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伝説の武器編

095話 事件報告書

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サクラと咲耶は合流し一つの結論に達した。
犯人は恐らく黒魔術師ヤバメだ。

彼女がミナ=モトシズだ。

彼女を更衣室に呼び出して確保しようと2人で話し合う。

サクラが考えた作戦は彼女の信仰心を利用して信仰している神の事を聞き入信したいから詳しく話を聞きたいと近付き、着替える為にロッカーを開けた瞬間に確保すると言う作戦だ。

「シノブ殿が居れば【影縫い】で動きを封じる事が出来るでござるが。」

極秘任務中なので呼ぶわけにはいかない。

サクラは先に脱衣所に戻り着替えを済ます。
右手には少し濡れた手ぬぐいを装備して大型扇風機の前で牛乳を一気飲みしながら火照った体を冷ます。

サクラは様子を伺い待機する。
どうやら作戦通りに話が進んだらしく、黒魔術師ヤバメが咲耶殿と一緒に露天風呂から出て来る。

小声でボソボソと話をしながら饒舌に何かを説明している。
信仰している神や宗教に関する事だろう。

咲耶殿がこっそりと作戦成功を示し親指を立てる。

拙者は気配を消して黒魔術師ヤバメの背後に回り込み隙を伺う。

彼女がロッカーに木製の鍵を差し込み開けた瞬間にサクラの濡れ手ぬぐいが瞬間的に首に弾く様に当たる。
黒魔術師ヤバメは簡単に気絶し全裸のままその場に倒れ込む。

彼女のロッカーを確認すると中には邪神を象った様な小型の銅像と衣服のローブと下着類だけで爆発物は見当たらない。

黒魔術師ヤバメは工作員ではないのか!?
彼女が工作員では無い事を咲耶殿に伝えるアイコンタクトを送る。

「おい!そこで何をしている!」

筋肉ニク妖精種エルフが露天風呂を同時に出てきてサクラの行動を目撃される。
傍から見たら完全に傷害と窃盗の現場に見えるだろう。

全裸で倒れている黒魔術師ヤバメのロッカーを物色している侍が1人。
サクラもその状態で動けないでいる。

妖精種エルフが回復魔法を掛けて黒魔術師ヤバメを気絶から復帰させる。

筋肉ニクはサクラを見て間合いを測っている様だ。
犯罪者を取り押さえる気の様だがサクラの気配が上級冒険者だと分かるのだろう。

直ぐには手を出さない。
ジリジリと間合いを取り飛び掛かる機会を伺っている。

「そこの女性とお仲間みたいですね、先程露天風呂で話している所を見かけました。」

「ほう・・・ただのコソ泥ではなさそうだがな。」

筋肉ニク妖精種エルフがバスタオルを巻いたスタイルでサクラと咲耶を睨む。
まずい展開だと2人は考えていると露天風呂の方から女将おかみが脱衣所に入って来た。

「あらあら、何事かしら?」

「ボス、ミナがこの2人に襲われた。」

「何やら嗅ぎまわっている様子でしたから不信に思っていましたけどね。」

「我が神に興味が有る様な素振りで・・・・許せん!」

おおっと、黒魔術師ヤバメの実態はミナ=モトシズか。
どうやら工作員で正解だ。

3人の会話内容から察するに女将おかみ筋肉ニク妖精種エルフも共犯だったとは・・・

もしかして露天風呂に残っている3人も仲間なんじゃ無いだろうかと疑念が湧く。
どこかの有名小説の様に、この露天風呂に残っている全員が共犯者とか勘弁して欲しい。

筋肉ニク女将おかみの事をボスと呼んでいたので女将おかみのカオルが工作員の纏め役で筋肉ニク・・・ウルスと妖精種エルフのセレスとミナ=モトシズが工作員の一員って事か。

さしずめこの旅館の露天風呂で活動報告や物資受け渡し等を行っていたのだろう。
化粧品メーカーの社長が工作員の黒幕とは、どんな繋がりが有るんだか。

「【レッサメイナス】。」

バスタオル一枚の咲耶が指を鳴らすと低レベル帯に効き易い幻惑系魔法が発動し、4人全員が見事に掛かる。

その場にいた全員が状態異常「恐慌状態」となり、何かに取り憑かれた様に恐怖の表情を浮かべ慌て始める。

筋肉ニク女将おかみを顔面を殴り、女将おかみがあっさりと気絶する。

黒魔術師ヤバメは恐ろしい物を見た様な恐怖に満ちた表情で泡を吹いて気絶している。

筋肉ニクは気配を消したサクラによって濡れ手ぬぐいで攻撃を受け気絶する。

残りは妖精種エルフ1人。

彼女はバスタオル一枚で魔法詠唱を始め、咄嗟に咲耶は魔法障壁を張り防御態勢を取る。

彼女が魔法詠唱を終えた瞬間、脱衣所の一つのロッカーが赤く輝き始め爆発をした。




「恐慌状態に陥った妖精種エルフが邪神像内部の魔法爆発物を暴発させた様だ。そして旅館の脱衣所は屋根が吹き飛び大穴が空いたが魔力爆発だったので火災等の二次被害は無し。幸い野次馬にも露天風呂に居たシャルや女子高生2名も無傷で、唯一工作員連中も命に別状無い程度の怪我で事件は解決した・・・・と」

衛兵の本部に呼び出された私とミカさんは事件解決をした割に部屋の隅で肩身の狭そうに縮こまっているサクラと咲耶に向けて、彼らの心情や台詞を適当に付け加えながら事件の報告書を音読していた。

「何故私達の心を読んで、台詞を捏造しているのですか!私が女性の胸マニアな変態みたいじゃないですか!」

「そうでござる!拙者がケモナーみたいな扱いは心外でござる!」

「・・・どのみち女風呂に入ったんですよね、2人共。」

ミカさんは少し怒っている様な雰囲気を醸し出しながら問い質すと、2人は更に小さくなって黙る。

都市内の監視カメラとホテルの利用明細等のデータから彼らの足取りを私達はすでに把握済だった。

その後、現場からゴウトに案内され衛兵本部に帰還してきたサクラと咲耶に出会い、今に至る。

結果的に事件は解決したし、怪我人も居なかったのでミカさんも本気で怒っている訳ではなさそうだ。

どちらかと言うと女湯巡りを嬉々としていた事を軽蔑している感じだった。

「ネカマの風上にも置けない」とボヤいていたが、その発言はどうかと思う。
普通は「男の風上」だと思うのだけど素で間違えたのかな?

調べによると大手化粧品メーカー「KAORU」のCEOカオルは、裏では武器商人として国家間テロを生業とする組織と繋がっていた。

戦争が起これば武器や兵器が飛ぶように売れる。
言わば「死の商人」が本業と言った所だ。

オスロウ国やハイメス国の戦争にも裏で加担し、このギュノス国でも戦争を引き起こす為に工作中だったと。

これはゲームでも初期から有る裏設定なのかな?

この世界に居ると、ゲームに散りばめられた知られざる細かな設定を実体験として見れるのは嬉しいかも知れない。
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