上 下
4 / 55

第4夜 漂流

しおりを挟む
変な夢を見た。

  チャプチャプする水の音。体が上下に揺れる感覚。
  目を少し・・・開ける。
  太陽がまぶしい。
  そして、海面に反射する光も・・・。

  思い出す・・・。いつからか、私は、この広い海の中一人、このゴムボートに
 乗って漂流している。
  なぜ、漂流しているかはわからない。気がついた時には、この状況だった。
  もう、どれくらい、漂流しているかもわからない。
  不思議なことに、のども乾かなければ、腹も減らない・・・。

  私は、まだ、漂流を続けている。
  普通なら、いい加減死んでもいいハズなのに、今だに死なない。
  私の体は、太陽にさらされ、乾燥し、今では、真っ黒でカチカチになった。
  そんな体を見て、私はつぶやく。
 「おまえ、かつお節みたいだな・・・。きっと、まずいぞ・・・。」

  私は、まだ、漂流を続けていた。
  私は、弱々しくつぶやく。
 「ああ、いったい、いつまで続くのだ・・・。
  もう、ここいらで終わりにしてほしい・・・。」

  その時、奇跡が起きた。
  空から一条の光が下りてきて、私を包みこむ。
  男か女かわからない威圧感のある声が、私に呼びかける。
  もしかしたら、神なのかもしれない・・・。

  その声の主は、私に語りかける。
 「終わりにしてほしいって?
  それならば、今すぐ、目を覚ませばよい。
  私もね、この展開をどう終わらせようか、苦慮していたんだ・・・。
  今、キミが目を覚ましてくれれば、わたしもスゴイ助かる・・・。」

そこで目が覚めた。
しおりを挟む

処理中です...