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雪原の国編
142話 吹雪の中の再襲来!
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前回の防衛戦から7日。
バンボゥ国とコダ国から増援兵と冒険者が到着し総数約2000名の戦闘員がピトゥリア国へ到着した。
現在作戦参加者は3900名余り。
破壊されて進行を受けた南部方面は木造の簡易的な防壁を構築していた。
しかし都市の約15パーセント近くを破壊され復興には全く着手出来て無い状況だった。
アレクス王子の進言でDOSの作戦立案が採用される。
前回の防衛戦の敗退から貴族派閥の反発を受けたが被害住民や兵士と冒険者等の救助や「蘇生の奇跡」を体験した兵士長達やアレクス王子、その報告を受けた国王の判断で作戦総指揮権は「深紅の薔薇」に委ねられた。
私達は作戦実行の為、それぞれの担当区画で陣を形成し待機する。
2度の襲撃受け破壊状況が顕著で防衛力の低い南部にDOSを指揮官に1400名の部隊を防衛に回し、そして北部にはミカさんと王族部隊、ピトゥリア騎士団部隊を配置。
この作戦の主な主要防衛場所は北部と南部に決定した。
防衛戦の配置は以下の様に決まった。
北部:ミカエル&アレクス王子&セーニア姫とピトゥリア騎士団約1000名。
回復・蘇生が出来るミカさんの傍にアレクス王子とセーニアを配置した様だ。
南部:DOS&増援騎士団約1000名・冒険者約300名部隊。
そして東部と西部は以下の人員配置となった。
東部:サクラ&シノブ&咲耶と冒険者約300名部隊。
西部:ハーデス&アルラトと冒険者約300名部隊。
概算の総合戦力値は南部>北部>東部=西部と言った感じの配置になっている。
実際冒険者の強さは未知数だが、おおよそ30~50レベル平均。
ピトゥリア騎士団40レベル平均、増援のバンボゥ国&コダ国の増援騎士団・兵士隊30~50レベルと言った目算で配置に別けられている。
-東部 防衛陣地-
「やっぱり一週間周期なのかな?」
「今日で7日目、今夜かも知れませんね。」
咲耶と高台から街全体を眺める。
一陣の冷たい風が私の頬を撫でる。
髪が風で靡き視界を遮る。
今まで気が付かなかったけど髪が少し伸びてる様な気がする。
空を覆う分厚い雲から少しづつ雪が降り始めた。
天候の状況は最悪になるかも知れない。
ゲームでもフィールドの天候効果によりそれぞれの影響を受ける。
晴天:ノーマル状態。
雨(大雨:効果大):火炎属性効果低下、雷・水属性効果向上。
雪(大雪:効果大):火炎属性効果低下、氷属性効果向上。敏捷性低下。
風(大風:効果大):火炎・風属性向上、敏捷性低下。
紅空(特殊):モンスターオールステータス強化。
この天候の感じだとレイドボスに有利な天候効果が発生しそうな予感がする。
私は【氷結耐性マント】を隙間無く着込む。
雪が本降りになる前に高台から移動する。
段差を降りる時に咲耶が手を差し伸べて来る。
私は何気無く手を取り転ばない様に段差を降りる。
「少しは・・・顔色戻って良かったです。」
ふと咲耶が穏やかな表情で話し掛けて来る。
そんなに変な顔色だったのかな?ちゃんと朝洗顔をしたはずだ。
「そんなに酷かったかな・・・たはは。何かね、この世界で過ごしてる内に感覚が変わって来たと言うか・・・上手く言えないけど、ゲームとして割り切れなくなって来たと言うか。」
「私も同じですよ。昔はモブNPCとしか思って無かったですが、一緒に酒盛りして笑ったり殴ったり捥いだり・・・普通に楽しいですからね。」
後半怪しかったが、そもそも「捥ぐ」って何をよ。
オスロウ国とハイメス国の戦争の時、咲耶はモブ兵と嘲って両軍問わず大虐殺をしていた。
