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大陸横断編

045話 First Food War

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-オスロウ国 北部山脈地帯-

高原地帯から山脈へと続く道は険しく馬ではとても通れない様な切り立った急斜面が続く。
咲耶はリアルの趣味が登山らしくイロイロと詳しく説明してくれる。

ビジネススーツとヒールで登山など有り得ないと自虐的な説明を入れながら全員を楽しませてくれた。

咲耶が言うには標高1200メートル程度じゃないかと、富士山の1/3程度じゃないかと話していた。

平地を進むより体力は奪われ、移動距離も直線ではない為相当長い。
モンスターは小型のワイバーンが中心で、時々大型の元気な熊型モンスターが襲ってくる。

大抵は咲耶の電撃で簡単に倒せるので苦労はしない。
フィールド上のモンスターは多少強くなっているとはいえハッキリで言って敵では無い。

ガレ場やザレを抜け頂上付近の平地に近い場所でビバークする事となった。

ある程度開けた場所を発見し簡易的な休息場を作成する。
落石や地盤のチェックには大分慣れて来た所だ。

標高が高く、しかも雲の下と言う事も有りかなり気温が低い。
【氷結耐性マント】を装備する事により寒さは苦にならない。

冒険者が良く携帯しているフリーズドライ的な加工済の簡易スープを作成し、焼いたワイバーン肉と少し硬めのパンで食事を作る。

標高が高いと沸点が変わると咲耶が話していたが、今の標高なら地上と変化は無いらしい。

ワイバーンは現地調達だけれど、旅の冒険者とか食べて無いか少し不安だ。

種族的には鳥類と爬虫類間で龍種に近いと言った感じだろうか?
ワイバーンとドラゴンの違いは足の数だとサクラが語る。

サクラの雑学知識が豊富なのは正直凄いけど、長々と饒舌に語るのは女性的にマイナスポイントだと思うのは私だけだろうか。

質問や疑問を挟むと更に長くディープになって行くので、郷土玩具の「赤べこ」の様にウンウンと頷く対応がベストだ。

「山に登るとカップラーメンとか食べたいでござるな。今なら山に限らず食べたいでござる。」

「分かるかも。インスタント食品ってたまに食べたくなるよね。特にこっちの世界に来てから食べて無いしね。」

「確かにそうですね。2ヶ月以上そう言った食物は口にしていないです。以前は毎日の様に食べていたのに・・・いざ食べれなくなると無性に食べたくなりますね。」

インスタント食品の王道「カップラーメン」。
●清食品やサ●ヨー食品等に代表される日常的に食される庶民の味方の代名詞食品だ。
お湯を入れて3分~5分で出来て、しかも美味しいと言う優れ物。

私の中ではラーメンを専門とする飲食店で提供されているラーメンとは全く別物と考えている。

たまに同列で語ってカップラーメンは不味いと言う人が居るけど、その人とは話が合わないなと感じる。

雨と風を防ぐ為の簡易テントと【氷結耐性マント】に包まり、焚き火を皆で囲む。

夜間の見張りは睡眠が不要な機械種アンドロイドDOSどっちゃんがしてくれる。
私はDOSどっちゃんのすぐ傍で眠る、野宿においてサクラと咲耶対策と言って良い。

火を焚いていれば獣系のモンスターは比較的襲って来ないので、気を付けるのは不死種アンデッド系とスライムの様な不定形のモンスターだけだ。

寝るには少し早い時間だけあって、私達は下らない話しで盛り上がる。

「1番好きなカップ麺は何?マニアック過ぎるのやローカル系は禁止ね。」

「そうでござるな・・・拙者は●清カッ●ヌードルのシーフードを牛乳で造るヤツでござるな。」

「私はカップ焼きそばのUF●ですね。でかいタイプで。うまい、太い、大きいの略らしいですよ。子供の頃に食べたソースの方が好みだったんですけどね。今でも十分美味しいです。」

