上 下
75 / 252
暗黒神ザナファ討伐編

075話 アビスダンジョン

しおりを挟む
-アビスダンジョン-

アビスダンジョン内部は10階層ごとにフロアボスが配置されており、公式設定では無いがプレイヤ-間で「魔人四天王」と呼ばれていた。

最終フロアの50階層には封印の解けた暗黒神ザナファが待ち構えている。
サービス最終日の日に、ゲーム内で確かに倒したはず。

ダンジョン内部で何度か戦闘を繰り返して気が付く。
この防具は凄い、この防具のお陰で攻撃回数が1回増えた様な気がする。

基本性能も高いが何より暗黒神ハーデスハーちゃんの所持していたパワー宝石ジェム8個、スタミナ宝石ジェム6個、スピード宝石ジェム24個、インテリジェンス宝石ジェム6個、マジック宝石ジェム2個、スキル宝石ジェム13個を全て吸収したらしい。
そしてまだ強化限界では無いとの事だった。

「強いと言っても私達の敵では無いですね。」

「咲耶油断は駄目だ、この世界はイレギュラーが多い。」

地下一から10階層までの出現モンスターは2メートル近く有る不死種アンデッドのドラゴン、上位職業アークメイジの上位魔法ハイスペルを使用する人型モンスター、後は初期の洞窟で出現していたスライムの色違い等、多種多様なモンスターが出現する。

色違いのモンスターは行動パターンが変化しており初プレイだと意表を突かれる。
行動パターン自体がゲームと同じだった為、私達からしたら対処は簡単だった。

体当たりが主流のスライムが特殊技能スキル【聖拳突き】してきたりとか初見は驚いたのを思い出す。

「大丈夫、このフロアにはもう反応が無いよ。」

「って事は階段が近いな。」

【索敵】を使いながら私とサクラが前衛で先導し、中央に回復・補助役の咲耶、DOSどっちゃん暗黒神ハーデスハーちゃんがバックアップで後方警戒に当たっている。

用心深い位慎重な陣形で攻略に挑む。
私達ギルドメンバーの連携の前に最終ダンジョンのモンスターと言えど今の所楽勝ムードだ。

ストーリーモードでこのダンジョンを攻略する時のプレイヤー適正レベルは最低50~80レベルでモンスターはレベル70代が最高難易度の平均だが、ここもやはりゲームの時よりも強化されている。

感覚的に90レベル相当のHPと攻撃力を誇っている様に感じる。

「マナ回復量が設定が弄られているな。33パーセントから20パーセント以下に書き換えられている様だ、興味深い・・・面白いぞ。」

「確かに少し回復が遅いと感じますね。」

「それに宝石ジェムが結構ドロップするでござるな。」

「・・・・ゲームでは稀に落ちる程度だが多いな。」

「ここで宝石ジェムを貯めて、強化する為にギュノスへ戻る?」

「いや、ザナファを倒して帰ろう、皆で。」

DOSどっちゃんの決意は固い。

慎重に進んでいるとは言え、今のペースで進めば休憩を入れても3日間以内に暗黒神ザナファの居る最下層の50階へ到達出来るだろう。

彼自身サブマスターとして皆のリアルの生活に関して思う所が有るのだろう。

この世界で1ヶ月以上生活している。
現実世界の私達の肉体はどうなっているのだろうか?
昏睡状態で点滴を刺されて病院のベッドに居るのだろうか。

一人暮らしのサクラと咲耶とDOSどっちゃんは孤独死みたいな事になって無いと良いけど。

「クリアして現実世界に戻れたらオフ会で打ち上げをしようか。」

「お!良いでござるな、オフ会とか絶対参加出来ないと思っていたでござる。」

「ですね、中身が男だとバレるから今までそう言った集まりはしてなかったですからね。」

「ふん、面白いかもしれないな。」

「うん、絶対しようね。」

皆ネカマがばれるからオフ会の話が一切出なかったのか。

別ギルドに居る私のフレンドもサービス終了日の翌日にギルドで集まって打ち上げオフ会やると息巻いていたのを思い出す。

その事も何かもう遠い昔の事に思える。

何て名前の子だったかな・・・あれれ、ド忘れした。
フレンドリストを開けないのが悔やまれる。




10階層ボス前の大扉まで約一時間掛かって到着した。

このフロアを守るのは、魔人四天王の一柱「トゥグ」。

炎を司る最強の魔人で水・氷属性弱点で物理耐性・火炎吸収を持つ太陽の様な球体型の巨大なエネルギー生命体。

不定形な体はスライムの様に柔軟に蠢き物理攻撃に対して強く、火炎系の極大攻撃魔法アルティメルスペルと火炎属性の付いた物理攻撃や範囲攻撃の火炎ブレス等を使用してくる。

後方支援でストレスが溜まっていたのか、このボスで1番活躍出来る暗黒神ハーデスハーちゃんはやる気十分の様でウキウキしていた。

作戦会議をしてメインアタッカーは氷結魔法で暗黒神ハーデスハーちゃんでサブアタッカーが氷系弾丸を主事したDOSどっちゃん盾役タンクは私で、サクラと咲耶は補助役でバックアップとなった。

サクラが補助役は珍しいが、慎重に動くとDOSどっちゃんの指示で決まった。
恐らく被弾の総ダメージ量を減らし回復薬の節約する計画だと思う。

「高鳴るな!我が闇のオーラが記憶ごと破滅へと誘おうではないか!」

「相変わらずの厨二病っぷりでござるな、前のギャルっぽい声より今の地声の方がそのキャラには合ってるでござるよ。」

「まぁ、サクラが1番違和感が有りますけどね。」

咲耶が煽り、サクラが喧嘩を買うと言ういつものパターンで睨み合いが始まる。
この2人に補助をして貰うのは大丈夫だろうかと心配になる。

ボス部屋の大扉前で喧嘩が始まりそうだったのでDOSどっちゃんが2人に対して手短に説教をしていた。

皆結構余裕が有りそうで安心する。

私達はボス部屋の大扉に手を掛け、そしてゆっくりと大扉を開いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

私、異世界で監禁されました!?

星宮歌
恋愛
ただただ、苦しかった。 暴力をふるわれ、いじめられる毎日。それでも過ぎていく日常。けれど、ある日、いじめっ子グループに突き飛ばされ、トラックに轢かれたことで全てが変わる。 『ここ、どこ?』 声にならない声、見たこともない豪奢な部屋。混乱する私にもたらされるのは、幸せか、不幸せか。 今、全ての歯車が動き出す。 片翼シリーズ第一弾の作品です。 続編は『わたくし、異世界で婚約破棄されました!?』ですので、そちらもどうぞ! 溺愛は結構後半です。 なろうでも公開してます。

異世界でお金を使わないといけません。

りんご飴
ファンタジー
石川 舞華、22歳。  事故で人生を終えたマイカは、地球リスペクトな神様にスカウトされて、異世界で生きるように言われる。  異世界でのマイカの役割は、50年前の転生者が溜め込んだ埋蔵金を、ジャンジャン使うことだった。  高級品に一切興味はないのに、突然、有り余るお金を手にいれちゃったよ。  ありがた迷惑な『強運』で、何度も命の危険を乗り越えます。  右も左も分からない異世界で、家やら、訳あり奴隷やらをどんどん購入。  旅行に行ったり、貴族に接触しちゃったり、チートなアイテムを手に入れたりしながら、異世界の経済や流通に足を突っ込みます。  のんびりほのぼの、時々危険な異世界事情を、ブルジョア満載な生活で、何とか楽しく生きていきます。 お金は稼ぐより使いたい。人の金ならなおさらジャンジャン使いたい。そんな作者の願望が込められたお話です。 しばらくは 月、木 更新でいこうと思います。 小説家になろうさんにもお邪魔しています。

家族全員異世界へ転移したが、その世界で父(魔王)母(勇者)だった…らしい~妹は聖女クラスの魔力持ち!?俺はどうなんですかね?遠い目~

厘/りん
ファンタジー
ある休日、家族でお昼ご飯を食べていたらいきなり異世界へ転移した。俺(長男)カケルは日本と全く違う異世界に動揺していたが、父と母の様子がおかしかった。なぜか、やけに落ち着いている。問い詰めると、もともと父は異世界人だった(らしい)。信じられない! ☆第4回次世代ファンタジーカップ  142位でした。ありがとう御座いました。 ★Nolaノベルさん•なろうさんに編集して掲載中。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】

小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。 他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。 それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。 友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。 レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。 そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。 レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

処理中です...