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第二十八章
アルトバイン
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馬が疲れないように駆け足と早足を織り混ぜ、二人は一刻で十マイル以上、移動した。ここまで来るともうアールグレイ侯爵領である。街道を行き交う人影も、街道沿いの人家も多くなっていく。
「なかなか賑やかですね」
黒馬に連れの身体に手を回して乗っているナディがきょろきょろと周囲を見回している。まだ二人乗りだ。いつ何があってもすぐ駆け出せるようにと騎手が警戒しているせいだった。
だからも物見遊山のナディとは違い、騎士様も目は油断なく動かしている。幸い朝の襲撃以来、ここまで怪しい人影は見られていない
「王都程ではありませんが、中々に豊かな街と聞いております」
「アルトバインは白海への窓口ですからね」
知識ならナディだ。えっへんと講釈を始める。
「アールグレイ侯爵様の居城を中心に防壁で二重に囲んだ城塞都市ですが、中の人口だけでも一万を越え、侯爵の領民は二十万はいるそうです」
「おお、王国屈指の勢力なだけはありますね」
「地味はそれ程豊かではないですが、白海を利用した海運が盛んで全般的に裕福です。その分、隣国のネザーゲルや白海沿いのデェーンと揉める事も多く、軍備には力を入れているそうですよ」
他にも侯爵家の政治的立ち位置とか今の当主が王位継承権何番だとか主だった交易品だとかを滔々と説明した。騎士様はうんうんと誠実に聞いている。いや、馬上の鞍の前後だから顔は見えないが。
「遅くなりましたが、街に入ったら昼食にしましょう」
騎士様の申し出にナディはうんとうなずいた。夢にまで見たアルトバインである。本当なら真っ先に目的である長年の文通相手を探す処だ。だがここは食事の方をとる。何故かそっちにしたいと自然に思ったのだった。
お腹が空いたせいだろうとちらりとだけ脳裏に浮かぶ。そう、早朝の泉以来、林檎と馬上でちょっと干し肉を齧っただけなのだから。
人も馬車も増えた街道を経て、二人は街の門に辿り着いた。ナディの蘊蓄通りに、アルトバインは白海への港と居城を中心とした街並みを、王都にも劣らぬどころかより堅固な城壁が囲んでいる。ここの交易や財産を狙って他国や大規模な海賊が襲来する事もあるので、ある意味、王都よりも厳めしい造りと雰囲気であった。
門にも衛士隊が配置されている。カーリャは身分証と自分の素顔を見せて堂々と通過した。
「大丈夫ですかね」
ナディとしては少し心配になる。衛士達は下馬した男装の麗人に声をあげて見とれていたが。
「アールグレイ侯爵様はよく領内を治めておられ、治安も良いと聞いております。ここは正々堂々に振る舞う方がよろしいでしょう」
馬から降りたまま、また轡を取って徒歩で進むカーリャである。あまり柔らかい表情ではない。ナディもそろそろ気づいているが、顔をとやかく言われるのが基本的に嫌らしい。いつも誉められているのに贅沢な事だ。
きっとこの美貌のせいであんな目やこんな目にあったのかしら? そうよそうに違いないとナディは勝手に決めつけていた。
「カーリャ様は何処でも治安を気になさりますね?」
「統治が良好か否かの一番の基本ですから。上の方々の都合はわかりませぬが、下々の生活や商いには直結します」
成る程そうかしらとナディは思う。政治や産業の本にも似た様な事は書かれていたが、本当にそう言う世界で生きている騎士様に言われると別の意味での重みがあった。
「それにアールグレイ家は聖友堂騎士団とは不仲と言う噂もありますし」
「あ、それ知っています。侯爵家の姫君の最初の婚約者が騎士団に逃げたとか」
