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暗黒神ザナファ討伐編

086話 大天使降臨

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私は地面に叩きつけられて倒れ込み、灰色に染まった咲耶を見て涙が零れる。

遠くから魔人アルラトとサクラの叫び声が聞こえる様な気がする。

救えなかった、即時復活薬【アナスタシン】を使用出来るのは1名だけ。

どちらかは復活が出来ない・・・

大丈夫!多分ホームポイントで復活する。

そう、これはゲームだから大丈夫。

現実じゃない、ゲームだ。

これはゲーム。
ゲームだ。

何度死んだって生き返れる。

現実じゃない。

現実じゃない。

現実じゃな・・・

「・・・・!」

「・・・・ノブ殿!」

「シノブ殿!シノブ殿!シノブッ!!」

サクラの叫び声が聞こえてハッとして体を起こす。
目の前すぐの所に暗黒神ザナファの複数の尖った爪が迫っていた。

普段の私なら回避出来たかも知れない。
しかし精神と肉体が一致しない感覚の私は体が硬直し動かない。

意識だけが残り、その光景を客観的に眺めている様な感覚だ。

目の前に黒い影が飛び込んで来て、私を庇う様に暗黒神ザナファの爪の餌食となる。
紫色の血液が私の全身に降り注がれる。

私が顔を上げると5本の腕で体を貫かれた魔人アルラトの背中が見えた。

倒れて惚けている私を魔人アルラトが庇ってくれたのだ。
彼女は大量の紫色の血液を流しながら立ったまま絶命し体が灰色に染まっていた。

DOSどっちゃんが死んだ。
それは盾役タンクの私のせいだ。

咲耶が死んだ。
私の判断が遅れたせいで回復が間に合わなかった。

魔人アルラトが死んだ。
動けなかった私を庇って全身で攻撃を受けた。

怒りと悲しみと絶望と虚無感が一気に押し寄せ、脳内で暴れる。
急激に熱い血液が体中を駆け巡る感覚がする。

私は怒りの感情が爆発し、目の前の暗黒神ザナファを睨み付ける。

即座に【影分身】を発動し二刀流を構え【縮地】で突進する。
神衣カムイカヴァーチャ】で基礎SPが上昇している事は理解している。

しかし、私は最早小賢しい計算が出来る程脳の容量は存在しない。
暗黒神ザナファに対する怒りの感情だけが脳の全てを支配する。

SP残量を完全に無視した連続攻撃の剣技【地獄ノ業火インフィヌス】で2本の脚を破壊する。

しかし、暗黒神ザナファの攻撃で分身体が倒され消滅する。

私は瞬時に再度【影分身】を発動し、常時【縮地】で回避と攻撃を繰り替えす。
もはや私の頭には攻撃と回避しか無い。

神衣カムイカヴァーチャ】が私の怒りに呼応する様に輝き、その本領を発揮する。
何度も分身体を倒されようと【影分身】を発動し攻撃を仕掛ける。

「しぃぃねぇぇぇぇ!」

「シノブ殿!落ち着くでござる!」

「シノブ!」

援護攻撃に入ったサクラと暗黒神ハーデスハーちゃんの声が遠くから聞こえる。
何を言ってるのかは聞き取れない。

私は怒りに任せた連続攻撃を重ねダメージを確実に当てている。
感覚的に体力を半分以上削ったはずだ。

暗黒神ザナファは残り4本の手を上空に掲げ何らかの魔法を唱える。
叫びに近い咆哮で極大攻撃魔法アルティメルスペル【アストラインダクス】が発動する。

蟻地獄の様な形状の50階層に巨大な隕石が遥か上空からフィールドの向かって降り注ぐ。

この魔法はデイアが所持していた極大攻撃魔法アルティメルスペルでゲームでは暗黒神ザナファは使用しないはず。

意表を付かれた私達は一瞬動きが止まってしまう。

100個以上の隕石が上空から私達を襲い全員が同時に満身創痍になり動けなくなる。
駄目だ勝てない・・・攻撃力も攻撃回数も桁違いだ。

そして一撃一撃が重い。
「勝てる訳が無い」その言葉が脳内に浮かび、先程までの激高が一気に冷却されて行く。

それに伴い脳内に広がって行く恐怖。

伝説の防具のお陰で肉体的にまだ戦える。
しかし精神がそれを許さない。

「まだ・・・・まだでござる・・・」

サクラが刀を地面に突き刺し杖の様にしてヨロヨロと私の前に立ち上がる。

彼は全身を震わせながら私を守る様に立ち塞がり刀を構える。
サクラもう止めよう勝てないよ。

彼の背中を見ながら私の瞳から涙が溢れる。
仲間を失った悲しみ、これから失う悲しみ・・・

そして無力な自分に対しての悔しさが私の心を支配して戦意を喪失させる。

暗黒神ザナファが再度両手を上げ【アストラインダクス】を放つ態勢を取る。

その時、暗黒神ザナファの上空の空間が歪みやがて中央の点が光を放つ。
そして、その点は輝きを増していく。

その眩い光に暗黒神ザナファも驚き視線を向ける。

魔法発動を止めて光に向かって4本の腕で物理攻撃を仕掛けるが、触れた瞬間に暗黒神ザナファの尖った指先が溶解する様に消滅する。

その光は暗黒神の弱点属性の「聖属性」を孕んでいる様だ。
私達もその眩しい光の点に視線が釘付けになる。

「何だあの光は・・・」

「分からないでござる。」

「・・・光が動いているよ。」

その光はやがて人の形を象り始め、明確な輪郭が見え始めた。

真っ白な翼、黄金色の鎧。
長く透き通った光り輝く長剣、そして小型の盾。

あの神々しい姿には見覚えが有る。

「深紅の薔薇」のギルドマスターにしてプレイヤーランキング上位の最強プレイヤーの一角を担う女性。

そうロード「ミカエル=アルファ」だ。

光の粒子を纏った天使の翼を羽ばたかせ右手には彼女の主力武器メインウエポンの超絶レア武器【ウリエガノン】を握られている。

「間違いない!ミカさんだ!」

思わず叫んでしまう、驚きのあまり思考が追い付かない。

もしかして、今このタイミングでこの世界に転移したのか?
確かに皆それぞれ転移のタイミングがバラバラだった。

ミカさんがこの場所に現れたのは偶然か奇跡かそれとも誰かのシナリオ通りなのか。

煌めく光の粒子に包まれた彼女の姿は、まさに大天使と言うに相応しい神々しさを漂わせていた。

しかし彼女は今の状況が飲み込めてないのか、空中で周囲をキョロキョロと見渡していた。

目の前の暗黒神ザナファに気付き、彼女は頭上に剣を構える。

そして自然落下しながら暗黒神ザナファの頭部の人型の腕を両断、更に腹部に追加の斬撃を加えるする。

暗黒神ザナファの腹部の複眼が輝き極大攻撃魔法アルティメルスペル【ディストケイラ】が発動する。

ミカさんはすかさず盾を構え防御姿勢を取る。

周囲をダイアモンドダストが舞い彼女の体を巨大な氷塊が包み込む様に襲い掛かる。
瞬時に氷塊がミカさんの全身を包み込む。

しかしその氷に亀裂が入りその隙間から光が漏れる。

次の瞬間にミカさんを包んでいた氷塊が瓦解する様に砕け落ち、そのままの姿勢で剣撃を繰り出し腹部の複眼を刺し潰す。

戦士系の最上位職の「ロード」は職業特性で物理・魔法防御力が全職業トップクラス。
暗黒神ザナファの攻撃すらも余裕で耐えている様子だ。

私は彼女の戦う光景に目を奪われていた事に気が付く。

見とれている場合じゃない!ミカさんを助けないと!

