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未実装大陸編
110話 裸の王様
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シノブ・・・ シノブ・・・・
私の目の前に手を差し出される。
この手を握れば・・・・
ザザッ・・・
ノイズが走る。
瞬間、私は汗だくで目を開ける。
・・・寝苦しさと悪夢によって目が覚める。
夢の内容は全く覚えてはいないが悪夢を見た様な気がする。
薄いカーテンから朝日が室内を照らしているのが分かる。
多分7時位だろうか?悪夢を見たのに思い出せないのはモヤモヤした気分で気持ちが悪い。
今まで見た夢で1番怖かった夢は中学校3年生の時に自分の歯がボロボロと抜け落ちる夢を見た時だ。
1本抜け落ちると歯を固定している歯茎のバランスが失われる様に1本、また1本と抜ける・・・妙に現実感が有り超気分が悪い夢だ。
夢占いを信じる訳じゃないが気になってググって見ると吉凶両方のパターンが有りイマイチ掴み所の無い内容だった。
今感じている不快感に似た寝起きの感覚はその夢に近い様な気がする。
ハンモックが合わなかったのだろうか?
ボーッとした頭を掻きながら大きなアクビをして体を伸ばす。
「シノ、おはよう!お腹すいた!!」
アルラトは今日も元気な様子だ。
私もシャワーを浴びて寝汗を落し軽装に着替える。
取り敢えず皆と合流して朝食をとりに行こう。
DOSに留守番をお願いして近くの食事処でモーニングと洒落込む。
温かな気候と朝日の中で緩やかな海風を感じながら、サラダとフィッシュバガーに似た朝食を取り青い空を眺める。
宿泊施設の方からDOSと昨日知り合った戦士部門長のシャルが歩いて来た。
あらら、お早いお着きで・・・
流石にシャツと短パンの様な格好で王様に謁見とかは駄目だろうとか考えていたが、シャルは笑顔で「そのままで大丈夫ですよ」と言っていた。
王様はかなり適当な人物らしく堅苦しい方が会ってくれ無いらしい。
本当に良いのかなぁ?
サクラと咲耶は昨日買った水着だし、まさか彼らは昨日から一切着替えてないんじゃなかろうか・・・
シャルに案内されて島の中央に聳え立つアニマ城へ向かい森の道を進む。
道中の道にはモンスターが出る事は無と言う。
理由を聞くと街や舗装済の道路の下にはモンスター除けの「結界石」という謎のアイテムが使われているらしく、森の奥深くや洞窟や風穴にでも入らない限りモンスターに遭遇する事は無いそうだ。
当然暗黒神ハーデスも知らない謎技術だ。
シャルに詳しく説明を受けている間に火山のクレーターの中央に造られたアニマ城に着いた。
この島は火山活動により出来た島らしく今は噴火は一切無く、大きな地震も無いらしい。
DOSが言うには「単成火山」と言う聞きなれない単語で説明してくれた。
何でも1度の噴火で出来た島の事を言うらしい。
「ごくろうさま!開けてくれ。」
城門を守護する2名の狼人間種の衛兵に向けてシャルが軽く手を振ると3メートルは有る城門が開かれ、城内に招き入れられる。
綺麗に整えられた中庭を抜けて待機していた数名の兵士に案内され場内に有る謁見の間へと導かれる。
1つの大きめの玉座に座っているのは普通の2匹の白猫だった。
シャルは「お連れしました。」と言って玉座の猫に膝ま付く。
え!?この猫が王様!?
もう1匹は王妃様?
少し動揺したが私達はシャルに習い玉座の前で膝ま付き様子を伺う。
「国王様、昨日お話しした英雄「深紅の薔薇」の方々です!」
シャルが立ち上がり、胸に手を添えて敬礼をする。
頭にぶかぶかの王冠を被っている方が王様で隣に肩を寄せているのが王妃だろうか?
そっと皆の表情を見るとギョっとし表情や呆然とした表情で王様の言葉を待っている様だ。
「にゃにゃ!にゃーん!にゃん!にゃにゃん!」
開口1番が猫の鳴き声そのものだった為、思わず全員が前のめりにズッコケる。
私的には超可愛くてたまらないんだけど!
今すぐ抱きしめたいが下手したら打ち首とかになりそうなので湧き上がるインパルスをグッと抑える。
「・・・・国王様。英雄の皆様を揶揄うのはソロソロお止め下さい。」
黙っていたシャルが不意に王様にツッコミを入れると、王様にニコっと微笑み改めて此方を見据えながら姿勢を正す。
良く見ると凄く気品が有り、艶の有る毛並みと2又に分かれた尻尾に宝石の様に赤い瞳をしている。
この国の国王は猫寄りの猫人間種だった。
「ごめんごめん、久しぶりのお客様だからね。緊張を解こうかと思ってさ。」
「お戯れを。周りの近衛兵も少し引いてますよ。」
ああ、ビックリした。
普通に喋れるのか、猫語とか存在するのかと思った。
ってか王様って衣類を一切着用されていない様なのですが、もしかして常時裸なのだろうか?