でも今では再度、犯罪者印が付かない様に気を付けて行動している。
ギルドの名前や英雄と言う肩書が有るのも要因だが、やはりNPCと思っていた人々を「人間」として認識したからだと思う。
咲耶も私と同じ感覚をしていた事に共感性を感じ少し嬉しくなった。
「おいーーーーー!!」
近くからサクラの叫び声が聞こえたと思った瞬間、咲耶の体が吹き飛ばされる。
サクラが【縮地】を使い瞬時に距離を縮め体当たりで咲耶を吹き飛ばした様だ。
咲耶は上手く受け身を取り無傷の様子。
「いってーーなっ!何すんだ!」
咲耶が背中を抑えながら思わず素の喋り方をする。
今の攻撃はノックバック付きで20ポイント位ダメージを負ったんじゃないかな。
「何どさくさに紛れてシノブ殿の手握ってるでござるか!」
「はぁ!?転ぶと危ないからだろ!その程度で攻撃してんじゃねぇよ!」
いつもの様に2人がじゃれ合いを始める、いつもの光景に思わず苦笑する。
この2人はお酒を飲んでる時は超意気投合してるのにシラフだと互いに、ちょっかい掛け合っている。
何だかんだ言っても2人は仲が良いのだろう。
この2人が一緒に居ると精神年齢は中学生レベルに下がっているかも知れないけどね。
【氷結耐性マント】のお陰で寒くは無いが、立ち止まっていると肩に雪が積もる。
積雪量が増え始めて来た。
風も出て来たみたいだし、そろそろ自陣の宿舎へと戻る事にしよう。
「じゃ、私は先に宿舎に帰ってるね~!ごゆっくり~!」
「シノブ殿、拙者も帰るでござる!」
「お前は高台に向かってたんじゃないのかよ!高台行け!」
・
・
・
薄暗い雲が空全体を覆い隠し、やがて天候は吹雪へと変わり始めた。
風が強くなり1メートル先も見えない位の猛吹雪が視界を奪う。
俗に言うホワイトアウト状態だ。私達は悪天候の中ようやく宿舎の入口に到着する。
その時不意に空に閃光弾が打ち上がり、大きな音と共に空で爆発し眩い光を放つ。
これは街の八方に設置された監視台に待機している魔法士による閃光弾、モンスター襲撃の時に街全体に場所を知らせる合図だ。
続けて2回の閃光弾が打ち上げられる、先程の巨大な閃光よりも少し小さなサイズの光球が初弾の両サイドに上がる。
しかし吹雪が激しい西地区に信号の光が届いているだろうか?
光球のサイズが差別化されているのは、他の待機所でも正確な襲撃場所を分かり易くする為だ。
1番大きい光球は真東、少し小さい予備弾光球は北東と南東の空で輝いている。
モンスターの襲来は私達の居る東区画だ。
「来た!近いって事は・・・私達の場所だよ!」
「視界が悪いですね、足場も悪くなり始めてるし。」
「2人共!【氷結耐性ブーツ】に履き替えるでござるよ。」
こう言うパーティーが分断された状況で「ギルドチャット」や「ワールドチャット」、「メール」の類の遠距離連絡手段が無いのは非常に不便だ。
1番科学技術が発展していた機械都市ギュノス国ですら都市内での通信手段しか構築出来て無かった。
本当に不便極まりない。
今頃他のエリアの皆も此方に向かってるはずだけど、この悪天候で増援が遅れる可能性は高い。
最低でも私達が第1フェイズの眷属20匹・・・
いや前回と同様なら30匹を倒さないと、前半の攻略時間に間に合わない。
「視界が悪くて上手く見えないでござるな。」
「大丈夫、【索敵】には映ってる。目標までの距離約10キロメートル、数32。」
「多いですね。しかし私達がやるしかないですね。」
猛吹雪の中、私達は街を囲む防壁に登り周囲のフィールドを確認する。
【索敵】にも赤いマーキング反応が32匹、前回より増えてるし。
荒れ狂う吹雪が強すぎてモンスターが影でしか目視出来無い。
ここは【索敵】の使える私が指示を出すしかない。
私はピトゥリア国軍が所有していた小型の拡声器を握り締める。
今回は絶対に負けない!