「私は麺づ●りの塩が至高だと思う!あの程良い塩加減のアッサリ系のスープは最高。ラーメンで唯一スープまで飲んじゃう。」

DOSどっちゃんは小型サイズの黒板に「どん●衛 鴨だし●ば」と書いてある。
普段喋らない彼女だが、この話題では譲れない物が有ると言う強い意思を感じる。

てか日●食品の商品は人気だな私が異端なのか?まぁ基本どれも美味しいけど王道ばかりで意外性が無かったな。

各々好みの違いは有れど一度は食べた事の有る商品だったので、味の想像が容易に出来た。
その為、懐かしさよりも想像で食欲を掻き立てられていた。

「半熟の目玉焼きとか食べたいでござるな。」

「やはりTKGでしょう!TKG!」

「TKGって何?」

「シノブ殿、玉子掛けご飯の略でござるよ。」

「あ~、そうなのね。」

この世界の管理基準では卵の生食は禁忌とされており、状態異常無効化装備を持っていない私達は生卵を食べる度胸はなかった。

最高レベルで装備強化により、基本的に一通りの状態異常耐性は一般人に比べ高いが食中毒はウィルスが原因の状態異常「毒」か「猛毒」。

菌による「寄生」と言った症状によって対応が異なるらしく、解毒の魔法スペルでは解除出来ない事が有る。

その為、冒険を冒してまで生の状態で食べる人は居ないのだ。

そのうち目玉焼き塩湖沼か醤油かソースかケチャップとか論争が始まり、やがてご飯のお供へと発展していった。

「シーチキンマヨネーズでござる。ハ●ロモフーズ以外のツナは認めないでござる。マヨネーズは当然●ューピーの無調整でござる。あの丁度良い酸味と塩味は比類ないでござる。」

「サクラはマヨラーですか。私はやっぱり桃●のご●んですよですね。ご飯何杯でも行けますね。開封しなければ結構賞味期限長いですから常に在庫にしてます。」

「いいね、私は●べるラー油は現役だよ。でも、私の一番ははちみつ梅かな、安い商品でも結構美味しいしね。一粒数万円とか食べて見たくは有るけどね。」

DOSどっちゃんの持つ黒板には「鯖缶」と書いていた。咲耶とサクラも「いいですね。」とか「酒に肴にも良い!」と盛り上がる。

翌々考えると缶詰や瓶詰と言った保存食が多いと感じる。

メインはご飯であってご飯のお供は少量で長期保存が可能な方が喜ばれると言った感じなのかな。

ご飯のお供は無限大に広がる話題なので話題が尽きる事は無かった。
こちらの世界に無い物ばかりでそれぞれの願望が会話の中に凝縮されている感じだ。

日が完全に落ちると何故か怖い話へとなって行った。

「私通っていた小学校に七不思議が在って、校庭の隅の二宮金次郎像が夜になると校庭走ると言う話が有ったんだけど・・・高校に入ってから聞いた話だと、何と!小学校から走って逃げたと言う話に変わってたんだよ!」

「シノブ殿、それって撤去されただけではござらんか?台座が残っていたら逃げたかも知れないでござるが・・・いっそ百物語でもするでござるよ。」

「蝋燭無いですよ。・・・しかも徹夜する気ですか?4人でするとしたら、1人当たり25話用意しないといけないですよ?1話5分で計算しても8時間以上掛かりますよ。」

DOSどっちゃんの掲げる黒板に「もう寝なさい」と書いて有る。
そういえば食事をしながらかれこれ3時間は話をしている。

明日もまだ長い距離を歩かないといけないし、DOSどっちゃんの言う通りそろそろ寝た方が良いかも知れない。

私達はそのまま横になり休む事になった。
開けた場所なので一応土遁系の特殊技能スキルを使いダメージ系罠を設置しておいた。

この辺りのモンスターなら多分退けるはず。

機械都市ギュノス国までもう少し・・・・
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