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未実装大陸編
112話 倒せない敵
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-アニマ国 古代遺跡「残骸の村」-
このフロアは見た目は村の様な形状をしている。
濁った様な淡い配色の空が広がり、遺跡地下と言うには少し違和感が有る風景だ。
【索敵】に反応は無い。
このフロアにモンスターは存在していないのか。
村の端とも言うべき場所には七色に蠢く「壁」が存在していて、そこより先に進む事は出来ない様になっていた。
今まで現実だと思っていたが、この村の光景はゲーム的な何かを感じさせる。
リアルと言うより例えるなら夢の世界とでも言う様な感じだ。
もしこの村が実装されていたら、この場所とどこかのフィールドが繋がっていたんだろうか?
村を隔てる謎の壁沿いに歩いて行くと長方形で黒色のインゴット様なアイテムが複数地面に刺さっていた。
表面に青色に輝く文字の様な物が刻まれた10センチ程度のアイテムだ。
恐る恐る手に取り様々な角度から見てみるが、何なのか検討も付かない。
しかしこのアイテムは不思議な何かを感じる。
近くを散策していた暗黒神ハーデスを見つけたので、そのアイテムを見せてみることにした。
「暗黒神ハーデス、コレって何だと思う?」
「文字が読めんな、文字化けしている様なだな。」
暗黒神ハーデスに見て貰うが、結局コレが何なのか分からないと言われた。
このアイテムに不思議な力を感じた私は、一応アイテムストレージに何個か収納した。
皆もそれぞれ用途不明なアイテムで真面な形状をしたアイテムを回収し保管していった。
小一時間廃墟の村を散策したが下層へ繋がる道は発見出来無かった。
村の中央に有る枯れた噴水のオブジェクトの前に集合し、何か発見が有ったかお互い情報共有をする。
私とアルラトが噴水に腰を掛けた瞬間に地面が大きく揺れ始め「ゴゴゴゴ」と言う大きな地鳴りが鳴り始め地面に亀裂が入る。
「地震?」
「ふむ、フィールドが不安定なのかも知れん。すぐ撤退しよう。」
「そうですね、皆!そろそろ帰還しましょう。」
ミカさんと暗黒神ハーデスに促され上層へ向かう村の入口へ向かう。
その時、前方に黒い影の様な物が3体地面から湧き上がって来てる。
不定形な生物の様な脈動する物体が地面から生える様に現れる。
【索敵】に反応は無いが、明らかに悪意と言うか敵意の様な物を感じる。
「モンスター・・・でござるか?」
「【索敵】に反応は無いけど、嫌な雰囲気だね。悪意と言うか・・・」
全員が一応武器を構える。
ミカさんがゆっくり近づき剣で触れようとした瞬間に、影の様な物体から蟻型モンスターの顔が生え噛みつかれそうになり即座に盾で防ぐ。
・・・・やはり明確な敵意が有る。
サクラが隙を突き【縮地】と【居合斬り】で一閃するが、真っ二つになった物体がすぐに融合し基の形状へと戻る。
サクラも手応えの無さに驚いている様子だ。
シャルは剣を腰の鞘に収め、両手に巨大な鍵爪の様な武器【白猫クロー】を装備する。
彼女を見ると尻尾の毛が逆立ち真直ぐに伸びている。
まるで本能からか自身の身に危険を感じている様だった。
ミカさんとシャルはほぼ同時に斬り掛かる。
聖属性を纏った特殊技能が影を両断するが少し間を置いてすぐに再生し始める。
聖属性攻撃は少しは効いているのか?