バンボゥ国とコダ国から増援兵と冒険者が到着し総数約2000名の戦闘員がピトゥリア国へ到着した。
現在作戦参加者は3900名余り。
破壊されて進行を受けた南部方面は木造の簡易的な防壁を構築していた。
しかし都市の約15パーセント近くを破壊され復興には全く着手出来て無い状況だった。
アレクス王子の進言でDOSの作戦立案が採用される。
前回の防衛戦の敗退から貴族派閥の反発を受けたが被害住民や兵士と冒険者等の救助や「蘇生の奇跡」を体験した兵士長達やアレクス王子、その報告を受けた国王の判断で作戦総指揮権は「深紅の薔薇」に委ねられた。
私達は作戦実行の為、それぞれの担当区画で陣を形成し待機する。
2度の襲撃受け破壊状況が顕著で防衛力の低い南部にDOSを指揮官に1400名の部隊を防衛に回し、そして北部にはミカさんと王族部隊、ピトゥリア騎士団部隊を配置。
この作戦の主な主要防衛場所は北部と南部に決定した。
防衛戦の配置は以下の様に決まった。
北部:ミカエル&アレクス王子&セーニア姫とピトゥリア騎士団約1000名。
回復・蘇生が出来るミカさんの傍にアレクス王子とセーニアを配置した様だ。
南部:DOS&増援騎士団約1000名・冒険者約300名部隊。
そして東部と西部は以下の人員配置となった。
東部:サクラ&シノブ&咲耶と冒険者約300名部隊。
西部:ハーデス&アルラトと冒険者約300名部隊。
概算の総合戦力値は南部>北部>東部=西部と言った感じの配置になっている。
実際冒険者の強さは未知数だが、おおよそ30~50レベル平均。
ピトゥリア騎士団40レベル平均、増援のバンボゥ国&コダ国の増援騎士団・兵士隊30~50レベルと言った目算で配置に別けられている。
-東部 防衛陣地-
「やっぱり一週間周期なのかな?」
「今日で7日目、今夜かも知れませんね。」
咲耶と高台から街全体を眺める。
一陣の冷たい風が私の頬を撫でる。
髪が風で靡き視界を遮る。
今まで気が付かなかったけど髪が少し伸びてる様な気がする。
空を覆う分厚い雲から少しづつ雪が降り始めた。
天候の状況は最悪になるかも知れない。
ゲームでもフィールドの天候効果によりそれぞれの影響を受ける。
晴天:ノーマル状態。
雨(大雨:効果大):火炎属性効果低下、雷・水属性効果向上。
雪(大雪:効果大):火炎属性効果低下、氷属性効果向上。敏捷性低下。
風(大風:効果大):火炎・風属性向上、敏捷性低下。
紅空(特殊):モンスターオールステータス強化。
この天候の感じだとレイドボスに有利な天候効果が発生しそうな予感がする。
私は【氷結耐性マント】を隙間無く着込む。
雪が本降りになる前に高台から移動する。
段差を降りる時に咲耶が手を差し伸べて来る。
私は何気無く手を取り転ばない様に段差を降りる。
「少しは・・・顔色戻って良かったです。」
ふと咲耶が穏やかな表情で話し掛けて来る。
そんなに変な顔色だったのかな?ちゃんと朝洗顔をしたはずだ。
「そんなに酷かったかな・・・たはは。何かね、この世界で過ごしてる内に感覚が変わって来たと言うか・・・上手く言えないけど、ゲームとして割り切れなくなって来たと言うか。」
「私も同じですよ。昔はモブNPCとしか思って無かったですが、一緒に酒盛りして笑ったり殴ったり捥いだり・・・普通に楽しいですからね。」
後半怪しかったが、そもそも「捥ぐ」って何をよ。
オスロウ国とハイメス国の戦争の時、咲耶はモブ兵と嘲って両軍問わず大虐殺をしていた。
でも今では再度、犯罪者印が付かない様に気を付けて行動している。
ギルドの名前や英雄と言う肩書が有るのも要因だが、やはりNPCと思っていた人々を「人間」として認識したからだと思う。
