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大陸横断編
042話 罪と罰
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人は過ちを繰り返す生物である。
何故か?それは忘れるから。
失敗から学び反復から経験を得て、そこから教訓やパターンを習得しやがて成功する事が有る。
成功経験を繰り返すごとに引き出しが増えていき、やがて成功を収めた大きな収納スペースが構築される。
その引き出しに入りきれなかった「過去の失敗」は圧縮されやがて破棄される。
やがて慢心が膨らみ過去の失敗を忘却する。
世代を重ねるほど事実との乖離が広がり真実が無くなる。
人は何故戦争を繰り返すのか、争うことで「得た物」は?「失った物」は?「得た者」は?「失った者」は?勝ったら正史、負けたら悪と語られる。
勝ち負け両者に痛みを伴う、だがその両者は痛みを忘れる。
人が愚かでい続けてしまうのは人間の脳の忘却機能のせいだ。
人は忘れるから愚かなのか、愚かだから忘れるのか・・・・
私は昨日作成した罠に引っ掛かったサクラと咲耶を見下しながら、決して良くない頭で人の過ちについて考えていた。
此処まで懲りない人間は珍しいと思う。
罠の掛かり方から想定するに最初に引っ掛かったのはサクラだ。
時間を置いてサクラを跨いで部屋に侵入した咲耶が第3の罠に引っ掛かったのだろう。
父親が持っていたレトロゲームの「ミ●シッピー殺人事件」ばりの巧妙な罠を初見で回避するのは難しいだろう。
百歩譲ってナイフが飛んでくるのは許すけど、豪華客船の部屋に落とし穴を作るとか凄過ぎでしょう。
「おはようございますシノブ!バスローブ姿良いですね!」
「シノブ殿、おはようでござる。早速で申し訳無いがコレを解除しては貰え無いでござるか?」
「・・・遺言はそれで良いの?」
笑顔で人生最後の言葉を確認すると2人は急に慌てだし全身に纏わりついた【粘着罠】を剥がそうとする。
同時発動した麻痺に阻まれ、いくら強い2人と言えどそう簡単に解除出来ない。
「シノブ殿、殺生は宜しくないと思うでござる。」
「そうですよ!いくらサクラが屑でも殺しては駄目ですよ。」
いや咲耶も同罪でしょう。
昨日から罠作成にどれだけのSPを使っていると思っているんだ。
罠作成に使用した累計SP消費は最大値の半分は使っていると思う。
2人を更に厳重に【粘着罠】で固め、のんびり朝風呂に入り爽やかな気分で部屋で寛いでいるとデイア姫とDOSが訪ねて来た。
デイア姫が入室する際に部屋の入口に転がしていたサクラと咲耶を見下した様な目で軽く見下し話しかける。
「おはようございます。何んですか?あの芋虫の様な物体は。」
「芋虫です。気にしないで下さい。」
「・・・・・」
DOSは無表情で喋る事は無いがヤレヤレといった感情が伝わってくる。
サクラと咲耶は部屋に放置したまま、私はデイア姫の父親こと現ハイメス国王に謁見する事となった。
変質者は即身仏にでもなってしまえば良い。
いや、仏教的に即身仏に対して失礼だった。
救済の為に自らの身体を捧げると言う気高い行為だ。
サクラ達と同列で考えるのは間違っている。
私は【黒猫スーツ】に着替え、国王と謁見する部屋へと案内される。
時折チラチラと私の方を見て来るデイア姫の怪しい視線を感じる。
なんかこの服を装備すると彼女の琴線に触れるらしい。
・
・
・
-ハイメス国 謁見の間-
白く輝く石造りのシンプルな部屋には直線に敷き詰められた赤い絨毯が国王の鎮座する巨大に椅子へ誘う。
周囲を警備する魔法騎士も数名しかおらず、国王の横には王妃の座る椅子も有りその脇には黄金色の巨大なパイプオルガンが設置してあり国王と王妃の次に存在感が有る。
私達が部屋に一歩踏み入ると、無人のパイプオルガンが自動的に静かめの曲を演奏し始める。
無駄に凄い魔法技術だ。
この部屋で1番豪華な金色の王座に座るハイメスの国王は青色の髪に20代と見間違える程に若作りのイケメンオジ様だった。
王妃はデイア姫と同じく美しい銀色髪で姉と言われても信じてしまう程若く見える。
魔法技術なのか、昨日御馳走になった精進料理的な夕食のお陰なのかやたらと見た目が若い。
私の姿を見た国王と王妃が目を丸くする、当然だろう。
娘に連れられて堂々と入室して来たのは、何処をどう見ても黒猫なのだから。
