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伝説の武器編
101話 サブクエスト攻略組
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-機械都市ギュノス国 西の洞窟-
マザーブレインの特別依頼を労働組合で引き受けた僕達は機械都市ギュノス国の西に位置する洞窟に来ていた。
大まかに分類するとSランクの巨大モンスター討伐と複数の鉱石採集の依頼になる。
僕達は圧倒的強さで洞窟内の雑魚モンスターを一層しドロップアイテムや素材、依頼を受けた鉱石の採集を終え休憩をしていた。
2日間という縛りが無ければアビスダンジョン下層で素材集めをした方が簡単に稼げるのだが、ゲームとは違い到着する頃に制限時間が来てしまう。
マザーブレインの特別依頼は「深紅の薔薇」を名指しで依頼する高額クエストで、その全て受諾し片っ端からクリアしている。
「シノブは大丈夫だろうか、変な客に柔肌を触られたり成金豚に口説かれたりして無いか不安だ。」
「なっ!DOS殿、妙な事を言うでない!シノブ殿は身心共に強いから大丈夫でござる!」
Bグループはクラブバーで高額のアルバイトをすると話していたが、良く考えたら職業ジャンル的に風俗系の仕事じゃないか。
シノブは高校2年の未成年だ。
DOSが心配するのも無理は無い。
精神的には高校生だが、ゲームのキャラクターを反映したこの肉体的は果たしてどうなのだろうか?
そして、この世界の成人が何歳の設定なのかは知らないが妙なトラブルに巻き込まれないと良いけど。
焚火の火中の木材がパチッと爆ぜる音が静かな洞窟に響く、普通は洞窟の様な閉鎖空間で焚火をする事は無い。
広大な洞窟の一部に吹き抜け構造になった場所が有り、空が見えている場所が有った。
その為、僕達は火を起して休憩をしている訳だ。
焚火の炎を眺めながら僕は2人の会話に耳を傾ける。
ゲームでは感じる事の出来なかった本当の旅をしている感覚を味わう。
「咲耶殿が話していたでござるが、シノブ殿と近くの村で給仕のバイトをしていた時に客に尻を触られた時に客の腕を脱臼させたらしいでござるよ。」
「ふむ、手加減が上達していると言う事だな。」
「え?いや、そこは関心する所でござるか?」
DOSとサクラはどうも会話のベクトルが噛み合って無い様に思えて笑える。
この世界に来て街に訪れた時に、彼女が最初に教えてくれたのが手加減の仕方だった。
何でも不可抗力でNPC・・・
この世界で言う人々を死なせてしまったらしい。
そして犯罪者印が付いて、それの解除に苦労したらしい。
その為、武器以外の道具を使った間接的な攻撃が有効だと教えてくれた。
そういえばプールでも鯨型のゴムボートで上手に手加減をしていたなと思い出す。
その為、素手で腕を脱臼させると言う手加減方法は上級者の技だと言う事が想像するに容易い。
腕力極振りの僕が同じ事をやったら腕ごと引き千切ってしまうかも知れない。
ゲームキャラクターでは表情の微妙な変化は無い。
だがこの世界ではサクラは赤くなったり青くなったり自然に笑ったり怒ったりとアバターでは表現出来ない程リアルに挙動に出る。
DOSはゲーム同様に表情こそ無いが行動や台詞で彼の心情がリアルに伝わってくる。
サクラは普段からオチャラけては居るが多分シノブが恋愛感情的な意味で大好きなんだろう、しかし恋愛感情に疎いシノブは全く気付いて無い様子。
「拙者は客よりもイケメンホスト共が身の程を弁えずシノブ殿を口説くんじゃないかと・・・」
「シノブはオスロウ国に居たクリスの様なタイプが好みだと思うぞ。」
「なっ!?そうだったのでござるか?」