私は残り少ない完全回復薬【ハイエリクサー】を使用し、サクラと暗黒神ハーデスハーちゃんを回復する。

彼らもミカさんの戦いに見とれていたのか、回復した瞬間に驚いていた。

「シ、シノブ殿!あれはミカエル殿ではござらんか?」

「うん、ミカさんだよ!助けに行こう!」

「フフ、フハハハハッ!ヤツめ!今頃転移されて来たのか!」

先程まで絶望を感じていた自分が嘘の様に希望が湧いてくる。
多分皆も同じ気持ちなのは表情を見れば分かる。

私とサクラは【縮地】を使い彼女に加勢をしに飛び込む。

暗黒神ハーデスハーちゃん極大攻撃魔法アルティメルスペルを暗黒神ザナファの頭部目掛けて放つ。

「ミカさん!ミカさんだよね!?」

「シノブ!?えっえ?あれ?自分の声が!?」

うん?んんん!?
彼女の声が違う!ミカさん声が男性の声だ。

そして何故か自分の声を自分で聞いて驚いている様子だ。

そして自身の体を再確認して動揺している様子だった。
転移したてで状況が理解出来て無いのかも知れない。

この感覚はこの世界に来てから幾度となく経験して来た。

サクラしかり、咲耶しかり、DOSどっちゃんしかり、暗黒神ハーデスハーちゃんしかり・・・。

全てに当てはまる固有名詞を思い出す。

そう「ネカマ」だ。

もう慣れたはずなのに毎回の様に私は衝撃を受ける。

ミカエル=アルファは彼女じゃなく彼だ!
会えた事の喜びよりも男性だった事の驚きの方が大きい。

今までずっとお姉さん的存在だった事が自分の中で整理出来無い。
不意にサクラがミカさんに話し掛ける。

「ミカエル殿も・・・男でござるか?」

「えっ!?サクラか!?貴女も声がっ!?」

ミカさんとサクラはお互いの顔を見つめ合い、微妙な表情をする。

ミカさんの声を聞いて隙が出来たサクラが暗黒神ザナファの繰り出した打撃攻撃を背中に喰らい地面に叩きつけられる。

そして追撃の刺突攻撃をギリギリで回避していた。

私も危うく打撃攻撃を喰らいかけたが上手く回避する。
駄目だ今は戦闘に集中しないと、いくらミカさんが強くても協力して戦わないと勝つのは難しいだろう。

「一体何が起きているんだ?この体は?それに声が、サクラも・・・」

突然ミカさんが現実を理解出来ずに混乱した様に狼狽え始める。
無理も無い。

ゲームで暗黒神ザナファを倒したと思ったら、目の前にもっとリアルな暗黒神ザナファが現れて戦闘の最中に異世界転移に気付く。

私達みたいに異世界転移を実感する時間の余裕が無かったから当然の混乱だ。
その時、後方より暗黒神ハーデスハーちゃんが叫ぶ。

「ミカエルここは異世界だ!詳しい話は後でする!!まずは目の前のザナファを倒すぞ!」

「わ、分かりました。前衛は任せてください。サクラとシノブは援護を、ハーデスは後方から魔法で攻撃をお願いします!」

声は男性のソレだけど、間違い無くいつものミカさんだ。
ミカさんの指示を受け私達は改めて攻撃を開始する。

優先攻撃順位ヘイトはミカさんに向いているらしく、ミカさんが残りの腕の攻撃を巧に捌く。

その隙にサクラと私で残りの脚部を攻撃をする。
大幅に体力が低下した暗黒神ザナファの動きは鈍っており私達の斬撃で3本の脚を破壊しその巨体を地面へと落とす。

人型の頭部に暗黒神ハーデスハーちゃん極大攻撃魔法アルティメルスペルで攻撃をして、暗黒神ザナファの動きが完全に止まる。

ミカさんが剣を上に掲げると刀身が光を纏い強烈な輝きを放つ。
あれはロードの最強剣技【原初の光プレモディアルライト】だ。

【イグナイトストライク】や【コーラルヘイレス】同様、24時間の再充填時間リキャストタイムが必要な最強剣技。

