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武闘大会編
020話 金髪イケメン×ポニテ女子(男)
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-オスロウ国 コロシアム-
午前中の3試合が消化され、2時間程のインターバルを取る事になった。
1試合目と3試合目の両試合の賭博予想を当てたサクラは大層羽振りが良く、昼食に2人で霜降りA5ランクの和牛ステーキ並みの高級肉400グラムを注文していた。
貴族と代表選手のみが利用出来る高級レストランが出店している区画で、リアルでも食べた事の無い様な超高級肉を使った料理を注文する。
この区画で1番高い料理と言う事も有り、シェフ自ら目の前でライブ調理を行うサービスっぷりだ。
表面に焼き目を付けて両面を焼いた後、アルミホイルの様なモノで包み保温し付け合わせの野菜やソースを作成し始める。
シェフの手際に見とれつつも、食欲をそそる調理の匂いだけで脳汁と唾液がドバドバ溢れるのを感じる。
僅か20分で熱々の高級ステーキランチが出来上り2人で早速食べ始める。
「~~~~~~~~~~何これ!?うっ~~んま!とろけるっミラクルッ!」
「ヤバっ!この肉汁!最っ高でござるな!」
高さ4センチは有る分厚い牛肉なのに、ナイフがまるでプリンに刺さる様に手応えを感じさせない。
外側は網目状に焼き目が付いており、中はミディアムレアの絶妙な焼き加減。
醤油風調味料とバター、赤ワインがベース香り際立つソースは肉の脂とベストマッチしている。
口の中で肉の繊維が解ける様に崩れ濃厚な肉の脂とソースが混ざり何とも表現しがたい旨味のハーモニーを奏でていた。
今私の口の中で奇跡が起きている!まさに味の宝石箱や!
「ヤバイ、感動した。」
「この旨さは、幸せでござるな!」
思わず食レポをしたくなる様な感動を味わいながら、選手控えの王族経営系列の三ツ星レストランのシェフの実力について話が弾んでいた。
リアルでもこんな最高の調理は味わったことが無い。
まさにサクラ様様だ。
ただ傍から見たら黒猫が高級ステーキを食べている異様な光景だろうなと苦笑する。
2人で談笑していると、不意にパラディンのシグが「合席よろしいですか?」と4人用テーブルのサクラの斜め横に許可無く強引に座った。
衣服や鎧を着替えたのか先の戦闘で破損していた鎧が新品同様になっていた。
ダメージは回復魔法で完全回復したのだろう。
私の真横に座ったので自然と香水の様な香りが鼻に着いた。
この男、抜かりないな。
いつも酒場で冒険者連中に奢らせてタダ酒を飲んでいたサクラだが、残念ながら事前支払いの為シグには奢らせる事が出来ません。
ニヤニヤしながらサクラを見るとシグに対して、あからさまに嫌そうな顔をして椅子をずらし距離を取っていた。
「この人語を喋る子猫ちゃんはサクラさんが飼っている使い魔ですか?」
ごく自然に金髪イケメンに頭を撫でられ若干同様して赤面してしまった。
女慣れしているイケメンは自然に頭を撫でると漫画やアニメで描写されているが本当なのか?
いや、私は今黒猫だった。
漫画のヒロインとは扱いが違う。
その様子が気に食わなかったのか、サクラがシグの腕を掴みギリギリと力を込める音が聞こえる。
「拙者の可愛い使い魔に手を出すでないでござる!」
はわわわわ、シグの前なので「殿」を外して呼び捨てにしている。
一触即発の様な雰囲気に私は若干焦っていた。
さっきから無駄に動揺する展開が続き脈拍が上がる、更にサクラの何気なく言った言葉を深く勘ぐってしまい赤面が収まらない。
あのサクラ如き変態に一瞬だけでもトキメいてしまった自分を殺したい。
この場を治める為と若干の照れ隠しながらサクラをグーパンし2人から距離を取る、多分100ポイント位のダメージは与えた。
シグは両手を上げて戦闘意思が無い事を体で伝える。
「申し訳ありません、悪気はないです。」
ジト目でシグを睨みながらシグの腕を離し「フンッ」鼻を鳴らす。
「シノブは照れ屋でござるなぁ。」
腫れた頬を擦りながらサクラは一切意識してない様子だ、動揺した自分が馬鹿みたい。
サクラはシグの方を振り向き口を「へ」の字にしてシグの顔を睨む。
余程このイケメンが気に喰わないのだろう、敵意剥き出しである。
「失礼しました、悪気は有りません。サクラ様と昼食を御一緒したかっただけです。」
サクラの殺気に押され気味になりながら、一歩も引かないイケメン。
職業イケメンを極めるとこの程度の睨みでは効果はイマイチなのだろうか。
とりあえず私は関わらない様に無言を貫き、手早くステーキを平らげる事にした。
「強く美しい貴女の戦いぶりは、まさに戦いの女神アテナの如く輝いておりました。」
どこからか自然に薔薇でも取り出すんじゃないかと期待していたが流石に出てこなかった。
イケメン男がネカマを口説く図は面白いが、残念ながら婦女子属性を持たない私は単純に金髪イケメンがスタイル抜群美女を口説いているだけに見える。
しかしサクラの反応を見ている分には笑える。
「多分、決勝戦は僕と貴女が当たるでしょう。もし僕が勝てたら結婚を前提にお付き合いしていただけないでしょうか?」
「ブフッ!」
思わず飲物を吹き出す。
このイケメン、突然求婚してるし!
