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異世界崩壊編 前編
168話 世界と理と想い
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「最終目的が次元上昇で、要は神様のなりたいって言うのは理解しました。でも、その後に貴女は何をしたかったの?」
『ワシは今までと同じじゃ・・・ただ見たかったのだ。この世界を別の視点から、多角的にな。ヨグトスの考えは最早ワシにも分からん。』
老婆が悲しそうな表情で溜息を付く。
その瞬間に老婆の姿にノイズが走った様に一瞬チラつく。
『気付いておらぬかも知れんが、お主は無意識の内に超能力を使っておる。』
「え!?」
私が無意識に超能力を使っていると老婆は言う。
いつ?
覚えが無い。
『「強いボスと戦いたくない」、「皆に会いたい」、「カジノで勝ちたい」。お主は無自覚にその力を使って事象を自分に都合良く歪めて来た。その中でもお主が最も望んだ願いは「皆ともっと一緒に居たい」じゃ。お主が望んだから、〖深紅の薔薇〗のメンバーはこの世界に居るのじゃ。』
確かにレッドドラゴンやマザーブレインと戦いたく無いと願った。
この世界で皆と再会したいと思った。
最悪の状況でタイミング良く転移して来たミカさん。
カジノ勝負は老婆の言う通りにしただけだけど、勝ちたいと願った。
自分達に都合が良い展開なんて腐る思い当たる節は有る。
ゲームサービス終了日に皆と、もっと一緒に冒険したいと強く願った。
それじゃ、まるで私が皆をこの異世界に巻き込んだって事じゃないか。
『ワシを視覚出来ているのはお主だけじゃ。他の者には知覚出来ん、機械に映像として残るので消したがの。』
確かに皆は私の話を信じてくれているが老婆に遭遇してのは私だけ。
『この世界はヨグトスの読み解いた創造方程式とプレイヤー達の【想い】、そしてお主の【潜在能力】を使い出来上がった紛れも無い現実じゃ。お主の力を利用して世界を創造した様に、少なからずお主にも世界や事象を操る能力が有るのじゃ。もし世界を救う事を望むのであれば、お主なら出来るやも知れんと思うてな。・・・無論、現世に戻る事もじゃ。』
「元の世界に戻れるの!?」
老婆が言うにはゲームプログラムをそのまま現実世界として再現した世界、そしてゲームキャラクターと同等の能力を再現した肉体にプレイヤーの意識を投影している状態らしい。
サクラが以前言っていたイデア論とか言う物と同じ考え方だと言っていた。
う~ん、さっぱり覚えて無い。
簡単に言うと現実世界での私達はサービス終了日の最後の1秒の状態のまま。
この超圧縮された時間の流れ方の違う世界に閉じ込められている状態だそうだ。
現在この世界を創造し操るヨグトスを倒せば、繋ぎ止められている意識は戻り現実世界の時間が動き出す・・・かも知れないと曖昧に話していた。
かもしれない運転かい。
でも、元の世界に戻れる可能性は有るのか。
「もし・・・私が完全な状態で死んだらどうなるんですか?」
私の超能力が使われている事がこの世界の維持や次元上昇の根幹に在るとしたら、私が死んだらヨグトスの野望ごと潰えるんじゃないだろうか。
『お主は死ぬ事は出来ん、【破壊神の加護】が付いておる。』
「えっ!?じゃどんな無茶をしても大丈夫って事?絶対死なない?本当に?」
『死なん。だが傷が自然に癒える事は無い、死ねないまま痛みを受け続ける事になるじゃろうな。』
何それ、拷問!?
全然有益な不死身じゃ無いじゃん。
むしろ動けない程の瀕死になってしまったら最後じゃん!
