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砂漠の国編
127話 打ち砕く者達
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-蜃気楼の街-
周囲は真っ白な建物で埋め尽くされている。
思い出した!
このイベントは手抜きだと当時思っていたのを思い出した。
ゲームと同じフィールドの造りだ。
ミニMAPが無いので【索敵】が無いと迷いそうだ。
私は【索敵】を使用すると数キロメートルの状況が脳裏に浮かぶ。
モンスター数は少ない様なので戦闘は極力回避して行けそうだ。
「向こうか!」
とりあえず北の方角に走り出す。
【索敵】範囲には皆の反応は無い。
このダンジョン構造のフィールドは物凄く広くボスを探すのに時間が掛かる。
疲れるが【縮地】を使用して走り回り皆の反応を探すしかない。
白い建物ばかりが連なる代り映えしない景色が続く。
ゴゴゴゴゴゴゴゴォ・・・
走っている最中に建物の白い壁がブロック状に変化してフィールドの一ヶ所に吸収されて行く。
これはレイドボスの出現フィールドに誰かが侵入した状態だ。
黒い線で造られた骨組みを残しフィールドの建物が透明に透ける。
見えた!白いブロックが吸収されている場所を目指して走る。
途中で何度も透明の建物の壁に正面衝突しダメージを喰らう。
自分では見えないけど頭上に「10」とか「15」とかダメージポイント文字が表示されているに違いない。
【縮地】で透明の壁にぶつかると流石の私でも痛い。
・・・ってかさ、ボスの場所は背景が透明になる事で特定出来るけど透明になってもすり抜けれない壁が有るのは超厄介だった。
「あれは、冒険者?生存者か!」
ボスエリアに近付くと多数の冒険者が蹲って居るのが見える。
多分、状態異常で動けないんだろう。
ここのボスは複数の状態異常技を使う厄介なボスだ。
私も上手く回避しないと・・・居た!
ギルドメンバーの皆が苦戦しながら戦闘を繰り広げている。
3週間近くも逃げながら戦い続けていたのか?
「皆!遅れてごめん!」
私は嬉しくて思わず叫ぶ。
私の声に気付いた皆も視線を此方に向ける。
「シノブ!無事か!」「・・・・」
「シノブ!」「シノブ殿!」
「ふん、遅いぞ!待ちくたびれたわ!」
「シノが来た~!」
久しぶりに見た皆の笑顔が眩しい。
良かった!皆無事の様だ。
メジードの対角線上に位置するサクラに向かって走る。
「サクラ!ごめん!」
「へっ!?」
【縮地】で走りながらサクラの肩を踏み台にして高く跳躍し、二刀流を構え右目を強襲し突き刺し離脱する。
私の攻撃に合わせて咲耶が能力向上魔法を掛けDOSが【イグナイトストライク】を左目に直撃させる。
私が付けた右目の亀裂部分ごと打ち抜きメジードの顔面が砕ける様に飛び散る。
流石、咲耶とDOS2人のタイミングバッチリだ!
「すげぇ!!」「何だあの男は!」
「いや、女だ!」「女忍者だ!!」
周囲の冒険者達が跳躍した私を見て叫ぶ。
メジードが4本の巨大な刃の付いた腕を生やし縦薙ぎ斬撃攻撃を仕掛けて来る。
ミカさんとサクラが武器で辛うじて受け止める。
ドォォオオン!