この醜聞を何年か前にナディに教えてくれたのはポリーヌとカチャである。つまり王都のメイド達の間でも流れたくらいであり、その後、叔母も肯定していたからただの噂話でもないのだろう。
「お姫様を捨てて男だけの騎士団に逃亡だなんて、なんかいかがわしいですよね」
噂はそんな風にまとめられていた。全くけしからん話である。つい、うっふっふと口に手をあててにやつくナディ。女らはそうやって楽しんでいたのだ。
それを騎士様は聞かなかった顔で無視した。
「確か白海沿いのこの辺りは黒貝や牡蠣が有名ですね」
城門を通過して、街並みを進む。知識通りの中々の賑わいだった。街の設計としては古いらしく、王都の碁盤目の様に整然とは造られていない。かなり勝手に道がつながっており、知らぬ者には迷路の様であった。
「黒貝でしたら今ぐらいからが旬ですよね!」
「ナディ殿は運がよろしい」
同じく初めての訪問である騎士様はまず海側を目指した。白海貿易の拠点であるアルトバイン港があるはずだ。そこに物も人も集まっているだろうと言う見込みである。旅慣れしてるだけあってこれが的確だった。
「ほら、栄えているのはこちらです」
程なく視界が開けた。中々の広場である。市を立てる為の広さであろう。行き交う人も多い。周辺には商店がずらりと並んでいた。ナディが舌なめずりしそうなくらい熱心に見回す。食べ物を描いた看板が幾つもある。いい匂いもしてきた。
「あちらにしましょう」
その中から騎士様は無造作に店を選んだ。料理屋らしい中でもかなり大きい方で、黒貝を描いた看板も掲げている。
「ご存じのお店ですか」
「いえ、この街は初めてですから」
その割りには判断が直結である。ナディには不思議だ。すぐにも聞いてみた。
「馬をつなげられる事。身なりのちゃんとした客の出入りが多い事。そして構造が開けていて何かあっても逃げも戦いも容易そうだからです」
はあ、とナディは納得する。こう言う処は感心する。さすが騎士様だ。ひょっとしてこの旅の間もずっとそう警戒していてくれていたのかしら?
していました。最初からしっかりと。
「さあ」
騎士様はその『海の乙女亭』と言う看板を掲げている店の前に行き、ナディを馬から下ろす。すぐ飛んできた店の馬丁に銅貨数枚を渡して預けた。別の使用人も出てきて二人を中に通してくれる。
「そう言えばいつも使用人にはお金をはずみますね」
「小銭ですが、あの者達には副収入になりますから」
それをあてに働いている者も多いとの事だった。
「と言ってあまり与えすぎますと舐められてしまう事もありますし、不相応な小金を持っている知られて悪い者を招き寄せる事もありますし」
なかなか難しいらしい。そこら辺の呼吸は図書館の知識のナディにはわからない。お任せした方がいいのだろう。
「さあナディ殿」
小銭が上手く効いたのだろう。二人は店の女給によって二階の席に案内された。ラージャもしっかりついてきたが、女給は何も言わない。小銭は偉大だ。窓から港が見える。いい席だった。
「しっかり楽しみましょう」
騎士様のお勧めで黒貝の蒸し物を注文した。皿ではなく桶で出てくるのが本場ものらしい。ナディはたっぷりといただいた。ラージャには揚げた大きな鱈が与えられる。
「こちらもどうぞ」
騎士様が注文した飲み物は水で割ったワインだった。海に近いせいもあってここの水は良くないと知識ではあったが、こうすると味は悪くない。喉の渇きもあってナディはぐいぐい飲んでいく。
「……あまり過ぎないように。ナディ殿」
「はい……」
騎士様に言われてちょっと恥ずかしい。そう言えば昨日の二日酔いで朝に胃の中のものを全部戻してしまう処を見られているのだ。
「この後、その御方とお会いするのですから」