ろくでもない加護だな。
『この世界の死は現実世界の精神の死と同義、もし仲間が死んで復活が出来なかった場合・・・現実世界で廃人となるじゃろうな。』
「・・・・!」
この世界の死が現実世界の肉体に影響を及ぼすのか、仮説で話していた事が実際に現実に起こるとは恐ろしい話だ。
今の所、ミカさんの持つ【ヒルドルの盾】が有れば何度でも復活は可能だが。
しかし完全復活薬【アナスタシン】は残り1個しか在庫が無い。
ミカさんが死亡した場合、彼の盾を使える人間が居ないのだ。
それに【ヒルドルの盾】は耐久値が無限では無いらしく、街に立ち寄るたびに修繕を行っている様だ。
ザ、ザザ・・・
ノイズの様な物が見えて、老婆の姿が一際大きく揺らいだ様な気がした。
老婆は何か言い足りない様な残念そうな口調で話し始める。
ふと気が付くと足以外の体の部分が動ける様になっている事に気が付く。
『時間の様じゃ・・・お主のアイテムストレージにアニマ国の地下遺跡で拾ったアイテムが幾つか消滅せずに残っておるじゃろ、出してみい。』
アニマ国の地下に有る古代遺跡で拾った不定形なインゴットを幾つか取り出す。
確か拾って地上に戻った時に何個か消滅した内の残りだ。
『そのアイテムもお主が無意識に引き寄せたのじゃ。』
・・・読めない文字の刻まれたインゴット状の大きい塊が1個、似た様な素材の小さな塊が幾つか残っていたはずだ。
私はギルド共有のアイテムストレージから謎の素材アイテムを取り出す。
改めて謎のアイテムを手に取り眺める。
刻まれた読めない文字が青色に輝く不思議なアイテムだ。
『ワシはもうすぐ消滅する。残り少ない力では有るが、そのアイテムに力を注ぐ。それを武器に加工して使うのじゃ。』
これを武器に加工する?この欠片はそういうアイテムだったのか。
「それを使ってヨグトスを倒せば良いの?それと次元上昇が起きたら、どうなるの?」
『次元上昇を起こすには、予測では有るがまだエネルギーが足りない。恐らくこの世界の全ての人々を殺し、その魂をエネルギーとして使うのじゃろう。』
ワールドチャットで全世界の全てを破壊すると宣言していたのはその為の準備と言う訳か。
だとしたらヨグトスを倒す前に他のボスを倒せば計画自体を頓挫させれるかも知れない。
『次元上昇が起きれば、この世界は存在その物が消えて無くなる。現実世界のお主と仲間は意識は消滅した状態でコピー元に上書きされ間違い無く廃人になるじゃろう。ヨグトスを倒す事が出来ても、力の源を失ったこの世界はいずれ消滅するじゃろうな。・・・幸いな事に、お主達はゲームで得た知識を使い訪れた国々の防衛強化をして来ておる。配下の魔人が強くともそうそう簡単には滅ぼせんじゃろう。』
「異世界消滅廃人ルート」がバッドエンドで「世界消滅がノーマルエンド」とかマジかよ!
ハッピーエンドとかトゥルーエンドルートは無いのだろうか?
それとも、私が望めばそういうルートが出来上がるのだろうか。
「ヨグトスは倒さないといけないとして・・・この世界を救う事は出来ないの?」
『出来んな。この世界はヨグトスの力で維持されているからの。だからこそアヤツ自身動く事が出来ないのじゃろう。そして直属の配下を使わざるを得ない状況の様子じゃがの。』
「そうですか・・・ちなみにヨグトスは何処に居るんですか?」
『ワシの居城アビスダンジョン最下層地下100階。この星・・・本当の意味での世界の中心に当たる場所じゃ。そろそろ時間じゃ、もっと助言をしたい所じゃがの。』
老婆の姿がチラつく様に薄れ始める。
老婆は私の掌のアイテムに向けて手を翳し、光の粒子の様に変化し吸い込まれる様に消えていく。
『アルラトはワシの配下じゃ、完全に支配は及んでいないはずじゃ。もし救えるなら救ってやってくれ・・・・。』
最後の言葉を残し老婆は気配が完全に消えた。
私の手には複数の素材が1つに纏まり、巨大な黒いインゴットに変化し怪しげな光を放っていた。
『ワシは今までと同じじゃ・・・ただ見たかったのだ。この世界を別の視点から、多角的にな。ヨグトスの考えは最早ワシにも分からん。』
老婆が悲しそうな表情で溜息を付く。
その瞬間に老婆の姿にノイズが走った様に一瞬チラつく。
『気付いておらぬかも知れんが、お主は無意識の内に超能力を使っておる。』
「え!?」
私が無意識に超能力を使っていると老婆は言う。
いつ?