重低音が響き、2人足下の地面が陥没する。
2人は踏ん張りその攻撃を耐える。
しかし、更に2本の腕が生え斬撃を受け止めている2人にハンマーの様な腕が振り下ろされ地面が大きく陥没し2人は打撃ダメージを喰らう。
2人はすぐに腕を押しのけ立ち上がり距離を取る。
回復職の冒険者が救援に向かおうとするが、メジードが第3の眼を開眼し【アルクヴィルステイト】が発動する。
「やばっ!?」
メジードの眼が一瞬輝き、視界に入った者全てに何らかの状態異常を発動させる。
ミカさんとDOSとアルラト以外のほぼ全員が複数の状態異常を受ける。
しまった、ヤツの視界に入ってしまった。
うう・・・体が麻痺した様だ、四つん這いの状態で体が痺れて動かない。
私の罠で毎日痺れていたサクラはこんな感じだったのか・・・ざまぁ!。
馬鹿な事を考えていると、殴打で吹き飛ばされたサクラとアルラトと数人の冒険者が私の方へ飛ばされて来た。
「いってぇ・・・」
「サク!連携攻撃をしよう!」
その時、咲耶が駆けつけ私の麻痺を治癒してくれた。
咲耶は周囲の冒険者達も手際良く回復する。
SP消費が激しいのか咲耶も少し辛そうな表情を浮かべている。
「ありがとう、咲耶!」
私達の両脇をサクラの能力をコピーしたアルラトと本物のサクラが【縮地】で飛び出し2人同時に刀を構え大きく跳躍する。
私はメジードの意識を此方に向ける為に【影分身】を使い【地獄ノ業火】で足元に当たる部分を集中的に攻撃する。
優先攻撃順位を少しでも私に向ける為だ。
私の斬撃でダメージを喰らったメジードの体が少し前のめりに撓る。
その瞬間にサクラとアルラトが斬り込んだ。
「剣技!十文字刹那・極!」
「剣技!十文字刹那・極!」
男性声の擬態サクラと女性声に変声したサクラの2人のユニゾンした叫び声が響き、第3の眼に巨大な十文字の傷が刻まれる。
紫色の大量の血液が噴き出しメジードの体を伝って流れ出す。
「ちぃ!まだ浅いでござる!」
斬撃で深く刻まれた傷に目掛けて暗黒神ハーデスソーサラー最強魔法の無属性極大攻撃魔法【コールヘイレス】を打ち込む。
修復中の2つの眼部分ごと爆発し中心点に向けて収束し対消滅する。
メジードの中央に大穴が空き行動が止まる。
「うおぉぉぉぉおお!」
冒険者の驚きの叫びが周囲に響き渡る。
メジードの体が少しずつ修復されて行く。
しかし、ダメージにより動く事は出来ない様だ。
その隙を突きミカさんが攻撃を仕掛ける。
眩く輝く聖剣を掲げメジード目指して走り抜ける。
そして剣技【原初の光】を放つ。
メジード腹部から体が縦に真っ二つに切り裂かれる。
その斬撃跡が罅割れ弾ける様に砕け落ちる。
「チャンスだ!総攻撃をかけろ!」
DOSが【アグネイヤ】で銃撃を放つと同時に冒険者に向かって叫んだ。
銃弾の発射音が号令となり冒険者がメジードに向かって四方から一気に奇襲をかける。
「今だ!行くぞ皆!」
「おう!」「まかせろ!」
「見ててくださいミカエル様!」
完全に動きが止まったメジードに向けて、咲耶が回復した冒険者達が一斉に攻撃をしかける。
メジードの上部をDOSが課金弾丸の三連撃で破壊。
残り6本の腕はミカさんと私とサクラとアルラトで完全破壊しメジードの体が崩れ始め、やがて倒れ落ちた。
よし・・・勝ったんだ!
思ったよりも余裕が有ったかも知れない。
「勝ったな!」
「ええ、私達の勝です。」
「それにしても、シノブが来てからメジードが弱体化した様な気がするでござる。」
「そんな事ないでしょ。」
「う~ん。僕もそう感じたけどな。」
それは完全に気のせいでしょう。
私にそんな常時発動型特殊技能は付いて無い。
メジードの体の破片が全て消滅し眩い光となって上空へと上がり消えていく。
その情景はとても幻想的で誰もが空を仰ぎ見る。
そしてその場に色とりどりの宝石やアイテムが姿を見せ冒険者が喜びの歓声を上げる。
やがて蜃気楼の街は幻だったかの様に揺らいで消える。
私達は多くの宝石に囲まれたコダ砂漠で座り込みながら勝利の余韻に浸っていた。
周囲は真っ白な建物で埋め尽くされている。
思い出した!