騎士様の声がちょっと硬いのは、あの醜態を覚えているからだろう。全く恥ずかしい。乙女として嘔吐の光景などを同世代の男性に、特にこの騎士様に見られてしまって。
「うん? どうかしました?」
「な、なんでもないです」
そんな事を考えたからつい思い出してしまったではないか。この目の前の綺麗な人は立派な男の人で――ああ、あの泉での光景を。
「頬が急に紅いですよ? もうワインの飲み過ぎですか?」
「そ、そうかも……いえ、なんでもないんです」
うわあ、夢にまで見そうとナディはどきどきしていた。それを鎮めようとさらにワインをぐいぐい空けてしまう。
まったく、お酒以外でこんなになるなんて。
アルトバインの名物の一つをたっぷりいただいてから二人と一匹は店を出た。水を与えられた馬が待っている。騎士様はナディだけを乗せて自分は轡を取った。
「まずは宿へ参りましょう」
「あれ? ここの図書館ではないのですか?」
ナディとしてはそのつもりでいたのだが、違ったらしい。馬を引きながら騎士様が丁寧に説明する。
「ナディ殿は男爵家の御令嬢です。そんなわたしの様な田舎者が旧知の友に会いに行くように直接あっさりなんてとんでもない」
「はあ」
そう言うものだろうか。貴族なら手続きとか作法とかあるのは知っているが、ナディには自分もその端に連なる者だとの認識が薄い。
「まずはわたしが先触れでその御方の所に参ります」
こんな綺麗な騎士がいきなり来たら向こうもびっくりするんじゃないだろうかと思う。あっちはナディと同じ司書なのだから。
「その上で堂々とわたしがお連れしましょう」
「いや、なんかそんな大袈裟な」
「そう言うものなのですよ。淑女が正式に訪問なさると言う事は」
騎士様の言っている作法の知識はナディにもあった。貴族なら最初は例え密会でも先に家臣がこっそり手紙くらい届けるらしい。慣れたお付き合いならそこまでしないはずだが、確かにこの旧知の友と会えるのは人生で二回目ではあるが。
「ナディ殿が焦れるのはわかりますが」
そこで騎士様は少し声を落とす。まるで道を行き交う他人に聞かせたくないかのように。
「その間、宿にて身支度をなさって下さいませ」
「え? 着替えるんですか?」
「なかなか賑やかですね」
黒馬に連れの身体に手を回して乗っているナディがきょろきょろと周囲を見回している。まだ二人乗りだ。いつ何があってもすぐ駆け出せるようにと騎手が警戒しているせいだった。
だからも物見遊山のナディとは違い、騎士様も目は油断なく動かしている。幸い朝の襲撃以来、ここまで怪しい人影は見られていない
「王都程ではありませんが、中々に豊かな街と聞いております」
「アルトバインは白海への窓口ですからね」
知識ならナディだ。えっへんと講釈を始める。
「アールグレイ侯爵様の居城を中心に防壁で二重に囲んだ城塞都市ですが、中の人口だけでも一万を越え、侯爵の領民は二十万はいるそうです」
「おお、王国屈指の勢力なだけはありますね」
「地味はそれ程豊かではないですが、白海を利用した海運が盛んで全般的に裕福です。その分、隣国のネザーゲルや白海沿いのデェーンと揉める事も多く、軍備には力を入れているそうですよ」
他にも侯爵家の政治的立ち位置とか今の当主が王位継承権何番だとか主だった交易品だとかを滔々と説明した。騎士様はうんうんと誠実に聞いている。いや、馬上の鞍の前後だから顔は見えないが。
「遅くなりましたが、街に入ったら昼食にしましょう」
騎士様の申し出にナディはうんとうなずいた。夢にまで見たアルトバインである。本当なら真っ先に目的である長年の文通相手を探す処だ。だがここは食事の方をとる。何故かそっちにしたいと自然に思ったのだった。
お腹が空いたせいだろうとちらりとだけ脳裏に浮かぶ。そう、早朝の泉以来、林檎と馬上でちょっと干し肉を齧っただけなのだから。