オスロウ国のクリス・・・
ああ、思い出した。
ゲームの武闘大会で決勝で戦う相手か、サクラとシノブはこの世界に来てから出会ったのだろう。
ゲームでは大剣を使う美少年と言った感じだった事を思い出す。
シノブはああ言うタイプが好みなのか。
「彼だけ君付けで呼んでただろう?」
「・・・そう言えば、そう呼んでた様な気がするでござる。」
DOSはギルド「深紅の薔薇」の中では最年長で落ち着いているが明らかにシノブを気にしている。
弟子の様な位置付けも有るが家族愛に近い感覚、父親や母親が我が子を気に掛けると言った感じに見える。
突然この世界に来てリアルな暗黒神ザナファ戦に巻き込まれ、ギルドで唯一の女性がシノブだけと知った時は驚いた。
数日間皆と過ごす内に、異世界転移や性別詐称等の事実を簡単に受け入れられた自分が居る。
理由は理解している。
ほとんど交友関係の無いリアルの大学やバイト先なんかよりも充実感に溢れているからだ。
悩みと言えば自分自身の声だ。
美しい女性をモデルにしたアバターに男の地声は絶望的に合わない。
元々の自分の声が気に入らないと言う妙なジレンマに苛まれる。
「さて2人共、そろそろ次のクエストへ行きましょうか。」
「了解。」
「行くでござる。」
クエスト最終目標の洞窟最深部のレイドボス、巨大な蜥蜴の形状をした「サラマンダー」。
ゲームでは炎を纏った強靭な表皮に包まれた肉体を持ち、強毒性攻撃を得意とする面倒なボスだ。
メキシコサラマンダーことウーパールーパーみたいに可愛いければ良いのだが印象的には翼と鱗の無い小型ドラゴンだ。
きっと超リアルな姿で可燃性の粘液を纏ったヌメヌメした四足生物に違いない。
最終フロアへ続く階段を降りると、だだっ広い洞窟フロアの中央に地面に横たわる巨大な蜥蜴が見える。
我々に気付いて頭を上げて瞼を開き此方を見据える。
瞬きをすると言う事は蛇とかでは無く、やはり蜥蜴なのだろう。
瞼が無い蜥蜴も居るんだったかな?
サクラと共に剣を構え攻撃に備える。
DOSが後方から狙撃し着弾と同時にサラマンダーの表皮の一部が弾け氷で覆われる。
弱点属性の氷の魔弾がダメージを与えると共に戦闘が始まる。
サラマンダーの全身から霧状のガスが噴き出し炎を纏い表皮の氷を簡単に溶かし傷口が閉じる、両生類か爬虫類か分からないが流石の再生能力だ。
サラマンダーは口を大きく開き直径1メートルは有る巨大な火球を数発放つ。
盾で火球を防ぎつつ斬りかかるが硬質化した滑る皮膚には物理ダメージは少ない。
聖属性耐性が有るサラマンダーにはサクラの無属性斬撃の方が有利になる。
僕は盾役と補助に徹して2人を守る。
猛毒の体液は口から吐き出される「猛毒ブレス」以外に血中にも含まれており大きく斬り込んだ際にも浴びてしまう事が有る。
その為、サクラには定期的に解毒魔法を掛ける必要が有る。
ゲームでの毒の効果は常時追加小ダメージを喰らうと共に連続攻撃のコンボ解除効果が有る。
しかし毒のスリップダメージのタイミングを熟知していれば、連続攻撃のタイミングをガードキャンセルやバックステップ等の小技を組み込む事によりコンボ継続が可能なのだ。
その為、ゲームでは状態異常【毒】【猛毒】は殆ど気にした事の無い些細な事だった。
しかし、この世界の毒は神経や肉体的苦痛を与えそれが五感を刺激し精神的にも苦痛を感じる。
最悪の場合、呼吸困難や過呼吸と言った症状が出ると戦闘どころでは無いらしい。
「DOS!サクラの攻撃に特殊技能を合わせてください!サクラは手脚の部位破壊を忘れずに!ドロップアイテムを増やします!」
「了解。」
「まかせるでござる!」
サクラの剣技が冴える。
サラマンダーの燃え盛る火炎ごと鎧の様に高質化した皮膚を斬り裂く。
