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未実装大陸編
111話 掃溜め
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-アニマ国南端 古代遺跡-
早朝まだ日が昇らない時間に私達は遺跡に向けて出発をする。
丁度朝日が昇り始めた頃にシャルと6名の狼人間種の衛兵と合流し古代遺跡へと到着した。
遺跡地下へ続く入口を警備をしている衛兵達と警備を交代をした様で、案内してくれた6名の衛兵と別れ私達はシャルを先頭に遺跡の地下へ入って行った。
外側は石と瓦礫の山にしか見えなかったが地下へ続く階段は綺麗に加工された岩で造られており確実に人の手が加えられた建造物だった。
何事も無く3階層を下った所で先頭を歩くシャルが人差し指を立てて皆を静止する。
私の【索敵】に反応が有る。
シャルもサーチ系の特殊技能を持っているのだろう。
「40・・・50匹は居るね。」
「!・・・シノブさん分かるんですか?」
シャルが驚いた表情を浮かべる。
どうやら彼女は特殊技能では無く種族的な感覚で敵勢反応を感知している様だ。
「忍者だからね。久しぶりに運動がてら私が行っても良いよね。」
「シノ!僕も戦うからね!駄目って言っても戦うから!」
「私も水商売ばかりで体が鈍っているのでご一緒させて貰いますよ。」
私と咲耶とアルラトが名乗りを挙げるとミカさんは軽く頷き了承してくれる。
ここ最近は国営賭博場関係のアルバイトばかりしていたせいか運動不足が否めない。
そんな私達は少しテンションが上がっていた。
海賊に襲われた時も全然戦って無いしね。
咲耶とアルラトも表情に出る位ウズウズとしている様子。
・・・この2人はやはり戦闘狂の片鱗が有る。
「え!いや、危険です。ここは全員で行かないと!」
私達が3人で歩き出すとシャルが焦って止めようとするがサクラがそれを静止する。
「まぁ、見てるでござるよ。シノブ殿は強いでござる。」
「アルラト!私に続いてください!シノブは残物処理をお願いします!」
「おー!」「おっけぃ!」
アルラトが背中から影で出来た腕を6本に生やしシャルを驚かせる。
ええ、それが普通の反応です。
咲耶が岩場から駆け出すと蟻型のモンスターの触覚が生体反応を感知して動き騒めく。
鋼鉄で出来た鎧の様な高度の甲殻を持つ蟻型のモンスターが一斉に向かい掛かって来た。
アビスダンジョン地下で出現したのと同系統のモンスターだ。
群で行動し、性格は凶暴で強靭な顎は岩をも砕く攻撃力を誇る。
集団で襲われたら50レベル以下のプレイヤーはひとたまりも無い。
しかし咲耶にとっては日頃の鬱憤を晴らす格好の雑魚モンスターでしかない。
「さて、久々に暴れますか。」
咲耶は右手に【雷槌ミョルニル】を掲げ正面から【神ノ雷】で迎え撃つ。
室内や洞窟内では威力が半減するが、強力な雷が稲光と轟音を纏いながら放たれモンスターの軍隊を貫く。
雷撃に貫かれた前方の10匹は裏返り消滅する。
咲耶の横をアルラトが走り抜け、6本の腕に装備した【六道輪廻】で斬り込みながら突進していく。
大半のモンスターが切り刻まれるが即死したのは20匹程度。
生き残った20匹は私の暗殺特殊技能で倒す。