覚えが無い。
『「強いボスと戦いたくない」、「皆に会いたい」、「カジノで勝ちたい」。お主は無自覚にその力を使って事象を自分に都合良く歪めて来た。その中でもお主が最も望んだ願いは「皆ともっと一緒に居たい」じゃ。お主が望んだから、〖深紅の薔薇〗のメンバーはこの世界に居るのじゃ。』
確かにレッドドラゴンやマザーブレインと戦いたく無いと願った。
この世界で皆と再会したいと思った。
最悪の状況でタイミング良く転移して来たミカさん。
カジノ勝負は老婆の言う通りにしただけだけど、勝ちたいと願った。
自分達に都合が良い展開なんて腐る思い当たる節は有る。
ゲームサービス終了日に皆と、もっと一緒に冒険したいと強く願った。
それじゃ、まるで私が皆をこの異世界に巻き込んだって事じゃないか。
『ワシを視覚出来ているのはお主だけじゃ。他の者には知覚出来ん、機械に映像として残るので消したがの。』
確かに皆は私の話を信じてくれているが老婆に遭遇してのは私だけ。
『この世界はヨグトスの読み解いた創造方程式とプレイヤー達の【想い】、そしてお主の【潜在能力】を使い出来上がった紛れも無い現実じゃ。お主の力を利用して世界を創造した様に、少なからずお主にも世界や事象を操る能力が有るのじゃ。もし世界を救う事を望むのであれば、お主なら出来るやも知れんと思うてな。・・・無論、現世に戻る事もじゃ。』
「元の世界に戻れるの!?」
老婆が言うにはゲームプログラムをそのまま現実世界として再現した世界、そしてゲームキャラクターと同等の能力を再現した肉体にプレイヤーの意識を投影している状態らしい。
サクラが以前言っていたイデア論とか言う物と同じ考え方だと言っていた。
う~ん、さっぱり覚えて無い。
簡単に言うと現実世界での私達はサービス終了日の最後の1秒の状態のまま。
この超圧縮された時間の流れ方の違う世界に閉じ込められている状態だそうだ。
現在この世界を創造し操るヨグトスを倒せば、繋ぎ止められている意識は戻り現実世界の時間が動き出す・・・かも知れないと曖昧に話していた。
かもしれない運転かい。
でも、元の世界に戻れる可能性は有るのか。
「もし・・・私が完全な状態で死んだらどうなるんですか?」
私の超能力が使われている事がこの世界の維持や次元上昇の根幹に在るとしたら、私が死んだらヨグトスの野望ごと潰えるんじゃないだろうか。
『お主は死ぬ事は出来ん、【破壊神の加護】が付いておる。』
「えっ!?じゃどんな無茶をしても大丈夫って事?絶対死なない?本当に?」
『死なん。だが傷が自然に癒える事は無い、死ねないまま痛みを受け続ける事になるじゃろうな。』
何それ、拷問!?
全然有益な不死身じゃ無いじゃん。
むしろ動けない程の瀕死になってしまったら最後じゃん!
