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浦島太郎外伝3 竜王の祝言

四話

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 祝言とお披露目の儀は無事に、和やかに終わった。
 西海王からのお祝いは桃だった。桃は古くから邪を払い、長寿をもたらすと言われるめでたい物。直ぐに烏賊の手に渡り、丁寧に剥いてもらって皆で食べた。
 他に北海王からは貴重な香木を数種もらい、南海王からは綺麗な反物をもらった。鯛が後日仕立ててくれるらしい。
 そんなこんなで宴も終わり、皆が帰っていくのを見送った。南海王だけはなんだか東海王に言いたげな事がありそうだったが、飲み込んで行ってしまった。
 采妃とはまた後日お茶の約束をした。子育ての事など聞いてみたい浦島にとっては幸いな事だった。
 竜王も今後はまた交流をしていきたいと言っていて、とても嬉しそうな顔をしていた。

 奥の宮に戻り、鯛が公子を預かって寝かせてくれる。浦島が目を覚ましてからはずっと、夜の時間は竜王と一緒に過ごしている。
 着物も脱いで軽く湯も貰い、さっぱりとして部屋で二人きり。酒を少しと残った桃を頂いて、浦島は竜王に寄り添っていた。

「なかなか、個性的な方達なんですね」
「そうだな」
「でも、いい人達でした」

 伝えると、竜王は嬉しそうに頷く。瑞々しい桃を一口大にして差し出され、浦島はそれにぱくんと食いつく。行儀の悪い事なのだが、二人きりだからと竜王は微笑んで次々にと与えてくる。美味しいからついつい食べてしまうが、なんだか恥ずかしくもなってくる。

「竜王様もどうぞ」

 同じように一口大にして差し出すと、彼もパクリと食べてしまう。その口元を見て、ちょっとドキドキしてしまう。形のいい男らしい唇が美味しそうに食べる様子に、どこか淫靡さを感じたのかもしれない。
 ぼーっと見ていると、竜王はそれに気づいてすっと顔を近づけてくる。触れた唇は桃の味がして、酷く酔いそうだった。

「竜王様……」
「物欲しげな顔だ、太郎」
「そんな気分かもしれません」

 素直に伝えれば、竜王は盆を少し遠くへとやり、浦島を布団の上に押し倒す。そしてねっとりと絡むように舌を交わし、夜着の前を開けた。
 甘露の影響がなくなったとはいえ、欲求がなくなったわけではない。焦がれるように切ない焦燥感はないが、互いを求める気持ちは今も勿論ある。
 ドキドキしながら見上げる竜王の、僅かに色を滲ませる視線はいつでも少し恥ずかしいと共に期待をしてしまう。同じように竜王の前を開け、手を這わせて、浦島は切なく彼を見つめた。

「その目は反則だ、太郎。私の理性が耐えかねる」
「いけませんか?」
「辛いのは其方だぞ? 腹の具合も平気と言われても、私はまだ恐ろしい」

 そう言って悲しげに目を細め、竜王は浦島の腹を撫でる。出産時、よほど辛い思いをしたのだろう。目が覚めても竜王は浦島を気持ち良くしてくれるばかりで、後孔を使ってくれない。
 亀や鯛に聞いたが、発情の時の甘露を飲まなければ妊娠はしない。また、発情していなければ竜王の魔羅もあれほど大きくはないそうだ。亀を受け入れられた浦島なら余裕で受けられるという。
                                                                   
 手を伸ばし、首に抱きつく。切ない気持ちを伝えたくて、浦島は精一杯に言葉を紡いだ。

「俺は、貴方とまた抱き合いたいです」
「太郎……」
「貴方の心配は嬉しいですが、胸が苦しい。また一つになりたいと願っては、いけませんか?」

 困らせてしまうかもしれない。そう思うと出てこなかった言葉を、今日は言えた。
 踏み出せた浦島に、竜王は切なげに見つめて考えている。トンと、肩に彼の額が乗った。

「あれほどの無力を味わったのは、久しぶりだった。また失うのかと怖くてたまらなかった」
「……ごめんなさい」
「其方が謝る事ではない。私が臆病になっているだけだ。二度と愛しい者を失いたくないと思う気持ちが、今其方を寂しくさせている」
「寂しい、です」

 素直に甘えてみせる。そう、寂しいのだろう。夫婦として互いを労り、気持ちを共にしているだけでは満足ではない。一方的に気持ち良くされるよりも、この人にも気持ち良くなってもらいたいのだ。

「……その気にさせたら、してくれますか?」

 小さな声でこっそりと聞いてみると、竜王は恥ずかしげに顔を上げ、苦笑して首を横に振った。

「そこは夫として、まだ譲りたくないよ」
「ダメですか?」
「恥ずかしながら、其方に誘われて愚息が我が儘を言っている」

 本当に恥ずかしそうに伝えられ、浦島の視線は下へ。見れば立派な魔羅が物欲しげに先走りを零していた。

「俺に、慰めさせてください」
「いいのか?」
「貴方こそ、大丈夫ですか?」
「……いつまでも其方に寂しい思いをさせたくはないからな。私も、一つ進んでみるよ」

 甘やかすように口づけを。誘うように唇で触れる肌の心地よさに甘い声が出る。少しずつ熱を帯びる体は快楽を思い出して開かれていく。桃色に染まる肌を味わうように、竜王は唇と手で触れていった。
 その唇がぷっくりとした胸の頂きへと到達し、柔らかい動きで触れる。舌で潰され、吸われ、甘く甘く噛まれた瞬間、じわりと濡れて溢れるものがある。吸い出すようにされ、嚥下する竜王は美味しそうに微笑んだ。