ゲームではオスロウ国側のストーリーを進めていたので、国王と王妃の姿は初めて見た。
従って敵勢力の事は後日談的にしか知らされない。
取り敢えず礼節を弁え、国王と王妃の前に膝まづく。
「昨日お話しした終末の予言者シノブをお連れいたしました。」
キョトンとする国王と王妃に、まるでギャグを言っているかの様に真顔で私を紹介する。
見た目が黒猫なのだから当然の反応だと思おう。
終末の予言者って何処かで聞いた様な単語だ?え~とノストラダムスだっけ。
社会風刺を暗号風に書いていただけで、日本の出版社の人が終末論として世間に広めて日本中を震撼させた事が有ったらしいとサクラから聞いた事を思い出す。
視聴率も取れメディアも取り上げた結果1999年人類は滅亡しなかったと言う落ちらしい。
予言の話からサクラが膨らませた話題だが生まれる前の話を聞かされてもピンと来ない。
「彼女は喋れますので、問題有りません。シノブ、DOS、表を上げて下さい。」
私とDOSは頭を上げる、デイア姫が私を紹介して話を進める。
「初めまして、御紹介に預かりましたシノブと言います。」
私は改めて深々と頭を下げる。
語尾に「にゃ」を付けるかどうか迷った挙句、恥ずかしくて止める事にした。
実際亜人種ムーブでなり切るのは勇気がいる。
私には無理。
「娘からお話はお聞きしました。詳しくお聞かせ願えますか?」
「分かりました。信じれないかも知れませんが、これからこの世界に起こる変革をそのままお伝えします。」
私は出来る限り詳しくこの世界に今後起こりうる正史を伝えた。
・・・と言ってもゲームのストーリーを予言風にアレンジして話しただけだが、信じれるのかなぁ。
もしもこの世界が只のゲームだとしたらプレイヤー以外はただのプログラムだ。
そしてプレイヤーがゲームを始める毎に幾度となく物語を綴る。
そして同じ歴史を繰り返す、何度も何度も。
変わるのは主観となるプレイヤーだけ。
リセットやリスタートする度に滅亡と再構成を繰り返すプログラム。
罪深いのはこのゲーム世界を作った管理者なのか、このゲームを進行し世界を崩壊に導く私達なのか?
受けるべき罰は一体何なのだろう・・・
サクラみたいに管理者を簀巻きに出来たらこの世界に真の平和が訪れるのだろうか。
何故か?それは忘れるから。
失敗から学び反復から経験を得て、そこから教訓やパターンを習得しやがて成功する事が有る。
成功経験を繰り返すごとに引き出しが増えていき、やがて成功を収めた大きな収納スペースが構築される。
その引き出しに入りきれなかった「過去の失敗」は圧縮されやがて破棄される。
やがて慢心が膨らみ過去の失敗を忘却する。
世代を重ねるほど事実との乖離が広がり真実が無くなる。
人は何故戦争を繰り返すのか、争うことで「得た物」は?「失った物」は?「得た者」は?「失った者」は?勝ったら正史、負けたら悪と語られる。
勝ち負け両者に痛みを伴う、だがその両者は痛みを忘れる。
人が愚かでい続けてしまうのは人間の脳の忘却機能のせいだ。
人は忘れるから愚かなのか、愚かだから忘れるのか・・・・
私は昨日作成した罠に引っ掛かったサクラと咲耶を見下しながら、決して良くない頭で人の過ちについて考えていた。
此処まで懲りない人間は珍しいと思う。
罠の掛かり方から想定するに最初に引っ掛かったのはサクラだ。
時間を置いてサクラを跨いで部屋に侵入した咲耶が第3の罠に引っ掛かったのだろう。
父親が持っていたレトロゲームの「ミ●シッピー殺人事件」ばりの巧妙な罠を初見で回避するのは難しいだろう。
百歩譲ってナイフが飛んでくるのは許すけど、豪華客船の部屋に落とし穴を作るとか凄過ぎでしょう。
「おはようございますシノブ!バスローブ姿良いですね!」
「シノブ殿、おはようでござる。早速で申し訳無いがコレを解除しては貰え無いでござるか?」
「・・・遺言はそれで良いの?」
笑顔で人生最後の言葉を確認すると2人は急に慌てだし全身に纏わりついた【粘着罠】を剥がそうとする。
同時発動した麻痺に阻まれ、いくら強い2人と言えどそう簡単に解除出来ない。
「シノブ殿、殺生は宜しくないと思うでござる。」
「そうですよ!いくらサクラが屑でも殺しては駄目ですよ。」
いや咲耶も同罪でしょう。
昨日から罠作成にどれだけのSPを使っていると思っているんだ。
罠作成に使用した累計SP消費は最大値の半分は使っていると思う。
