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砂漠の国編
138話 防衛依頼
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その日の深夜、怪我を負ったピトゥリア国の兵士4名がコダ国の王宮に辿り着いた。
私達はピトゥリア国に何が起きたか容易に想像が出来た。
・・・レイドボスの出現だ。
ストーリーモードをクリアしてから、アップデートで実装されたレイドイベント通りの順番でボスがこの世界に出現してきているのだ。
まるで、私達の足取りを追うかの様に。
「ピトゥリアのボスって名前なんだっけ?人型のでかいヤツ。」
「ゼロクロム。」
小声でDOSに聞くとあっさり返答が来る。
記憶力凄いな。
私なんてボスの名前なんてイチイチ覚えてない。
見た目とか攻撃方法なら覚えてるんだけどね。
確か、巨大な四足歩行のキモイボスと言う印象だ。
同じ形態の眷属を引き連れて暴れる感じだったと思う。
怪我を負った兵士はゆっくりとピトゥリア国で起きた惨劇を語る。
突如現れた多数の人型物体により城や街が焼かれ蹂躙されていたらしい。
国に在留している冒険者達と騎士団が応戦しているが何処まで持つかと。
戦いを思い出し震えた体で語っていた。
しかしそれも約3日前の話だ。
今はどう言う状況になっているか分からない。
ピトゥリア国からの使者は王子様一行への状況報告と蜃気楼の街の件でコダ国に集まっている冒険者に応援を貰う為に来たらしい。
明日には労働組合から正式に高額報酬で依頼が出されると話していた。
「グラント国王、私はすぐに国も戻ります。国民もですが、父と母も心配ですので。」
「分かった、我が軍の騎士団も直ちに編成し応援に向かわせよう。」
「アレクス王子。我々、〖深紅の薔薇〗も御助力させて貰っても宜しいでしょうか?」
ミカさんがアレクス王子に提案する。
国王が蜃気楼の街攻略やマフィア施設の壊滅等の功績をアレクス王子に説明すると、喜んで同行を許可してくれた。
暗黒神ハーデスは相変わらず仮面を着けてコソコソしていた。
その姿は少し微笑ましい。
「お父様、私もピトゥリア国に行きます!」
セーニア姫が突然名乗りを挙げる。
本当にこのお姫様の行動力は凄いな。
案の定ではあるが王様、王妃様、アレクス王子に止められる。
しかし彼女は頑として引かない様子だ。
戦闘狂の血が騒ぐのだろうか。
「この国とアレクス王子の面子に泥を塗った汚名を返上したいのだ!この私が「深紅の薔薇」を護衛として雇います!ミカエルの実力はこの目で見てきました。彼女達がいれば敵を必ず討ち果たすはずです!」
「しかし!危険だ!お前はこの国の姫なのだぞ!」
「そうです!「深紅の薔薇」の方々にお任せして、貴女は国に残りなさい!」
「セーニア姫、私はもう気にしておりませんので貴女は国にお残り下さい。」
言い争いの様になるがセーニア姫は譲る気は無いらしい。
話が纏まらないまま険悪な雰囲気が漂い始める。
姫は頑固そうだし、下手したら家出してでもピトゥリア国に行くんじゃないだろうか。
・・・ってか王妃に諭されて反省したんじゃないのか?それとも彼女なりの筋の通し方は話が別と言う事か?
見かねてミカさんが口を挟む。
「分かりました。セーニア姫の護衛の御依頼を受けさせて頂きます。国王陛下!「深紅の薔薇」代表ミカエル=アルファの名にかけてセーニア姫を守り必ずピトゥリア国を救い、姫を無事この国に連れて帰る事を誓います!」
ミカさんが力強く宣言し膝ま付く。
私達もそれに合わせる。
顎に手を当てて悩むような表情をしていたが、王様と王妃様は苦虫を噛む様な表情をしながら最終的に折れた。
私達は1度宿泊先の宿屋に戻り装備と旅の準備を整え、再度王宮へ集合する。
「すまない、娘の我侭を聞いて貰って。じゃじゃ馬姫と影で呼ばれてはいるがワシらにとっては大切な娘なんだ。無事な姿で連れて帰ってくれ。」
「分かりました。必ずや無事な姿で帰国する事を神命に誓います。」
「グラント様、ラニア様。私も命に代えてセーニア姫をお守りします。」
ミカさんとアレクス王子が改めて国王様と王妃様に誓う。
日が昇り私達とセーニア姫と近衛兵20名、ピトゥリア兵8名とピトゥリア国から来た冒険者10名は準備を終えティオネムを借り出国する。
本日中に部隊編成を終えてコダ国の兵士団とピトゥリア国救援依頼を受けた冒険者達も追って出国する予定だ。
「氷結耐性装備も準備したし、拙者は準備万端でござるよ。」
「私も大丈夫です。」
「僕も行けるよ!」
「鳥騎乗はやだなぁ・・・」
「徒歩で砂漠を渡る方が辛いと思うぞ。」
「アレクス王子、私達の準備は整いました。いつでも出発出来ます。」
護衛の戦士隊を先頭に私達はコダ国を跡にした。
朝方なのでディワームの出現は少なめだ、【索敵】で敵影を避ける様に山岳地帯を目指す。
ピトゥリア国はコダ砂漠を南に越えて更に山岳地帯の長い長い洞窟を抜けた先に有る豪雪地帯だ。
到着まで約3日間、直線距離ではバンボゥ国からコダ国までの距離と同じ位らしい。
