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【アフターストーリー】スキル安産 おかわり!
【エッツェル留学日記】1話
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ガロン様の所で問題を起こした僕は、両親から魔人族の国への留学を言い渡された。
正直、不安だらけで何も安心材料がない。頼れる人もいない知らない国に一人で出されるんだ、怖くて当たり前だ。
僕は今まで両親の側を離れた事はないし、精々が他の竜人族のお城に行くくらいだ。こんなに、自力で帰れない場所に来る予定なんてなかったんだ。
「つきましたよ」
僕を迎えに来た魔人族の王妃をしているシキ様に連れられて、僕は長く暗いトンネルをくぐり抜ける気分だった。実際は魔人族が使う空間移動の方法なんだけれど、体感としてはトンネルを潜った感じになる。
そうして開けた視界に入ってきた景色は、僕には馴染みのないものだった。
街はとても整備されている。石畳で、街灯があって、家もとても綺麗だ。
けれどここに木や植物はない。公園らしい場所には緑が見られるけれど、その他の場所では乏しい。
竜人の国は違う。街の中に緑が多くて、明るくて。道だって大きな街では石造りだけれど、他では土がむき出しになっている部分も多い。
本当に知らない場所に来てしまった。それを思い知るみたいで、僕は不安と寂しさと悲しさに胸元を握った。
「不安そうな顔をしていますね」
不意に声をかけられて、僕はそちらを見る。シキ様が苦笑している。
この方は母上の友人で、母上と同じ異世界からこの世界へと来た人。でも、雰囲気はまったく違う。温かい日だまりみたいな母上と違って、シキ様はどこか鋭い切っ先がある。油断は絶対に出来ない感じの人だ。
「警戒していますか?」
「そんな事は」
「貴方はマコトさんと同じで、嘘の付けない子ですね」
くすくすと綺麗に笑ったシキ様が、城のテラスから中へと促してくれる。それに従って、僕も中へと入った。
城はどこも作りが似ている。ただ、そこを歩く人々の様子はまったく違う。頭についている角が魔人族の特徴。その形は様々だ。色も白、黒、銀、赤などがある。物珍しくて、ついつい見てしまった。
「そんなに魔人族が珍しいですか?」
「え?」
「ずっと見ているでしょ? 角」
指摘されて、カッと熱くなる。お上りさんみたいにキョロキョロしていたのかと思うと恥ずかしかった。
「あの角は、それぞれ誇りを持っているのですよ。ある意味でセックスシンボルのようなものです」
「セックスシンボル?」
つまり、自分の魅力をアピールしているってこと?
魔人族ではない僕にはその良さが分からなかったけれど、確かに皆色々と違った形や色をしているのは見ていて興味深かった。
「大きく雄々しい角は力強い男の象徴。捻れた一角などは美しいでしょ? 羊のように丸まった物はその巻きや大きさ、形の善し悪しがあります。小ぶりな物は可愛らしい」
「魔人族だけが分かる魅力ですか?」
「まぁ、そうなりますね」
シキ様はそう言って笑っている。この方も人族で、しかも異世界人だ。角のセクシーさは分からないのだろう。
そうして城の中を移動したシキ様に連れられて入ったのは、大きな執務室だった。
そこには二人の魔人族の人がいる。
一人は長い黒髪に浅黒い肌の、厳しそうな顔立ちの端正な人だった。紫の瞳がミステリアスに思える。
そしてその人の側に、もう一人立っている。
同じく艶やかな黒髪で、肌は褐色。涼やかな紫の瞳は同じだが、顔立ちはどこかシキ様にも似ている。少し渋い感じのある先の人よりも中性的な美貌もあるように思う。
「エッツェル、紹介しますね。奥のが私の夫で、この国の王アルファードです」
立ち上がり、こちらへと歩み寄る長髪の人物は背も高い。角は金色で捻れた牛のような力強いものがついている。
にこやかな笑みで握手を求められて、僕は緊張しながらもそれに応じた。
「良く来てくれた、エッツェル。シキから君の話は聞いている。文化の違いに戸惑う事も多いだろうが、実りのある留学にしてもらいたい。困った事があれば気軽に相談してくれ」
「お気遣い、有り難うございます」
一応は王族としての振る舞いをした。あまり得意ではないけれど、人前に出る事はあるのだから。
「次に、私の息子です。グランレイ」
呼ばれて近づいてきた黒髪褐色のその人は、とても整った顔をしている。静かな中に艶がある。紫色の瞳が僕を見て、ふと人好きのする笑みを見せた。
「初めまして、エッツェル。君が来ることを聞いて楽しみにしていた。こちらにいる間、俺が君の案内をさせてもらう事になった。生活も同じくするからよろしく」
「えっ、生活も?」
案内というのは分かる。同じ王族同士だし、年齢は彼の方が少し高そうだけれどそこまで離れてはいない。自然な流れだ。けれど、生活ってなに??
