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百鬼夜行編
155話 四将軍
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その日の午後には緘口令が敷かれ、秘密裏に領地を管理する4人の将軍がホウシェン城に召集される。
「深紅の薔薇」のメンバーも全員を城に呼び出し緊急会議に参加する事となる。
東エリアを管理する「コウボウ」将軍。
全身を蒼く煌めく鎧に身を包み、その全身を黒い龍が取り巻いている様な鎧を身に着けている。
手には身の丈を越える巨大な槍を携え貫禄の有る姿をしていた。
細身で筋肉質な身体で何と言っても特徴の有る立派な眉毛が目立つ。
口調から性格は真面目一本といった雰囲気だ。
「お久しぶりです。ホワンロン様、コウボウ馳せ参じました。」
次に城を訪れたのは南エリアを管理する「シュメイ」将軍。
深紅の鎧に黄金の鳳凰が刻まれた軽鎧を身に着けている。
武器が見当たらないが彼の手を覆っているグローブは魔法職の装備品だ。
多分魔法に特化した人なのだろう。
年齢は若く20代後半と言った所だろうか、黒髪の長髪で美しい顔立ちをした女性だった。
「天帝様、シュメイ参りました。」
シュメイ将軍と同時に訪れたのは、西エリアを管理する「ジョクシュウ」将軍。
白銀の鎧に虎の様な黒い縞模様の入ったフルプレートメイルを装備している。
その背中にはサーベルの様な見た目の2本の巨剣を携えていた。
頭部の兜から長い銀髪が伸びていた。
フルプレートで全身を覆っているので明確な年齢は分からないが声質からして初老の男性の様に感じた。
「天帝陛下、ジョクシュウ参上仕った。」
最後に遅れて来たのが北エリアを管理する「ゲンメイ」将軍。
黒い重装甲鎧を身に纏い、そのものが武器となっている金色の拳が目立っていた。
将軍の中でも群を抜いて分厚い筋肉量を誇りタイプ的には天帝に似た脳筋っぽい人だ。
「遅れて申し訳ござらん!ゲンメイ、此処に!」
ホウシェン城の大広間に四代将軍と少数の筆頭警護侍が一堂に集まる。
この4人の風貌を見れば天帝ホワンロンの性格が反映しているのが良く分かる。
4人の将軍は全員が武闘派の様な雰囲気で傍に控える侍も屈強そうな見た目をしている。
恐らく天帝は「強さこそ全て」的な考えの人間なのだろう。
さっきから我々に対する刺さる様な鋭い視線が痛い。
冒険者の女性6人と1匹の黒猫が居て良い様な場所では無いからだ。
「天帝様、そこの女共は何者なのでしょうか?1人は指名手配されていた人物と似ておりますが?」
シュメイ将軍が訝しげな表情で天帝に質問する。
怪しい連中を見る感じの表情なのか同じ女性として嫉妬的な視線なのか微妙な線だと感じてしまう。
「ふふん、其処のサクラは余を倒した程の実力者だ。嫁に来いと口説いておる所だ!がっはっはっは!」
そして微妙な雰囲気が漂う部屋で、空気を読まないオッサンの発言が飛び出す。
豪快に笑う天帝と困った表情のシロウ、そして天帝の言葉を聞いて室内の将軍達が驚く。
そして般若の様な表情でサクラを睨むシュメイ将軍、・・・嫉妬の方だったか。
そして殺意の籠った眼光のサクラと、笑いを堪えている咲耶と暗黒神ハーデス。微妙に混沌な空気になり肝心の話し合いが進んで無い。
困った表情のシロウが立ち上がり咳払いをした後、状況の説明を始める。
まずは天帝の発言の詳細と私達の紹介が行われ、現在のホウシェン国の状況とミカさんが話した百鬼夜行の件を将軍達に伝えた。
ヤクザ屋と奴隷売買の話は敢えて濁し避けている様だった。
「百鬼夜行?200年以上前に起きた大火と飢饉の事であろう?大量の妖なぞ絵空事でしょう?それよりも天帝様、そこの女子の事を詳しく話して頂けないでしょうか?」
「落ち着けシュメイ将軍。その話は後でも良かろう。それよりも天帝陛下はその黒猫の予言とやらを信じていると・・・?手配していたそこの女侍の連れの妖だろう。」
シュメイ将軍とジョクシュウ将軍はシロウの話を完全否定する。
しかし天帝は不敵に笑い2人を一蹴する。
「ワシは信じてみるぞ。その方が面白そうだしな。がっはっは!!国を滅ぼす程の妖が出現するのであろう?そしてそれを退治しに来たと言う5人の美女と子供と猫1匹。これ程面白そうな事象は胸が躍るだろうが!」