再生能力が発動する前に裂傷を目掛けて氷の魔弾が後方から強襲しダメージを与える。
尻尾、両手脚、頭部をそれぞれ斬り飛ばし戦闘終了する。
ゲーム内にもあったサブイベント的な物だと思ったがDOSが言っていた様に最高難易度よりも動きの素早さに行動パターン。
そして攻撃力に防御力どれを取っても強化されている印象だった。
だが僕は手応えが有って楽しいと感じる。
最終的にDOSの氷の魔弾が頭部に直撃し、凍結部分を僕とサクラで斬り落としサラマンダーを倒した。
「お疲れ様です。」
「お疲れ。」
「お疲れ様でござる!」
ゲームでは上位プレイヤーと呼ばれる程の強さを身に着けたのはサービス開始から2年目の始め頃だった。
全ての討伐イベントを終了させ武器・防具の強化も有る程度終了した。
そこからサービス終了まではギルドメンバーと世間話をするか追加イベント位しかする事が無かった。
追加イベントも実装日に攻略してしまい、正直このゲームに飽きて来た所だった。
サービス終了が決定し、次にプレイするオンラインMMORPGを探していた時にこの世界に転移した。
凄く新鮮な感覚だったキャラクターと五感を共有し生死の中に我が身を投じる。
・・・現実では味わえないファンタジー世界を冒険する感覚がたまらない。
「サラマンダーの肉は売れるのか?毒で食べる事はできなさそうだが。」
「薬品とかにはなるかも知れませんね、一応持って行きましょう。」
「それなら、ミカエル殿のストレージでお願いするでござる。」
妙な高揚感の中、次々とクエストをこなして行くAグループ。
睡眠不要なDOSは寝る事無く素材集めをすると言いキャンプを出る。
彼もまた別の意味でこの世界に入れ込んでいる様に見える。
熟睡中のサクラは何も考えて無く、ゲーム感覚で楽しんでいる様だ。
「そう言えば、この前アニマ国と言う亜人種の国から来た可愛い猫娘と出会ったでござる。距離的に近いので今度行ってみたいでござる。」」
「そうですね、当面現実世界に戻る方法を探す事になりそうですからね。この世界を自分の足で回るのも悪く無いですね。」
「この世界はゲームとそっくりだが、要所要所造りが違うからな。現実世界に戻る鍵はもしかしたら、その差異の中に存在しているかも知れないな。」
サクラが亜人種の国が存在すると言っていたがゲームに存在しない国とか興味が湧く。
それは是非行かなければ。
我々Aグループの面々は2日間かけて大量の素材とモンスター討伐クエストを終わらせ機械都市ギュノス国へと帰還するのであった。
マザーブレインの特別依頼を労働組合で引き受けた僕達は機械都市ギュノス国の西に位置する洞窟に来ていた。
大まかに分類するとSランクの巨大モンスター討伐と複数の鉱石採集の依頼になる。
僕達は圧倒的強さで洞窟内の雑魚モンスターを一層しドロップアイテムや素材、依頼を受けた鉱石の採集を終え休憩をしていた。
2日間という縛りが無ければアビスダンジョン下層で素材集めをした方が簡単に稼げるのだが、ゲームとは違い到着する頃に制限時間が来てしまう。
マザーブレインの特別依頼は「深紅の薔薇」を名指しで依頼する高額クエストで、その全て受諾し片っ端からクリアしている。
「シノブは大丈夫だろうか、変な客に柔肌を触られたり成金豚に口説かれたりして無いか不安だ。」
「なっ!DOS殿、妙な事を言うでない!シノブ殿は身心共に強いから大丈夫でござる!」
Bグループはクラブバーで高額のアルバイトをすると話していたが、良く考えたら職業ジャンル的に風俗系の仕事じゃないか。
シノブは高校2年の未成年だ。
DOSが心配するのも無理は無い。
精神的には高校生だが、ゲームのキャラクターを反映したこの肉体的は果たしてどうなのだろうか?
