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抗えない気持ち※

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「じゃあ、あんた達気をつけて帰るのよ」
「電車ですぐだから、大丈夫だよ」
「なんだ、本当に泊まっていかなくていいのか?」
「また近いうち兄さんと来るよ。じゃあ、おやすみなさい。父さん、母さん。」


入学式が終わり、久々に実家で夕食を食べた俺たちは、ここからまた二人で住むマンションへと帰る。
正直、さっきの出来事が頭に残っている今は、二人きりでいるには心の準備が必要で、実家に泊まっていきたい気持ちだったが、遥がやんわりと断ってしまった。


「兄さん、学校出てからうわの空だね」
「え、あ…そう?」
「そんなに、気にしてる?あの女の子のこと」
「いや、そうじゃないんだけど…ごめん、疲れてるのかな」


気にしているのは女の子のことじゃない。俺の遥への態度、行動の甘さについてだった。遥を傷つけたくない一心でこれまで行ってきた行動は、結局ただの俺の自己満足で、最終的には遥を傷つけることに繋がってしまうのではないか。


「遥…俺と離れてる間も、俺のこと、好きだったんだよね…?」
「うん、もちろん」
「でも、あの子とは付き合ってたんだ」
「兄さん…もしかして嫉妬してる…?」


途端に目をキラキラ輝かせ俺の顔を覗き込む弟。


「いや、そうじゃなくてっ!なんで、好きじゃないのに相手を弄ぶようなこと……あ…」


言った後に、言葉の槍がまた自分にそっくりそのまま返ってきて後悔したのは言うまでもない。


「そうだね…これでも申し訳ないと思ってるんだよ。兄さんを好きでいても、きっと困らせてしまうだけだと思ったから、わざわざ寮に入って距離を置いたし、忘れようと思って、告白してくれた子と付き合ったりもしてみた」
「え、もしかして他にもいるの、そういう子…」
「俺だって誰彼構わずって訳じゃないよ?でも、無意識にOKしてたのは、雰囲気が兄さんに似てる子だけだった」
「へ?俺?」
「黒髪で、華奢で、目が大きくて…笑顔が可愛い感じの…」
「い、いやいやいや…昼間のあの子、どう考えたって俺なんかより何倍も可愛いでしょ…似てるか?」
「何言ってるの。兄さんがこの世界で一番だよ」
「あ、はは…そうですか…」


今更だが遥の目は腐ってるし遥の世界もぶっ壊れている。こんなクレイジーな中身でも、女子に大人気というのがまたちょっとムカつく。


「でも、今は、兄さんがそばに居てくれるから…もう誰かを不容易に傷つけることはないよ」
「!…あ、そう、だね…」


遥が愛おしそうに、俺を見つめるだけで、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。とことん付き合うとは決めた、腹も括ったつもりだった。でも肝心な、遥と俺の気持ちは宙ぶらりんなまま、交わることがない。


「ち、ちなみに、今日言ってた新しい相手って…」
「?もちろん兄さんのことだよ」
「で、デスヨネー」


暗くなった道を二人で歩きながら、俺はただ考えを巡らせていた。
隣を見ると、とても幸せそうな表情を浮かべる弟。遥を恋愛感情で好きな気持ちは少しもないんだと伝えたら、どんな顔をするんだろうか。


「ねえ、遥…」
「ん?なあに?」
「遥は、なんで、俺が良いの…?」


好きだ愛してるとひたすらに言われて今日まで来たが、なぜそれほどまでに俺に執着するのか。理由が判れば、この後の計画も、遥を傷つけることなくうまく進むかもしれない。


「知りたい?」
「う、うん…そりゃ、男同士で、ましてや兄弟で…遥はあんなにモテるのに、なんで俺なんだろうって、やっぱり気になるよ」
「ふ~ん。そうだなあ~」
「な、何?」
「もう少ししたら、教えるね」
「え、なんだよそれ!」
「きっと近いうちに、教えられる日が来ると思うよ」


少し背の高い遥は、俺の頭をポン、と笑顔で叩いた。


「俺の方が兄貴なのに…」
「ふふ、兄さん、かわいい」
「っうわ!」


突然腕を引かれ、遥の胸へと身体が引き寄せられる。そのままぎゅっと強く抱きしめられた。


「これぐらいの身長差だと、兄さんが俺の中に収まってちょうどいい」
「ちょっ…だから外ではダメって…」
「兄さん、ずっと一緒にいようね」
「…!」


俺を抱きしめる腕にさらに力が入った。遥の胸の鼓動が、良く聞こえる。どく、どく、と少し早いスピードで心臓が動いていた。こんなにイケメンで人気者の遥が、普通の兄の俺なんかを抱きしめるだけで、こんなにもドキドキするものなのか。