やはりこの人ただの脳筋だ。
家臣が溜息をついて項垂れているのが分かる。
ミカさんが注意深く将軍の表情を伺っている。
そっか、この中に裏切者が居る可能性が有るからか。
しかし、天帝の発言を聞いて立場上反論出来無い将軍達は一様に微妙な表情をしていた。
ミカさんが手を上げて発言を進言する。
シロウが発言を許可し将軍達が注目をする。
「発言を失礼します。仮に百鬼夜行が史実だったと仮定して、大量の妖が封印されていそうな場所は御存知有りませんか?何らかの目印になる物が建造されている可能性が有りますが。」
「我が領土に在る玄武神社が候補として該当するな。あの建物は神像以外何も無い、それに未だ破壊されておらぬしな。」
北エリアのゲンメイ将軍が話す。
隣のサクラが「ああ、中央の城から丑寅の方角に玄武神社が在ったしな。」と小声で独り言を漏らす。
「丑寅って何?」と私も小声で尋ねる。
しかし天帝と周囲の将軍と侍が私が喋った事を聞き逃す事は無く、一斉に視線を集めてしまう。
「喋った!」「喋ったぞ!」
「やはり妖!」
「斬り捨てるか?」
「者共静まれぃ!・・・・本当に喋れるとは、げに珍妙だな。サクラ、話して見よ。」
天帝の一喝で口々に騒いでいた周囲の侍達が一斉に口を噤む。
珍妙とか言われ少し腹が立つ。
大体、アルラトは元の姿だし忍衆によって正体がバレてそうだから【黒猫スーツ】を着ている意味ないんだよな。
そう考えているとサクラが私の質問に対しての話を始めた。
「十二支は知っているでござろう?午前0時を「北」として「鼠」に当たる場所から時計回りに数えると「丑」「寅」は北東の方角を指して、其処が「鬼門」と呼ばれる場所に当たるでござる。鬼門って言うのは鬼の出入りする場所で忌地として伝えられてるでござるよ。で、その逆方に当たる「未」「申」が「裏鬼門」。裏鬼門は鬼が来る場所として同じく忌地として語られてるでござる。」
「なるほど・・・そう言う事ですか。あの、シロウさんでしたっけ?この国の地図は有りますか?」
「あ、ええ。今準備します。」
咲耶がシロウに頼み、街の地図を持って来て貰う。
ミカさんと咲耶とシロウが地図を眺めながら要所に印を付け足して行く。
各種神社は東西南北のエリアに存在するが真北や真南では無く、サクラの言う通り東北や南西の位置に建てられていた。
街の中央に私達が居るホウシェン城が有り、そこから円を描く様に将軍家の城と四神神社が配置されていた。
それを見て何か納得した様子で咲耶が話す。
「南エリア南西の場所に建てられていたのが建物ごと破壊された白虎神社。そして昨夜、神像のみが破壊された青龍神社と朱雀神社・・・つまり最後に残った玄武神社。そこに封印されている妖が解放されて白虎神社跡へと通り過ぎるのが百鬼夜行では無いでしょうか?」
咲耶が地図に朱色の筆で罰点と直線を1本引く。
そこは妖の通り道、百鬼夜行の発生経路を指す。
青龍神社と朱雀神社の建物が無傷だったのは壊す意味が無いからで、あくまでも封印装置で有る神像の破壊だけが目的。
白虎神社は裏鬼門解放の為に建造物ごと破壊する必要が有ったと。
そして最後の玄武神社は鬼門解放し百鬼夜行を起こす為に最後に建物ごと破壊する計画じゃないかと言う話だ。
ゲームと違い複雑な設定が追加されているんだなと思った。
何か法則に沿った理由付けの様な物を感じる。
「・・・つまり近日中に我が領土に在る玄武神社が破壊され、湧き出た妖の百鬼夜によりが街が滅びると言うのか?」
岩山の様に静かに押し黙って話を聞いていたゲンメイ将軍が口を開く。
明らかに私達を怪しんでいる。
その表情は険しいままだ。
その時に追加の伝令が入る。
四神神社の細かい被害状況と昨日街で起きた放火事件の情報が多数寄せられた。
青龍神社と朱雀神社の神像破壊した実行犯を思われる人物数名の遺体が敷地内で発見されたと言う報告が上がった。
手の甲に同一の刺青の入った人間種達で、死因は呪法による自死と書いて有るらしい。
街の火災件数は12件、一晩で起きた発生件数の中では最多と言う話だ。
「集団自決だと何の意味がある?」
伝令役の男が読み上げた書状にシロウが誰かに聞き返す様に独り言を呟く。
宗教的な意味を持つ行為なのか、生贄みたいな供物としての意味でも有るのだろうか?