後でこっそりシャルに聞いてみよう。
・・・しかし可愛い。
抱きしめたい。
「それには及びませんよ、私は服を着るのが嫌いでね。後、隣のこの子は愛人です。」
私は王様と目が合いハッと驚く。
ルビーの様に赤い瞳が綺麗で吸い込まれそうだ。
無意識に口に出していた?
いや違う私は喋っていない。
偶然だろうか?
隣の咲耶も何故か驚いた様な表情を浮かべている。
「簡潔に答えると私は心が読めます。でも、人間種は不思議ですね、初対面の私にも大抵の方は好意を持って下さるのですから。喜んで抱きしめて貰いますよ。」
「ちょっ!国王!」
国王の唐突な発言にシャルが焦った様な口ぶりをする。
心を読む・・・だと。
さっき服を着ていないと考えていたのが伝わって、先手を打たれて答えられたって事か。
もしかして隣の咲耶は、国王の隣の猫は誰なのかと考えていたのだろうか。
・・・ってか抱きしめたいとかも読まれたのか?超恥ずかしい。
「あの、お・・・王様、私を公開処刑にするのは止めてくださいね。」
王様は「にゃにゃにゃ!」と玉座の上で笑い転げ上機嫌な様子だった。
あー恥ずかしい。
考えた事が読まれるなら隠し事しても意味が無いので切り替えて普通に喋ってやろうと思った。
「すみません、王様が喋れる事は口止めされていましたので。しかし、自ら能力をバラすとは・・・」
シャルは溜息を付きながら申し明け無さそうに頭を下げる。
こういう事態を何度か経験しているのか少し呆れている感も否めない。
王様は全く悪びれる事無く終始ニコニコしている。
「心を読めるなんて凄いでござるな。超能力者・・・超能力猫と言った所でござるな。」
「ええ、全くです。サクラのピンク色の脳内思考が流れ込むのは苦痛でしょうね。」
「サクラ、咲耶。王様の御前だぞ、失礼な事を言うな。」
DOSが2人を窘める。
確かに失礼だ、しかし本音が全て筒抜けなので建前を喋っても無駄な事は兵士も含め全員が知っている事だろう。
だから多分王様も気軽な感じで話し掛けてきているんだろう。
「そうそう別に構わないにゃ、皆さんは悪人じゃないにゃ。」
うん、また心を読まれた。
もう気にするだけ無駄です。
「緊張が解けたと思ったら、また別の緊張が襲ってきた感じ。」
心が読めるとはいえ礼儀を欠く訳にはいかない。
私達は改めて各々自己紹介を済ませる。
王様の名前は「アルフォンス」と言う名前で人間種の年齢で25歳位との事だった。
王様は他国から来る初対面の者には、こういった演技をして相手の思考を読むらしい。
不審者や悪どい行商人等から国を守る為に様子を見るとの事だった。
王様の能力を知っているのはこの部屋に居る近衛兵とシャルと数名の部門長のみで門外不出の極秘事項らしい。
英雄の称号を持つ者達の脳内反応が予想以上だったので嬉しくて、つい自らネタバレをしてしまったと語る。
私達の心を読んだらしく遺跡調査の話を王様の方から振って来た。
何でも遺跡の奥に強力なモンスターの巣が有り、国の兵士や腕の立つ冒険者達でも逃げ帰る程強力なモンスターが数多く巣くっているそうだ。
発掘作業が進まない状況だった為、王様から快く許可を頂きシャル同伴の基であればいつでも遺跡調査が出来る様にしてくれる運びとなった。
シャルに王様の能力は一応口止めをされた。
まぁ言っても信じて貰えないと思うけどね。
初見殺しの能力なのは確かだし対策が出来そうなのも分かるから口外しない事を王様の前で誓う。
後、何故か暗黒神ハーデスの事が随分興味深いらしく頻りにアニマ城に住んで魔法隊長にならないかと誘っていた。
暗黒神ハーデスは断っていたが個人的に王様の【心が読める】特殊技能なのか特殊才能分からない能力には興味が有る様だった。
多分それも見抜かれた上で勧誘しているのだと思う。
私達は王様に気に入られたのか大層な歓迎パーティーで持て成して頂き、1晩アニマ城で過ごす
そして明日は早朝から古代遺跡探索へ向かう為に計画と立てて準備をする事になった。
私の目の前に手を差し出される。
この手を握れば・・・・
ザザッ・・・
ノイズが走る。
瞬間、私は汗だくで目を開ける。
・・・寝苦しさと悪夢によって目が覚める。
夢の内容は全く覚えてはいないが悪夢を見た様な気がする。
薄いカーテンから朝日が室内を照らしているのが分かる。
多分7時位だろうか?悪夢を見たのに思い出せないのはモヤモヤした気分で気持ちが悪い。
今まで見た夢で1番怖かった夢は中学校3年生の時に自分の歯がボロボロと抜け落ちる夢を見た時だ。
1本抜け落ちると歯を固定している歯茎のバランスが失われる様に1本、また1本と抜ける・・・妙に現実感が有り超気分が悪い夢だ。
夢占いを信じる訳じゃないが気になってググって見ると吉凶両方のパターンが有りイマイチ掴み所の無い内容だった。
今感じている不快感に似た寝起きの感覚はその夢に近い様な気がする。
ハンモックが合わなかったのだろうか?
