51 / 252
機械都市編
051話 労働讃歌
しおりを挟む
-ギュノス領 名も無き村-
酒場でアルバイトを始めてから約1週間、私と咲耶は何故か村の人気者になっていた。
咲耶は当初の予想通り、女性客の評判が良く彼目当ての常連客も増えた。
そして一部のコアな男性客の支持率も高い。
休憩中はお客様に混じって賄いを食べたり、指名を受けてカードゲームに参加したりと男女問わず仲良くなっていた。
良く女性客に口説かれたりするのだが「私の体はシノブの物なのでごめんなさい。」と冗談ぽく交わしている。
断る口実に私を使うのは勘弁して欲しい所だ。
私が女性客から殺意の籠った眼差しを受けて陰口を叩かれると言う不毛な状況を作り出している。
当の私は超真面目に接客業を営んでいた。
基本的に愛想良くテキパと業務を遂行する、素早さ極振りの私のステップはフロアの往復を高速で行える。
超忙しい時には特殊技能【影分身】を使い調理場に2人、接客でフロアに2人と分業をする。
その姿がお客様に大受けし、わざわざ私を見に来る固定客も出来た。
ただ1度だけ私は問題を起こしてしまった。
それは前にお尻を触って来た客が居て、笑顔で片腕を脱臼させた事かな。
加害者兼被害者のお客様も許してくれて毎日の様に通ってくれているから問題ないと思う。
店長が言うには私達がアルバイトに来る以前より売上が2倍以上になったと喜んでいた。
「シノブさん!3番テーブルにビール、枝豆とホッケお願い!」
「は~い!あ、リオ~!お会計お願いします。」
「おっけ~い!咲耶さんは休憩に入ってね。」
以前は厨房をシゲオ店長と奥さんで料理長の「カンナ」が担当し。
フロアを15歳の双子、「リオ」と「リナ」の4人で切り盛りしていた。
今は私と咲耶がフロアを中心に業務を回しているので双子は調理に入る様になり、客数も増えたが同時に回転率も向上しとても盛況だ。
お客様のピークタイムはランチタイムの11時~13時、夕方のピークは18時~20時。
21時閉店なのだが結構忙しい。
朝10時から仕事を始め休憩はアイドルタイムの3時から2時間。
掃除や片付けで業務終了が夜22時と中々のハードスケジュール。
就業時間だけを聞くとブラック企業と思われるかも知れないが、小さな村の酒場なので従業員も客も皆和気藹々としていて感覚的な物だが忙しい分時間の経ち方も早く非常に充実していた。
多分仕事を楽しく出来たら業務的に忙しくてもブラック企業と思わないんじゃないかなと高校生ながら思った。
咲耶にその事を話したら、12時間拘束の2時間休憩ならブラック企業じゃないと断言していた。
何でもサクラの務めている会社は表向きは約8時間労働、休憩1時間で総拘束時間9時間だが就業後サービス残業当たり前だそうだ。
生体認証IDを通して終業した後に監視カメラの付いていない部屋で自由に業務が出来る部屋が有り、そこで好きなだけサービス残業が出来るのだとか。
業務の社外持ち出し禁止で、USB保存デバイスも持ち出し禁止なので会社内でも人気の残業部屋だそうだ。
つい最近酒を飲みながらサクラは愚痴っていたと教えてくれた。
これ以上の事は就職するのが恐くなるので聞かない事にした。
リアルに戻れたら私も咲耶に弟子入りして、フリーランスで生計を立てて生きて行こうかなと真剣に考えた。
「2人ともお疲れ様。これ余り物だけど食べる?」
閉店後清掃作業も終わり夕食を食べ終わり寛いでいると、女将さんが余り物で造った裂きイカときゅうりの中華風のピリ辛に和えた小鉢をくれたのでありがたく頂いた。
私は果実のジュースと咲耶はビールを頼んで席に着く、私達は寝る前に良く小さな「本日の反省会」を行っていた。
リオとリナも混じって小1時間程度の反省会はいつも盛り上がる。
「ぷは~!仕事終わりの1杯はたまらないですね!」
「咲耶さんはいつも美味しそうにビール飲むよね。なんかこう・・・幸せ~って感じで。」
リナがノンアルコールの果実ジュースを飲みながら咲耶の事を大袈裟に表現する。
双子で見た目がそっくりだが少し「おっとり系」の方がリナだ。
「本当!それに今日も売上が高くてお父さん喜んでたよ。シノブさんも4人分に分身して働くとか凄過ぎ!あの技教えて欲しいな!」
【影分身】を使う度に私に教えて欲しいと明るくせがむ「お日様系」がリオだ。
【
影分身】は忍者が覚える特殊技能だ。
しかし盗賊系の上級職の為、覚えるには職業変更しなければならない。
【宿屋の娘】が【盗賊】になると言い出したらシゲオ店長とカンナさんに恨まれそうな気がする。なので毎回適当に流す。
「リナ、このおつまみ美味しいよ。」
「ぶ~!シノブさんのいけずぅ~!」
サクラとDOSと別れてから約1週間。
テレビによる情報も特に無い、2人から何の連絡も無く私達は小さな村でアルバイトをしながら平和なスローライフ送っていた。
このままで良いのだろうか?2人の身に何か有ったんじゃないだろうか?