その間約5分。
早々に50匹殲滅した事でシャルが大層驚いていた。
「皆さん凄い!凄いです!めちゃくちゃ強いじゃないですか!」
「一応、英雄ですからね。」
「えっへん!」
咲耶とアルラトがドヤ顔で胸を張る。
それを見たシャルが尻尾を立てて大袈裟にはしゃぐ。
先程までの大人びた戦士の風格が消え、年齢相応の女の子の様に見えた。
私は思わず抱きしめたてしまいたくなるがグッと我慢し堪える。
しかし彼女のピョコピョコと動く猫耳を思わず両手で触ってしまい「えっ?」と言う顔をされてしまった。
・・・もうすぐ私は我慢の限界を超え抱きしめてしまう自信が有る。
遺跡探索部隊は更に下の階層で希少鉱石と複数の装飾品を見つけ、同時にモンスターの巣穴にぶつかり探索を断念していたらしい。
モンスターの群れを倒しながら更に下層へ下って行くと不思議な状況に置かれている事に気付く。
石造りの外壁がアビスダンジョンの様に黒い岩石で覆われた洞窟になったと思えば、赤い岩の炭鉱後の様な木材で補強された通路に変化したりと風景がコロコロ変化する。
「不思議な洞窟だね。」
「不思議と言うか不気味です。」
何度か昆虫型のモンスターの群に遭遇したが、嬉々として咲耶とアルラトが対処していた。
苦戦する事は無いがやたらと数が多い。
亜人種が人間種よりも基礎能力が高いとは言え、これだけの数を同時に相手をするのはきついだろう。
・
・
・
幾多に分かれた通路を下り、下層で発掘作業が行われていた場所を発見する。
遺跡の様な造りの人工物の残骸が立ち並び、作業道具や破れた衣服の破片に骨や武器等が散らばっていた。
そこに滞留していたモンスターの群を倒し更に下層を目指す。
「ここより下は未開の地になります。何が起こるか分かりませんので、皆さんも気を付けて下さい。」
私達はモンスターの群を倒しながら、更に下層へと下る。
とある通路で急に地面の色が白色に変化している場所に遭遇する。
まるで誰かが色分けした様に茶色から白色へと変化していた。
「ここなんか変ですね。」
「魔力・・・では無いが層の様な物を感じるな。」
今までの風景も変わっていたが、ここは更に異質だ。
暗黒神ハーデスが言うには、まるでここから別のダンジョンに繋がっている様な印象をうけると話していた。
「とにかく進んでみましょう。」
茶色い地面から白色の地面に足を踏み入れた瞬間に気圧が変化した様な鼓膜の圧迫感を感じた。
石で出来た人工物を退かしながら通路を確保して進む。
劣化した人工物を越えて行くと明らかに階段の形をした足場を発見し、そこを降りて行くと不思議な風景に突き当たる。
辿り着いたフロアは、なんと空が有る廃墟の村の様な風景が広がっていた。
そして更に異常なのが体が部分的に欠損したマネキンの様な物体がそこかしこに立ち並んでいた。
・・・・明らかに変だ、普通のダンジョン構造じゃない。
「まるで造り掛けの様な場所ですね。こう不完全と言うか・・・失敗作の様な。」
「うむ、ミカエルの見解は間違い無いだろう。我もそう感じていた、このマネキンもNPCデータの残滓だ。さしずめ情報の掃溜めと言った所か。」
ミカさんと暗黒神ハーデスが言うにはゲーム情報の残骸や不完全な物が置いて有る場所じゃないかと言う。
ゴミ処理場とかゴミ収集場の様な感じだろうか?
