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伝説の武器編

105話 アルバイト再び

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-機械都市ギュノス国 国営賭博場カジノ-

昨日所持金がゼロになったギルド「深紅の薔薇」のメンバーはクラブバーグラズヘイムの仮眠施設を利用させて貰い、翌日から働く契約をした。

私達は国営賭博場カジノ内施設でそれぞれ3日間アルバイトをする事となる。

DOSどっちゃんはカードテーブルのディーラー。
私は国営賭博場カジノの用意した特別ブースでゲストとしてサイン会と握手会。

ミカさんとサクラと咲耶と暗黒神ハーデスハーちゃんとアルラトはクラブバー〖グラズヘイム〗で男装キャストとして働く事となった。

私達は準備を済ませ、それぞれ仕事の配置場所に分かれて行った。

ミカさんは国営賭博場カジノフロアで働くと言っていたが、彼の容姿とスタイルを他のメンバーとグラズヘイムの支配人が見逃すはずが無く無理矢理引きずられる様に連れていかれた。
客層が良いお店なのでミカさんも気に入ると思うけどね。

DOSどっちゃんは手先が器用な為、見事な手捌きでカードディーラーの仕事を簡単にこなしAIオーナーから本業として就職しないかと促されていた。

私はフロア仕事をお願いしたがガドラさんの提案で何故かサイン&握手会・写真撮影会をする運びとなった。

私のサインなど誰が欲しがるのかと思っていたら最後尾2時間待ちの行列が出来てしまった。

「嘘だろ・・・マジかよ。」

●イオハザード7でムカデの集団に出会った時の主人公の台詞が自然と口から漏れ出る。

まずサインを書き、手渡し握手をした後要望が有れば写真撮影。
色紙代500ゴールド写真代はデジタルデータ印刷代1000ゴールドと言う設定らしい。

そもそもこの国の住民なら入場に1万ゴールド掛かる。
つまりギュノス国民の最低価格は10500ゴールドな訳だ。

他国から来た人が500ゴールドで色紙を仕入れ、公営競売場オークションに出品すれば大儲け出来るのでは・・・?

ハッ!もしかして公営競売場オークションの手数料も含めて国ぐるみの金銭徴収戦略では無いだろうか?

転売する側も実はマザーブレインの手の上と・・・深く考えるのはよそう。
下手すると消される案件かも知れない。

この増え続ける行列を捌くのに何時間かかるのだろう。

むしろ私の利き腕が部位破壊されるんじゃないだろうかと言ったらガドラさんが「回復魔法はお任せください。」と自身の胸を叩いていた。

うん、逃がしてくれる気は無さそうだ。

皆もそれぞれの場所で仕事に勤しんでいる事だろう。
ゲームで存在したギルドチャットの様に簡易的な通信手段があれば良かったのに。

しかし、これだけ科学の発達したこの世界に携帯電話が存在しないのは不思議だ。
通信系統に関しては半分魔法技術の応用が使われているとガドラさんが話していた。

暗黒神討伐の報告は国内ではテレビモニター的な機械で近隣の村々にも報道されたらしいが、他の諸外国には手紙と口伝で伝わっていると話していた。

正直、ゲームの時に様に個人やギルド間での通信手段が欲しい所だ。




慌ただしい1日が終わり、私だけが何故かグッタリしていた。
足腰と手が痛い・・・握手したり立ったり座ったりを繰り返していたからだろう。

咲耶が回復魔法を掛けてくれている。
サクラがマッサージを志願して来たが即行で却下した。

少し前まで超VIPルームに暮らしていたとは思えない様な狭い仮眠室で私達は本日の反省会・・・ギルド会議を行っていた。

私は昨日の老婆の件を皆に伝える。
ミカさんには以前の出来事自体伝えて無かった事を思い出し、再度順序立てて詳しく伝える。

「シノブしか見ていない予言者を語る老婆か・・・しかもマザーブレインが保有している映像データ自体が消えている・・・と。」

「昨日も老婆の言う通りに行動したらジャックポッドが出たんだよ。」


今でも俄かに信じられないが、そのおかげで【森羅万象しんらばんしょう】を落札出来たのだ。

「・・・・・」

「以前シノブ殿とも話していたでござるが、ゲームマスターの具現化存在みたいでござろう?」

「ふむ、ハーデスの見解を聞きたいですね。ゲームマスター的な能力を持ち自立したAIは存在するのですか?」

「ふん、そんな代物がゲーム内に実装出来たのであればサービス終了どころかノーベル物理学賞物ではないか。それこそ、まさに本物の神ではないか!」

時系列で纏めるとオスロウの街の裏路地で【黒猫スーツ】の擬態能力を看破され、洞窟のレッドドラゴン討伐を推奨される。

その後オスロウ国・ハイメス国・ギュノス国の3国の封印宝玉を破壊。

国営賭博場カジノにて時間停止能力後にジャックポッド方法を予言後消失。

こんな所だろうか?

宝玉の件は各国で破壊を確認済でマザーブレインの映像データには老婆が映っていたとの事だが映像データ自体が消えていた。

いや故意に消されたのか不明だが同一人物の確認は出来ていないのが現状だ。
そして、今回も映像データは残っていなかった。

「でも、良く考えたら拙者達にはデメリットが無いでござるな。」

「まぁ・・・ねぇ、ドラゴン討伐はしていないけどね。」

「宝玉破壊もイベントフラグを進める為の必須行動ですからね。もしかしたら我々を良い意味でサポートしてくれているのでは?」

咲耶の言う事に皆が同意する。

相変わらず暗黒神ハーデスハーちゃんは納得が言って無い表情だ。

アルラトは何かの本を読んでいて話に参加はしてない。
会話内容には無関心の様だ。

超越したAI、彼女が1番似ている存在の様な気がするのは気のせいだろうか?

いつもの様に結局情報が少ない為、何も解決しないまま夜は更け皆で就寝する。




2日目も国営賭博場カジノは満員御礼。

慌ただしく過ぎて行く。
その日の夜にオスロウ騎士のクリス君とシグが現れて国に帰還すると報告して旅立っていった。

3日目ともなると客数も落ち着いてきて比較的ゆったりとフロア仕事に従事出来ていた。

グラズヘイム組は常に満員御礼で大変そうだったが仕事において忙しいのは良い事だミカさんが言っていた。

ミカさんに大半の固定客を取られた咲耶はかなり悔しがっていた。

独自ルートの俺様系営業の暗黒神ハーデスハーちゃんは強い顧客を持っていたのでミカさんに奪われる事は無かった様だ。

・・・いや、あれは顧客と言うより信者とでも言うのだろうか?
甘い!あれは狂信者だ。

新しい宗教と言っても過言では無い位の狂信者っぷりだ。
私は密かに「壁ドン教」と名付けていた。

信者の漢字を「しん」じる+「もの」を組み合わせて「もうける」と書くのは凄く皮肉が効いてるなと感心してしまう。

アルラトもショタ好きの固定客を武器にミカさんの監視の基、良く働いて居るらしい。

そして国営賭博場カジノのオーナーAIとグラズヘイムの支配人に惜しまれながら私達の3日間のアルバイト生活は幕を閉じたのだった。
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