2人を更に厳重に【粘着罠】で固め、のんびり朝風呂に入り爽やかな気分で部屋で寛いでいるとデイア姫とDOSが訪ねて来た。
デイア姫が入室する際に部屋の入口に転がしていたサクラと咲耶を見下した様な目で軽く見下し話しかける。
「おはようございます。何んですか?あの芋虫の様な物体は。」
「芋虫です。気にしないで下さい。」
「・・・・・」
DOSは無表情で喋る事は無いがヤレヤレといった感情が伝わってくる。
サクラと咲耶は部屋に放置したまま、私はデイア姫の父親こと現ハイメス国王に謁見する事となった。
変質者は即身仏にでもなってしまえば良い。
いや、仏教的に即身仏に対して失礼だった。
救済の為に自らの身体を捧げると言う気高い行為だ。
サクラ達と同列で考えるのは間違っている。
私は【黒猫スーツ】に着替え、国王と謁見する部屋へと案内される。
時折チラチラと私の方を見て来るデイア姫の怪しい視線を感じる。
なんかこの服を装備すると彼女の琴線に触れるらしい。
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-ハイメス国 謁見の間-
白く輝く石造りのシンプルな部屋には直線に敷き詰められた赤い絨毯が国王の鎮座する巨大に椅子へ誘う。
周囲を警備する魔法騎士も数名しかおらず、国王の横には王妃の座る椅子も有りその脇には黄金色の巨大なパイプオルガンが設置してあり国王と王妃の次に存在感が有る。
私達が部屋に一歩踏み入ると、無人のパイプオルガンが自動的に静かめの曲を演奏し始める。
無駄に凄い魔法技術だ。
この部屋で1番豪華な金色の王座に座るハイメスの国王は青色の髪に20代と見間違える程に若作りのイケメンオジ様だった。
王妃はデイア姫と同じく美しい銀色髪で姉と言われても信じてしまう程若く見える。
魔法技術なのか、昨日御馳走になった精進料理的な夕食のお陰なのかやたらと見た目が若い。
私の姿を見た国王と王妃が目を丸くする、当然だろう。
娘に連れられて堂々と入室して来たのは、何処をどう見ても黒猫なのだから。
ゲームではオスロウ国側のストーリーを進めていたので、国王と王妃の姿は初めて見た。
従って敵勢力の事は後日談的にしか知らされない。
取り敢えず礼節を弁え、国王と王妃の前に膝まづく。
「昨日お話しした終末の予言者シノブをお連れいたしました。」
キョトンとする国王と王妃に、まるでギャグを言っているかの様に真顔で私を紹介する。
見た目が黒猫なのだから当然の反応だと思おう。
終末の予言者って何処かで聞いた様な単語だ?え~とノストラダムスだっけ。
社会風刺を暗号風に書いていただけで、日本の出版社の人が終末論として世間に広めて日本中を震撼させた事が有ったらしいとサクラから聞いた事を思い出す。
視聴率も取れメディアも取り上げた結果1999年人類は滅亡しなかったと言う落ちらしい。
予言の話からサクラが膨らませた話題だが生まれる前の話を聞かされてもピンと来ない。
「彼女は喋れますので、問題有りません。シノブ、DOS、表を上げて下さい。」
私とDOSは頭を上げる、デイア姫が私を紹介して話を進める。
「初めまして、御紹介に預かりましたシノブと言います。」
私は改めて深々と頭を下げる。
語尾に「にゃ」を付けるかどうか迷った挙句、恥ずかしくて止める事にした。
実際亜人種ムーブでなり切るのは勇気がいる。
私には無理。
「娘からお話はお聞きしました。詳しくお聞かせ願えますか?」
「分かりました。信じれないかも知れませんが、これからこの世界に起こる変革をそのままお伝えします。」
私は出来る限り詳しくこの世界に今後起こりうる正史を伝えた。
・・・と言ってもゲームのストーリーを予言風にアレンジして話しただけだが、信じれるのかなぁ。
もしもこの世界が只のゲームだとしたらプレイヤー以外はただのプログラムだ。
そしてプレイヤーがゲームを始める毎に幾度となく物語を綴る。
そして同じ歴史を繰り返す、何度も何度も。
変わるのは主観となるプレイヤーだけ。
リセットやリスタートする度に滅亡と再構成を繰り返すプログラム。
罪深いのはこのゲーム世界を作った管理者なのか、このゲームを進行し世界を崩壊に導く私達なのか?
受けるべき罰は一体何なのだろう・・・
サクラみたいに管理者を簀巻きに出来たらこの世界に真の平和が訪れるのだろうか。
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