「刺身の破材で造った海鮮丼の様な物ですか?」
「海鮮丼?ってなーにサクヤ?」
「咲耶殿、余計に分かりにくい例えになってるでござるよ。」
「じゃ、この空や廃墟もダンジョンの中で何処かのフィールドデータの残骸って事?」
この大陸自体ゲームでは未実装だったけれど、この古代遺跡は未実装データの残滓が行きついた「掃溜め」の様な場所だと言う事か。
暗黒神ハーデスは更に下層は何が起こるか見当も付かないと言っていた。
しかし当の本人は下層への入口を探している様だった。
多分、好奇心の方が強いんだろう。
正直な所、私はこの場所が不気味で怖い。
「シノ!これ見て!」
アルラトが地面に放置して有る家具や道具に触ると、四角いブロックノイズの様なエフェクトと共に消滅する。
しばらくすると何事も無かった様に消えたオブジェクトが出現すると言う不思議な現象が起きていた。
普通の見た目のティーカップが片手では持てない様な重さだったり、同じ台詞を繰り返しブツブツと喋る不気味なマネキンが埋まっていたりと不気味で不思議な空間が広がっていた。
私達は手分けをして、この奇妙なフロアを散策する事にした。
早朝まだ日が昇らない時間に私達は遺跡に向けて出発をする。
丁度朝日が昇り始めた頃にシャルと6名の狼人間種の衛兵と合流し古代遺跡へと到着した。
遺跡地下へ続く入口を警備をしている衛兵達と警備を交代をした様で、案内してくれた6名の衛兵と別れ私達はシャルを先頭に遺跡の地下へ入って行った。
外側は石と瓦礫の山にしか見えなかったが地下へ続く階段は綺麗に加工された岩で造られており確実に人の手が加えられた建造物だった。
何事も無く3階層を下った所で先頭を歩くシャルが人差し指を立てて皆を静止する。
私の【索敵】に反応が有る。
シャルもサーチ系の特殊技能を持っているのだろう。
「40・・・50匹は居るね。」
「!・・・シノブさん分かるんですか?」
シャルが驚いた表情を浮かべる。
どうやら彼女は特殊技能では無く種族的な感覚で敵勢反応を感知している様だ。
「忍者だからね。久しぶりに運動がてら私が行っても良いよね。」
「シノ!僕も戦うからね!駄目って言っても戦うから!」
「私も水商売ばかりで体が鈍っているのでご一緒させて貰いますよ。」
私と咲耶とアルラトが名乗りを挙げるとミカさんは軽く頷き了承してくれる。
ここ最近は国営賭博場関係のアルバイトばかりしていたせいか運動不足が否めない。
そんな私達は少しテンションが上がっていた。
海賊に襲われた時も全然戦って無いしね。
咲耶とアルラトも表情に出る位ウズウズとしている様子。
・・・この2人はやはり戦闘狂の片鱗が有る。
「え!いや、危険です。ここは全員で行かないと!」
私達が3人で歩き出すとシャルが焦って止めようとするがサクラがそれを静止する。
「まぁ、見てるでござるよ。シノブ殿は強いでござる。」
「アルラト!私に続いてください!シノブは残物処理をお願いします!」
「おー!」「おっけぃ!」
アルラトが背中から影で出来た腕を6本に生やしシャルを驚かせる。
ええ、それが普通の反応です。
咲耶が岩場から駆け出すと蟻型のモンスターの触覚が生体反応を感知して動き騒めく。
鋼鉄で出来た鎧の様な高度の甲殻を持つ蟻型のモンスターが一斉に向かい掛かって来た。
アビスダンジョン地下で出現したのと同系統のモンスターだ。
群で行動し、性格は凶暴で強靭な顎は岩をも砕く攻撃力を誇る。
集団で襲われたら50レベル以下のプレイヤーはひとたまりも無い。
しかし咲耶にとっては日頃の鬱憤を晴らす格好の雑魚モンスターでしかない。
「さて、久々に暴れますか。」
咲耶は右手に【雷槌ミョルニル】を掲げ正面から【神ノ雷】で迎え撃つ。
室内や洞窟内では威力が半減するが、強力な雷が稲光と轟音を纏いながら放たれモンスターの軍隊を貫く。
雷撃に貫かれた前方の10匹は裏返り消滅する。
咲耶の横をアルラトが走り抜け、6本の腕に装備した【六道輪廻】で斬り込みながら突進していく。
大半のモンスターが切り刻まれるが即死したのは20匹程度。
生き残った20匹は私の暗殺特殊技能で倒す。
その間約5分。
早々に50匹殲滅した事でシャルが大層驚いていた。
「皆さん凄い!凄いです!めちゃくちゃ強いじゃないですか!」
「一応、英雄ですからね。」
「えっへん!」
咲耶とアルラトがドヤ顔で胸を張る。