咲耶も私と同じ感覚をしていた事に共感性を感じ少し嬉しくなった。
「おいーーーーー!!」
近くからサクラの叫び声が聞こえたと思った瞬間、咲耶の体が吹き飛ばされる。
サクラが【縮地】を使い瞬時に距離を縮め体当たりで咲耶を吹き飛ばした様だ。
咲耶は上手く受け身を取り無傷の様子。
「いってーーなっ!何すんだ!」
咲耶が背中を抑えながら思わず素の喋り方をする。
今の攻撃はノックバック付きで20ポイント位ダメージを負ったんじゃないかな。
「何どさくさに紛れてシノブ殿の手握ってるでござるか!」
「はぁ!?転ぶと危ないからだろ!その程度で攻撃してんじゃねぇよ!」
いつもの様に2人がじゃれ合いを始める、いつもの光景に思わず苦笑する。
この2人はお酒を飲んでる時は超意気投合してるのにシラフだと互いに、ちょっかい掛け合っている。
何だかんだ言っても2人は仲が良いのだろう。
この2人が一緒に居ると精神年齢は中学生レベルに下がっているかも知れないけどね。
【氷結耐性マント】のお陰で寒くは無いが、立ち止まっていると肩に雪が積もる。
積雪量が増え始めて来た。
風も出て来たみたいだし、そろそろ自陣の宿舎へと戻る事にしよう。
「じゃ、私は先に宿舎に帰ってるね~!ごゆっくり~!」
「シノブ殿、拙者も帰るでござる!」
「お前は高台に向かってたんじゃないのかよ!高台行け!」
・
・
・
薄暗い雲が空全体を覆い隠し、やがて天候は吹雪へと変わり始めた。
風が強くなり1メートル先も見えない位の猛吹雪が視界を奪う。
俗に言うホワイトアウト状態だ。私達は悪天候の中ようやく宿舎の入口に到着する。
その時不意に空に閃光弾が打ち上がり、大きな音と共に空で爆発し眩い光を放つ。
これは街の八方に設置された監視台に待機している魔法士による閃光弾、モンスター襲撃の時に街全体に場所を知らせる合図だ。
続けて2回の閃光弾が打ち上げられる、先程の巨大な閃光よりも少し小さなサイズの光球が初弾の両サイドに上がる。
しかし吹雪が激しい西地区に信号の光が届いているだろうか?
光球のサイズが差別化されているのは、他の待機所でも正確な襲撃場所を分かり易くする為だ。
1番大きい光球は真東、少し小さい予備弾光球は北東と南東の空で輝いている。
モンスターの襲来は私達の居る東区画だ。
「来た!近いって事は・・・私達の場所だよ!」
「視界が悪いですね、足場も悪くなり始めてるし。」
「2人共!【氷結耐性ブーツ】に履き替えるでござるよ。」
こう言うパーティーが分断された状況で「ギルドチャット」や「ワールドチャット」、「メール」の類の遠距離連絡手段が無いのは非常に不便だ。
1番科学技術が発展していた機械都市ギュノス国ですら都市内での通信手段しか構築出来て無かった。
本当に不便極まりない。
今頃他のエリアの皆も此方に向かってるはずだけど、この悪天候で増援が遅れる可能性は高い。
最低でも私達が第1フェイズの眷属20匹・・・
いや前回と同様なら30匹を倒さないと、前半の攻略時間に間に合わない。
「視界が悪くて上手く見えないでござるな。」
「大丈夫、【索敵】には映ってる。目標までの距離約10キロメートル、数32。」
「多いですね。しかし私達がやるしかないですね。」
猛吹雪の中、私達は街を囲む防壁に登り周囲のフィールドを確認する。
【索敵】にも赤いマーキング反応が32匹、前回より増えてるし。
荒れ狂う吹雪が強すぎてモンスターが影でしか目視出来無い。
ここは【索敵】の使える私が指示を出すしかない。
私はピトゥリア国軍が所有していた小型の拡声器を握り締める。
今回は絶対に負けない!
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