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第2話 伝説の始まり(後編)
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side:シルヴィ
ジークが1人で魔物の群れに立ち向かって、ついにヒュドラと対峙し始めた頃、こちらにまた魔物が迫ってきていた。
「あの小僧ついにヒュドラと戦ってるぞ!」
「いくらなんでもヒュドラは無理だろ!」
「お、おい!他の魔物共、真っ直ぐこっちに向かってきてないか!?」
「ほ、ほんとだ……!嘘だろ!」
「どうするんだよ!いくら半分に減ってヒュドラがいないからって……!」
半分に減っても敵は5000、こちらの戦力を考えても押し負ける可能性の方が高いように感じる。
「大丈夫です!落ち着いて下さい!ここは私が守りますから!」
そう言って私は、ここら辺一体を守る魔法を発動させる。
「《ホーリーシールド》!」
光の障壁が目の前に現れて、私たちのいるところを囲む。
「おお……!これなら大丈夫そうだな!」
「へへっ!助かったぜ!ありがとな、嬢ちゃん!」
冒険者達から感謝の言葉を述べられるが、私はそれを聞き流しながら、ジークの方をじっと見つめていた。
それはセレナちゃんも同じようで、城壁の上から私と同じようにジークを見ていた。
少しすると、1人の冒険者がおもむろに話をし出した。
「お前ら、このままでいいのかよ」
「あ?なんだなんだ?」
「急にどうしたぁ?」
「あんな1人の小僧に全て任して!俺たちはこの嬢ちゃんに守ってもらうだけで本当にいいのかって言ってんだ!」
「い、いや……それは………」
「確かに……良くはねぇーけど……」
その人は言う。ジークを代わりに戦わせて私に守ってもらうので本当にいいのかと。
「俺たちはなんだ?冒険者だろ!無力な市民じゃない!こういう時にこそ、有り余る力を使う時なんじゃねーのか!」
「お、おう!そうだ!」
「俺たちだって戦えるんだ!」
俺たちも戦うべきなのではないのかと。
「いいか、お前ら!小僧ばっかに良い格好をさせるな!俺たちの意地を見せるぞ!」
「「「おおおおお!!!」」」
その1人の冒険者の掛け声と共に他の全ての冒険者達が魔物の群れに立ち向かう為に走り出した。
「ほんとにバカな連中ねぇ………」
その様子を見てたセレナちゃんが呆れたように言った。
「ふふっ、そうだね!」
私も彼女の言葉に賛同した。
「………こっちはもう大丈夫だよ。だからあとは頑張って!ジーク!」
こちらの問題は片付いたので、私は奥に見えるジークを応援した。
♢ ♢ ♢
ヒュドラとの戦いの最中、急に後ろの方から冒険者達の雄叫びが聞こえた。
それを聞き、俺はにやりと笑う。
「やっとかよ………よし!これで思う存分やれるな」
後ろの憂いが消えた事により、体力を温存する必要がなくなった俺は、全力を出す決意をする。
「待たせたな、こっから俺の全力だ!