彼の武器【ウリエガノン】の特殊能力「聖属性攻撃力3倍」との相性により、対闇属性最強の攻撃力を誇る。

「闇に滅せよ!原初の光プレモディアルライト!」

高らかに跳躍したミカさんが、暗黒神ザナファの頭部の人型に光の剣を振り下ろす。

光の軌跡を残す三連撃で人型を斬り裂く。
更に腹部への兜割の様に一撃を加える。

「シノブ殿!」

「いけっえぇぇぇぇ!!!」

サクラの【十文字刹那じゅうもんじせつなきわみ】と私の【地獄ノ業火弐連斬インフィヌスデュオ】を最高出力で互いの刀を重ねる様に暗黒神ザナファの腹部を深々と貫く。

『オオオオオオオオオオオオオオオオォォ!!!』

ミカさんの光の斬撃により切り裂かれた暗黒神ザナファは雄叫びと共に肉体が消滅する。

以前目撃した様な光のエフェクトは起きる事無く、暗黒神ザナファの体が影の様に変化しながら上空に舞い上がって消滅して行く。

勝った、勝ったんだ。
私の瞳から再度涙が溢れる。
それは先程と違う感情の涙だった。

ゲーム同様に、モノクロだった周囲の風景が変化し始める。

降り積もっていた火山灰が上空に吸い込まれる様に少しずつ舞い上がり、周囲の風景に綺麗な色を与える。

モノクロだった風景は完全に消滅し、やがて美しい緑と花々に彩られた草原が姿を現した。

暗黒神ザナファを倒したんだ。
ミカさん以外の私達は安堵の為か力が抜け、その場で倒れ込む。

ミカさんが回復魔法を使い傷を癒す。

DOSどっちゃんと咲耶と魔人アルラトの事を思い出す、彼らは死んだ。

そして即時復活薬【アナスタシン】は残り1つ。
先程までの悲しみと焦りはもう無い、なぜならミカさんと合流出来たからだ。

彼の装備している【ヒルドルの盾】の特殊能力は【復活】。

体力を1/5の状態で蘇生出来る能力を保持している。
ロードしか装備出来ず防御性能は下から2番目と低く、余り人気の無い装備らしい。

本人曰くマジック宝石ジェムを40個以上融合して魔法防御力がかなり高いらしい。
ミカさんにDOSどっちゃん達の事と復活薬の事を話すと、彼は笑顔で答えてくれた。

「大丈夫です。任せてく下さい。」

彼は自身の持つ【ヒルドルの盾】を使い1人ずつ次々と蘇生する。

眩い光に包まれて皆が復活して行く。
魔人アルラトの事を説明し彼女も蘇生も試みる。

ボスモンスター扱いで蘇生出来無いかもと思ったが、問題無く蘇生が出来た。

全員が復活した所で、改めて魔人アルラトの紹介と今までの経緯を細かく説明する。

何と言ってもミカさんは、たった今この世界に転移して来たのだ。
現状が全く理解出来ていない上に自分の声が変だ、バグかと驚いている。

私以外全員が男の声になっている事も大袈裟に不思議がっている。
その姿は少しだけ滑稽に感じていた、そして皆も言わずとも理解している。

彼もまた「ネカマ」だったのだと。

私の中で1つ消化不良の疑問が浮かぶ。
「深紅の薔薇」はリアル女性限定ギルドだ。

良く考えたら女性って私独りじゃん!
何コレ?新手の詐欺か?

精神を安定させる為、魔人アルラトを後ろから抱きしめる。

血の匂いがする、あまり癒し効果が無い。

「どうしたのシノ?」

「なんでもないよ。」

他の4人の男性達も真面目な彼女・・・
いや、彼にどう言葉をかけるべきか互いの顔を見合わせ思案していた。

私はもう一つ重大な見落としに気付く、暗黒神ザナファを倒したのに現実世界に戻れていない。

あーもう、どうなっているんだこの状況は!?
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