その話をすると明日は店休日でリオとリナは機械都市ギュノス国に足りない食材の買い出し行くらしく、用心棒代わりに私と咲耶も馬車に同行する事になった。
街には入れないが入口までの道中はモンスターと遭遇した時に役立てるしね。
そして反省会を終え私達はそれぞれの部屋に戻った。
酒場でアルバイトを始めてから約1週間、私と咲耶は何故か村の人気者になっていた。
咲耶は当初の予想通り、女性客の評判が良く彼目当ての常連客も増えた。
そして一部のコアな男性客の支持率も高い。
休憩中はお客様に混じって賄いを食べたり、指名を受けてカードゲームに参加したりと男女問わず仲良くなっていた。
良く女性客に口説かれたりするのだが「私の体はシノブの物なのでごめんなさい。」と冗談ぽく交わしている。
断る口実に私を使うのは勘弁して欲しい所だ。
私が女性客から殺意の籠った眼差しを受けて陰口を叩かれると言う不毛な状況を作り出している。
当の私は超真面目に接客業を営んでいた。
基本的に愛想良くテキパと業務を遂行する、素早さ極振りの私のステップはフロアの往復を高速で行える。
超忙しい時には特殊技能【影分身】を使い調理場に2人、接客でフロアに2人と分業をする。
その姿がお客様に大受けし、わざわざ私を見に来る固定客も出来た。
ただ1度だけ私は問題を起こしてしまった。
それは前にお尻を触って来た客が居て、笑顔で片腕を脱臼させた事かな。
加害者兼被害者のお客様も許してくれて毎日の様に通ってくれているから問題ないと思う。
店長が言うには私達がアルバイトに来る以前より売上が2倍以上になったと喜んでいた。
「シノブさん!3番テーブルにビール、枝豆とホッケお願い!」
「は~い!あ、リオ~!お会計お願いします。」
「おっけ~い!咲耶さんは休憩に入ってね。」
以前は厨房をシゲオ店長と奥さんで料理長の「カンナ」が担当し。
フロアを15歳の双子、「リオ」と「リナ」の4人で切り盛りしていた。
今は私と咲耶がフロアを中心に業務を回しているので双子は調理に入る様になり、客数も増えたが同時に回転率も向上しとても盛況だ。
お客様のピークタイムはランチタイムの11時~13時、夕方のピークは18時~20時。
21時閉店なのだが結構忙しい。
朝10時から仕事を始め休憩はアイドルタイムの3時から2時間。
掃除や片付けで業務終了が夜22時と中々のハードスケジュール。
就業時間だけを聞くとブラック企業と思われるかも知れないが、小さな村の酒場なので従業員も客も皆和気藹々としていて感覚的な物だが忙しい分時間の経ち方も早く非常に充実していた。
多分仕事を楽しく出来たら業務的に忙しくてもブラック企業と思わないんじゃないかなと高校生ながら思った。
咲耶にその事を話したら、12時間拘束の2時間休憩ならブラック企業じゃないと断言していた。
何でもサクラの務めている会社は表向きは約8時間労働、休憩1時間で総拘束時間9時間だが就業後サービス残業当たり前だそうだ。
生体認証IDを通して終業した後に監視カメラの付いていない部屋で自由に業務が出来る部屋が有り、そこで好きなだけサービス残業が出来るのだとか。
業務の社外持ち出し禁止で、USB保存デバイスも持ち出し禁止なので会社内でも人気の残業部屋だそうだ。
つい最近酒を飲みながらサクラは愚痴っていたと教えてくれた。
これ以上の事は就職するのが恐くなるので聞かない事にした。
リアルに戻れたら私も咲耶に弟子入りして、フリーランスで生計を立てて生きて行こうかなと真剣に考えた。
「2人ともお疲れ様。これ余り物だけど食べる?」
閉店後清掃作業も終わり夕食を食べ終わり寛いでいると、女将さんが余り物で造った裂きイカときゅうりの中華風のピリ辛に和えた小鉢をくれたのでありがたく頂いた。
私は果実のジュースと咲耶はビールを頼んで席に着く、私達は寝る前に良く小さな「本日の反省会」を行っていた。
リオとリナも混じって小1時間程度の反省会はいつも盛り上がる。
「ぷは~!仕事終わりの1杯はたまらないですね!」
「咲耶さんはいつも美味しそうにビール飲むよね。なんかこう・・・幸せ~って感じで。」
リナがノンアルコールの果実ジュースを飲みながら咲耶の事を大袈裟に表現する。
双子で見た目がそっくりだが少し「おっとり系」の方がリナだ。
「本当!それに今日も売上が高くてお父さん喜んでたよ。シノブさんも4人分に分身して働くとか凄過ぎ!あの技教えて欲しいな!」
【影分身】を使う度に私に教えて欲しいと明るくせがむ「お日様系」がリオだ。
【
影分身】は忍者が覚える特殊技能だ。
しかし盗賊系の上級職の為、覚えるには職業変更しなければならない。
【宿屋の娘】が【盗賊】になると言い出したらシゲオ店長とカンナさんに恨まれそうな気がする。なので毎回適当に流す。
「リナ、このおつまみ美味しいよ。」
「ぶ~!シノブさんのいけずぅ~!」
サクラとDOSと別れてから約1週間。
テレビによる情報も特に無い、2人から何の連絡も無く私達は小さな村でアルバイトをしながら平和なスローライフ送っていた。
このままで良いのだろうか?2人の身に何か有ったんじゃないだろうか?
その話をすると明日は店休日でリオとリナは機械都市ギュノス国に足りない食材の買い出し行くらしく、用心棒代わりに私と咲耶も馬車に同行する事になった。
街には入れないが入口までの道中はモンスターと遭遇した時に役立てるしね。
そして反省会を終え私達はそれぞれの部屋に戻った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
77
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる