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大陸横断編
047話 新しいルートの模索
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-ギュノス領 名も無き村-
人口の少ない小さな村だけあって大勢が宿泊出来る大きな宿屋は無い。
1番大きな宿屋を探し、そこで宿泊する事にした。
部屋はベッドが1台とテーブルが1つ有るだけの狭い部屋だが、しかし野宿よりは断然マシだ。
罠の設置個数が気になる狭さでは有るが・・・
いっそ連中の部屋に仕掛けとくか。
宿屋1階は酒場で郷土料理的な夕食を食べながら今後の作戦を相談をする事にした。
酒場は広い造りとなっており、幾多の村人や冒険者が食事や酒を楽しんでいた。
お酒は飲めないけれど、こう言った雰囲気は結構好きかも知れない。
オスロウ国程では無いけれど、素朴な味の食事も美味しく実家の料理を思い出す。
「やはり宝玉を確保するのが1番じゃない?被害が最小限になると思う。私達がアイテムストレージに入れておけば壊れる事もないしね。」
「盗むのですか?しかし保管場所が分かりませんし、それに私達はザナファ倒さないと元の世界に帰れないんじゃないですか?」
うっ!確かにそうだ。
私達はサービス終了日に暗黒神ザナファに勝った瞬間にこの世界に転移した。
同じ手順を繰り返せば、もしかしたら現実世界に戻れるかも知れない。
それが今現在全員一致した見解だ。
この世界の人達の事も気になるが、元の世界に戻る事が出来なければ意味が無い。
「・・・・・」
「そこも不確かでござるがな。拙者は皆と一緒なら、この世界で暮らすのも良いかなと思い始めているでござる。」
サクラが酒を呷りながら、ほろ酔い気分で話す。
私も割とこの世界の生活に慣れ始めて、楽しいと感じる部分は有る。
こちらの世界の私はゲーム世界での能力が反映されているので、世界の強さランキングの20位以内には入ってる自信が有る。
リアルでの私は公立高校2年生、成績は中の下。
友人はそれなりに居るけれど親友と呼べる人は特に居ない。
特技が有る訳でも無く進路や将来の目標も曖昧で、当然彼氏居ない歴=年齢だ。
食べ慣れた食事以外の小さな悩み事の数を比べたら格段に自由で居心地が良い世界だ。
「まぁチャートの上下で胃が痛まなくて良いのは有るます。労働組合の高難易度討伐依頼をサクッと終わらせれば1週間は余裕で暮らせますからね。」
「そうそう、嫌な上司に会わなくても良いでござるし。最近は労基が厳しくてコンプラ的に五月蠅くて困る。時間内に最高の結果を出せと無茶言うでござる。」
サクラは高卒の会社員で咲耶は自称トレーダーだったかな?
ニートでは無さそうだけど、ログインしたら必ず居るくらいの常時待機状態だ。
皆それぞれリアルでの思う所は有るのだろう。
DOSは自営業で花屋を経営してるらしいけど、無表情な彼女も何かしら悩みや考えは有るのだろうか。
「リアルの愚痴言っても仕方無いでござるな。拙者はシノブ殿の案で良いでござる。」
「じゃ、宝玉を確保した後どうするのですか?」
「マザーブレインにお願いして封印を解除して貰い、完全体じゃない暗黒神ザナファを倒すって感じが理想だね。」
「纏めると封印装置の最終管理者がマザーブレインだから、マザーブレインが無事な間は暗黒神ザナファは復活出来ない。宝玉が破壊されなければ暗黒神ザナファの力は減り、鎖国される事は無いですね。そして弱体化したままで封印を解除して貰えれば一番良いんですが。」
「人的被害が少ないはず。マザーブレインを破壊するとギュノスの都市機能全体停止するし。」
なるべく戦闘を回避するなら、このルートで問題無い。
しかしこのルートはゲームには存在しないルートだ。
手探りな作戦程予測不可能な事態が起こる気がする。
それに暗黒神ザナファを倒したとしても、現実世界に戻れるとは限らない。
もし帰れなければ、この電脳を具現化した世界で生きて行くしか無い。
もし・・・もしも誰かがSMOサーバーの電源コードに足を引っかけてサーバーダウンしたら、その瞬間にこの世界が壊れ私達は死ぬのかな?
そして何事も無かったように再起動されると、私達はどうなるのだろうか?
考えても結論なんて出ない事はいつもの事だ。
「超合理的な考え方とか、高確率で未来予測とかするAIを説得とか出来るの?」
そう言えば、そんな設定だった。
未来的な古代の超高度文明が残した遺産的な感じで、その遺跡を中心に科学技術で発展した国って感じの設定だ。
このゲームの根幹には超古代文明がちょくちょく垣間見れる話が出て来る。
そして暗黒神や破壊神を崇拝する教団がスパイス的な感じで間接的に関わって来る。
私は皆と会話の出来るアクションゲームとして楽しんでいたので、物語のディープな部分は良く知らない。
そう言う隠された設定を考察する動画配信者やブロガーは大勢いた気がする。
「赤龍も話が出来たでござるから、試してみる価値は有るかも知れないでござる。」
マザーブレインはこの国の実質的な国王で、この国の全ての実権を握っている。
全てのAI省庁を統括し各分野のAI長に人が管理されている様な状態とも言える。
貿易等を行う個人商店や輸入業者、それに付随する職業以外は無人でオートメーション化されている。
NPCは一般市民として土木・建設等のインフラ整備で人力が必要な分野の仕事を与えられているらしい。
したがってギュノス国には貴族階級と言う概念は存在しない。
機械都市ギュノス国で暮らす住民は機械メンテナンスの技能を持つ技師、システムエンジニア。
人力を必要とする建設作業員、そして専属の貿易管理の仲買を行う商人位だ。
その人達を管理するのは基本的に管理AIが行う。
生産工場等は無人の全自動で生産が行われるらしい。
ギュノス国では人も歯車の一部的な感じなのかも知れない。
宝玉が壊される前に、何とかマザーと謁見する権利を得て話をするのが当面の目標になるのだろうか。
例に漏れず、労働組合の依頼を複数達成して信頼を得る事がイベントを進める条件となるはずだ。
「よし!じゃその目標で決定ですね!」
「じゃ、乾杯といくでござるよ!」
えいえいおー!と、はしゃぐ咲耶は微笑ましかった。
果たして上手く事が運ぶだろうか?私にも何か役に立てるかな。
少しの不安を抱えながら、楽しい夜は更けていく。
人口の少ない小さな村だけあって大勢が宿泊出来る大きな宿屋は無い。
1番大きな宿屋を探し、そこで宿泊する事にした。
部屋はベッドが1台とテーブルが1つ有るだけの狭い部屋だが、しかし野宿よりは断然マシだ。
罠の設置個数が気になる狭さでは有るが・・・
いっそ連中の部屋に仕掛けとくか。
宿屋1階は酒場で郷土料理的な夕食を食べながら今後の作戦を相談をする事にした。
酒場は広い造りとなっており、幾多の村人や冒険者が食事や酒を楽しんでいた。
お酒は飲めないけれど、こう言った雰囲気は結構好きかも知れない。
オスロウ国程では無いけれど、素朴な味の食事も美味しく実家の料理を思い出す。
「やはり宝玉を確保するのが1番じゃない?被害が最小限になると思う。私達がアイテムストレージに入れておけば壊れる事もないしね。」
「盗むのですか?しかし保管場所が分かりませんし、それに私達はザナファ倒さないと元の世界に帰れないんじゃないですか?」
うっ!確かにそうだ。
私達はサービス終了日に暗黒神ザナファに勝った瞬間にこの世界に転移した。
同じ手順を繰り返せば、もしかしたら現実世界に戻れるかも知れない。
それが今現在全員一致した見解だ。
この世界の人達の事も気になるが、元の世界に戻る事が出来なければ意味が無い。
「・・・・・」
「そこも不確かでござるがな。拙者は皆と一緒なら、この世界で暮らすのも良いかなと思い始めているでござる。」
サクラが酒を呷りながら、ほろ酔い気分で話す。
私も割とこの世界の生活に慣れ始めて、楽しいと感じる部分は有る。
こちらの世界の私はゲーム世界での能力が反映されているので、世界の強さランキングの20位以内には入ってる自信が有る。
リアルでの私は公立高校2年生、成績は中の下。
友人はそれなりに居るけれど親友と呼べる人は特に居ない。
特技が有る訳でも無く進路や将来の目標も曖昧で、当然彼氏居ない歴=年齢だ。
食べ慣れた食事以外の小さな悩み事の数を比べたら格段に自由で居心地が良い世界だ。
「まぁチャートの上下で胃が痛まなくて良いのは有るます。労働組合の高難易度討伐依頼をサクッと終わらせれば1週間は余裕で暮らせますからね。」
「そうそう、嫌な上司に会わなくても良いでござるし。最近は労基が厳しくてコンプラ的に五月蠅くて困る。時間内に最高の結果を出せと無茶言うでござる。」
サクラは高卒の会社員で咲耶は自称トレーダーだったかな?