このイベントは手抜きだと当時思っていたのを思い出した。
ゲームと同じフィールドの造りだ。
ミニMAPが無いので【索敵】が無いと迷いそうだ。
私は【索敵】を使用すると数キロメートルの状況が脳裏に浮かぶ。
モンスター数は少ない様なので戦闘は極力回避して行けそうだ。
「向こうか!」
とりあえず北の方角に走り出す。
【索敵】範囲には皆の反応は無い。
このダンジョン構造のフィールドは物凄く広くボスを探すのに時間が掛かる。
疲れるが【縮地】を使用して走り回り皆の反応を探すしかない。
白い建物ばかりが連なる代り映えしない景色が続く。
ゴゴゴゴゴゴゴゴォ・・・
走っている最中に建物の白い壁がブロック状に変化してフィールドの一ヶ所に吸収されて行く。
これはレイドボスの出現フィールドに誰かが侵入した状態だ。
黒い線で造られた骨組みを残しフィールドの建物が透明に透ける。
見えた!白いブロックが吸収されている場所を目指して走る。
途中で何度も透明の建物の壁に正面衝突しダメージを喰らう。
自分では見えないけど頭上に「10」とか「15」とかダメージポイント文字が表示されているに違いない。
【縮地】で透明の壁にぶつかると流石の私でも痛い。
・・・ってかさ、ボスの場所は背景が透明になる事で特定出来るけど透明になってもすり抜けれない壁が有るのは超厄介だった。
「あれは、冒険者?生存者か!」
ボスエリアに近付くと多数の冒険者が蹲って居るのが見える。
多分、状態異常で動けないんだろう。
ここのボスは複数の状態異常技を使う厄介なボスだ。
私も上手く回避しないと・・・居た!
ギルドメンバーの皆が苦戦しながら戦闘を繰り広げている。
3週間近くも逃げながら戦い続けていたのか?
「皆!遅れてごめん!」
私は嬉しくて思わず叫ぶ。
私の声に気付いた皆も視線を此方に向ける。
「シノブ!無事か!」「・・・・」
「シノブ!」「シノブ殿!」
「ふん、遅いぞ!待ちくたびれたわ!」
「シノが来た~!」
久しぶりに見た皆の笑顔が眩しい。
良かった!皆無事の様だ。
メジードの対角線上に位置するサクラに向かって走る。
「サクラ!ごめん!」
「へっ!?」
【縮地】で走りながらサクラの肩を踏み台にして高く跳躍し、二刀流を構え右目を強襲し突き刺し離脱する。
私の攻撃に合わせて咲耶が能力向上魔法を掛けDOSが【イグナイトストライク】を左目に直撃させる。
私が付けた右目の亀裂部分ごと打ち抜きメジードの顔面が砕ける様に飛び散る。
流石、咲耶とDOS2人のタイミングバッチリだ!
「すげぇ!!」「何だあの男は!」
「いや、女だ!」「女忍者だ!!」
周囲の冒険者達が跳躍した私を見て叫ぶ。
メジードが4本の巨大な刃の付いた腕を生やし縦薙ぎ斬撃攻撃を仕掛けて来る。
ミカさんとサクラが武器で辛うじて受け止める。
ドォォオオン!
