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婚約破棄されたのでやけ食いします
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「ローゼマリー・アデナウアー!もう我慢ならない。お前との婚約を破棄させてもらう!」
この日大勢の人で賑わうサロン内で私が美味しそうなフィンガーフードを小鳥のように上品に啄んでいると、婚約者のクラウス・プライスラー公爵令息が急に大声を上げました。
私はびっくりして口の中の物を飲み込んでしまい、喉を詰まらせて死ぬかと思いましたわ。
「ゴホ、ゴホン!き、急にどうなさいましたのクラウス様?」
私はメイドから飲み物を貰ってなんとか息を整え、愛しい婚約者に聞き返しました。
クラウス様は豊かなブラウンヘアの美形であるのにその美しさを鼻にかけない優しくて謙虚な方。いきなりこんなことを人前で言う人では無いのですが……
「君のその意地汚い食べ方、体型は見るに耐えない!このユリアーナを見ろ。細っそりした美しい立ち姿!」
ふと気がつくとクラウス様の隣にはユリアーナ嬢が立っていて、よくよく見ると彼の腕に手を添えてあたかも恋人同士のような雰囲気になっています。
あらあら、これは……?
私がびっくりしているとユリアーナ嬢が言います。
「ローゼマリー様、このような場で食べ物を本気でお食べになるのはレディとしてちょっとどうかと思いますわ」
彼女は見事な半笑い顔で私を見下して来ます。よくもまあ男爵令嬢の分際で私にそんなことを言えたわね?
だけど周りを見渡しても誰一人私に同情している者はいません。皆、彼女と同じような半笑いでこちらを面白そうに見ているのでした。
「そうですわね、私ったらつい美味しいものを見ると手を出してしまいますの……わかりました。婚約は破棄して下さって結構よ。お父様には私から話します」
するとクラウス様はホッとしたような顔で言いました。
「物分かりが良くて助かるよ。じゃあ、今日から僕はユリアーナ嬢を恋人にするよ。文句はないね?」
「ええ、結構ですわ」
元々政略結婚的な意味で婚約していただけですものね。これまで彼が私のようなおデブちゃんと付き合ってくれただけでも幸運だったんです。
私は何事もなかったかのように屋敷に帰りました。
だけど内心悔しくて悔しくてたまりません。執事を呼び、ありったけの材料で可愛くて美味しいスイーツを作るように言いつけました。
しばらくするとお茶の支度が整ったと執事が呼びに来ました。
私のお気に入りのガーデンテラスに小さなパーティーでも開けるような賑やかな装飾が施され、テーブルの上には湯気を立てるいい香りの紅茶、そして色とりどりのお菓子やケーキが所狭しと並べられていました。
「素敵!」
私は早速席について、好きな物を好きなだけ取り皿に盛り付け、ピンクや黄色や水色の可愛らしいスイーツを頬張りました。
甘い味が口一杯に広がると、今までむしゃくしゃしていた気分はどこかへ羽が付いたように飛び去っていくのを感じました。
「おいしい。幸せ!」
私が食べるペースに従って、次々に焼きたてのクレープやホットサンドなども追加されます。
あまりに美味しくて、これを作ったのは誰?と執事に問いかけると呼んでくると言います。
お腹いっぱいになって紅茶を飲んで待っていると、そこに金髪の王子様みたいな見た目の料理人が現れました。
「ローゼマリーお嬢様、はじめまして。私は先日ここに雇われたばかりのベネディクトと申します。私の作ったお菓子をたくさん食べてださりありがとうございます」
「ベネディクトと言うのね。とてもおいしかったし、何より見た目が可愛らしくてとても良かったわ!これからもよろしくね」
「勿論でございます。お嬢様のように食べ物を美味しそうに召し上がる方に私は初めてお目にかかりました」
この日大勢の人で賑わうサロン内で私が美味しそうなフィンガーフードを小鳥のように上品に啄んでいると、婚約者のクラウス・プライスラー公爵令息が急に大声を上げました。
私はびっくりして口の中の物を飲み込んでしまい、喉を詰まらせて死ぬかと思いましたわ。
「ゴホ、ゴホン!き、急にどうなさいましたのクラウス様?」
私はメイドから飲み物を貰ってなんとか息を整え、愛しい婚約者に聞き返しました。
クラウス様は豊かなブラウンヘアの美形であるのにその美しさを鼻にかけない優しくて謙虚な方。いきなりこんなことを人前で言う人では無いのですが……
「君のその意地汚い食べ方、体型は見るに耐えない!このユリアーナを見ろ。細っそりした美しい立ち姿!」
ふと気がつくとクラウス様の隣にはユリアーナ嬢が立っていて、よくよく見ると彼の腕に手を添えてあたかも恋人同士のような雰囲気になっています。
あらあら、これは……?
私がびっくりしているとユリアーナ嬢が言います。
「ローゼマリー様、このような場で食べ物を本気でお食べになるのはレディとしてちょっとどうかと思いますわ」
彼女は見事な半笑い顔で私を見下して来ます。よくもまあ男爵令嬢の分際で私にそんなことを言えたわね?
だけど周りを見渡しても誰一人私に同情している者はいません。皆、彼女と同じような半笑いでこちらを面白そうに見ているのでした。
「そうですわね、私ったらつい美味しいものを見ると手を出してしまいますの……わかりました。婚約は破棄して下さって結構よ。お父様には私から話します」
するとクラウス様はホッとしたような顔で言いました。
「物分かりが良くて助かるよ。じゃあ、今日から僕はユリアーナ嬢を恋人にするよ。文句はないね?」
「ええ、結構ですわ」
元々政略結婚的な意味で婚約していただけですものね。これまで彼が私のようなおデブちゃんと付き合ってくれただけでも幸運だったんです。
私は何事もなかったかのように屋敷に帰りました。
だけど内心悔しくて悔しくてたまりません。執事を呼び、ありったけの材料で可愛くて美味しいスイーツを作るように言いつけました。
しばらくするとお茶の支度が整ったと執事が呼びに来ました。
私のお気に入りのガーデンテラスに小さなパーティーでも開けるような賑やかな装飾が施され、テーブルの上には湯気を立てるいい香りの紅茶、そして色とりどりのお菓子やケーキが所狭しと並べられていました。
「素敵!」
私は早速席について、好きな物を好きなだけ取り皿に盛り付け、ピンクや黄色や水色の可愛らしいスイーツを頬張りました。
甘い味が口一杯に広がると、今までむしゃくしゃしていた気分はどこかへ羽が付いたように飛び去っていくのを感じました。
「おいしい。幸せ!」
私が食べるペースに従って、次々に焼きたてのクレープやホットサンドなども追加されます。
あまりに美味しくて、これを作ったのは誰?と執事に問いかけると呼んでくると言います。
お腹いっぱいになって紅茶を飲んで待っていると、そこに金髪の王子様みたいな見た目の料理人が現れました。
「ローゼマリーお嬢様、はじめまして。私は先日ここに雇われたばかりのベネディクトと申します。私の作ったお菓子をたくさん食べてださりありがとうございます」
「ベネディクトと言うのね。とてもおいしかったし、何より見た目が可愛らしくてとても良かったわ!これからもよろしくね」
「勿論でございます。お嬢様のように食べ物を美味しそうに召し上がる方に私は初めてお目にかかりました」
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