山越えをしない分楽だと兵士達が話していた。
私達は姫様達を護衛しつつピトゥリア国を目指した。
私達はピトゥリア国に何が起きたか容易に想像が出来た。
・・・レイドボスの出現だ。
ストーリーモードをクリアしてから、アップデートで実装されたレイドイベント通りの順番でボスがこの世界に出現してきているのだ。
まるで、私達の足取りを追うかの様に。
「ピトゥリアのボスって名前なんだっけ?人型のでかいヤツ。」
「ゼロクロム。」
小声でDOSに聞くとあっさり返答が来る。
記憶力凄いな。
私なんてボスの名前なんてイチイチ覚えてない。
見た目とか攻撃方法なら覚えてるんだけどね。
確か、巨大な四足歩行のキモイボスと言う印象だ。
同じ形態の眷属を引き連れて暴れる感じだったと思う。
怪我を負った兵士はゆっくりとピトゥリア国で起きた惨劇を語る。
突如現れた多数の人型物体により城や街が焼かれ蹂躙されていたらしい。
国に在留している冒険者達と騎士団が応戦しているが何処まで持つかと。
戦いを思い出し震えた体で語っていた。
しかしそれも約3日前の話だ。
今はどう言う状況になっているか分からない。
ピトゥリア国からの使者は王子様一行への状況報告と蜃気楼の街の件でコダ国に集まっている冒険者に応援を貰う為に来たらしい。
明日には労働組合から正式に高額報酬で依頼が出されると話していた。
「グラント国王、私はすぐに国も戻ります。国民もですが、父と母も心配ですので。」
「分かった、我が軍の騎士団も直ちに編成し応援に向かわせよう。」
「アレクス王子。我々、〖深紅の薔薇〗も御助力させて貰っても宜しいでしょうか?」
ミカさんがアレクス王子に提案する。
国王が蜃気楼の街攻略やマフィア施設の壊滅等の功績をアレクス王子に説明すると、喜んで同行を許可してくれた。
暗黒神ハーデスは相変わらず仮面を着けてコソコソしていた。
その姿は少し微笑ましい。
「お父様、私もピトゥリア国に行きます!」
セーニア姫が突然名乗りを挙げる。
本当にこのお姫様の行動力は凄いな。
案の定ではあるが王様、王妃様、アレクス王子に止められる。
しかし彼女は頑として引かない様子だ。
戦闘狂の血が騒ぐのだろうか。
「この国とアレクス王子の面子に泥を塗った汚名を返上したいのだ!この私が「深紅の薔薇」を護衛として雇います!ミカエルの実力はこの目で見てきました。彼女達がいれば敵を必ず討ち果たすはずです!」
「しかし!危険だ!お前はこの国の姫なのだぞ!」
「そうです!「深紅の薔薇」の方々にお任せして、貴女は国に残りなさい!」
「セーニア姫、私はもう気にしておりませんので貴女は国にお残り下さい。」
言い争いの様になるがセーニア姫は譲る気は無いらしい。
話が纏まらないまま険悪な雰囲気が漂い始める。
姫は頑固そうだし、下手したら家出してでもピトゥリア国に行くんじゃないだろうか。
・・・ってか王妃に諭されて反省したんじゃないのか?それとも彼女なりの筋の通し方は話が別と言う事か?
見かねてミカさんが口を挟む。
「分かりました。セーニア姫の護衛の御依頼を受けさせて頂きます。国王陛下!「深紅の薔薇」代表ミカエル=アルファの名にかけてセーニア姫を守り必ずピトゥリア国を救い、姫を無事この国に連れて帰る事を誓います!」
ミカさんが力強く宣言し膝ま付く。
私達もそれに合わせる。
顎に手を当てて悩むような表情をしていたが、王様と王妃様は苦虫を噛む様な表情をしながら最終的に折れた。
私達は1度宿泊先の宿屋に戻り装備と旅の準備を整え、再度王宮へ集合する。
「すまない、娘の我侭を聞いて貰って。じゃじゃ馬姫と影で呼ばれてはいるがワシらにとっては大切な娘なんだ。無事な姿で連れて帰ってくれ。」
「分かりました。必ずや無事な姿で帰国する事を神命に誓います。」
「グラント様、ラニア様。私も命に代えてセーニア姫をお守りします。」
ミカさんとアレクス王子が改めて国王様と王妃様に誓う。
日が昇り私達とセーニア姫と近衛兵20名、ピトゥリア兵8名とピトゥリア国から来た冒険者10名は準備を終えティオネムを借り出国する。
本日中に部隊編成を終えてコダ国の兵士団とピトゥリア国救援依頼を受けた冒険者達も追って出国する予定だ。
「氷結耐性装備も準備したし、拙者は準備万端でござるよ。」
「私も大丈夫です。」
「僕も行けるよ!」
「鳥騎乗はやだなぁ・・・」
「徒歩で砂漠を渡る方が辛いと思うぞ。」
「アレクス王子、私達の準備は整いました。いつでも出発出来ます。」
護衛の戦士隊を先頭に私達はコダ国を跡にした。
朝方なのでディワームの出現は少なめだ、【索敵】で敵影を避ける様に山岳地帯を目指す。
ピトゥリア国はコダ砂漠を南に越えて更に山岳地帯の長い長い洞窟を抜けた先に有る豪雪地帯だ。
到着まで約3日間、直線距離ではバンボゥ国からコダ国までの距離と同じ位らしい。
山越えをしない分楽だと兵士達が話していた。
私達は姫様達を護衛しつつピトゥリア国を目指した。
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