流石に度肝を抜かれた。
【突然のプロポーズ】なんて言う特殊技能を使うとは・・・
本気かどうか分からないが、自分に自信の有るイケメンにしか許されない行動だと思う。
彼の中の揺るぎない自身が伺える、その自信を少し分けて貰いたい位だ。
地位、名声、容姿、恐らく全て兼ね備えた完璧超人だ。
一般人なら求婚を断る女性は居ないだろう・・・
だが、サクラはネカマで、中身は男だ。
「お主がクリスに勝てるとは思えんが?もし、準決勝で拙者に勝てたら、その時点で申し出を受けても良いでござる。」
マジか、受けちゃったよこの人。
万が一にもイベントボスのクリス君が負けるとは思えないけどね。
ちなみに単独で侍LV100に勝てるNPCなんてレイドボス位だろう。
でも、伝説の勇者の覚醒みたいな超パワーが発動してシグが勝てば面白い展開なのだけど・・・100パーセント無いな。
「それは素晴らしい!約束ですよ、サクラ様」
余裕の笑顔のシグを他所に私がステーキを食べ終えたのを見て、サクラはガツガツと擬音が見えそうな位下品な食べ方で素早くステーキランチを平らげた。
料理は美味しかったし、面白い茶番劇も見れたし余は満足じゃ。
「ごちそうさまでした。」「ごちそうさまでござる。」
ランチが運ばれて来たシグを他所に、私達は何事も無かった様に席を立つ。
そんな私達を手を振りながら笑顔で見送る。
私は凄く内容の濃い1時間を体験した。
午前中の3試合が消化され、2時間程のインターバルを取る事になった。
1試合目と3試合目の両試合の賭博予想を当てたサクラは大層羽振りが良く、昼食に2人で霜降りA5ランクの和牛ステーキ並みの高級肉400グラムを注文していた。
貴族と代表選手のみが利用出来る高級レストランが出店している区画で、リアルでも食べた事の無い様な超高級肉を使った料理を注文する。
この区画で1番高い料理と言う事も有り、シェフ自ら目の前でライブ調理を行うサービスっぷりだ。
表面に焼き目を付けて両面を焼いた後、アルミホイルの様なモノで包み保温し付け合わせの野菜やソースを作成し始める。
シェフの手際に見とれつつも、食欲をそそる調理の匂いだけで脳汁と唾液がドバドバ溢れるのを感じる。
僅か20分で熱々の高級ステーキランチが出来上り2人で早速食べ始める。
「~~~~~~~~~~何これ!?うっ~~んま!とろけるっミラクルッ!」
「ヤバっ!この肉汁!最っ高でござるな!」
高さ4センチは有る分厚い牛肉なのに、ナイフがまるでプリンに刺さる様に手応えを感じさせない。
外側は網目状に焼き目が付いており、中はミディアムレアの絶妙な焼き加減。
醤油風調味料とバター、赤ワインがベース香り際立つソースは肉の脂とベストマッチしている。
口の中で肉の繊維が解ける様に崩れ濃厚な肉の脂とソースが混ざり何とも表現しがたい旨味のハーモニーを奏でていた。
今私の口の中で奇跡が起きている!まさに味の宝石箱や!