少し遅れてシャルの二連撃が届く、しかし地面の影の部分からミカさんの装備している【ヒルドルの盾】が出現しシャルの斬撃を防ぐ。
「ええ!?あれはミカエルさんの盾!」
「見ろ!様子がおかしいでござる!」
不定形な影が人の形を象り始めミカさん、サクラ、シャルの姿に近い形状へ変化する。
似ているが所々に別のモンスターやオブジェクトが融合した様な不気味な姿をしている。
まるでアルラトの様に形状を変化するモンスターだ。
いや、【索敵】に敵勢反応は無いのでモンスターですら無いのか
サクラを模した影の口元が醜く歪み笑ったかの様に見えた瞬間、影が【縮地】を使いサクラに対して【居合斬り】を仕掛ける。
驚いたサクラが攻撃を回避出来ずに腰から胸元を大きく斬り裂かれ鮮血が噴き出す。
サクラもダメージを喰らいながら常時発動型特殊技能【カウンター】が発動し相手の左腕を斬り飛ばす。
「なっ!・・・・いってぇ・・・」
「サクラ!」
胸を押さえ蹲る。
レベル100のサクラに対して回避不能な大ダメージを与える敵。
ミカさんとシャルを模した敵が同時に【縮地】を使い、聖属性を纏った【居合斬り】仕掛け防御姿勢のミカさんが吹き飛ばされる。
【居合斬り】はサムライの職業固有特殊技能で他の職業では使用出来無いはずだ。
【白猫のクロー】で【居合斬り】とか逆にどうやって使うんだよ!と思わず心の中でツッコミを入れる。
「このモンスターは我々の情報を吸収し学習している!戦えば戦う程強くなる!迂回して逃げるぞ!決して特殊技能は見せるな!」
危機的状況を察したミカさんが皆に向かって叫ぶ。
咲耶がサクラに回復魔法をかけ全員が後ろへとジリジリ後退する。
「私が【影分身】を使って囮になるから、皆はその隙に出口まで走って!」
回避能力の高い私が囮になり皆が逃げる隙を作るしかない。
優先攻撃順位を稼ぐ為に3体の物体にそれぞれ小太刀で通常攻撃を加える。
ミカさんを模した影の体を小太刀の斬撃が接触する。
レアチーズケーキにフォークを通した様な手応えで小太刀の刃が貫通した瞬間に「ジジッ」と言う電子音の様な音が鳴る。
そして当然の様に聖属性を帯びた剣のカウンター斬撃の横薙ぎが来るが私は難無く回避する。
今までに感じた事の無い手応えで気持ち悪い、恐らくダメージは全く無い。
特殊技能を使わないで回避中心の戦闘をして皆の闘争する時間を稼ぐ。
暗黒神ハーデスの言う様にあの妙な物体は、攻撃パターンを学習し進化成長している様に感じる。
その為か私の回避スピードに着いて来ている気がする。
皆が村の入口付近に到達したのを確認し、この3体をどうやって巻くか考える。
敵は【縮地】を使えるからなぁ、仕方が無いが特殊技能を使用するしかない。
まずは囮様に【影分身】を使う。
そして【煙玉】を使用し煙幕で周囲の視界を奪って【粘着罠】を周囲に設置する。
そして分身体をその場に残し【縮地】の連続使用で逃げる。
「シノブ殿!早く来るでござる!」
「暗黒神ハーデス!入口を塞いで!」
【縮地】で皆の待機している場所に飛び込む。
村の入口で合流した所で暗黒神ハーデスが上位魔法で入口を破壊し村への道を閉ざして貰う。
・・・どうやら追ってくる事は無さそうだ。
「シノブ、大丈夫ですか?怪我はないか?」
瞬間的に複数の特殊技能を使用した事と、助かった安心感で少しよろける。
DOSが心配して手を引いてくれた。
流石に不気味で怖かった。
「このフロアにはもう侵入しない方が良いだろう。そもそも入口を塞いだ所で地上に這い上がってこない保証は無いがな。猫娘も国王に報告しておけ。」
「ねこむ・・・わ、分かりました。この塞がれた入口は厳重に封印し監視します。」
シャルは猫娘と言われた事が気に食わなかったのか少しムッとした表情をしていた。
猫娘は差別発言に捉われるのかな?
私達は遺跡の内部調査を終了し帰還する、外へ着く頃には夜の帳が降りていた。
「ん-空気が美味しい!」
丸1日遺跡ダンジョン内に潜っていたので感覚的では有るが、違った空気感や閉鎖的な空間からの解放感を感じる。
浜辺から吹く海風がそう感じさせるのかも知れない。
「とんでも無い目に遭ったでござる。」
「ええ、戦闘にすらならないモンスターとか反則です。」
「廃墟の守護者・・・・か」
入口の衛兵と話していたミカさんとシャルが驚いた様な声を上げて戻ってくる。
ミカさんの話では私達が遺跡内に入って出て来るまでに約1週間、捜索隊を出す所だったらしい。
しかし私達は1日しか中に入っていない。
外と内部の廃墟では時間の流れが違うのか?