ボーッとした頭を掻きながら大きなアクビをして体を伸ばす。
「シノ、おはよう!お腹すいた!!」
アルラトは今日も元気な様子だ。
私もシャワーを浴びて寝汗を落し軽装に着替える。
取り敢えず皆と合流して朝食をとりに行こう。
DOSに留守番をお願いして近くの食事処でモーニングと洒落込む。
温かな気候と朝日の中で緩やかな海風を感じながら、サラダとフィッシュバガーに似た朝食を取り青い空を眺める。
宿泊施設の方からDOSと昨日知り合った戦士部門長のシャルが歩いて来た。
あらら、お早いお着きで・・・
流石にシャツと短パンの様な格好で王様に謁見とかは駄目だろうとか考えていたが、シャルは笑顔で「そのままで大丈夫ですよ」と言っていた。
王様はかなり適当な人物らしく堅苦しい方が会ってくれ無いらしい。
本当に良いのかなぁ?
サクラと咲耶は昨日買った水着だし、まさか彼らは昨日から一切着替えてないんじゃなかろうか・・・
シャルに案内されて島の中央に聳え立つアニマ城へ向かい森の道を進む。
道中の道にはモンスターが出る事は無と言う。
理由を聞くと街や舗装済の道路の下にはモンスター除けの「結界石」という謎のアイテムが使われているらしく、森の奥深くや洞窟や風穴にでも入らない限りモンスターに遭遇する事は無いそうだ。
当然暗黒神ハーデスも知らない謎技術だ。
シャルに詳しく説明を受けている間に火山のクレーターの中央に造られたアニマ城に着いた。
この島は火山活動により出来た島らしく今は噴火は一切無く、大きな地震も無いらしい。
DOSが言うには「単成火山」と言う聞きなれない単語で説明してくれた。
何でも1度の噴火で出来た島の事を言うらしい。
「ごくろうさま!開けてくれ。」
城門を守護する2名の狼人間種の衛兵に向けてシャルが軽く手を振ると3メートルは有る城門が開かれ、城内に招き入れられる。
綺麗に整えられた中庭を抜けて待機していた数名の兵士に案内され場内に有る謁見の間へと導かれる。
1つの大きめの玉座に座っているのは普通の2匹の白猫だった。
シャルは「お連れしました。」と言って玉座の猫に膝ま付く。
え!?この猫が王様!?
もう1匹は王妃様?
少し動揺したが私達はシャルに習い玉座の前で膝ま付き様子を伺う。
「国王様、昨日お話しした英雄「深紅の薔薇」の方々です!」
シャルが立ち上がり、胸に手を添えて敬礼をする。
頭にぶかぶかの王冠を被っている方が王様で隣に肩を寄せているのが王妃だろうか?
そっと皆の表情を見るとギョっとし表情や呆然とした表情で王様の言葉を待っている様だ。
「にゃにゃ!にゃーん!にゃん!にゃにゃん!」
開口1番が猫の鳴き声そのものだった為、思わず全員が前のめりにズッコケる。
私的には超可愛くてたまらないんだけど!
今すぐ抱きしめたいが下手したら打ち首とかになりそうなので湧き上がるインパルスをグッと抑える。
「・・・・国王様。英雄の皆様を揶揄うのはソロソロお止め下さい。」
黙っていたシャルが不意に王様にツッコミを入れると、王様にニコっと微笑み改めて此方を見据えながら姿勢を正す。
良く見ると凄く気品が有り、艶の有る毛並みと2又に分かれた尻尾に宝石の様に赤い瞳をしている。
この国の国王は猫寄りの猫人間種だった。
「ごめんごめん、久しぶりのお客様だからね。緊張を解こうかと思ってさ。」
「お戯れを。周りの近衛兵も少し引いてますよ。」
ああ、ビックリした。
普通に喋れるのか、猫語とか存在するのかと思った。
ってか王様って衣類を一切着用されていない様なのですが、もしかして常時裸なのだろうか?
