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第19夜 こころ
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変な夢を見た。
わたしの前に女が立っている。
女の名前は、九麗寺 菜音。
菜音が、突然、大声をあげる。
「お願い! わたしの体とあなたの体、交換してッ!」
私は、呆気にとられた。いったい、何を言い出すのかと思えば・・・。
「なんでだい・・・?」
菜音は、頭を両手で押さえながら言う。
「なんか、くだらないことが、こころから湧き出てくるの。おかしくなりそう。
私の体とあなたの体を交換すれば、おさまるだろうと思って・・・。」
そう言うと、スポッと、頭を引っこ抜いた。
私は、一瞬、驚いた。たまげたな・・・と、内心思った。
菜音の体が、両手に持った頭を、私のほうに差し出す。
菜音の頭が話を続ける。
「ねっ! お願いします。この憐れなオンナをお救いください・・・。」
私は、悩んだ。交換するのは構わない。でも、いったいどうなるんだろう。
まあ、なるようになれっ!だ。
私は、意を決して、自分の頭を引っこ抜く。
そして、菜音のほうに頭を差し出しながら、
「ほらっ! 憐れな子羊よ・・・。我が体を差し上げよう・・・。」
「ありがとうございます。神よ・・・。」
菜音は、しゃべりながら、自分の頭を私の体に乗せる。
私も自分の頭を菜音の体に乗せた。
しばらくたつと、私の体に乗っかった菜音の頭が、声をあげた。
「大変! ちっとも、くだらない考えが止まらない。なんで・・・?」
「そうかい・・・。そりゃ、困ったね。」と、私。
菜音が、おろおろしながら言う。
「えっ? なんで・・・。 こころって、体の中にあるんじゃないの?
てっきり、体を交換すれば、こころも交換できるって思ったのに・・・。」
「うーん・・・。違ったんだねえ。」と、私。
「ちょっと、のんきなこと言ってないで・・・。
また、交換よ。あんたの体、臭いからイヤ・・・。」
菜音が、私の体から自分の頭を引っこ抜き始める。
「臭いって・・・ひどいね。傷つくんだぜ。言われたほうは・・・。」
私も、菜音の体から自分の頭を引っこ抜こうとする。
だが・・・。
頭が抜けない・・・。菜音も抜けないようだ。
「ちょっと・・・。ナニコレッ! 抜けないじゃないッ! どうしよう!」
「俺も・・・。」
「えっ! ちょっと、ヤダッ! 返して! 返してよッ!」
菜音の頭が乗っかった私の体が、私の頭を掴み、力強く、ひっこ抜こうとする。
「アイタタタ・・・。痛いって。菜音ッ! クソッ! だったら、俺もッ!」
私の頭が乗っかった菜音の体が、菜音の頭を掴み、力強く、ひっこ抜こうとする。
「いたーい、痛いってば・・・放しなさいよ!」
「イヤ、そっちが放さないなら、俺も放さん!」
いつまでも・・・お互いの頭の引っこ抜き合いが続く・・・。
そこで目が覚めた。
わたしは、ひとりつぶやいた。
「ばからしい夢だったな・・・。
でも、こころは、いったい、どこにあるのだろう・・・?」
わたしの前に女が立っている。
女の名前は、九麗寺 菜音。
菜音が、突然、大声をあげる。
「お願い! わたしの体とあなたの体、交換してッ!」
私は、呆気にとられた。いったい、何を言い出すのかと思えば・・・。
「なんでだい・・・?」
菜音は、頭を両手で押さえながら言う。
「なんか、くだらないことが、こころから湧き出てくるの。おかしくなりそう。
私の体とあなたの体を交換すれば、おさまるだろうと思って・・・。」
そう言うと、スポッと、頭を引っこ抜いた。
私は、一瞬、驚いた。たまげたな・・・と、内心思った。
菜音の体が、両手に持った頭を、私のほうに差し出す。
菜音の頭が話を続ける。
「ねっ! お願いします。この憐れなオンナをお救いください・・・。」
私は、悩んだ。交換するのは構わない。でも、いったいどうなるんだろう。
まあ、なるようになれっ!だ。
私は、意を決して、自分の頭を引っこ抜く。
そして、菜音のほうに頭を差し出しながら、
「ほらっ! 憐れな子羊よ・・・。我が体を差し上げよう・・・。」
「ありがとうございます。神よ・・・。」
菜音は、しゃべりながら、自分の頭を私の体に乗せる。
私も自分の頭を菜音の体に乗せた。
しばらくたつと、私の体に乗っかった菜音の頭が、声をあげた。
「大変! ちっとも、くだらない考えが止まらない。なんで・・・?」
「そうかい・・・。そりゃ、困ったね。」と、私。
菜音が、おろおろしながら言う。
「えっ? なんで・・・。 こころって、体の中にあるんじゃないの?
てっきり、体を交換すれば、こころも交換できるって思ったのに・・・。」
「うーん・・・。違ったんだねえ。」と、私。
「ちょっと、のんきなこと言ってないで・・・。
また、交換よ。あんたの体、臭いからイヤ・・・。」
菜音が、私の体から自分の頭を引っこ抜き始める。
「臭いって・・・ひどいね。傷つくんだぜ。言われたほうは・・・。」
私も、菜音の体から自分の頭を引っこ抜こうとする。
だが・・・。
頭が抜けない・・・。菜音も抜けないようだ。
「ちょっと・・・。ナニコレッ! 抜けないじゃないッ! どうしよう!」
「俺も・・・。」
「えっ! ちょっと、ヤダッ! 返して! 返してよッ!」
菜音の頭が乗っかった私の体が、私の頭を掴み、力強く、ひっこ抜こうとする。
「アイタタタ・・・。痛いって。菜音ッ! クソッ! だったら、俺もッ!」
私の頭が乗っかった菜音の体が、菜音の頭を掴み、力強く、ひっこ抜こうとする。
「いたーい、痛いってば・・・放しなさいよ!」
「イヤ、そっちが放さないなら、俺も放さん!」
いつまでも・・・お互いの頭の引っこ抜き合いが続く・・・。
そこで目が覚めた。
わたしは、ひとりつぶやいた。
「ばからしい夢だったな・・・。
でも、こころは、いったい、どこにあるのだろう・・・?」
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