ニートでは無さそうだけど、ログインしたら必ず居るくらいの常時待機状態だ。
皆それぞれリアルでの思う所は有るのだろう。
DOSは自営業で花屋を経営してるらしいけど、無表情な彼女も何かしら悩みや考えは有るのだろうか。
「リアルの愚痴言っても仕方無いでござるな。拙者はシノブ殿の案で良いでござる。」
「じゃ、宝玉を確保した後どうするのですか?」
「マザーブレインにお願いして封印を解除して貰い、完全体じゃない暗黒神ザナファを倒すって感じが理想だね。」
「纏めると封印装置の最終管理者がマザーブレインだから、マザーブレインが無事な間は暗黒神ザナファは復活出来ない。宝玉が破壊されなければ暗黒神ザナファの力は減り、鎖国される事は無いですね。そして弱体化したままで封印を解除して貰えれば一番良いんですが。」
「人的被害が少ないはず。マザーブレインを破壊するとギュノスの都市機能全体停止するし。」
なるべく戦闘を回避するなら、このルートで問題無い。
しかしこのルートはゲームには存在しないルートだ。
手探りな作戦程予測不可能な事態が起こる気がする。
それに暗黒神ザナファを倒したとしても、現実世界に戻れるとは限らない。
もし帰れなければ、この電脳を具現化した世界で生きて行くしか無い。
もし・・・もしも誰かがSMOサーバーの電源コードに足を引っかけてサーバーダウンしたら、その瞬間にこの世界が壊れ私達は死ぬのかな?
そして何事も無かったように再起動されると、私達はどうなるのだろうか?
考えても結論なんて出ない事はいつもの事だ。
「超合理的な考え方とか、高確率で未来予測とかするAIを説得とか出来るの?」
そう言えば、そんな設定だった。
未来的な古代の超高度文明が残した遺産的な感じで、その遺跡を中心に科学技術で発展した国って感じの設定だ。
このゲームの根幹には超古代文明がちょくちょく垣間見れる話が出て来る。
そして暗黒神や破壊神を崇拝する教団がスパイス的な感じで間接的に関わって来る。
私は皆と会話の出来るアクションゲームとして楽しんでいたので、物語のディープな部分は良く知らない。
そう言う隠された設定を考察する動画配信者やブロガーは大勢いた気がする。
「赤龍も話が出来たでござるから、試してみる価値は有るかも知れないでござる。」
マザーブレインはこの国の実質的な国王で、この国の全ての実権を握っている。
全てのAI省庁を統括し各分野のAI長に人が管理されている様な状態とも言える。
貿易等を行う個人商店や輸入業者、それに付随する職業以外は無人でオートメーション化されている。
NPCは一般市民として土木・建設等のインフラ整備で人力が必要な分野の仕事を与えられているらしい。
したがってギュノス国には貴族階級と言う概念は存在しない。
機械都市ギュノス国で暮らす住民は機械メンテナンスの技能を持つ技師、システムエンジニア。
人力を必要とする建設作業員、そして専属の貿易管理の仲買を行う商人位だ。
その人達を管理するのは基本的に管理AIが行う。
生産工場等は無人の全自動で生産が行われるらしい。
ギュノス国では人も歯車の一部的な感じなのかも知れない。
宝玉が壊される前に、何とかマザーと謁見する権利を得て話をするのが当面の目標になるのだろうか。
例に漏れず、労働組合の依頼を複数達成して信頼を得る事がイベントを進める条件となるはずだ。
「よし!じゃその目標で決定ですね!」
「じゃ、乾杯といくでござるよ!」
えいえいおー!と、はしゃぐ咲耶は微笑ましかった。
果たして上手く事が運ぶだろうか?私にも何か役に立てるかな。
少しの不安を抱えながら、楽しい夜は更けていく。
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