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伝説の武器編
092話 潜入捜査開始
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日も完全に暮れ、夜の帳が辺りを包む。
温泉旅館到着直後よりも野次馬の数が増え始めている様な気がする。
現状を工作員に感知されるのはまずいので野次馬の制御を機械兵が順次行っている。
引き受けざるを得ない状況下な上、時間との勝負になる。
もし今の状況を工作員に気付かれたら、間違いなく人質を取られた籠城戦になるだろう。
追い詰められた工作員が自爆で人質を巻き込むのが1番まずい展開だ。
「面倒な事に巻き込まれたでござるな。まぁ、取り敢えず温泉に行ってみるでござる。」
「そうですね、犯人が女性なら裸体・・・こほん、無防備な今がチャンスですからね。」
女湯に潜入した挙句に犯罪者印がついたとなるとDOS殿やシノブ殿に何を言われるか分かった物じゃない。
「リキみ過ぎると、殺してしまうから気を付けるでござるよ。一般人の耐久力は紙ですからね。」
「わかりました。お互い気を付けましょう。」
戦闘経験を積んだ冒険者なら多少の攻撃には耐えれるが相手がレベル30以下なら、手加減したシノブ殿の手刀殴打で即死してしまう脆さだ。
犯罪歴の無い工作員となると低レベル帯の一般人と考える必要が有るだろう。
英雄の称号を得た今は住民の為とは言え、殺人をすると結成したばかりの新生「深紅の薔薇」の名前に傷を付けてしまう。
そして拙者達は気付く。
「あれ?これって意外と高難易度ミッションじゃないか?」と2人はヒソヒソと話す。
旅館内のカウンターには警備の女性隊員が変装し現在ご利用は出来ないと説明する為に受付を行っていた。
状況説明と市民IDを見せると後でサインを下さいと求められ旅館内へ案内される。
SPAとは違い入場が無人自動化されていないので普通の旅館と同じ感覚だ。
女性客を装った衛兵が廊下の各所に待機し、男湯から出て来た客を外へと誘導している様だ。
女性のマークの入った赤い暖簾を潜りロッカーの有る更衣室兼休憩所に入る。
飲料の自動販売機に体重計と大型扇風機が設置して有る。
そして木製で出来た差し込み型の鍵の付いたロッカーがずらっと並んでいる。
一通り脱衣所を確認すると、木製の鍵が抜き取られたロッカーが7枠存在した。
入浴中の人間は恐らく7人・・・その中に犯人が1人か。
「こんなアナログな鍵ではピッキング出来ないでござるな。そもそも、そんな特殊技能は習得してないでござるが。」
「壊す事は容易ですが、爆弾が作動したら大変ですからね。遠隔起爆も出来ると仮定しておいた方が無難でしょうね。」
武器は念の為受付で預けている。
脱衣所で装備防具も脱いで完全に丸腰となる。
拙者はサラシを巻き咲耶殿はタイトなスーツを着ている為、胸は圧迫され普段の見た目では胸のサイズが2サイズ位は抑えられている。
全裸になった拙者達は巨乳で括れの有る抜群のスタイルをしているが、お互い中身が男性だと知っているので「欲情」よりも「気持ち悪い」が勝っているのでお互いの裸に興奮する事は無かった。
少なくとも拙者は・・・だけど、咲耶殿も同じだと信じたい。
浴室に入り軽く掛湯をして、極自然に世間話をしながら浴室内を歩いて様子を伺う。
まず入浴中の人間がどんな人物のなのかを観察する必要が有ったからだ。
浴室に入って直ぐの所に洗面場所が30ヶ所程度有り、少し離れた場所に天然石で造られた大型の露天風呂が見える。
日本情緒溢れる風景を演出している造りとなっている。
露天風呂に浸かっているのが5名、洗面場所で体を洗っている人が2名か。
それぞれ一定の距離を取り話をしている様子は無い。
予測だが全員友人知人では無い様だ。
案外共犯者や犯罪組織のメンバーと言う線も考えれるので不用意に戦闘行為を行う訳にはいかない。
短い制限時間の中で犯人を特定し、一般人を無傷で確保する必要が有る。
洗面所を利用しているのは、40歳代の旅館の女将が似合いそうな女性が1名。
もう1人は20代かそれ以下だろうか?茶髪の女の子が体を洗っている。
露天風呂には黒髪をアップに纏めた妖精種と重剣が似合いそうな筋肉隆々の短髪の人間種女性。
この2人は冒険者だろうか?
なんとなくその様な雰囲気を纏っている。
そしてポニーテールのスレンダーな女性、この子も20代以下か?
もう1人は30代位だろうか、色白で目の下に隈の有る黒魔術師の様な怪しい女性。
最後の1人は一際目を引く容姿をしている。
この辺りでは見かけた事の無い希少な亜人種の猫耳美少女。
「女将、茶髪、妖精種、筋肉、ポニテ、黒魔術師、猫耳と呼称統一するでござる。」
「まぁ分かりやすいですからね。では、私は猫耳に行きますね。」
「な!ズルイでござる!拙者も狙っ・・・彼女が怪しいと踏んでいるでござる!」
「ちょ!もう少し小声で!」
それぞれの捜査対象をジャンケンで決める事にした。
結局拙者は猫耳、女将、筋肉、黒魔術師を担当。
咲耶殿は妖精種、茶髪、ポニテを担当する事となった。
まずは接近し世間話をして情報収取をする。
1人当たりに掛けれる時間は2~3分程度といった所だろう。
「筋肉は良いとして黒魔術師はなんかこう・・・呪われそうでござる。」
「見た目で人を判断しては失礼ですよ。」
「じゃ黒魔術師は譲るでござるよ。無難な人選ばかりで刺激が足りんでござろう?」
「お断りだ。バラエティ豊富で良いじゃないですか?」
「個性が凄すぎる・・・潜入捜査にバラエティなどいらんでござるよ。」
「さぁ、時間も切迫していますからね・・・行きましょう。」
美味しい物は最後に取っておくタイプの拙者は、まず癖の強い黒魔術師の方へ向かって行った。
咲耶殿は洗面場所に居る茶髪の横に敢えて座り体を洗っている彼女に話しかける。
そして拙者達の潜入捜査が開始された。
温泉旅館到着直後よりも野次馬の数が増え始めている様な気がする。
現状を工作員に感知されるのはまずいので野次馬の制御を機械兵が順次行っている。
引き受けざるを得ない状況下な上、時間との勝負になる。
もし今の状況を工作員に気付かれたら、間違いなく人質を取られた籠城戦になるだろう。
追い詰められた工作員が自爆で人質を巻き込むのが1番まずい展開だ。
「面倒な事に巻き込まれたでござるな。まぁ、取り敢えず温泉に行ってみるでござる。」
「そうですね、犯人が女性なら裸体・・・こほん、無防備な今がチャンスですからね。」
女湯に潜入した挙句に犯罪者印がついたとなるとDOS殿やシノブ殿に何を言われるか分かった物じゃない。
「リキみ過ぎると、殺してしまうから気を付けるでござるよ。一般人の耐久力は紙ですからね。」
「わかりました。お互い気を付けましょう。」
戦闘経験を積んだ冒険者なら多少の攻撃には耐えれるが相手がレベル30以下なら、手加減したシノブ殿の手刀殴打で即死してしまう脆さだ。
犯罪歴の無い工作員となると低レベル帯の一般人と考える必要が有るだろう。
英雄の称号を得た今は住民の為とは言え、殺人をすると結成したばかりの新生「深紅の薔薇」の名前に傷を付けてしまう。
そして拙者達は気付く。
「あれ?これって意外と高難易度ミッションじゃないか?」と2人はヒソヒソと話す。
旅館内のカウンターには警備の女性隊員が変装し現在ご利用は出来ないと説明する為に受付を行っていた。
状況説明と市民IDを見せると後でサインを下さいと求められ旅館内へ案内される。
SPAとは違い入場が無人自動化されていないので普通の旅館と同じ感覚だ。
女性客を装った衛兵が廊下の各所に待機し、男湯から出て来た客を外へと誘導している様だ。
女性のマークの入った赤い暖簾を潜りロッカーの有る更衣室兼休憩所に入る。
飲料の自動販売機に体重計と大型扇風機が設置して有る。
そして木製で出来た差し込み型の鍵の付いたロッカーがずらっと並んでいる。
一通り脱衣所を確認すると、木製の鍵が抜き取られたロッカーが7枠存在した。
入浴中の人間は恐らく7人・・・その中に犯人が1人か。
「こんなアナログな鍵ではピッキング出来ないでござるな。そもそも、そんな特殊技能は習得してないでござるが。」
「壊す事は容易ですが、爆弾が作動したら大変ですからね。遠隔起爆も出来ると仮定しておいた方が無難でしょうね。」
武器は念の為受付で預けている。
脱衣所で装備防具も脱いで完全に丸腰となる。
拙者はサラシを巻き咲耶殿はタイトなスーツを着ている為、胸は圧迫され普段の見た目では胸のサイズが2サイズ位は抑えられている。
全裸になった拙者達は巨乳で括れの有る抜群のスタイルをしているが、お互い中身が男性だと知っているので「欲情」よりも「気持ち悪い」が勝っているのでお互いの裸に興奮する事は無かった。
少なくとも拙者は・・・だけど、咲耶殿も同じだと信じたい。
浴室に入り軽く掛湯をして、極自然に世間話をしながら浴室内を歩いて様子を伺う。
まず入浴中の人間がどんな人物のなのかを観察する必要が有ったからだ。
浴室に入って直ぐの所に洗面場所が30ヶ所程度有り、少し離れた場所に天然石で造られた大型の露天風呂が見える。
日本情緒溢れる風景を演出している造りとなっている。
露天風呂に浸かっているのが5名、洗面場所で体を洗っている人が2名か。
それぞれ一定の距離を取り話をしている様子は無い。
予測だが全員友人知人では無い様だ。
案外共犯者や犯罪組織のメンバーと言う線も考えれるので不用意に戦闘行為を行う訳にはいかない。
短い制限時間の中で犯人を特定し、一般人を無傷で確保する必要が有る。
洗面所を利用しているのは、40歳代の旅館の女将が似合いそうな女性が1名。
もう1人は20代かそれ以下だろうか?茶髪の女の子が体を洗っている。
露天風呂には黒髪をアップに纏めた妖精種と重剣が似合いそうな筋肉隆々の短髪の人間種女性。
この2人は冒険者だろうか?
なんとなくその様な雰囲気を纏っている。
そしてポニーテールのスレンダーな女性、この子も20代以下か?
もう1人は30代位だろうか、色白で目の下に隈の有る黒魔術師の様な怪しい女性。
最後の1人は一際目を引く容姿をしている。
この辺りでは見かけた事の無い希少な亜人種の猫耳美少女。
「女将、茶髪、妖精種、筋肉、ポニテ、黒魔術師、猫耳と呼称統一するでござる。」
「まぁ分かりやすいですからね。では、私は猫耳に行きますね。」
「な!ズルイでござる!拙者も狙っ・・・彼女が怪しいと踏んでいるでござる!」
「ちょ!もう少し小声で!」
それぞれの捜査対象をジャンケンで決める事にした。
結局拙者は猫耳、女将、筋肉、黒魔術師を担当。
咲耶殿は妖精種、茶髪、ポニテを担当する事となった。
まずは接近し世間話をして情報収取をする。
1人当たりに掛けれる時間は2~3分程度といった所だろう。
「筋肉は良いとして黒魔術師はなんかこう・・・呪われそうでござる。」
「見た目で人を判断しては失礼ですよ。」
「じゃ黒魔術師は譲るでござるよ。無難な人選ばかりで刺激が足りんでござろう?」
「お断りだ。バラエティ豊富で良いじゃないですか?」
「個性が凄すぎる・・・潜入捜査にバラエティなどいらんでござるよ。」
「さぁ、時間も切迫していますからね・・・行きましょう。」
美味しい物は最後に取っておくタイプの拙者は、まず癖の強い黒魔術師の方へ向かって行った。
咲耶殿は洗面場所に居る茶髪の横に敢えて座り体を洗っている彼女に話しかける。
そして拙者達の潜入捜査が開始された。
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