「眠っていて、体が勘違いしているのだな」
「そう、みたいです。量も少ないし苦ではありませんがっ!」
「吸い出されるのは、気持ちいいか?」

 問われて頷いた。
 どうやら竜の子は生まれて少しの間母乳を必要としたようだった。浦島が眠っている間、祭壇の空の器に母乳が溢れたそうでそれを与えていたと鯛が教えてくれた。
 だが今は普通に食事で成長する。今更浦島の胸から溢れても、これを必要とする相手はいない。幸い量はほぼなく、誰かが吸い出したり絞ったりしなければ出る事もない。張って辛くなければそのままでいいと言うので、そのままにしているのだ。当然胸は真っ平らのままである。
 竜王は片方の乳首を甘噛みし、吸い、舌で絡めて更に溢れるものを楽しんでいる。そしてもう片方の胸は手で優しく揉み込み、摘まみ、軽く絞るような動きをする。それでもねっとりとした乳白色の液が玉をつくっている。見た目に、ちょっといけない事をしている気分だ。

「あん、はぁ……竜王様……」
「どうした?」
「……腹が、切ないです」

 恥ずかしく伝える。浦島の腹にはもう子袋などはないが、番を受け入れやすくするためか濡れるようになってしまった。男の体のまま後孔が濡れるというのは漏らしたようで恥ずかしいが、潤滑油いらずで営みには最適だ。
 自ら僅かに足を開くと、竜王が少し緊張したように動きを止める。
 止まって欲しくはなくて、浦島は彼に口づけ胸に身を寄せた。

「足踏み、しないのですよね?」
「しない」

 そう約束してくれた竜王の手が、そっと後孔へと伸びて一本侵入を試みる。久しぶりに感じる刺激は強く気持ちが良くて、たった一本だというのに甘い声が出た。
 中の具合を確かめるように出入りし、捻られる指は次第に二本に増えていく。浅い部分が擦れてビリッと痺れ、ジワジワと広がる感覚は久しぶりだ。
 布団に仰向けになって恥ずかしく足を広げたまま深くまで彼の指を受け入れて、じゅぶじゅぶに濡れた後孔は更に欲してひくついている。内壁が絡みつくように指をやわやわと咥え、襞が更に奥へと誘い込む。
 竜王の目にも男の色香が濃く滲んで、十分に柔らかくなったそこから指が抜け、代わりに熱い楔があてがわれた。
 ヌルヌルの液体を纏った楔がゆっくりと埋まっていく。多少苦しくて息を吐きながら声を漏らすが、痛みはない。丁寧に抜いては入れ、入れては抜いてを繰り返す剛直は、徐々に深くまで押し入ってくる。そうして全てを収めると丁度、最奥の行き止まりを僅かに掠めた。

「はぁぁ!」

 久々に感じた刺激にブルッと震え、浦島は達していた。ぱたぱたと散った精が腹の上に落ちる。同時に中は締まり、物欲しげに蠢いて竜王を誘うものだから、彼は少し辛そうに眉根を寄せた。

「ごめ……果てちゃって……」
「構わぬ。気持ち良かったか?」
「すごく、気持ちいい……竜王様、もう少し動いていいから」

 頬に手を伸ばして触れる。その手の内側に竜王は口づけし、舌で触れる。チリリとした気持ちよさが心地よい。その腕を首に絡め、浦島は抱きついて求めた。
 竜王もゆっくりと動き出す。竿の瘤がほんの少し大きくなって、ゴリゴリと内壁を擦り全体を刺激し、先端は最奥を抉ってくる。目眩がするような官能に息は切れて言葉は喘ぎに変わっていく。
 胸が少し張ってきて、擦れるとぬるりと汚れた。絞られても吸われてもいないのに母乳が溢れているようで、コリコリと肌が合わさるとそれだけで出てくる。
 気づいた竜王が胸を吸うと、あっという間に浦島は陥落して腹の中で達してしまう。ギュウギュウに締め付けるから少し苦しそうに竜王は眉を寄せるが、それがまた色っぽいとぼんやり思う。歯止めはかからないが、まだちゃんと自我はあるのだ。

「太郎」
「竜王様」

 徐々に激しく突かれ、竜王のそれも形を僅かに変える。腹の中をしっかりと満たした魔羅の先端が張り出してくる。苦しいが、それが嬉しい。それに抜けてはいけない部分までは達しない。
 ブルブル震えたまま快楽を思う存分味わって抱き合う。竜王も息を荒くして熱っぽい声で名を呼ぶから、耳も腹も胸も一緒に攻められているようで反応してしまう。

「すまない太郎、もちそうにないっ」
「はい……俺も、もうっ! 青藍様ぁ」
「っ!」

 耳元で名を呼んだ瞬間、腹の中で弾けるように熱い物が流れ込む。その強い刺激にギュッと腹の中がしまり全身で快楽を貪った浦島も達した。
 寂しかった部分が満たされて、疲れたがとても幸福に思えて笑う。竜王は浦島の腹に二度三度と放ってから、ゆっくりと抜け出ていった。

「……抜かれると、寂しいですね」
「繋がったままでもいられまい」
「そうなのですが……」

 注がれた子種がゆっくりと落ちてくる。前に受けた時はまったく出てこなかったのに。勿体ないと思ってはいけないだろうか。

「次の発情期って、いつでしょうかね?」
「しばらくはない」
「残念です」
「お前が辛くないなら相手をするから我慢してくれ。私も、その…………今とても幸せだ」

 少し恥ずかしそうに伝えてくれる気持ちが嬉しいのは当たり前。クスクスと笑った浦島は竜王に手を伸ばし、抱きしめて笑う。竜王もまたそんな浦島を甘やかして横になり、二人共に幸せな夜を過ごしたのだった。 

【外伝3・完】
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