「…っ兄さん、帰ったら、すぐ…いい?」
「…嫌だって言ったらどうすんの」
「兄さんは、多分、言わないよ」
「なにそれ…」


まあ、その通りなんだけれど。諦めが悪かったり、拒絶したら泣いてしまったり、遥が悲しい顔をしているのを見たくなかったり…と色々理由はあるけれど。俺を必死に求める遥の表情や言葉に、自分自身、抗うことができなくなってきているんだ。遥もきっと、それに気付いてる。

少しずつ…俺は戻ってこれない沼へと足を踏み入れている感覚があった。







「ん、ん…んっ、ぁ…」
「にいさ…やっとふたりになれた…」
「ここ、げんか、ん…っや、だ…っ」
「ごめん、にいさ…待て、な…っ」
「んんぅ…っあ、ふ…あ」


家に着くなり、強引に唇を奪われる。昨日も一昨日もしたし、今日はサークルのイベントもあったせいか体はもうヘトヘトだった。正直、もう早くシャワーを浴びてベットに行きたい。


「っも、だめ、だって…ぇ…」
「ん、兄さん…えろいかお…っ興奮する…っ」
「も、むり…ぃ…あ、ん…ッ」
「ん、ごめ、んね…っ」


長い長いキスを終えて、やっと離れた唇。足に力が入らず、その場に崩れ落ちそうになる。だが、俺の身体はとっさに遥に抱きかかえられていた。


「兄さん、ベットいこっか」
「ちょ、まだ、準備しないとできない…」
「今日は挿れないよ」
「えっ?」


性欲の権化のような存在の遥から、まさかの発言が飛び出し思わず聞き返してしまう。


「本当はすっごく挿れたいけどね…兄さん今日もう疲れてるでしょ?明日も早いし…」
「え、じゃあ、何を…」
「二人で気持ちよくなれること」


遥は俺の体を優しくベットの上に下ろすと、俺の服を優しく、一個ずつ丁寧に全て脱がしていった。遥なりに、俺の身体を気遣ってくれていることに驚きと、少しの感動が芽生える。いつも加減なんて知らないと言わんばかりに、激しく俺を求めるのに。


「ふたりで気持ちよくなれることって…」
「ん…その前に、兄さん、舐めて、くれる…?」


遥は立ったまま自分のズボンとパンツを脱ぎ始める。すると中から大きく硬くなった遥のモノが勢いよく飛び出してきた。
まじまじと弟の立派なご子息を見ると恥ずかしくなる。

普段は俺が責められてばかりで、遥のモノを触ったり舐めたりはした事がなかった。俺は息を飲み、ベットを降りて遥の正面に膝をついた。


「こ、こう…?」

意を決して、始めての経験であるフェラへと挑む。改めて見ると、俺のモノよりだいぶご立派で大きくて、普段これが自分の中に入っているのかと思うと少し下半身がヒュン、と縮み上がった。

(考えるな…何も考えるな悠人…遥だっていつも俺のを舐めてくれてるんだ。それを思い出して…)

――ぺろっ

「んっ…」
「あ、ごめ…変だった?」
「いいよ、兄さん…続けて…」


先端を軽く舌でなぞっただけで、遥の腰はびくんと揺れた。今度は思い切って大きく口に含んでみる。ぱくんと咥えると、遥のモノはどくどくと脈を打っていて、とてつもなく熱を帯びていた。そのままゆっくりと前後に口を動かす。


「っあ、にいさ…いいよ…気持ちい…」
「ん、ん…っ」
「兄さんに舐めてもらってるだけで…幸せすぎて…興奮する…ッ」


目を細め、所々快感の波に抗うように息を漏らす。俺は初めてでやり方なんてわからないけれど、とにかく歯を立てないように優しく、そして速く手と口を動かした。


「兄さんの中に…挿れてるみたい…」
「ば、ばかひうな…!」
「兄さん…これがいつもは、兄さんのナカにはいってるんだよ…っ」
「…っ!」


決して美味しくはないが、遥の先端からは先走りがトロトロと流れてきていた。初めて男の、ましてや弟のものなんてしゃぶったが、不思議と引いてない。まあ、散々弟のものを後ろで受け止めておいて心配することではないかもしれないが…

さらに動きを早めていくと、どんどん遥の甘い声が漏れてきた。遥の顔をちらっと覗き見て見ると、快感に善がり色気がダダ漏れの表情を浮かべている。それを目の当たりにした瞬間、