それを見たシャルが尻尾を立てて大袈裟にはしゃぐ。
先程までの大人びた戦士の風格が消え、年齢相応の女の子の様に見えた。
私は思わず抱きしめたてしまいたくなるがグッと我慢し堪える。
しかし彼女のピョコピョコと動く猫耳を思わず両手で触ってしまい「えっ?」と言う顔をされてしまった。
・・・もうすぐ私は我慢の限界を超え抱きしめてしまう自信が有る。
遺跡探索部隊は更に下の階層で希少鉱石と複数の装飾品を見つけ、同時にモンスターの巣穴にぶつかり探索を断念していたらしい。
モンスターの群れを倒しながら更に下層へ下って行くと不思議な状況に置かれている事に気付く。
石造りの外壁がアビスダンジョンの様に黒い岩石で覆われた洞窟になったと思えば、赤い岩の炭鉱後の様な木材で補強された通路に変化したりと風景がコロコロ変化する。
「不思議な洞窟だね。」
「不思議と言うか不気味です。」
何度か昆虫型のモンスターの群に遭遇したが、嬉々として咲耶とアルラトが対処していた。
苦戦する事は無いがやたらと数が多い。
亜人種が人間種よりも基礎能力が高いとは言え、これだけの数を同時に相手をするのはきついだろう。
・
・
・
幾多に分かれた通路を下り、下層で発掘作業が行われていた場所を発見する。
遺跡の様な造りの人工物の残骸が立ち並び、作業道具や破れた衣服の破片に骨や武器等が散らばっていた。
そこに滞留していたモンスターの群を倒し更に下層を目指す。
「ここより下は未開の地になります。何が起こるか分かりませんので、皆さんも気を付けて下さい。」
私達はモンスターの群を倒しながら、更に下層へと下る。
とある通路で急に地面の色が白色に変化している場所に遭遇する。
まるで誰かが色分けした様に茶色から白色へと変化していた。
「ここなんか変ですね。」
「魔力・・・では無いが層の様な物を感じるな。」
今までの風景も変わっていたが、ここは更に異質だ。
暗黒神ハーデスが言うには、まるでここから別のダンジョンに繋がっている様な印象をうけると話していた。
「とにかく進んでみましょう。」
茶色い地面から白色の地面に足を踏み入れた瞬間に気圧が変化した様な鼓膜の圧迫感を感じた。
石で出来た人工物を退かしながら通路を確保して進む。
劣化した人工物を越えて行くと明らかに階段の形をした足場を発見し、そこを降りて行くと不思議な風景に突き当たる。
辿り着いたフロアは、なんと空が有る廃墟の村の様な風景が広がっていた。
そして更に異常なのが体が部分的に欠損したマネキンの様な物体がそこかしこに立ち並んでいた。
・・・・明らかに変だ、普通のダンジョン構造じゃない。
「まるで造り掛けの様な場所ですね。こう不完全と言うか・・・失敗作の様な。」
「うむ、ミカエルの見解は間違い無いだろう。我もそう感じていた、このマネキンもNPCデータの残滓だ。さしずめ情報の掃溜めと言った所か。」
ミカさんと暗黒神ハーデスが言うにはゲーム情報の残骸や不完全な物が置いて有る場所じゃないかと言う。
ゴミ処理場とかゴミ収集場の様な感じだろうか?
「刺身の破材で造った海鮮丼の様な物ですか?」
「海鮮丼?ってなーにサクヤ?」
「咲耶殿、余計に分かりにくい例えになってるでござるよ。」
「じゃ、この空や廃墟もダンジョンの中で何処かのフィールドデータの残骸って事?」
この大陸自体ゲームでは未実装だったけれど、この古代遺跡は未実装データの残滓が行きついた「掃溜め」の様な場所だと言う事か。
暗黒神ハーデスは更に下層は何が起こるか見当も付かないと言っていた。
しかし当の本人は下層への入口を探している様だった。
多分、好奇心の方が強いんだろう。
正直な所、私はこの場所が不気味で怖い。
「シノ!これ見て!」
アルラトが地面に放置して有る家具や道具に触ると、四角いブロックノイズの様なエフェクトと共に消滅する。
しばらくすると何事も無かった様に消えたオブジェクトが出現すると言う不思議な現象が起きていた。
普通の見た目のティーカップが片手では持てない様な重さだったり、同じ台詞を繰り返しブツブツと喋る不気味なマネキンが埋まっていたりと不気味で不思議な空間が広がっていた。
私達は手分けをして、この奇妙なフロアを散策する事にした。
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