色々な意味でこの遺跡は危険だと暗黒神ハーデスが話す。
確かに時間の流れが違うとかってプログラムのバグ所の話じゃない。
私達は奇妙な違和感を抱えながら遺跡を後にした。
このフロアは見た目は村の様な形状をしている。
濁った様な淡い配色の空が広がり、遺跡地下と言うには少し違和感が有る風景だ。
【索敵】に反応は無い。
このフロアにモンスターは存在していないのか。
村の端とも言うべき場所には七色に蠢く「壁」が存在していて、そこより先に進む事は出来ない様になっていた。
今まで現実だと思っていたが、この村の光景はゲーム的な何かを感じさせる。
リアルと言うより例えるなら夢の世界とでも言う様な感じだ。
もしこの村が実装されていたら、この場所とどこかのフィールドが繋がっていたんだろうか?
村を隔てる謎の壁沿いに歩いて行くと長方形で黒色のインゴット様なアイテムが複数地面に刺さっていた。
表面に青色に輝く文字の様な物が刻まれた10センチ程度のアイテムだ。
恐る恐る手に取り様々な角度から見てみるが、何なのか検討も付かない。
しかしこのアイテムは不思議な何かを感じる。
近くを散策していた暗黒神ハーデスを見つけたので、そのアイテムを見せてみることにした。
「暗黒神ハーデス、コレって何だと思う?」
「文字が読めんな、文字化けしている様なだな。」
暗黒神ハーデスに見て貰うが、結局コレが何なのか分からないと言われた。
このアイテムに不思議な力を感じた私は、一応アイテムストレージに何個か収納した。
皆もそれぞれ用途不明なアイテムで真面な形状をしたアイテムを回収し保管していった。
小一時間廃墟の村を散策したが下層へ繋がる道は発見出来無かった。
村の中央に有る枯れた噴水のオブジェクトの前に集合し、何か発見が有ったかお互い情報共有をする。
私とアルラトが噴水に腰を掛けた瞬間に地面が大きく揺れ始め「ゴゴゴゴ」と言う大きな地鳴りが鳴り始め地面に亀裂が入る。
「地震?」
「ふむ、フィールドが不安定なのかも知れん。すぐ撤退しよう。」
「そうですね、皆!そろそろ帰還しましょう。」
ミカさんと暗黒神ハーデスに促され上層へ向かう村の入口へ向かう。
その時、前方に黒い影の様な物が3体地面から湧き上がって来てる。
不定形な生物の様な脈動する物体が地面から生える様に現れる。
【索敵】に反応は無いが、明らかに悪意と言うか敵意の様な物を感じる。
「モンスター・・・でござるか?」
「【索敵】に反応は無いけど、嫌な雰囲気だね。悪意と言うか・・・」
全員が一応武器を構える。
ミカさんがゆっくり近づき剣で触れようとした瞬間に、影の様な物体から蟻型モンスターの顔が生え噛みつかれそうになり即座に盾で防ぐ。
・・・・やはり明確な敵意が有る。
サクラが隙を突き【縮地】と【居合斬り】で一閃するが、真っ二つになった物体がすぐに融合し基の形状へと戻る。
サクラも手応えの無さに驚いている様子だ。
シャルは剣を腰の鞘に収め、両手に巨大な鍵爪の様な武器【白猫クロー】を装備する。
彼女を見ると尻尾の毛が逆立ち真直ぐに伸びている。
まるで本能からか自身の身に危険を感じている様だった。
ミカさんとシャルはほぼ同時に斬り掛かる。
聖属性を纏った特殊技能が影を両断するが少し間を置いてすぐに再生し始める。
聖属性攻撃は少しは効いているのか?