(!や、ば…なんで…勃った…)

普段の行為中は俺も自分のことで精一杯で、繋がっている間の遥の顔をまじまじと見たことはなかった。改めて見ていると、容姿端麗のイケメンが、快感に溺れる表情というの見ているだけでクるものがある。おかしいと思うよ、自分でも。相手は男だぞ。弟だぞ。


「に、いさ…ん?」


驚いて固まっていると、異変に気がついた遥が俺の顔を覗き込む。俺は、自身が反応してしまっていることを悟られないように、必死に前かがみで遥のものをしゃぶった。

――じゅっじゅぽッ、じゅるッ

「に、いさ…ッ…ど、したの…っ?」
「な、んれもない…っ」
「…うそだ」
「あ…っ待っ、うわぁっ!」


必死にしゃぶっていたモノを強引に口から抜かれたかと思うと、次の瞬間には両脇から身体を無理やり持ち上げられて、ベットの上に仰向けに倒された。なんつー速さと腕力。

すっぱだかの状態で無防備に仰向けになる俺の上に、遥は間髪入れずに馬乗りになる。ピン、と上を向いて主張する俺のモノが完全に遥の眼前に晒されてしまった。


「兄さん、これ…」
「み、見なくていい…ッ」
「俺の、しゃぶってて勃っちゃったの…?」
「具体的に言うなッ」
「~~ッ!兄さん!嬉しい!」
「っぐえ!」


突然ガバッ、と両腕を大きく広げたかと思うと、勢いに任せて俺の体を強く抱きしめた。正直痛いし、苦しいぐらいのパワーだ。


「ああ、兄さん…兄さんも俺で興奮してくれるんだね…!」
「は、はるか、いたい…ッ」
「一緒に、気持ちよくなろうね…ッ」


やっと身体を離してくれたかと思ったら、今度は俺の足をパカッ、と大きく開脚させているではないか。これじゃいつものセックスと同じ体勢だ。


「え?っわぁッちょっ今日は挿れないって…」
「大丈夫、今日は、こっちだから…っ」


遥と俺、二つのそそり立ったモノをくっつけるようにして、遥はぎゅ、と掌でそれらを包み込んだ。
あれ、これ、やったことあるやつだな、なんて一瞬冷静に考えていると、遥が激しく腰を動かし始めた。


「!?ッあ、あ、あん…ッあ、つい…っ」
「兄さんのも…熱くて…っきもちい…」
「っや、だめ…っあ、あっ」


遥のゴツゴツ硬くて熱いモノが、俺の全体に擦れて気持ちいい。まるでセックスしているみたいだ。快感を感じるのと同時に、後ろがひくひくと疼くのを感じた。

(なんで…っ俺の身体どうなって…)

今はただ、押し寄せてくる快感に、頭を空っぽにして身を預けることしかできない。こんなに気持ちいいと、すぐにイってしまいそう。頭が、身体が侵蝕されていく。


「感じてる…っかわいい、兄さん…ッ」
「は、るか…ぁ…っ」
「…っ?兄さん、どう、したの…っ」
「き、もちぃ…っはるか…ぁ…ッ」
「~~ッ!?に、いさん…!にいさ…!っあ、うれしっ…好き…っ!好き…!愛してる…っ!」


気持ちよすぎて、もう何も考えられなかった。理性や歯止めなど聞かず、ただ本音が口をついて出てしまう。でも、恥ずかしいと思う余裕さえないくらいに、今俺の中は遥のことでいっぱいになっていた。


「ッあ、も、だめ…ぇ!で、でる…っぅ!」
「っにいさ…!っ俺も、兄さん…っ出して…っ!」
「あ゛ッあ、あ…ッ!はるか…っぁ…!イッ、く…ぅ…ッ」
「っあ、イ、くよ…っ!にいさ、にいさ…ん…ッ!!」


――びゅくっ!びゅるるッ!


2人同時に、熱い白濁を放出し、果てた。一気に、眠気やだるさが身体を襲い、2人して力なくベットに倒れる。
隣に横たわる遥は、目を少し潤ませながらも、うっとりと目を細め、俺の頭を優しく撫でた。


「…はぁ、はぁ、」
「兄さん…兄さん…素直になってくれて、嬉しい…」
「はる、か…」


俺は一体何をしているんだろう。遥の兄卒業を後押ししたいのに。本能のままに、遥を、求めたりなんかして。それでも、今は、この時だけは。この温もりに包まれて眠りたかった。俺は耐えられず、まどろみの中にそのまま身を任せた。

 
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