そして、この世界の成人が何歳の設定なのかは知らないが妙なトラブルに巻き込まれないと良いけど。
焚火の火中の木材がパチッと爆ぜる音が静かな洞窟に響く、普通は洞窟の様な閉鎖空間で焚火をする事は無い。
広大な洞窟の一部に吹き抜け構造になった場所が有り、空が見えている場所が有った。
その為、僕達は火を起して休憩をしている訳だ。
焚火の炎を眺めながら僕は2人の会話に耳を傾ける。
ゲームでは感じる事の出来なかった本当の旅をしている感覚を味わう。
「咲耶殿が話していたでござるが、シノブ殿と近くの村で給仕のバイトをしていた時に客に尻を触られた時に客の腕を脱臼させたらしいでござるよ。」
「ふむ、手加減が上達していると言う事だな。」
「え?いや、そこは関心する所でござるか?」
DOSとサクラはどうも会話のベクトルが噛み合って無い様に思えて笑える。
この世界に来て街に訪れた時に、彼女が最初に教えてくれたのが手加減の仕方だった。
何でも不可抗力でNPC・・・
この世界で言う人々を死なせてしまったらしい。
そして犯罪者印が付いて、それの解除に苦労したらしい。
その為、武器以外の道具を使った間接的な攻撃が有効だと教えてくれた。
そういえばプールでも鯨型のゴムボートで上手に手加減をしていたなと思い出す。
その為、素手で腕を脱臼させると言う手加減方法は上級者の技だと言う事が想像するに容易い。
腕力極振りの僕が同じ事をやったら腕ごと引き千切ってしまうかも知れない。
ゲームキャラクターでは表情の微妙な変化は無い。
だがこの世界ではサクラは赤くなったり青くなったり自然に笑ったり怒ったりとアバターでは表現出来ない程リアルに挙動に出る。
DOSはゲーム同様に表情こそ無いが行動や台詞で彼の心情がリアルに伝わってくる。
サクラは普段からオチャラけては居るが多分シノブが恋愛感情的な意味で大好きなんだろう、しかし恋愛感情に疎いシノブは全く気付いて無い様子。
「拙者は客よりもイケメンホスト共が身の程を弁えずシノブ殿を口説くんじゃないかと・・・」
「シノブはオスロウ国に居たクリスの様なタイプが好みだと思うぞ。」
「なっ!?そうだったのでござるか?」
オスロウ国のクリス・・・
ああ、思い出した。
ゲームの武闘大会で決勝で戦う相手か、サクラとシノブはこの世界に来てから出会ったのだろう。
ゲームでは大剣を使う美少年と言った感じだった事を思い出す。
シノブはああ言うタイプが好みなのか。
「彼だけ君付けで呼んでただろう?」
「・・・そう言えば、そう呼んでた様な気がするでござる。」
DOSはギルド「深紅の薔薇」の中では最年長で落ち着いているが明らかにシノブを気にしている。
弟子の様な位置付けも有るが家族愛に近い感覚、父親や母親が我が子を気に掛けると言った感じに見える。
突然この世界に来てリアルな暗黒神ザナファ戦に巻き込まれ、ギルドで唯一の女性がシノブだけと知った時は驚いた。
数日間皆と過ごす内に、異世界転移や性別詐称等の事実を簡単に受け入れられた自分が居る。
理由は理解している。
ほとんど交友関係の無いリアルの大学やバイト先なんかよりも充実感に溢れているからだ。
悩みと言えば自分自身の声だ。
美しい女性をモデルにしたアバターに男の地声は絶望的に合わない。
元々の自分の声が気に入らないと言う妙なジレンマに苛まれる。
「さて2人共、そろそろ次のクエストへ行きましょうか。」
「了解。」
「行くでござる。」
クエスト最終目標の洞窟最深部のレイドボス、巨大な蜥蜴の形状をした「サラマンダー」。
ゲームでは炎を纏った強靭な表皮に包まれた肉体を持ち、強毒性攻撃を得意とする面倒なボスだ。
メキシコサラマンダーことウーパールーパーみたいに可愛いければ良いのだが印象的には翼と鱗の無い小型ドラゴンだ。
きっと超リアルな姿で可燃性の粘液を纏ったヌメヌメした四足生物に違いない。
最終フロアへ続く階段を降りると、だだっ広い洞窟フロアの中央に地面に横たわる巨大な蜥蜴が見える。
我々に気付いて頭を上げて瞼を開き此方を見据える。
瞬きをすると言う事は蛇とかでは無く、やはり蜥蜴なのだろう。
瞼が無い蜥蜴も居るんだったかな?
