた。
以前は読めなかった刻まれた文字は日本語で書かれており、「〇〇シネ」とか「〇〇ツカエネー」とか「〇〇ヤメロ」等の他者に対する怨念や怨恨、愚痴みたいな物が多数刻まれていた。
すげー不気味なアイテムだ。
「ちょっと貸してくれ。この名前は・・・。」
暗黒神ハーデスがそのアイテムを手に取り、〇〇の部分が元制作チームのメンバーの名前だと話していた。
どうやら制作スタッフの愚痴が刻まれたアイテムらしい。
そんな不気味なアイテムで武器造ったら呪われたりするんじゃ無いだろうか。
いや強い呪いの力で倒すと言う事なんだろうか?それなら強いかも知れないが。
「それより、どうしますか?今の話を聞く限りレッドドラゴンより先にギュノス国で、そのインゴットを加工して貰うのが優先した方が良さそうですね。」
「ギュノス国はマザーブレインによって再度鎖国状態になっている可能性があるな。」
そうかゲームの展開の再来だ。
結局イベントを後回しにしただけで倒さなければならないボスだったと言う感じなのか。
都市内部に閉じ込められた人々は無事なんだろうか。
「そうですね。順序が変わりますが、ギュノス国へ向かいましょう。ミッション目標は伝説の鍛冶士ジルナークの救出及び、マザーブレインの破壊です。」
ミカさんの指揮の基、急遽攻略先が機械都市ギュノス国に変更になった。
「アルテナの街は大丈夫かな。」
「唯一防衛力が低いままの街でござるからな、少年探偵団の子供達も避難していれば良いでござるがな。」
私達は今着いたばかりのオスロウ国西部アルテナ草原の転送装置を起動させて、改めて機械都市ギュノス国へと瞬間移動した。
私の意識はそのままに、身体の力が抜けた様に謎のアイテムを落しその場にへたり込み呆然とする。
「・・・! シノブ!?」
「シノブ殿!どうしたでござるか!?」
いち早く咲耶とサクラが気付き駆け寄る。
暫く呆然とした後にゆっくり深呼吸をする。
空が赤く変容した世界でも草原の風は優しい自然な香りを孕みながら肺を満たし心を落ち着かせる。
皆にとっては転送直後なのだろうか?
私は体感で30分程度、停止した時間の中で破壊神アザドゥと話をしていた。
「あのね、信じれないかも知れないけど・・・いや、私も信じれて無いんだけど。皆に聞いて欲しい。」
私は今起こった非現実的な事象と、破壊神アザドゥが語ったこの世界の在り様と現実世界の私達を状況を伝えた。
頭が良ろしくない私は低い伝達能力を駆使してなるべく丁寧に説明したつもりだ。
話が横道に逸れたり順序がズレたりと苦戦するが、DOSが話を聞きながら上手に質問によるフォローを入れて文章を繋げてくれた。
「謎の老婆が盲目・白痴の神、万物の創造主アザトースをモチーフにした破壊神アザドゥですか、私もその老婆に会って見たかったです。しかし、シノブ良く考えてみてください。私達の目的自体は変わらないですよ。」
「確かにな。ヨグトスを倒すのは当初の目的通りだからな。」
咲耶とDOSは私の荒唐無稽な話を聞いて尚、驚く事無く平然と答える。
皆も特に疑う事も無く私の話を信じてくれた。
・・・確かに私達の進むべき方向性は変わる事は無い。
「この世界は結局消えて無くなるのですか、救えないのは残念ですね。」
「ゲームはいつか終わる物でござるよ。いろんなプレイヤーから糞ゲーと言われながらも、最後の最後にこれだけ楽しめたゲームは初めてだったでござるよ。」
ミカさんとサクラが少し寂しげな表情をしながら話す。
確かに世間一般ではサービス開始時に「神ゲー」と呼ばれサービス終了付近では「糞ゲー」と呼ばれていた。
でも私達はこのゲームが好きで続けて来たのは事実だ。
そしてオンラインゲームはいつか必ずサービス終了する日が必ず来る。
それはゲームの根本的な物が時代の技術に合わなくなったり、プレイヤーの人数が減り維持費や最低運営資金が損益分岐点と合わなくなったりと要因は様々だと思う。
このリアルな世界が消えるのも仕方が無いい事なのか。
せめてそれが殺戮や破壊では無い様に出来れば、まだ救いが有るのかも知れない。
「シノブ、そんな顔するな。次元上昇は興味深いが、神を自称するAI風情を倒し元の世界へ帰還するだけだ。我が内緒で【エミュ鯖】を造ってやるさ。」
「エミュ鯖って何?」
エミュ鯖とは「エミュレーターサーバー」の造語で、主にコピーしたオンラインゲームデータを稼働させるサーバーの事らしい。
解析し違法コピーした物も有る様だ。
そんな事が出来るのか凄いな。
エミュ鯖の話を聞いて皆が盛り上がる。
違法と言う言葉が気になるが大丈夫なのか?
要は、サービス終了後でもゲームが継続出来る様にしてくれるらしい。
そんな事も出来るのか。
「もしあのお婆さんの話が本当なら、皆をこの異世界に巻き込んだのは私みたいです。本当にごめんなさい。」
私は皆に深々と頭を下げる。
私が無意識に超能力を使い皆をこの異世界に引き込んだ張本人らしい。
私の身勝手な感情で皆を危険な目に合わせているのは間違いない。
「私はこの世界が割と好きですよ。このミカエルの体も。」
「ああ、貴重な経験だ。」
「シノブ殿、な~に言ってるでござるか!拙者は楽しいでござるよ。」
「私も人生の中で1番ドキドキしているかも知れません。」
「ああ、知的好奇心を掻き立てる体験だな。」
皆が笑顔で口々に私を元気付ける言葉をくれる。
むしろ現実や元のゲームよりも楽しい経験が出来た事を語り私を励ましてくれた。
その言葉を聞いて少しだけ心が温かくなる。
「それよりシノブ殿。その地面に落ちているアイテムは何でござるか?」
「これはアニマ国の遺跡で拾った謎のアイテムを老婆が鉱石に変えてくれたんだ。これで武器を造ればヨグトスを倒せると話していたよ。」
私は先程落とした怪しげに光る謎の鉱石を改めて手に取る。
以前何個か拾った用途不明のアイテムが20×10×10センチサイズの黒いインゴットに変化していた。
黒いインゴットなのに強烈な白い光を放ち、刻まれた文字が青く発光していた。
以前は読めなかった刻まれた文字は日本語で書かれており、「〇〇シネ」とか「〇〇ツカエネー」とか「〇〇ヤメロ」等の他者に対する怨念や怨恨、愚痴みたいな物が多数刻まれていた。
すげー不気味なアイテムだ。
「ちょっと貸してくれ。この名前は・・・。」
暗黒神ハーデスがそのアイテムを手に取り、〇〇の部分が元制作チームのメンバーの名前だと話していた。
どうやら制作スタッフの愚痴が刻まれたアイテムらしい。
そんな不気味なアイテムで武器造ったら呪われたりするんじゃ無いだろうか。
いや強い呪いの力で倒すと言う事なんだろうか?それなら強いかも知れないが。
「それより、どうしますか?今の話を聞く限りレッドドラゴンより先にギュノス国で、そのインゴットを加工して貰うのが優先した方が良さそうですね。」
「ギュノス国はマザーブレインによって再度鎖国状態になっている可能性があるな。」
そうかゲームの展開の再来だ。
結局イベントを後回しにしただけで倒さなければならないボスだったと言う感じなのか。
都市内部に閉じ込められた人々は無事なんだろうか。
「そうですね。順序が変わりますが、ギュノス国へ向かいましょう。ミッション目標は伝説の鍛冶士ジルナークの救出及び、マザーブレインの破壊です。」
ミカさんの指揮の基、急遽攻略先が機械都市ギュノス国に変更になった。
「アルテナの街は大丈夫かな。」
「唯一防衛力が低いままの街でござるからな、少年探偵団の子供達も避難していれば良いでござるがな。」
私達は今着いたばかりのオスロウ国西部アルテナ草原の転送装置を起動させて、改めて機械都市ギュノス国へと瞬間移動した。
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