少し遅れてシャルの二連撃が届く、しかし地面の影の部分からミカさんの装備している【ヒルドルの盾】が出現しシャルの斬撃を防ぐ。
「ええ!?あれはミカエルさんの盾!」
「見ろ!様子がおかしいでござる!」
不定形な影が人の形を象り始めミカさん、サクラ、シャルの姿に近い形状へ変化する。
似ているが所々に別のモンスターやオブジェクトが融合した様な不気味な姿をしている。
まるでアルラトの様に形状を変化するモンスターだ。
いや、【索敵】に敵勢反応は無いのでモンスターですら無いのか
サクラを模した影の口元が醜く歪み笑ったかの様に見えた瞬間、影が【縮地】を使いサクラに対して【居合斬り】を仕掛ける。
驚いたサクラが攻撃を回避出来ずに腰から胸元を大きく斬り裂かれ鮮血が噴き出す。
サクラもダメージを喰らいながら常時発動型特殊技能【カウンター】が発動し相手の左腕を斬り飛ばす。
「なっ!・・・・いってぇ・・・」
「サクラ!」
胸を押さえ蹲る。
レベル100のサクラに対して回避不能な大ダメージを与える敵。
ミカさんとシャルを模した敵が同時に【縮地】を使い、聖属性を纏った【居合斬り】仕掛け防御姿勢のミカさんが吹き飛ばされる。
【居合斬り】はサムライの職業固有特殊技能で他の職業では使用出来無いはずだ。
【白猫のクロー】で【居合斬り】とか逆にどうやって使うんだよ!と思わず心の中でツッコミを入れる。
「このモンスターは我々の情報を吸収し学習している!戦えば戦う程強くなる!迂回して逃げるぞ!決して特殊技能は見せるな!」
危機的状況を察したミカさんが皆に向かって叫ぶ。
咲耶がサクラに回復魔法をかけ全員が後ろへとジリジリ後退する。
「私が【影分身】を使って囮になるから、皆はその隙に出口まで走って!」
回避能力の高い私が囮になり皆が逃げる隙を作るしかない。
優先攻撃順位を稼ぐ為に3体の物体にそれぞれ小太刀で通常攻撃を加える。
ミカさんを模した影の体を小太刀の斬撃が接触する。
レアチーズケーキにフォークを通した様な手応えで小太刀の刃が貫通した瞬間に「ジジッ」と言う電子音の様な音が鳴る。
そして当然の様に聖属性を帯びた剣のカウンター斬撃の横薙ぎが来るが私は難無く回避する。
今までに感じた事の無い手応えで気持ち悪い、恐らくダメージは全く無い。
特殊技能を使わないで回避中心の戦闘をして皆の闘争する時間を稼ぐ。
暗黒神ハーデスの言う様にあの妙な物体は、攻撃パターンを学習し進化成長している様に感じる。
その為か私の回避スピードに着いて来ている気がする。
皆が村の入口付近に到達したのを確認し、この3体をどうやって巻くか考える。
敵は【縮地】を使えるからなぁ、仕方が無いが特殊技能を使用するしかない。
まずは囮様に【影分身】を使う。
そして【煙玉】を使用し煙幕で周囲の視界を奪って【粘着罠】を周囲に設置する。
そして分身体をその場に残し【縮地】の連続使用で逃げる。
「シノブ殿!早く来るでござる!」
「暗黒神ハーデス!入口を塞いで!」
【縮地】で皆の待機している場所に飛び込む。
村の入口で合流した所で暗黒神ハーデスが上位魔法で入口を破壊し村への道を閉ざして貰う。
・・・どうやら追ってくる事は無さそうだ。
「シノブ、大丈夫ですか?怪我はないか?」
瞬間的に複数の特殊技能を使用した事と、助かった安心感で少しよろける。
DOSが心配して手を引いてくれた。
流石に不気味で怖かった。
「このフロアにはもう侵入しない方が良いだろう。そもそも入口を塞いだ所で地上に這い上がってこない保証は無いがな。猫娘も国王に報告しておけ。」
「ねこむ・・・わ、分かりました。この塞がれた入口は厳重に封印し監視します。」
シャルは猫娘と言われた事が気に食わなかったのか少しムッとした表情をしていた。
猫娘は差別発言に捉われるのかな?
私達は遺跡の内部調査を終了し帰還する、外へ着く頃には夜の帳が降りていた。
「ん-空気が美味しい!」
丸1日遺跡ダンジョン内に潜っていたので感覚的では有るが、違った空気感や閉鎖的な空間からの解放感を感じる。
浜辺から吹く海風がそう感じさせるのかも知れない。
「とんでも無い目に遭ったでござる。」
「ええ、戦闘にすらならないモンスターとか反則です。」
「廃墟の守護者・・・・か」
入口の衛兵と話していたミカさんとシャルが驚いた様な声を上げて戻ってくる。
ミカさんの話では私達が遺跡内に入って出て来るまでに約1週間、捜索隊を出す所だったらしい。
しかし私達は1日しか中に入っていない。
外と内部の廃墟では時間の流れが違うのか?
色々な意味でこの遺跡は危険だと暗黒神ハーデスが話す。
確かに時間の流れが違うとかってプログラムのバグ所の話じゃない。
私達は奇妙な違和感を抱えながら遺跡を後にした。
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