「ヤバイ、感動した。」
「この旨さは、幸せでござるな!」
思わず食レポをしたくなる様な感動を味わいながら、選手控えの王族経営系列の三ツ星レストランのシェフの実力について話が弾んでいた。
リアルでもこんな最高の調理は味わったことが無い。
まさにサクラ様様だ。
ただ傍から見たら黒猫が高級ステーキを食べている異様な光景だろうなと苦笑する。
2人で談笑していると、不意にパラディンのシグが「合席よろしいですか?」と4人用テーブルのサクラの斜め横に許可無く強引に座った。
衣服や鎧を着替えたのか先の戦闘で破損していた鎧が新品同様になっていた。
ダメージは回復魔法で完全回復したのだろう。
私の真横に座ったので自然と香水の様な香りが鼻に着いた。
この男、抜かりないな。
いつも酒場で冒険者連中に奢らせてタダ酒を飲んでいたサクラだが、残念ながら事前支払いの為シグには奢らせる事が出来ません。
ニヤニヤしながらサクラを見るとシグに対して、あからさまに嫌そうな顔をして椅子をずらし距離を取っていた。
「この人語を喋る子猫ちゃんはサクラさんが飼っている使い魔ですか?」
ごく自然に金髪イケメンに頭を撫でられ若干同様して赤面してしまった。
女慣れしているイケメンは自然に頭を撫でると漫画やアニメで描写されているが本当なのか?
いや、私は今黒猫だった。
漫画のヒロインとは扱いが違う。
その様子が気に食わなかったのか、サクラがシグの腕を掴みギリギリと力を込める音が聞こえる。
「拙者の可愛い使い魔に手を出すでないでござる!」
はわわわわ、シグの前なので「殿」を外して呼び捨てにしている。
一触即発の様な雰囲気に私は若干焦っていた。
さっきから無駄に動揺する展開が続き脈拍が上がる、更にサクラの何気なく言った言葉を深く勘ぐってしまい赤面が収まらない。
あのサクラ如き変態に一瞬だけでもトキメいてしまった自分を殺したい。
この場を治める為と若干の照れ隠しながらサクラをグーパンし2人から距離を取る、多分100ポイント位のダメージは与えた。
シグは両手を上げて戦闘意思が無い事を体で伝える。
「申し訳ありません、悪気はないです。」
ジト目でシグを睨みながらシグの腕を離し「フンッ」鼻を鳴らす。
「シノブは照れ屋でござるなぁ。」
腫れた頬を擦りながらサクラは一切意識してない様子だ、動揺した自分が馬鹿みたい。
サクラはシグの方を振り向き口を「へ」の字にしてシグの顔を睨む。
余程このイケメンが気に喰わないのだろう、敵意剥き出しである。
「失礼しました、悪気は有りません。サクラ様と昼食を御一緒したかっただけです。」
サクラの殺気に押され気味になりながら、一歩も引かないイケメン。
職業イケメンを極めるとこの程度の睨みでは効果はイマイチなのだろうか。
とりあえず私は関わらない様に無言を貫き、手早くステーキを平らげる事にした。
「強く美しい貴女の戦いぶりは、まさに戦いの女神アテナの如く輝いておりました。」
どこからか自然に薔薇でも取り出すんじゃないかと期待していたが流石に出てこなかった。
イケメン男がネカマを口説く図は面白いが、残念ながら婦女子属性を持たない私は単純に金髪イケメンがスタイル抜群美女を口説いているだけに見える。
しかしサクラの反応を見ている分には笑える。
「多分、決勝戦は僕と貴女が当たるでしょう。もし僕が勝てたら結婚を前提にお付き合いしていただけないでしょうか?」
「ブフッ!」
思わず飲物を吹き出す。
このイケメン、突然求婚してるし!
流石に度肝を抜かれた。
【突然のプロポーズ】なんて言う特殊技能を使うとは・・・
本気かどうか分からないが、自分に自信の有るイケメンにしか許されない行動だと思う。
彼の中の揺るぎない自身が伺える、その自信を少し分けて貰いたい位だ。
地位、名声、容姿、恐らく全て兼ね備えた完璧超人だ。
一般人なら求婚を断る女性は居ないだろう・・・
だが、サクラはネカマで、中身は男だ。
「お主がクリスに勝てるとは思えんが?もし、準決勝で拙者に勝てたら、その時点で申し出を受けても良いでござる。」
マジか、受けちゃったよこの人。
万が一にもイベントボスのクリス君が負けるとは思えないけどね。
ちなみに単独で侍LV100に勝てるNPCなんてレイドボス位だろう。
でも、伝説の勇者の覚醒みたいな超パワーが発動してシグが勝てば面白い展開なのだけど・・・100パーセント無いな。
「それは素晴らしい!約束ですよ、サクラ様」
余裕の笑顔のシグを他所に私がステーキを食べ終えたのを見て、サクラはガツガツと擬音が見えそうな位下品な食べ方で素早くステーキランチを平らげた。
料理は美味しかったし、面白い茶番劇も見れたし余は満足じゃ。
「ごちそうさまでした。」「ごちそうさまでござる。」
ランチが運ばれて来たシグを他所に、私達は何事も無かった様に席を立つ。
そんな私達を手を振りながら笑顔で見送る。
私は凄く内容の濃い1時間を体験した。
応援ありがとうございます!
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