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第15夜 平和主義
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変な夢を見た。
私の前に、カウンセラーが座っている。
彼の名前は、九蘇八郎氏。
私は、カウンセリングを受けに来たわけではない。
彼に呼ばれてきたのだ。なにやら、話したい事があるらしい・・・。
・・・・
ああ、お久しぶりです。お元気でしたかな。
ああ、私は元気ですよ。
ただ、ちょっとした実験が失敗に終わって、ちょっと落ち込んでますが・・・。
えっ? 蛇口をつけた男のことかって?
はて? いったい、何の話だか・・・。
いやね、最近、動画配信ってのが、流行っていますがね。
そいつをちょっとね・・・。
うまく利用して、面白いことをやろうとしたんですがね。
・・・ところで、あなた、サブリミナル効果って知ってます?
そうそう、あれですよ。潜在意識に呼びかけるやつです。
映像にこっそり仕込んで、潜在意識に働きかけるやつ。
あれを使ってね・・・。
へへへ・・・。
人類に貢献しようとしたんですよ。
つまり、こういうことですよ。
まずね。私、フリーソフトを開発したんです。
超高性能の動画作成ソフト『QooDaran Studio』をね。
こいつを、市販の最高グレードのものと同レベルで、機能制限なし、広告なし、
期間制限なしの優れモノって触れ込みで、オンラインにアップしたんです。
こちらがね、びっくりするくらい、ダウンロードされましたよ。
ええ、タネは十分、仕込みましたよ。
さてと、本題はここから・・・。
ここだけの話ですがね、この動画作成ソフトで、動画を作成するとね。
30コマに1コマの割合であるメッセージが仕込まれるようになっているんです。
おっと、妙な顔をしなさんな。
わたしは、別にね。悪いことをしようとしているわけじゃない。
さっきも言いましたがね。人類貢献のためですよ。
仕込んだメッセージは、『平和にしよう!』
ね? べつに・・・悪意なんぞ、これぽっちもない。実に健全でしょう・・・。
でも、どうやら、失敗のようですよ。
ちっとも、世界は変わらない・・・。
あれから、一年近くたったから、そろそろ、効果が出始めてもいいのに・・・。
・・・・
九蘇八郎氏は、気づいていなかったが、小さい変化は起きていたのである。
ごく限られた場所であるため、その変化に気づかなかったのである。
ある場所で、複数の男たちが話している。
「最近、どうも・・・役が・・・偏るんだよなあ・・・・。」
「ああ、俺もだ・・・。」
「ボクもです。手牌を見る限り、狙う必要はまったくないのに、それを崩して
までも狙いにいってしまいます・・・。」
「ワシも、なぜか『平和』ばかり・・・狙いにいってしまう。」
ごく限られた場所ではあるが、確実に『平和主義』は浸透している・・・。
そこで目が覚めた。
私の前に、カウンセラーが座っている。
彼の名前は、九蘇八郎氏。
私は、カウンセリングを受けに来たわけではない。
彼に呼ばれてきたのだ。なにやら、話したい事があるらしい・・・。
・・・・
ああ、お久しぶりです。お元気でしたかな。
ああ、私は元気ですよ。
ただ、ちょっとした実験が失敗に終わって、ちょっと落ち込んでますが・・・。
えっ? 蛇口をつけた男のことかって?
はて? いったい、何の話だか・・・。
いやね、最近、動画配信ってのが、流行っていますがね。
そいつをちょっとね・・・。
うまく利用して、面白いことをやろうとしたんですがね。
・・・ところで、あなた、サブリミナル効果って知ってます?
そうそう、あれですよ。潜在意識に呼びかけるやつです。
映像にこっそり仕込んで、潜在意識に働きかけるやつ。
あれを使ってね・・・。
へへへ・・・。
人類に貢献しようとしたんですよ。
つまり、こういうことですよ。
まずね。私、フリーソフトを開発したんです。
超高性能の動画作成ソフト『QooDaran Studio』をね。
こいつを、市販の最高グレードのものと同レベルで、機能制限なし、広告なし、
期間制限なしの優れモノって触れ込みで、オンラインにアップしたんです。
こちらがね、びっくりするくらい、ダウンロードされましたよ。
ええ、タネは十分、仕込みましたよ。
さてと、本題はここから・・・。
ここだけの話ですがね、この動画作成ソフトで、動画を作成するとね。
30コマに1コマの割合であるメッセージが仕込まれるようになっているんです。
おっと、妙な顔をしなさんな。
わたしは、別にね。悪いことをしようとしているわけじゃない。
さっきも言いましたがね。人類貢献のためですよ。
仕込んだメッセージは、『平和にしよう!』
ね? べつに・・・悪意なんぞ、これぽっちもない。実に健全でしょう・・・。
でも、どうやら、失敗のようですよ。
ちっとも、世界は変わらない・・・。
あれから、一年近くたったから、そろそろ、効果が出始めてもいいのに・・・。
・・・・
九蘇八郎氏は、気づいていなかったが、小さい変化は起きていたのである。
ごく限られた場所であるため、その変化に気づかなかったのである。
ある場所で、複数の男たちが話している。
「最近、どうも・・・役が・・・偏るんだよなあ・・・・。」
「ああ、俺もだ・・・。」
「ボクもです。手牌を見る限り、狙う必要はまったくないのに、それを崩して
までも狙いにいってしまいます・・・。」
「ワシも、なぜか『平和』ばかり・・・狙いにいってしまう。」
ごく限られた場所ではあるが、確実に『平和主義』は浸透している・・・。
そこで目が覚めた。
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