配信から始まる恋もある

えり

文字の大きさ
上 下
2 / 13

決意

しおりを挟む
「ねぇ、いいの?」
ぼんやりして天井を見ていると、紅戌が話しかけてきた。
「え・・・」
「このままだと・・・襲っちゃうけど」
真紀はその言葉を聞き少し焦ったが、静かにうなずいた。
「わかった」
そう短く言うと、真紀の服を器用に脱がせてきた。
真紀はあっという間に下着姿になり、恥ずかしくなってシーツに包まり身をよじった。
「嫌?」
その言葉はとてもやさしく、真紀を無理やりどうにかしたいという感情は読み取れず、心配と配慮のものだった。
真紀はその行為の前にどうしても知りたいことがあった。
勇気を振り絞り真紀は尋ねた。
「あの・・・あなたの本当の名前は?」
八代やしろ
「八代さん・・・」
「ん?」
「私は飯野真紀です」
「活動名と一緒なんだね。あぶないよ。身バレしちゃう」
「そうなんですか?」
はぁ・・・と八代は息を吐き少し真剣な声で言った。
「そんなんだから目の届くところへ閉じ込めたいと思うよ」
「・・・っ!?」
その言葉を聞き真紀は戸惑いながらもじっと八代の目を見つめた。
ゆっくりとした動きで下着を脱がされた。
これから始まる行為は真紀にとっては未知のものだったが不思議と怖くはなかった。
軽く唇が触れるキスをされ真紀はぎゅっと目を閉じて身を任せる覚悟を決めた。
唇を割り湿り気のあるものが舌を絡めとる。
慣れない感覚。
身体がほてり、下腹部がじんと切なげな感覚に陥る。
足を無意識にこすり合わせてやり過ごそうと体が動いたが八代は真紀の足の間に指を滑り込ませた。
秘部を触られ真紀は小さくのどを鳴らせた。
「真紀・・・初めてだよね・・・いっぱい濡れてから・・・するよ」
真紀はかぁっと顔を赤らめた。
その言葉通り快楽の芽を何度も優しく八代は撫でる。
くちゅくちゅと音が聞こえる。
少しずつ指を入れては出すという行為で秘部が濡らされ、何かが伝い落ちていく。
「あ・・・んぅ!」
少し刺激が強くなり真紀は我慢していた声を漏らした。
「イケたか?」
「わからないけどまだ・・・・変な感じがします」
小さな声で答えると硬いものが秘部にあてがわれた。
「挿れるよ」
すごく切羽詰まったような声で八代が真紀に言った。
ゆっくりと八代のものが自分の狭いところに押し入ってきた。
痛みを耐えて、八代を受け入れた真紀は少し微笑んで見せた。
その微笑は八代を安心させたいと思い作った表情だった。
「堪らない・・・」
八代の腰の動きが激しいものに変わり真紀はただ受け入れるしかできなくなった。


行為が終わり静かな時間が訪れた。
かすれた声で八代が言った。
「こんな遠くの土地にまで来てくれると思わなかった」
その言葉を聞きくすくすと笑いながら真紀は答えた。
「だって・・・八代さんが泣くから」


そう真紀がこの地に来たきっかけは彼の涙だった。


数日前。
八代と通話を楽しんでいるときのことだった。
彼と話す時間が真紀にとって外の世界とつながっている時間と感じるほど充実したものだった。
真紀は・・・両親に監視され管理されていることをわかっていた。
いつも通話するときは両親が外出しているときにするように気を配っていた。
だが、この日運悪く通話していることを知られてしまいスマホを取られて履歴を見られてしまった。
「だれ?この人」
母が不機嫌そうにリビングのlテーブルの上にスマホを置いた。
真紀は素直な性格で隠し事がうまくできないタイプだった。
(・・・嘘をつき通せる自信がない・・・この機会にも認めてもらいたい)
隠し事抜きで真紀はすべて話した。
配信をしている事。今、気になっている配信者の”紅戌”という男性と遠距離恋愛をしている事。
・・・今まで隠れて通話してきたこと。
(正直に話したのだからわかってくれるよね・・・)
真紀のその考えは甘いものだった。
母は真紀に怒りの感情を向けてきた。
「今までこそこそそんなことしてたの!?」
「ごめん、隠してて。反対されると思って」
真紀はのどを詰まらせながら謝った。
しかし、母の怒りはさらにひどくなった。
「お金も満足に家に入れられないくせに男と関わっている余裕はあるのね!」
そう言い残し母は自室に入っていった。

真紀は悲しくなり涙をこぼした。
そして母とのことを”紅戌”に話した。
「このままじゃ・・・別れさせれちゃう」
紅戌は少し何かを考え口を開いた。
「真紀。母親に話したいことがあるから通話させてくれないか?」
真紀は迷ったがその声音が怒りを孕んでいるものと感じながらも母にスマホを渡した。
母は、真紀を自室から追い出したので二人が何を話しているのかはわからなかった。

しばらくして母は真紀の部屋にやってきて、こう言った。
「もう好きにしたらいい。恩知らず!」
母はスマホを真紀に投げつけた。
バタンっと大きな音をたてドアを締められた。
なぜ、母が自分に暴言を吐いているのか真紀は理解できなかった。
通話画面が消えていることが気になり慌てて、紅戌に電話をかけなおした。
「紅戌さん!母がおかしいの!」
「俺のせいだな。ごめんな。嫌な思いさせたみたいで」
怒りと悔しさやいろいろな感情が混ざった複雑な声だった。
紅戌の声を聞き真紀は急に彼に会いたくなった。
「あのね・・・今すごく会いたい」
しかし、二人は南と北の端っこに住んでいるのでそう簡単には会える距離ではなかった。
そもそも真紀は外の世界に出ることが億劫で旅行などもしたもなく、飛行機のチケットの買い方もわからない。
そんな真紀が会いたい言ったことに紅戌は涙を流した。
「ありがとう。すごくうれしい。俺が本当は連れ去りに行きたいよ」
「いやいや。それは誘拐みたいだよ」
わざと真紀は茶化すように言った。
紅戌にこれ以上泣いてほしくなかったのだ。
そのことを理解した紅戌はわざと明るい声で笑った。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました

utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。 がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

両隣から喘ぎ声が聞こえてくるので僕らもヤろうということになった

ヘロディア
恋愛
妻と一緒に寝る主人公だったが、変な声を耳にして、目が覚めてしまう。 その声は、隣の家から薄い壁を伝って聞こえてくる喘ぎ声だった。 欲情が刺激された主人公は…

誰よりも幸せな夫婦のお話♡

日部アイス
恋愛
幸せな夫婦のお話 登場人物 夫:坂崎晴彦(サカザキハルヒコ) 妻:坂崎日和(サカザキヒヨリ)   旧姓:水上(ミズカミ)日和 プレイ:オナニー、乳首責め、モロ語、おしっこ我慢→お漏らし、飲尿、クンニ、母乳イキ等 ※無断転載等は禁止 ※性的描写があるため未成年の閲覧は禁止

R18 溺愛カレシと、甘い甘いエッチ♡ オトナの#秒恋 〜貴方と刻む、幸せなミライ〜

ReN
恋愛
♡R18 ラブラブな2人の激甘エッチ短篇集♡ 愛溢れる幸せなエッチ短篇集♡ 互いを思い合う、2人の気持ちが伝わりますように。 本編 #秒恋(学園ものラブコメ)もよろしくお願いします! ・第1章は、2人の初エッチ♡ 前半は、2人で買い物をしたりお料理をしたりする、全年齢OKの甘々エピソード。 後半は、愛し合う2人の、初めてのエッチ♡ 優しい言葉をかけられながら、たくさん愛される、R18エピソードです。 ・第2章 初エッチから、2週間後の2人。 初めて、舌でイかされちゃったり、愛の証をつけられちゃうお話♡ ・第3章 まだまだ初々しい悠里。 でも、だんだん剛士に慣らされて? 無意識に、いやらしく腰を振っちゃう可愛い悠里に、夢中になってしまう剛士のお話♡ ・第4章 今回は、攻守交代。 クラスメイトと、彼の悦ばせ方の話をした悠里は、剛士に「教えて?」とおねだり。 剛士に優しく教えられながら、一生懸命に彼を手とお口で愛してあげる…… 健気でエッチな悠里、必見♡ ・第5章 学校帰り、初めて剛士の家にお呼ばれ♡ 剛士の部屋で、剛士のベッドで組み敷かれて…… 甘い甘い、制服エッチ♡ ・第6章、11/18公開! いわゆる、彼シャツなお話♡ 自分の服を着た悠里に欲情しちゃう剛士をお楽しみください♡ ★こちらは、 #秒恋シリーズの、少し未来のお話。 さまざまな試練を乗り越え、恋人になった後の甘々ストーリーになります♡ 本編では、まだまだ恋人への道のりは遠い2人。 ただいま恋の障害を執筆中で、折れそうになる作者の心を奮い立たせるために書いた、エッチな番外編です(笑) なので、更新は不定期です(笑) お気に入りに登録していただきましたら、更新情報が通知されますので、ぜひ! 2人のなれそめに、ご興味を持ってくださったら、 本編#秒恋シリーズもよろしくお願いします! #秒恋 タグで検索♡ ★1 『私の恋はドキドキと、貴方への恋を刻む』 ストーカーに襲われた女子高の生徒を救う男子高のバスケ部イケメンの話 ★2 『2人の日常を積み重ねて。恋のトラウマ、一緒に乗り越えましょう』 剛士と元彼女とのトラウマの話 ★3 『友だち以上恋人未満の貴方に甘い甘いサプライズを』 2/14バレンタインデーは、剛士の誕生日だった! 親友たちとともに仕掛ける、甘い甘いバースデーサプライズの話 ★4 『恋の試練は元カノじゃなく、元カノの親友だった件』 恋人秒読みと思われた悠里と剛士の間に立ち塞がる、元カノの親友という試練のお話 2人の心が試される、辛くて長い試練の始まりです… よろしくお願いします!

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

ぽっちゃりOLが幼馴染みにマッサージと称してエロいことをされる話

よしゆき
恋愛
純粋にマッサージをしてくれていると思っているぽっちゃりOLが、下心しかない幼馴染みにマッサージをしてもらう話。

処理中です...