重低音が響き、2人足下の地面が陥没する。
2人は踏ん張りその攻撃を耐える。
しかし、更に2本の腕が生え斬撃を受け止めている2人にハンマーの様な腕が振り下ろされ地面が大きく陥没し2人は打撃ダメージを喰らう。
2人はすぐに腕を押しのけ立ち上がり距離を取る。
回復職の冒険者が救援に向かおうとするが、メジードが第3の眼を開眼し【アルクヴィルステイト】が発動する。
「やばっ!?」
メジードの眼が一瞬輝き、視界に入った者全てに何らかの状態異常を発動させる。
ミカさんとDOSとアルラト以外のほぼ全員が複数の状態異常を受ける。
しまった、ヤツの視界に入ってしまった。
うう・・・体が麻痺した様だ、四つん這いの状態で体が痺れて動かない。
私の罠で毎日痺れていたサクラはこんな感じだったのか・・・ざまぁ!。
馬鹿な事を考えていると、殴打で吹き飛ばされたサクラとアルラトと数人の冒険者が私の方へ飛ばされて来た。
「いってぇ・・・」
「サク!連携攻撃をしよう!」
その時、咲耶が駆けつけ私の麻痺を治癒してくれた。
咲耶は周囲の冒険者達も手際良く回復する。
SP消費が激しいのか咲耶も少し辛そうな表情を浮かべている。
「ありがとう、咲耶!」
私達の両脇をサクラの能力をコピーしたアルラトと本物のサクラが【縮地】で飛び出し2人同時に刀を構え大きく跳躍する。
私はメジードの意識を此方に向ける為に【影分身】を使い【地獄ノ業火】で足元に当たる部分を集中的に攻撃する。
優先攻撃順位を少しでも私に向ける為だ。
私の斬撃でダメージを喰らったメジードの体が少し前のめりに撓る。
その瞬間にサクラとアルラトが斬り込んだ。
「剣技!十文字刹那・極!」
「剣技!十文字刹那・極!」
男性声の擬態サクラと女性声に変声したサクラの2人のユニゾンした叫び声が響き、第3の眼に巨大な十文字の傷が刻まれる。
紫色の大量の血液が噴き出しメジードの体を伝って流れ出す。
「ちぃ!まだ浅いでござる!」
斬撃で深く刻まれた傷に目掛けて暗黒神ハーデスソーサラー最強魔法の無属性極大攻撃魔法【コールヘイレス】を打ち込む。
修復中の2つの眼部分ごと爆発し中心点に向けて収束し対消滅する。
メジードの中央に大穴が空き行動が止まる。
「うおぉぉぉぉおお!」
冒険者の驚きの叫びが周囲に響き渡る。
メジードの体が少しずつ修復されて行く。
しかし、ダメージにより動く事は出来ない様だ。
その隙を突きミカさんが攻撃を仕掛ける。
眩く輝く聖剣を掲げメジード目指して走り抜ける。
そして剣技【原初の光】を放つ。
メジード腹部から体が縦に真っ二つに切り裂かれる。
その斬撃跡が罅割れ弾ける様に砕け落ちる。
「チャンスだ!総攻撃をかけろ!」
DOSが【アグネイヤ】で銃撃を放つと同時に冒険者に向かって叫んだ。
銃弾の発射音が号令となり冒険者がメジードに向かって四方から一気に奇襲をかける。
「今だ!行くぞ皆!」
「おう!」「まかせろ!」
「見ててくださいミカエル様!」
完全に動きが止まったメジードに向けて、咲耶が回復した冒険者達が一斉に攻撃をしかける。
メジードの上部をDOSが課金弾丸の三連撃で破壊。
残り6本の腕はミカさんと私とサクラとアルラトで完全破壊しメジードの体が崩れ始め、やがて倒れ落ちた。
よし・・・勝ったんだ!
思ったよりも余裕が有ったかも知れない。
「勝ったな!」
「ええ、私達の勝です。」
「それにしても、シノブが来てからメジードが弱体化した様な気がするでござる。」
「そんな事ないでしょ。」
「う~ん。僕もそう感じたけどな。」
それは完全に気のせいでしょう。
私にそんな常時発動型特殊技能は付いて無い。
メジードの体の破片が全て消滅し眩い光となって上空へと上がり消えていく。
その情景はとても幻想的で誰もが空を仰ぎ見る。
そしてその場に色とりどりの宝石やアイテムが姿を見せ冒険者が喜びの歓声を上げる。
やがて蜃気楼の街は幻だったかの様に揺らいで消える。
私達は多くの宝石に囲まれたコダ砂漠で座り込みながら勝利の余韻に浸っていた。
応援ありがとうございます!
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