サクラと共に剣を構え攻撃に備える。
DOSが後方から狙撃し着弾と同時にサラマンダーの表皮の一部が弾け氷で覆われる。
弱点属性の氷の魔弾がダメージを与えると共に戦闘が始まる。
サラマンダーの全身から霧状のガスが噴き出し炎を纏い表皮の氷を簡単に溶かし傷口が閉じる、両生類か爬虫類か分からないが流石の再生能力だ。
サラマンダーは口を大きく開き直径1メートルは有る巨大な火球を数発放つ。
盾で火球を防ぎつつ斬りかかるが硬質化した滑る皮膚には物理ダメージは少ない。
聖属性耐性が有るサラマンダーにはサクラの無属性斬撃の方が有利になる。
僕は盾役と補助に徹して2人を守る。
猛毒の体液は口から吐き出される「猛毒ブレス」以外に血中にも含まれており大きく斬り込んだ際にも浴びてしまう事が有る。
その為、サクラには定期的に解毒魔法を掛ける必要が有る。
ゲームでの毒の効果は常時追加小ダメージを喰らうと共に連続攻撃のコンボ解除効果が有る。
しかし毒のスリップダメージのタイミングを熟知していれば、連続攻撃のタイミングをガードキャンセルやバックステップ等の小技を組み込む事によりコンボ継続が可能なのだ。
その為、ゲームでは状態異常【毒】【猛毒】は殆ど気にした事の無い些細な事だった。
しかし、この世界の毒は神経や肉体的苦痛を与えそれが五感を刺激し精神的にも苦痛を感じる。
最悪の場合、呼吸困難や過呼吸と言った症状が出ると戦闘どころでは無いらしい。
「DOS!サクラの攻撃に特殊技能を合わせてください!サクラは手脚の部位破壊を忘れずに!ドロップアイテムを増やします!」
「了解。」
「まかせるでござる!」
サクラの剣技が冴える。
サラマンダーの燃え盛る火炎ごと鎧の様に高質化した皮膚を斬り裂く。
再生能力が発動する前に裂傷を目掛けて氷の魔弾が後方から強襲しダメージを与える。
尻尾、両手脚、頭部をそれぞれ斬り飛ばし戦闘終了する。
ゲーム内にもあったサブイベント的な物だと思ったがDOSが言っていた様に最高難易度よりも動きの素早さに行動パターン。
そして攻撃力に防御力どれを取っても強化されている印象だった。
だが僕は手応えが有って楽しいと感じる。
最終的にDOSの氷の魔弾が頭部に直撃し、凍結部分を僕とサクラで斬り落としサラマンダーを倒した。
「お疲れ様です。」
「お疲れ。」
「お疲れ様でござる!」
ゲームでは上位プレイヤーと呼ばれる程の強さを身に着けたのはサービス開始から2年目の始め頃だった。
全ての討伐イベントを終了させ武器・防具の強化も有る程度終了した。
そこからサービス終了まではギルドメンバーと世間話をするか追加イベント位しかする事が無かった。
追加イベントも実装日に攻略してしまい、正直このゲームに飽きて来た所だった。
サービス終了が決定し、次にプレイするオンラインMMORPGを探していた時にこの世界に転移した。
凄く新鮮な感覚だったキャラクターと五感を共有し生死の中に我が身を投じる。
・・・現実では味わえないファンタジー世界を冒険する感覚がたまらない。
「サラマンダーの肉は売れるのか?毒で食べる事はできなさそうだが。」
「薬品とかにはなるかも知れませんね、一応持って行きましょう。」
「それなら、ミカエル殿のストレージでお願いするでござる。」
妙な高揚感の中、次々とクエストをこなして行くAグループ。
睡眠不要なDOSは寝る事無く素材集めをすると言いキャンプを出る。
彼もまた別の意味でこの世界に入れ込んでいる様に見える。
熟睡中のサクラは何も考えて無く、ゲーム感覚で楽しんでいる様だ。
「そう言えば、この前アニマ国と言う亜人種の国から来た可愛い猫娘と出会ったでござる。距離的に近いので今度行ってみたいでござる。」」
「そうですね、当面現実世界に戻る方法を探す事になりそうですからね。この世界を自分の足で回るのも悪く無いですね。」
「この世界はゲームとそっくりだが、要所要所造りが違うからな。現実世界に戻る鍵はもしかしたら、その差異の中に存在しているかも知れないな。」
サクラが亜人種の国が存在すると言っていたがゲームに存在しない国とか興味が湧く。
それは是非行かなければ。
我々Aグループの面々は2日間かけて大量の素材とモンスター討伐クエストを終わらせ機械都市ギュノス国へと帰還するのであった。
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