「火災発生時間と位置を考えると、神社に侵入する為の陽動の可能性が高いですね。」
シロウが地図を指差しながら火災位置に印を付ける。
四神神社とは逆方向に位置する場所ばかりだ。
火災を起こし住民の注目を集めて、本来の目的である四神神社の破壊工作を行うって事か。
「百鬼夜行は早ければ今夜起きるかも知れませんね。まだ何か準備が必要なら集団自決等しないでしょうから。」
「ほぼ目的を達成したから死んだと言う事でござるか?」
「呪法なら殺されたって線も有りますけどね。」
殺されたのなら黒幕による口封じの可能性も出てくる。
作戦が採取段階に入り、不必要な実行犯を排除したと言った感じだろうか。
ミカさんは立ち上がり天帝と将軍の方を向いて百鬼夜行発生が予測されるルートの住民の避難と玄武神社の警護、そして南西の白虎神社跡の警護を進言する。
将軍達は半信半疑で不服そうな表情を浮かべていたが天帝がミカさんの話を信じると言い放ち、その場にいる全員が納得せざるを得ない状況となった。
「シノブの予言で見た未来予知では、最終的な戦火はこのホウシェン城になります。私達はこの城の防衛に参加させて頂きます。」
ゲームではこの城の防衛が勝利条件だった。
戦場は間違いなくこの城だ。
これだけは多分確定事項で良いはず。
そして天帝の指示の基、玄武神社とホウシェン城の警備強化が決定した。
私達「深紅の薔薇」は天帝軍とホウシェン城の警備。
北・西・東エリアの将軍と部隊は玄武神社の警護、南エリアは引き続きシュメイ将軍が警護をする事となった。
「深紅の薔薇」のメンバーも全員を城に呼び出し緊急会議に参加する事となる。
東エリアを管理する「コウボウ」将軍。
全身を蒼く煌めく鎧に身を包み、その全身を黒い龍が取り巻いている様な鎧を身に着けている。
手には身の丈を越える巨大な槍を携え貫禄の有る姿をしていた。
細身で筋肉質な身体で何と言っても特徴の有る立派な眉毛が目立つ。
口調から性格は真面目一本といった雰囲気だ。
「お久しぶりです。ホワンロン様、コウボウ馳せ参じました。」
次に城を訪れたのは南エリアを管理する「シュメイ」将軍。
深紅の鎧に黄金の鳳凰が刻まれた軽鎧を身に着けている。
武器が見当たらないが彼の手を覆っているグローブは魔法職の装備品だ。
多分魔法に特化した人なのだろう。
年齢は若く20代後半と言った所だろうか、黒髪の長髪で美しい顔立ちをした女性だった。
「天帝様、シュメイ参りました。」
シュメイ将軍と同時に訪れたのは、西エリアを管理する「ジョクシュウ」将軍。
白銀の鎧に虎の様な黒い縞模様の入ったフルプレートメイルを装備している。
その背中にはサーベルの様な見た目の2本の巨剣を携えていた。
頭部の兜から長い銀髪が伸びていた。
フルプレートで全身を覆っているので明確な年齢は分からないが声質からして初老の男性の様に感じた。
「天帝陛下、ジョクシュウ参上仕った。」
最後に遅れて来たのが北エリアを管理する「ゲンメイ」将軍。
黒い重装甲鎧を身に纏い、そのものが武器となっている金色の拳が目立っていた。
将軍の中でも群を抜いて分厚い筋肉量を誇りタイプ的には天帝に似た脳筋っぽい人だ。
「遅れて申し訳ござらん!ゲンメイ、此処に!」
ホウシェン城の大広間に四代将軍と少数の筆頭警護侍が一堂に集まる。
この4人の風貌を見れば天帝ホワンロンの性格が反映しているのが良く分かる。
4人の将軍は全員が武闘派の様な雰囲気で傍に控える侍も屈強そうな見た目をしている。
恐らく天帝は「強さこそ全て」的な考えの人間なのだろう。
さっきから我々に対する刺さる様な鋭い視線が痛い。
冒険者の女性6人と1匹の黒猫が居て良い様な場所では無いからだ。
「天帝様、そこの女共は何者なのでしょうか?1人は指名手配されていた人物と似ておりますが?」