後でこっそりシャルに聞いてみよう。
・・・しかし可愛い。
抱きしめたい。
「それには及びませんよ、私は服を着るのが嫌いでね。後、隣のこの子は愛人です。」
私は王様と目が合いハッと驚く。
ルビーの様に赤い瞳が綺麗で吸い込まれそうだ。
無意識に口に出していた?
いや違う私は喋っていない。
偶然だろうか?
隣の咲耶も何故か驚いた様な表情を浮かべている。
「簡潔に答えると私は心が読めます。でも、人間種は不思議ですね、初対面の私にも大抵の方は好意を持って下さるのですから。喜んで抱きしめて貰いますよ。」
「ちょっ!国王!」
国王の唐突な発言にシャルが焦った様な口ぶりをする。
心を読む・・・だと。
さっき服を着ていないと考えていたのが伝わって、先手を打たれて答えられたって事か。
もしかして隣の咲耶は、国王の隣の猫は誰なのかと考えていたのだろうか。
・・・ってか抱きしめたいとかも読まれたのか?超恥ずかしい。
「あの、お・・・王様、私を公開処刑にするのは止めてくださいね。」
王様は「にゃにゃにゃ!」と玉座の上で笑い転げ上機嫌な様子だった。
あー恥ずかしい。
考えた事が読まれるなら隠し事しても意味が無いので切り替えて普通に喋ってやろうと思った。
「すみません、王様が喋れる事は口止めされていましたので。しかし、自ら能力をバラすとは・・・」
シャルは溜息を付きながら申し明け無さそうに頭を下げる。
こういう事態を何度か経験しているのか少し呆れている感も否めない。
王様は全く悪びれる事無く終始ニコニコしている。
「心を読めるなんて凄いでござるな。超能力者・・・超能力猫と言った所でござるな。」
「ええ、全くです。サクラのピンク色の脳内思考が流れ込むのは苦痛でしょうね。」
「サクラ、咲耶。王様の御前だぞ、失礼な事を言うな。」
DOSが2人を窘める。
確かに失礼だ、しかし本音が全て筒抜けなので建前を喋っても無駄な事は兵士も含め全員が知っている事だろう。
だから多分王様も気軽な感じで話し掛けてきているんだろう。
「そうそう別に構わないにゃ、皆さんは悪人じゃないにゃ。」
うん、また心を読まれた。
もう気にするだけ無駄です。
「緊張が解けたと思ったら、また別の緊張が襲ってきた感じ。」
心が読めるとはいえ礼儀を欠く訳にはいかない。
私達は改めて各々自己紹介を済ませる。
王様の名前は「アルフォンス」と言う名前で人間種の年齢で25歳位との事だった。
王様は他国から来る初対面の者には、こういった演技をして相手の思考を読むらしい。
不審者や悪どい行商人等から国を守る為に様子を見るとの事だった。
王様の能力を知っているのはこの部屋に居る近衛兵とシャルと数名の部門長のみで門外不出の極秘事項らしい。
英雄の称号を持つ者達の脳内反応が予想以上だったので嬉しくて、つい自らネタバレをしてしまったと語る。
私達の心を読んだらしく遺跡調査の話を王様の方から振って来た。
何でも遺跡の奥に強力なモンスターの巣が有り、国の兵士や腕の立つ冒険者達でも逃げ帰る程強力なモンスターが数多く巣くっているそうだ。
発掘作業が進まない状況だった為、王様から快く許可を頂きシャル同伴の基であればいつでも遺跡調査が出来る様にしてくれる運びとなった。
シャルに王様の能力は一応口止めをされた。
まぁ言っても信じて貰えないと思うけどね。
初見殺しの能力なのは確かだし対策が出来そうなのも分かるから口外しない事を王様の前で誓う。
後、何故か暗黒神ハーデスの事が随分興味深いらしく頻りにアニマ城に住んで魔法隊長にならないかと誘っていた。
暗黒神ハーデスは断っていたが個人的に王様の【心が読める】特殊技能なのか特殊才能分からない能力には興味が有る様だった。
多分それも見抜かれた上で勧誘しているのだと思う。
私達は王様に気に入られたのか大層な歓迎パーティーで持て成して頂き、1晩アニマ城で過ごす
そして明日は早朝から古代遺跡探索へ向かう為に計画と立てて準備をする事になった。
応援ありがとうございます!
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