マジックヒール〜史上最低魔力値の俺が魔力回復魔法を駆使して最強へと成り上がる!〜

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第4話 人生最低の日

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 俺の家からしばらく歩くと、大きな白い建物が見えてくる。

「ほら、ジーク!あそこだよ!」

「わかってるから、そんなにひっぱるなってー」

 そうこうしているうちに神殿に着いた俺とシルは、中に入っていった。俺たちの他にも来ていた人たちがいるようで、喜んだり、落ち込んだりしている。

「けっこう人がいるんだなぁ」

「ほんとだね~」

 シルと話をしながら、中を進んで行くと、神官と思われる男性に声をかけられた。

「君たちも魔力の測定と女神様よりスキルを授かりに来たのかな?」

「はい、そうです」

「向こうの女神様の石像の前で、祈りを捧げなさい。そしたら、女神様よりスキルを授かることができるよ」

「ありがとうございます」
「ありがとう!おじちゃん!」

「いいスキルを授かることができるといいね」

 神官のおじちゃんに言われた通り、俺たちは、女神様の石像の前に向かった。
 石像の前に着くと、俺とシルは、片膝をつき、手を合わせて、女神様に祈りを捧げる。
 すると、俺とシル二人の体が光に包まれ、しばらくすると霧散していった。

「これでいいのか………?」

「うーん?さっきのおじちゃんに見てもらおうよ!」

「そうだな。お、ちょうどあそこにいるな。よし、シル、行くぞ!」

 俺がそう言うと、なぜかシルがこっちを見てにやにやしている。 

「なんだよ……?」

「いや、やっぱりジークも楽しみなんだなぁ~って思って」

「い、いや!これは、その!」

「はいはい、いいから早く行こー」

 シルに引っ張られた俺は、仕・方・な・くさっきおじちゃんのところに向かった。
 おじちゃんのところまで来ると、向こうから話しかけてきた。

「おや、君たち結果はどうだったかな?」

「それが自分でも分からなくて、おじちゃんに見て欲しいんです!」
「俺からもお願いします」

「ああ、お安い御用だよ。私たち神官は、皆ランクは様々だけど鑑定スキルを持っているからね。………………おお!お嬢ちゃんの方は、4つスキルを持っているね。
 【上級】水魔法、【上級】風魔法にこれは、、、、【特級】光魔法、【王級】同化!?なんと!水魔法、風魔法に加えて珍しい光魔法まで、しかも王級のスキルまであるじゃないか!
 同化というスキルは聞いたことないが、固有スキルの一つだろうね。凄いね、久しぶりにここまでのスキルを持っている人を見たよ」

「やった!どうよ、ジーク?」

 ニコニコ笑いながら、こっちを見てくるシルは、心の底から嬉しそうにしている。

「ああ、良かったじゃないか」

「よし、次は坊ちゃんの方だね。……………おお!これまたすごい!坊ちゃんも4つのスキルを持っているね」

 この言葉を聞いて、俺は小さくガッツポーズをする。だって、俺だけ劣ってるとか嫌だったからな。

「うーんと………【上級】火魔法に【上級】剣術があるね。【特級】鑑定もあるじゃないか!君、ここで働かないかい?」

 鑑定スキルがあると分かった途端、おじさんが食い気味で勧誘してきた。
 神官って人手不足なのかな?
 でも俺は、冒険者になるつもりなので答えは決まっている。

「お断りします」

「そうか~残念だなぁ~。あと1つは、【王級】『魔力回復魔法』?聞いたことないスキルだなぁ。まぁ、固有スキルの一つかな。
 しかしまぁ、坊ちゃんもお嬢ちゃんも王級スキルの保持者とは、今年は女神様の機嫌がいいのかな?」

「良かったね、ジーク」

「ああ!」

「いや~、君たち凄いね!これから頑張りなよ」

「はい!ありがとうございました!」
「ところで、魔力を測定したいんですがどこで出来ますか?」

「それなら、あそこの水晶『魔晶石』に手をかざすといいよ」

「分かりました」

 神官のおじちゃんに言われ、青白く光る水晶があるところに向かった。

「わぁ……!きれい……!」

「早くしてくれよ!」

「もう、待ちきれないからってそんなに急かさないでよ」

 俺が急かすと、シルは仕方ないなぁーと言いながら水晶に手をかざした。すると、魔晶石が眩しいくらい強く光った。

「………魔力値30000だって!」

「まじかよ!すごいな!」

 シルの魔力値は、30000だったらしい。3000あれば、優秀とされるのにその10倍とは、シルは天才かもしれない。

「ふふん~、さすが私!」

「よし!次は俺だな」

 シルが30000なら、俺もそれくらいあるかもしれないな。
 俺は期待しながら、水晶に手をかざした。先ほどのシルに比べると明らかに弱々しく光る。
 表示された魔力値を見て、俺は愕然とし、目の前が真っ暗になった。

「…………魔力値100…………」

 今日が人生最高の1日から人生最低の1日に変わった瞬間だった。
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