シュメイ将軍が訝しげな表情で天帝に質問する。
怪しい連中を見る感じの表情なのか同じ女性として嫉妬的な視線なのか微妙な線だと感じてしまう。
「ふふん、其処のサクラは余を倒した程の実力者だ。嫁に来いと口説いておる所だ!がっはっはっは!」
そして微妙な雰囲気が漂う部屋で、空気を読まないオッサンの発言が飛び出す。
豪快に笑う天帝と困った表情のシロウ、そして天帝の言葉を聞いて室内の将軍達が驚く。
そして般若の様な表情でサクラを睨むシュメイ将軍、・・・嫉妬の方だったか。
そして殺意の籠った眼光のサクラと、笑いを堪えている咲耶と暗黒神ハーデス。微妙に混沌な空気になり肝心の話し合いが進んで無い。
困った表情のシロウが立ち上がり咳払いをした後、状況の説明を始める。
まずは天帝の発言の詳細と私達の紹介が行われ、現在のホウシェン国の状況とミカさんが話した百鬼夜行の件を将軍達に伝えた。
ヤクザ屋と奴隷売買の話は敢えて濁し避けている様だった。
「百鬼夜行?200年以上前に起きた大火と飢饉の事であろう?大量の妖なぞ絵空事でしょう?それよりも天帝様、そこの女子の事を詳しく話して頂けないでしょうか?」
「落ち着けシュメイ将軍。その話は後でも良かろう。それよりも天帝陛下はその黒猫の予言とやらを信じていると・・・?手配していたそこの女侍の連れの妖だろう。」
シュメイ将軍とジョクシュウ将軍はシロウの話を完全否定する。
しかし天帝は不敵に笑い2人を一蹴する。
「ワシは信じてみるぞ。その方が面白そうだしな。がっはっは!!国を滅ぼす程の妖が出現するのであろう?そしてそれを退治しに来たと言う5人の美女と子供と猫1匹。これ程面白そうな事象は胸が躍るだろうが!」
やはりこの人ただの脳筋だ。
家臣が溜息をついて項垂れているのが分かる。
ミカさんが注意深く将軍の表情を伺っている。
そっか、この中に裏切者が居る可能性が有るからか。
しかし、天帝の発言を聞いて立場上反論出来無い将軍達は一様に微妙な表情をしていた。
ミカさんが手を上げて発言を進言する。
シロウが発言を許可し将軍達が注目をする。
「発言を失礼します。仮に百鬼夜行が史実だったと仮定して、大量の妖が封印されていそうな場所は御存知有りませんか?何らかの目印になる物が建造されている可能性が有りますが。」
「我が領土に在る玄武神社が候補として該当するな。あの建物は神像以外何も無い、それに未だ破壊されておらぬしな。」
北エリアのゲンメイ将軍が話す。
隣のサクラが「ああ、中央の城から丑寅の方角に玄武神社が在ったしな。」と小声で独り言を漏らす。
「丑寅って何?」と私も小声で尋ねる。
しかし天帝と周囲の将軍と侍が私が喋った事を聞き逃す事は無く、一斉に視線を集めてしまう。
「喋った!」「喋ったぞ!」
「やはり妖!」
「斬り捨てるか?」
「者共静まれぃ!・・・・本当に喋れるとは、げに珍妙だな。サクラ、話して見よ。」
天帝の一喝で口々に騒いでいた周囲の侍達が一斉に口を噤む。
珍妙とか言われ少し腹が立つ。
大体、アルラトは元の姿だし忍衆によって正体がバレてそうだから【黒猫スーツ】を着ている意味ないんだよな。
そう考えているとサクラが私の質問に対しての話を始めた。
「十二支は知っているでござろう?午前0時を「北」として「鼠」に当たる場所から時計回りに数えると「丑」「寅」は北東の方角を指して、其処が「鬼門」と呼ばれる場所に当たるでござる。鬼門って言うのは鬼の出入りする場所で忌地として伝えられてるでござるよ。で、その逆方に当たる「未」「申」が「裏鬼門」。裏鬼門は鬼が来る場所として同じく忌地として語られてるでござる。」
「なるほど・・・そう言う事ですか。あの、シロウさんでしたっけ?この国の地図は有りますか?」
「あ、ええ。今準備します。」
咲耶がシロウに頼み、街の地図を持って来て貰う。
