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真紀が目を覚ますと隣に八代の姿はなかった。
ぼんやりする頭で昨夜の出来事を整理して、なぜ体が痛いのかを理解した。
少し汗ばんだ肌が気持ち悪く感じ、シャワーを浴びることにした。
重い体を引きずり、浴室へ向かう。
ふとテーブルを見るとメッセージがかかれた紙が置いてあった。
”今夜も来るよ”
その言葉は一昨日までならうれしいと感じるだけだったが今、感じるのは不安や少しの恐怖心だ。
(これからのことを考えないと)
そのことばかりが頭を占めてしまう。
(実家には帰れない。仕事もきちんと行かなきゃ)
そう、真紀には帰る場所なんてもうない。
今更、両親に頭を下げたところで許してはくれないだろうし、前より居づらくなることは容易に想像できる。
シャワーを浴び身体を拭きながら、八代のことも考えていた。
(あんな・・・ひどいことされたのに・・・怖いのに・・・どうしよう)
「・・・嫌いになれない」
ぽつりと本心が口から洩れた。
真紀は八代の心がわからない。
しかし、八代は彼なりに真紀を愛してくれていることはわかる。
(でも・・・あれは・・・愛というよりは依存?)
「それは、私が決めつけつことではないか・・・」
少し息を吐きながら気持ちを落ち着かせた。
(八代は・・・いつも優しかった。昨夜のH以外は・・・)
もしかすると八代はすべてに嫉妬してしまうのかもしれない。
(八代も・・・不安という事?それなら、昨夜の彼の感情は怒りからくるからではなく”焦り”からくるものだったのかもしれない)
作り笑いも心配させてしまっていたのかもしれない。
真紀が心を許していないと。
もし自分が逆の立場ならどう感じるのだろうと真紀は想像してみた。
いつも気を使われ、頼りにもせず、自分一人でなんでも決めて、何を言っても笑顔で受け流される・・・。
それはとてもさみしく感じた。
まるでお前には頼らない。必要ない。
そう言っている事のようにもとらえられた。
「ああ・・・そうか、八代は”さみしい”のかな・・・」
昨夜は驚き、戸惑い、まともに考えることはできなかった。
冷静に考えれば100%自分に非がないとは言い切れない。
真紀はコップに冷たい水を入れ、一気に飲み干した。
声を昨夜一杯上げたせいでのどはすごく乾いていたようで、水を飲むことが気持ちよく感じた。
のどを潤され、かすれた声はよくなった。
「決めた・・・」
(八代と本心から向き合ってみよう。彼なら・・・きっと受け止めてくれる)
そう思いながらリビングの椅子に腰を下ろしメッセージの文字を指でなぞった。
「私は・・・八代を受け入れる。私も受け入れられたい」
真紀は自分なりに悩み答えを出し”選択”した。
これからの大事な将来のために。
その時だった。
スマホがなっていることに気が付いた。
画面に表示されたのは八代の名前だった。
「八代・・・」
迷いはない。真紀は通話開始ボタンを押し、八代と話すことにした。
「八代・・・おはよう」
「出ないかと思った」
八代は少し驚いていた。
「そうね。ついさっきまでなら出なかったかも」
「?」
真紀が”選択”して出した答えは八代は知らない。
今の真紀には恥ずかしさより伝えたいという気持ちが勝っていた。
自分の想いを精一杯伝えた。
「あのね・・・、私は八代のこと愛してる」
ぼんやりする頭で昨夜の出来事を整理して、なぜ体が痛いのかを理解した。
少し汗ばんだ肌が気持ち悪く感じ、シャワーを浴びることにした。
重い体を引きずり、浴室へ向かう。
ふとテーブルを見るとメッセージがかかれた紙が置いてあった。
”今夜も来るよ”
その言葉は一昨日までならうれしいと感じるだけだったが今、感じるのは不安や少しの恐怖心だ。
(これからのことを考えないと)
そのことばかりが頭を占めてしまう。
(実家には帰れない。仕事もきちんと行かなきゃ)
そう、真紀には帰る場所なんてもうない。
今更、両親に頭を下げたところで許してはくれないだろうし、前より居づらくなることは容易に想像できる。
シャワーを浴び身体を拭きながら、八代のことも考えていた。
(あんな・・・ひどいことされたのに・・・怖いのに・・・どうしよう)
「・・・嫌いになれない」
ぽつりと本心が口から洩れた。
真紀は八代の心がわからない。
しかし、八代は彼なりに真紀を愛してくれていることはわかる。
(でも・・・あれは・・・愛というよりは依存?)
「それは、私が決めつけつことではないか・・・」
少し息を吐きながら気持ちを落ち着かせた。
(八代は・・・いつも優しかった。昨夜のH以外は・・・)
もしかすると八代はすべてに嫉妬してしまうのかもしれない。
(八代も・・・不安という事?それなら、昨夜の彼の感情は怒りからくるからではなく”焦り”からくるものだったのかもしれない)
作り笑いも心配させてしまっていたのかもしれない。
真紀が心を許していないと。
もし自分が逆の立場ならどう感じるのだろうと真紀は想像してみた。
いつも気を使われ、頼りにもせず、自分一人でなんでも決めて、何を言っても笑顔で受け流される・・・。
それはとてもさみしく感じた。
まるでお前には頼らない。必要ない。
そう言っている事のようにもとらえられた。
「ああ・・・そうか、八代は”さみしい”のかな・・・」
昨夜は驚き、戸惑い、まともに考えることはできなかった。
冷静に考えれば100%自分に非がないとは言い切れない。
真紀はコップに冷たい水を入れ、一気に飲み干した。
声を昨夜一杯上げたせいでのどはすごく乾いていたようで、水を飲むことが気持ちよく感じた。
のどを潤され、かすれた声はよくなった。
「決めた・・・」
(八代と本心から向き合ってみよう。彼なら・・・きっと受け止めてくれる)
そう思いながらリビングの椅子に腰を下ろしメッセージの文字を指でなぞった。
「私は・・・八代を受け入れる。私も受け入れられたい」
真紀は自分なりに悩み答えを出し”選択”した。
これからの大事な将来のために。
その時だった。
スマホがなっていることに気が付いた。
画面に表示されたのは八代の名前だった。
「八代・・・」
迷いはない。真紀は通話開始ボタンを押し、八代と話すことにした。
「八代・・・おはよう」
「出ないかと思った」
八代は少し驚いていた。
「そうね。ついさっきまでなら出なかったかも」
「?」
真紀が”選択”して出した答えは八代は知らない。
今の真紀には恥ずかしさより伝えたいという気持ちが勝っていた。
自分の想いを精一杯伝えた。
「あのね・・・、私は八代のこと愛してる」
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