イフリート!剣に10、身体に80だ!」
《おいおい、いいのかよ?80も使ってよぉ?》
「今はそれくらいしなきゃ、あいつは倒せないんだよ!」
《へいへい!りょーかいっと!》
今まで使ってなかった魔力も使い、全ての魔力を解放する。
身体強化に魔力を80も使ってしまうと、肉体の負荷的に持って60秒が限界である。
「時間がない、さっさとけりをつけさせてもらうぞ!」
そう言って俺は、今までとは比べ物にならない速度で斬りかかる。
さすがにヒュドラも反応できず、防御が間に合わなかったみたいで、首の1つが切り落ちる。
「グギャァ!」
首を一つ落とされ、ヒュドラ悲鳴を上げるが、そうしてる間にも俺は、攻撃の手を緩めなかった。
1つ、また1つと次々に首を落としていき、残りあと1つというところまで追い詰めたその時、俺は地面に膝をつき倒れてしまう。
「ぐっ………!ぐはっ!」
無理な身体強化の反動が来たのだ。
血を吐きながら倒れている俺にヒュドラは最後の首でとどめを刺そうとしてくる。
「ちく……しょう……!あと……もう少し……だったのに……!」
もう終わったと思ったその瞬間、ヒュドラの頭に矢が勢いよく突き刺さった。
ヒュドラが怯んだその瞬間を見逃さずに俺は、もう一度身体強化をして、剣を振るった。
最後の首が落ち、ヒュドラの体は力無く地に伏した。
「はぁ、、、はぁ、、、助かった………!」
ヒュドラに勝利した俺は、後ろを振り返る。
すると、城壁の上から矢を打ってくれたであろうセレナがこちらに向かって拳を突き出している。
それを見た俺もセレナに向かって、拳を突き出した。
「まじか……!あの小僧ヒュドラを倒しやがった!」
「あのS級魔物のヒュドラを1人で!?」
「てことは、もうあいつS級冒険者か!?」
「いや、あの火の魔法あれは火の賢者様だ!」
「あいつはこの王都の英雄だ!」
他の魔物を討伐し終わった冒険者達が一部始終を見ていたのか、俺がヒュドラを倒したことを知っており、囃し立てている。
「S級冒険者ジーク!」
「火の賢者ジーク!」
「英雄ジーク!」
「「「ジーク!ジーク!ジーク!」」」
俺のことをS級冒険者や火の賢者、英雄などと盛り上がり、ジークコールが鳴り止まない。
呆気に取られて立ち尽くしていると、シルとセレナが近づいてくる。
「やったね!さすが、ジーク!」
「私の最後の援護に感謝しなさいよ!」
「あ、ああどうにか勝てたよ。
シルはみんなのこと守ってくれてありがとうな!セレナもありがとう!あれが無かったら今頃どうなっていたか」
2人に感謝の言葉を伝えて、俺たちはどうしたものかと頭を悩ませていた。
「それにしても………」
「すごい歓声だね!」
「こいつら早く静かにならないかしら」
鳴り止まない歓声を聞きながら俺は、今までのことを思い出していた。
成人した日、この魔力値とスキルを授かった時からは想像もできない状況だった。
この物語は、史上最低魔力値の俺が魔力回復魔法を駆使して最強に成り上がるまでの話である。
ジークが1人で魔物の群れに立ち向かって、ついにヒュドラと対峙し始めた頃、こちらにまた魔物が迫ってきていた。
「あの小僧ついにヒュドラと戦ってるぞ!」
「いくらなんでもヒュドラは無理だろ!」
「お、おい!他の魔物共、真っ直ぐこっちに向かってきてないか!?」
「ほ、ほんとだ……!嘘だろ!」
「どうするんだよ!いくら半分に減ってヒュドラがいないからって……!」
半分に減っても敵は5000、こちらの戦力を考えても押し負ける可能性の方が高いように感じる。
「大丈夫です!落ち着いて下さい!ここは私が守りますから!」
そう言って私は、ここら辺一体を守る魔法を発動させる。
「《ホーリーシールド》!」
光の障壁が目の前に現れて、私たちのいるところを囲む。
「おお……!これなら大丈夫そうだな!」
「へへっ!助かったぜ!ありがとな、嬢ちゃん!」
冒険者達から感謝の言葉を述べられるが、私はそれを聞き流しながら、ジークの方をじっと見つめていた。
それはセレナちゃんも同じようで、城壁の上から私と同じようにジークを見ていた。
少しすると、1人の冒険者がおもむろに話をし出した。
「お前ら、このままでいいのかよ」
「あ?なんだなんだ?」
「急にどうしたぁ?」
「あんな1人の小僧に全て任して!俺たちはこの嬢ちゃんに守ってもらうだけで本当にいいのかって言ってんだ!」
「い、いや……それは………」
「確かに……良くはねぇーけど……」
その人は言う。ジークを代わりに戦わせて私に守ってもらうので本当にいいのかと。
「俺たちはなんだ?冒険者だろ!無力な市民じゃない!こういう時にこそ、有り余る力を使う時なんじゃねーのか!」
「お、おう!そうだ!」
「俺たちだって戦えるんだ!」
俺たちも戦うべきなのではないのかと。
「いいか、お前ら!小僧ばっかに良い格好をさせるな!俺たちの意地を見せるぞ!」
「「「おおおおお!!!」」」
その1人の冒険者の掛け声と共に他の全ての冒険者達が魔物の群れに立ち向かう為に走り出した。
「ほんとにバカな連中ねぇ………」
その様子を見てたセレナちゃんが呆れたように言った。
「ふふっ、そうだね!」
私も彼女の言葉に賛同した。
「………こっちはもう大丈夫だよ。だからあとは頑張って!ジーク!」
こちらの問題は片付いたので、私は奥に見えるジークを応援した。
♢ ♢ ♢
ヒュドラとの戦いの最中、急に後ろの方から冒険者達の雄叫びが聞こえた。
それを聞き、俺はにやりと笑う。
「やっとかよ………よし!これで思う存分やれるな」
後ろの憂いが消えた事により、体力を温存する必要がなくなった俺は、全力を出す決意をする。
「待たせたな、こっから俺の全力だ!