人も馬車も増えた街道を経て、二人は街の門に辿り着いた。ナディの蘊蓄通りに、アルトバインは白海への港と居城を中心とした街並みを、王都にも劣らぬどころかより堅固な城壁が囲んでいる。ここの交易や財産を狙って他国や大規模な海賊が襲来する事もあるので、ある意味、王都よりも厳めしい造りと雰囲気であった。
門にも衛士隊が配置されている。カーリャは身分証と自分の素顔を見せて堂々と通過した。
「大丈夫ですかね」
ナディとしては少し心配になる。衛士達は下馬した男装の麗人に声をあげて見とれていたが。
「アールグレイ侯爵様はよく領内を治めておられ、治安も良いと聞いております。ここは正々堂々に振る舞う方がよろしいでしょう」
馬から降りたまま、また轡を取って徒歩で進むカーリャである。あまり柔らかい表情ではない。ナディもそろそろ気づいているが、顔をとやかく言われるのが基本的に嫌らしい。いつも誉められているのに贅沢な事だ。
きっとこの美貌のせいであんな目やこんな目にあったのかしら? そうよそうに違いないとナディは勝手に決めつけていた。
「カーリャ様は何処でも治安を気になさりますね?」
「統治が良好か否かの一番の基本ですから。上の方々の都合はわかりませぬが、下々の生活や商いには直結します」
成る程そうかしらとナディは思う。政治や産業の本にも似た様な事は書かれていたが、本当にそう言う世界で生きている騎士様に言われると別の意味での重みがあった。
「それにアールグレイ家は聖友堂騎士団とは不仲と言う噂もありますし」
「あ、それ知っています。侯爵家の姫君の最初の婚約者が騎士団に逃げたとか」
この醜聞を何年か前にナディに教えてくれたのはポリーヌとカチャである。つまり王都のメイド達の間でも流れたくらいであり、その後、叔母も肯定していたからただの噂話でもないのだろう。
「お姫様を捨てて男だけの騎士団に逃亡だなんて、なんかいかがわしいですよね」
噂はそんな風にまとめられていた。全くけしからん話である。つい、うっふっふと口に手をあててにやつくナディ。女らはそうやって楽しんでいたのだ。
それを騎士様は聞かなかった顔で無視した。
「確か白海沿いのこの辺りは黒貝や牡蠣が有名ですね」
城門を通過して、街並みを進む。知識通りの中々の賑わいだった。街の設計としては古いらしく、王都の碁盤目の様に整然とは造られていない。かなり勝手に道がつながっており、知らぬ者には迷路の様であった。
「黒貝でしたら今ぐらいからが旬ですよね!」
「ナディ殿は運がよろしい」
同じく初めての訪問である騎士様はまず海側を目指した。白海貿易の拠点であるアルトバイン港があるはずだ。そこに物も人も集まっているだろうと言う見込みである。旅慣れしてるだけあってこれが的確だった。
「ほら、栄えているのはこちらです」
程なく視界が開けた。中々の広場である。市を立てる為の広さであろう。行き交う人も多い。周辺には商店がずらりと並んでいた。ナディが舌なめずりしそうなくらい熱心に見回す。食べ物を描いた看板が幾つもある。いい匂いもしてきた。
「あちらにしましょう」
その中から騎士様は無造作に店を選んだ。料理屋らしい中でもかなり大きい方で、黒貝を描いた看板も掲げている。
「ご存じのお店ですか」
「いえ、この街は初めてですから」
その割りには判断が直結である。ナディには不思議だ。すぐにも聞いてみた。
「馬をつなげられる事。身なりのちゃんとした客の出入りが多い事。そして構造が開けていて何かあっても逃げも戦いも容易そうだからです」
はあ、とナディは納得する。こう言う処は感心する。さすが騎士様だ。ひょっとしてこの旅の間もずっとそう警戒していてくれていたのかしら?