ミカさんと咲耶とシロウが地図を眺めながら要所に印を付け足して行く。
各種神社は東西南北のエリアに存在するが真北や真南では無く、サクラの言う通り東北や南西の位置に建てられていた。
街の中央に私達が居るホウシェン城が有り、そこから円を描く様に将軍家の城と四神神社が配置されていた。
それを見て何か納得した様子で咲耶が話す。
「南エリア南西の場所に建てられていたのが建物ごと破壊された白虎神社。そして昨夜、神像のみが破壊された青龍神社と朱雀神社・・・つまり最後に残った玄武神社。そこに封印されている妖が解放されて白虎神社跡へと通り過ぎるのが百鬼夜行では無いでしょうか?」
咲耶が地図に朱色の筆で罰点と直線を1本引く。
そこは妖の通り道、百鬼夜行の発生経路を指す。
青龍神社と朱雀神社の建物が無傷だったのは壊す意味が無いからで、あくまでも封印装置で有る神像の破壊だけが目的。
白虎神社は裏鬼門解放の為に建造物ごと破壊する必要が有ったと。
そして最後の玄武神社は鬼門解放し百鬼夜行を起こす為に最後に建物ごと破壊する計画じゃないかと言う話だ。
ゲームと違い複雑な設定が追加されているんだなと思った。
何か法則に沿った理由付けの様な物を感じる。
「・・・つまり近日中に我が領土に在る玄武神社が破壊され、湧き出た妖の百鬼夜によりが街が滅びると言うのか?」
岩山の様に静かに押し黙って話を聞いていたゲンメイ将軍が口を開く。
明らかに私達を怪しんでいる。
その表情は険しいままだ。
その時に追加の伝令が入る。
四神神社の細かい被害状況と昨日街で起きた放火事件の情報が多数寄せられた。
青龍神社と朱雀神社の神像破壊した実行犯を思われる人物数名の遺体が敷地内で発見されたと言う報告が上がった。
手の甲に同一の刺青の入った人間種達で、死因は呪法による自死と書いて有るらしい。
街の火災件数は12件、一晩で起きた発生件数の中では最多と言う話だ。
「集団自決だと何の意味がある?」
伝令役の男が読み上げた書状にシロウが誰かに聞き返す様に独り言を呟く。
宗教的な意味を持つ行為なのか、生贄みたいな供物としての意味でも有るのだろうか?
「火災発生時間と位置を考えると、神社に侵入する為の陽動の可能性が高いですね。」
シロウが地図を指差しながら火災位置に印を付ける。
四神神社とは逆方向に位置する場所ばかりだ。
火災を起こし住民の注目を集めて、本来の目的である四神神社の破壊工作を行うって事か。
「百鬼夜行は早ければ今夜起きるかも知れませんね。まだ何か準備が必要なら集団自決等しないでしょうから。」
「ほぼ目的を達成したから死んだと言う事でござるか?」
「呪法なら殺されたって線も有りますけどね。」
殺されたのなら黒幕による口封じの可能性も出てくる。
作戦が採取段階に入り、不必要な実行犯を排除したと言った感じだろうか。
ミカさんは立ち上がり天帝と将軍の方を向いて百鬼夜行発生が予測されるルートの住民の避難と玄武神社の警護、そして南西の白虎神社跡の警護を進言する。
将軍達は半信半疑で不服そうな表情を浮かべていたが天帝がミカさんの話を信じると言い放ち、その場にいる全員が納得せざるを得ない状況となった。
「シノブの予言で見た未来予知では、最終的な戦火はこのホウシェン城になります。私達はこの城の防衛に参加させて頂きます。」
ゲームではこの城の防衛が勝利条件だった。
戦場は間違いなくこの城だ。
これだけは多分確定事項で良いはず。
そして天帝の指示の基、玄武神社とホウシェン城の警備強化が決定した。
私達「深紅の薔薇」は天帝軍とホウシェン城の警備。
北・西・東エリアの将軍と部隊は玄武神社の警護、南エリアは引き続きシュメイ将軍が警護をする事となった。
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