イフリート!剣に10、身体に80だ!」
《おいおい、いいのかよ?80も使ってよぉ?》
「今はそれくらいしなきゃ、あいつは倒せないんだよ!」
《へいへい!りょーかいっと!》
今まで使ってなかった魔力も使い、全ての魔力を解放する。
身体強化に魔力を80も使ってしまうと、肉体の負荷的に持って60秒が限界である。
「時間がない、さっさとけりをつけさせてもらうぞ!」
そう言って俺は、今までとは比べ物にならない速度で斬りかかる。
さすがにヒュドラも反応できず、防御が間に合わなかったみたいで、首の1つが切り落ちる。
「グギャァ!」
首を一つ落とされ、ヒュドラ悲鳴を上げるが、そうしてる間にも俺は、攻撃の手を緩めなかった。
1つ、また1つと次々に首を落としていき、残りあと1つというところまで追い詰めたその時、俺は地面に膝をつき倒れてしまう。
「ぐっ………!ぐはっ!」
無理な身体強化の反動が来たのだ。
血を吐きながら倒れている俺にヒュドラは最後の首でとどめを刺そうとしてくる。
「ちく……しょう……!あと……もう少し……だったのに……!」
もう終わったと思ったその瞬間、ヒュドラの頭に矢が勢いよく突き刺さった。
ヒュドラが怯んだその瞬間を見逃さずに俺は、もう一度身体強化をして、剣を振るった。
最後の首が落ち、ヒュドラの体は力無く地に伏した。
「はぁ、、、はぁ、、、助かった………!」
ヒュドラに勝利した俺は、後ろを振り返る。
すると、城壁の上から矢を打ってくれたであろうセレナがこちらに向かって拳を突き出している。
それを見た俺もセレナに向かって、拳を突き出した。
「まじか……!あの小僧ヒュドラを倒しやがった!」
「あのS級魔物のヒュドラを1人で!?」
「てことは、もうあいつS級冒険者か!?」
「いや、あの火の魔法あれは火の賢者様だ!」
「あいつはこの王都の英雄だ!」
他の魔物を討伐し終わった冒険者達が一部始終を見ていたのか、俺がヒュドラを倒したことを知っており、囃し立てている。
「S級冒険者ジーク!」
「火の賢者ジーク!」
「英雄ジーク!」
「「「ジーク!ジーク!ジーク!」」」
俺のことをS級冒険者や火の賢者、英雄などと盛り上がり、ジークコールが鳴り止まない。
呆気に取られて立ち尽くしていると、シルとセレナが近づいてくる。
「やったね!さすが、ジーク!」
「私の最後の援護に感謝しなさいよ!」
「あ、ああどうにか勝てたよ。
シルはみんなのこと守ってくれてありがとうな!セレナもありがとう!あれが無かったら今頃どうなっていたか」
2人に感謝の言葉を伝えて、俺たちはどうしたものかと頭を悩ませていた。
「それにしても………」
「すごい歓声だね!」
「こいつら早く静かにならないかしら」
鳴り止まない歓声を聞きながら俺は、今までのことを思い出していた。
成人した日、この魔力値とスキルを授かった時からは想像もできない状況だった。
この物語は、史上最低魔力値の俺が魔力回復魔法を駆使して最強に成り上がるまでの話である。
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