していました。最初からしっかりと。
「さあ」
騎士様はその『海の乙女亭』と言う看板を掲げている店の前に行き、ナディを馬から下ろす。すぐ飛んできた店の馬丁に銅貨数枚を渡して預けた。別の使用人も出てきて二人を中に通してくれる。
「そう言えばいつも使用人にはお金をはずみますね」
「小銭ですが、あの者達には副収入になりますから」
それをあてに働いている者も多いとの事だった。
「と言ってあまり与えすぎますと舐められてしまう事もありますし、不相応な小金を持っている知られて悪い者を招き寄せる事もありますし」
なかなか難しいらしい。そこら辺の呼吸は図書館の知識のナディにはわからない。お任せした方がいいのだろう。
「さあナディ殿」
小銭が上手く効いたのだろう。二人は店の女給によって二階の席に案内された。ラージャもしっかりついてきたが、女給は何も言わない。小銭は偉大だ。窓から港が見える。いい席だった。
「しっかり楽しみましょう」
騎士様のお勧めで黒貝の蒸し物を注文した。皿ではなく桶で出てくるのが本場ものらしい。ナディはたっぷりといただいた。ラージャには揚げた大きな鱈が与えられる。
「こちらもどうぞ」
騎士様が注文した飲み物は水で割ったワインだった。海に近いせいもあってここの水は良くないと知識ではあったが、こうすると味は悪くない。喉の渇きもあってナディはぐいぐい飲んでいく。
「……あまり過ぎないように。ナディ殿」
「はい……」
騎士様に言われてちょっと恥ずかしい。そう言えば昨日の二日酔いで朝に胃の中のものを全部戻してしまう処を見られているのだ。
「この後、その御方とお会いするのですから」
騎士様の声がちょっと硬いのは、あの醜態を覚えているからだろう。全く恥ずかしい。乙女として嘔吐の光景などを同世代の男性に、特にこの騎士様に見られてしまって。
「うん? どうかしました?」
「な、なんでもないです」
そんな事を考えたからつい思い出してしまったではないか。この目の前の綺麗な人は立派な男の人で――ああ、あの泉での光景を。
「頬が急に紅いですよ? もうワインの飲み過ぎですか?」
「そ、そうかも……いえ、なんでもないんです」
うわあ、夢にまで見そうとナディはどきどきしていた。それを鎮めようとさらにワインをぐいぐい空けてしまう。
まったく、お酒以外でこんなになるなんて。
アルトバインの名物の一つをたっぷりいただいてから二人と一匹は店を出た。水を与えられた馬が待っている。騎士様はナディだけを乗せて自分は轡を取った。
「まずは宿へ参りましょう」
「あれ? ここの図書館ではないのですか?」
ナディとしてはそのつもりでいたのだが、違ったらしい。馬を引きながら騎士様が丁寧に説明する。
「ナディ殿は男爵家の御令嬢です。そんなわたしの様な田舎者が旧知の友に会いに行くように直接あっさりなんてとんでもない」
「はあ」
そう言うものだろうか。貴族なら手続きとか作法とかあるのは知っているが、ナディには自分もその端に連なる者だとの認識が薄い。
「まずはわたしが先触れでその御方の所に参ります」
こんな綺麗な騎士がいきなり来たら向こうもびっくりするんじゃないだろうかと思う。あっちはナディと同じ司書なのだから。
「その上で堂々とわたしがお連れしましょう」
「いや、なんかそんな大袈裟な」
「そう言うものなのですよ。淑女が正式に訪問なさると言う事は」
騎士様の言っている作法の知識はナディにもあった。貴族なら最初は例え密会でも先に家臣がこっそり手紙くらい届けるらしい。慣れたお付き合いならそこまでしないはずだが、確かにこの旧知の友と会えるのは人生で二回目ではあるが。
「ナディ殿が焦れるのはわかりますが」
そこで騎士様は少し声を落とす。まるで道を行き交う他人に聞かせたくないかのように。
「その間、宿にて身支度をなさって下さいませ」
「え? 着替えるんですか?」
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