マジックヒール〜史上最低魔力値の俺が魔力回復魔法を駆使して最強へと成り上がる!〜

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第3話 始まりと期待

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 時は遡り________3年前


 俺___ジークは、いつもの日課である昼寝をしにトリビアの町を出て、森を抜けたところにある草原に来ていた。

「とうとう明日かぁ」

 ついに明日、俺は15歳、成人になる。
 つまりスキルを女神様より授かることができる。
 俺は、何年も前からこの時を待ち侘びていた。

「明日は絶対いいスキルを授かって、念願の冒険者になるんだ!」

 明日のことについて、横になって期待をしながら考えているうちに、うとうとしてしまう。
 今日は天気も良く、心地の良い気温だったので、すぐ眠りについてしまった。


♢      ♢       ♢

「お父さん!お父さん!僕も女神様からスキルを授かることができるの?」

「おう!できるぞ!でも、後10年たったらな」

「えー、10年も待つのー?」

「なーに、10年なんてあっという間さ。それに俺たちの血を引いてるんだ。きっと立派なスキルを授かることができるさ」

「僕、将来は、お父さんみたいな立派な冒険者になりたい!」

「お?ジークの夢は、冒険者かぁ~。いいぞ~冒険者は。自由で気ままに過ごせるぞ!」

 このとき俺は、父さんの話を目をキラキラさせながら聞いていた。

「もう~、フリードったら。ジークに変なこと教えないでよね」

「メル!へ、変なことってなんだよ!これでも俺は、真面目に____」

「はいはい。いい?ジーク、あなたは、私のような冒険者になりなさい」

「じゃあ、お父さんとお母さんのような冒険者になる!」

 俺がそう言うと、二人は揃ってにっこりと微笑んでいた。


♢       ♢        ♢

「……きて……お……きて!……起きてってば!」

 声が聞こえて、目を覚ました瞬間、バシッと顔にビンタされた。

「いッてぇ!?こら!シル!ビンタで起こすのは、やめろっていつも言ってるだろ!」

「だって、どんなに起こしても起きないんだもん」

「今、起きようとしてただろ!」

「え?そうなの?今度から気をつけるね!」

 この少し天然で、艶のある美しい銀髪を肩の長さくらいまで伸ばした少女の名前は、シルヴィ。
 俺の隣の家の娘で俺の幼馴染である。どういう偶然かシルヴィは、俺が産まれた日と同じ日に産まれた。
 そして、明日が俺とシルヴィの誕生日、つまり成人15歳になり、神殿でスキルを授かる日である。

「そんなことより、ジーク。明日は、大事な日だってのに今日も来てたのね」

「ここに来ないと落ち着かなくてな……」

「そう………。とうとう明日だね」

「ああ、やっとこの時がきたって感じがするよ」

「そうだね、ジークと2人で冒険者ごっこしてたのがついこないだのような気がするよ」

 俺とシルは、子供の頃毎日のように冒険者ごっこをして遊んでいた。確かにそれが最近のことのように感じる。
 明日からはもうごっこ遊びではなく、本物の冒険者になることができると考えると、気分が昂らずにはいられない。

「ジーク、私決めたよ。ジークと一緒に冒険する!」

「え?それって……」

「私も冒険者になるってこと」

 シルからの突然の言葉に驚愕のあまり目を見開いてしまう。
 てっきり、シルは女の子だし、危険な冒険者にはならないものだと思い切っていた。

「いいのか?冒険者は、危険だぞ」

「いいの、自分で決めたことだもん。それにジークと一緒なら退屈しないしね!」

「そうか。じゃあ、これからもよろしくな、シル!」

「うん!よろしく、ジーク!」

 その後、俺とシルは明日のことについて話し合い、それぞれの家に帰った。

♢          ♢          ♢

「ただいま」

 家に入ると、玄関にちょうど帰ってきたばかりであろう父さんがいた。

「お、ジークか。おかえり。お前もついに明日だな。時が経つのは、早いもんだ」

「やめてくれよ、父さん」

 二人で笑い合いながら、母さんの待つ居間に向かった。

「メルー、今帰ったぞー」
「母さん、ただいま」

「おかえり!フリード、ジーク。もうすぐ夕飯できるから、待っててね」

 母さんの料理が出来上がり、3人揃ったところで食べ始めた。食べ始めてからしばらくした後、父さんが聞いてきた。

「そういや、ジーク。お前、これからどうするんだ?」

「冒険者になるよ。シルも一緒に」

「そうか、そうかそうか!冒険者か!頑張れよ!」
「ジーク、シルちゃんと仲良くね」

「はい!」

 その日俺は、大きな期待と一抹の不安を抱えて、眠った。

♢          ♢          ♢

 次の日の朝、シルが俺を迎えに来ていた。
 もう待ちきれないと言わんばかりに、シルがわくわくしているのが伝わってくる。

「もう~、ジークはやくー!」

「もう少し待てって。そんなに急ぐことでもないだろ?」

 シルにそう言いつつ、俺も期待で胸を一杯にしているのを隠しながら、家を出た。

「それは、そうだけどさ~。楽しみでしょうがないんだもん!」

「子どもかよ………」

「子供じゃないもん、成人したもん!あ、ジーク、お誕生日おめでと!」

「ははっ、確かにそうだな、シルも誕生日おめでとう」

「えへへ、ありがと!」

「よし、行くか」

「うん!」

 そうして俺とシルは、町の中心にある神殿に向かった。
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