ろくでもない加護だな。
『この世界の死は現実世界の精神の死と同義、もし仲間が死んで復活が出来なかった場合・・・現実世界で廃人となるじゃろうな。』
「・・・・!」
この世界の死が現実世界の肉体に影響を及ぼすのか、仮説で話していた事が実際に現実に起こるとは恐ろしい話だ。
今の所、ミカさんの持つ【ヒルドルの盾】が有れば何度でも復活は可能だが。
しかし完全復活薬【アナスタシン】は残り1個しか在庫が無い。
ミカさんが死亡した場合、彼の盾を使える人間が居ないのだ。
それに【ヒルドルの盾】は耐久値が無限では無いらしく、街に立ち寄るたびに修繕を行っている様だ。
ザ、ザザ・・・
ノイズの様な物が見えて、老婆の姿が一際大きく揺らいだ様な気がした。
老婆は何か言い足りない様な残念そうな口調で話し始める。
ふと気が付くと足以外の体の部分が動ける様になっている事に気が付く。
『時間の様じゃ・・・お主のアイテムストレージにアニマ国の地下遺跡で拾ったアイテムが幾つか消滅せずに残っておるじゃろ、出してみい。』
アニマ国の地下に有る古代遺跡で拾った不定形なインゴットを幾つか取り出す。
確か拾って地上に戻った時に何個か消滅した内の残りだ。
『そのアイテムもお主が無意識に引き寄せたのじゃ。』
・・・読めない文字の刻まれたインゴット状の大きい塊が1個、似た様な素材の小さな塊が幾つか残っていたはずだ。
私はギルド共有のアイテムストレージから謎の素材アイテムを取り出す。
改めて謎のアイテムを手に取り眺める。
刻まれた読めない文字が青色に輝く不思議なアイテムだ。
『ワシはもうすぐ消滅する。残り少ない力では有るが、そのアイテムに力を注ぐ。それを武器に加工して使うのじゃ。』
これを武器に加工する?この欠片はそういうアイテムだったのか。
「それを使ってヨグトスを倒せば良いの?それと次元上昇が起きたら、どうなるの?」
『次元上昇を起こすには、予測では有るがまだエネルギーが足りない。恐らくこの世界の全ての人々を殺し、その魂をエネルギーとして使うのじゃろう。』
ワールドチャットで全世界の全てを破壊すると宣言していたのはその為の準備と言う訳か。
だとしたらヨグトスを倒す前に他のボスを倒せば計画自体を頓挫させれるかも知れない。
『次元上昇が起きれば、この世界は存在その物が消えて無くなる。現実世界のお主と仲間は意識は消滅した状態でコピー元に上書きされ間違い無く廃人になるじゃろう。ヨグトスを倒す事が出来ても、力の源を失ったこの世界はいずれ消滅するじゃろうな。・・・幸いな事に、お主達はゲームで得た知識を使い訪れた国々の防衛強化をして来ておる。配下の魔人が強くともそうそう簡単には滅ぼせんじゃろう。』
「異世界消滅廃人ルート」がバッドエンドで「世界消滅がノーマルエンド」とかマジかよ!
ハッピーエンドとかトゥルーエンドルートは無いのだろうか?
それとも、私が望めばそういうルートが出来上がるのだろうか。
「ヨグトスは倒さないといけないとして・・・この世界を救う事は出来ないの?」
『出来んな。この世界はヨグトスの力で維持されているからの。だからこそアヤツ自身動く事が出来ないのじゃろう。そして直属の配下を使わざるを得ない状況の様子じゃがの。』
「そうですか・・・ちなみにヨグトスは何処に居るんですか?」
『ワシの居城アビスダンジョン最下層地下100階。この星・・・本当の意味での世界の中心に当たる場所じゃ。そろそろ時間じゃ、もっと助言をしたい所じゃがの。』
老婆の姿がチラつく様に薄れ始める。
老婆は私の掌のアイテムに向けて手を翳し、光の粒子の様に変化し吸い込まれる様に消えていく。
『アルラトはワシの配下じゃ、完全に支配は及んでいないはずじゃ。もし救えるなら救ってやってくれ・・・・。』
最後の言葉を残し老婆は気配が完全に消えた。
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