「実はこの城に、許可のない者を泊める事はできないんだ」
「天人族とのゲートがありますから、その関係なのですが。でも大丈夫ですよ。信頼できる人の家に下宿出来るようにしています。ですが、招いた側の人間がいないというのもおかしな話なので、この子をつけます」
「はぁ……」
うん、なんとなく理屈は繋がった。
僕は改めてグランレイを見上げた。目が合うと、彼は少し茶目っ気のある表情で笑って僕にウィンクする。似合うだけに、ちょっとドキッとした。
「それでは早速移動しましょうか。亜空間移動すれば直ぐですし」
「母上、それでは何の為の留学なんです?」
直ぐにでも送り届けようという感じのシキ様に対して、グランレイが苦笑する。そして、戸惑う僕の横に立った。
「この国を見てもらうのも一つの留学の醍醐味ではありませんか。歩いて行きますよ」
「手間ですよ?」
「徒歩十五分の距離を手間だと言ったらどこにも行けませんよ」
そう言って、僕を見下ろしてにっこりと微笑む顔はとても優しい。穏やかな紫の瞳は僕にだけ向けられていて、ドキドキとしてしまう。
「疲れているか、エッツェル」
「え? ううん」
「では、歩きながら街を少し案内する。下宿先は大通りに面しているから迷う事はないよ」
手を繋ぐわけでもないのに、僕はグランレイの後に続く。シキ様とアルファード様にお辞儀をして、僕は待っているグランレイの横に並んだ。
魔人族の町並みはなんだか落ち着かない。馬車も綺麗な黒塗りが多いし、地面は石畳。整然としていて綺麗だけれど、綺麗過ぎる。
「そんなにキョロキョロして。珍しいのか?」
「え?」
隣を歩くグランレイが僕を観察するようにしている。その目はどこか深くを探られているようで、僕は視線を逸らした。
「竜人族の街と作りが違うから、落ち着かないだけ」
「竜人族の街はもっと緑が多いと母上が言っていた。俺はこの町から出たことがないから分からないが」
「そうなのか?」
なんだ、似てる。僕も今まで自分の国から出たことがない。
そう思ったら、少し距離が近くなった気がした。大人びているだけでそんな事はないのかもしれない。僕は見上げて、嬉しくて笑った。
「僕も自分の国を出たことがないんだ。だから、不安で……。でも、グランレイも僕と一緒だ」
嬉しくて笑ったら、グランレイは驚いたように目を見開いて、次には視線を逸らしてしまった。僕はそれが少し寂しい。何か嫌な事を言ってしまっただろうか。もしかして、「一緒」だなんて言ったからかな?
「グランレイ、僕何か嫌な事言っちゃった?」
「え?」
「視線、そらしたから。ごめん、僕そういうのわかんなくて。嫌な事があったら言って、直したい」
「相手の気持ちをもう少し考えろ」と、シーグル兄上に言われる。不用意な言葉が相手を不快にさせると言われた。僕の場合はまだ子供の域を出ないし、悪意はないのだと伝わるから大事にならないだけなんだって。
怒らせたかな。不安になって見たら、グランレイは少しだけ耳を赤くして小さく何かを呟いたみたいだった。残念ながら声は聞こえなかったけれど。
「嫌な事なんてない。ただ、少し予想外だったんだ。エッツェルは旅行や国外視察なんかには行かなかったのか?」
「ううん、僕は行ってない。一番上の兄上が優秀で、僕みたいな末っ子の我が儘な奴がいても邪魔だもん」
言っていて、自分が情けない。結局、王子としての力なんて僕にはないんだ。僕に集まる人はみんなとても軽い。所詮は賑やかしなんだって思える。
俯いている僕の頭に、ポンと手が乗った。見ればグランレイが気遣わしい目で僕を見ていた。
「そんな顔をしないでくれ。せっかくこうして知り合ったんだから、俺は君には沢山楽しんでもらいたい。そして、この国の事を好きになってもらいたい」
僕よりもずっと立派で、しっかりとしているグランレイ。年は近いのかもしれないけれど、僕よりずっと大人だ。
俯いた僕はこの顔を上げられない。僕は本当に、何の為にここに来たんだろう。反省の為なのは勿論。でも、「大切な事を学んで来なさい」と言った父上の言葉の意味は今もまだ理解ができなかった。
案内されたのは表通りに面したアパート。四棟が真ん中の中庭を囲むように四角く建っている。それが四階まであった。
僕が案内されたのは四階分を登り切った更に上、屋上に当たる部分。その扉を開くと、そこは建物の屋上とは思えなかった。
「うわぁ……」
溜息が出る。そこは見渡すかぎりに空中庭園だった。噴水があり、背の低い生け垣と花壇が綺麗に整備されている。
その先にあるのは真っ白い屋敷だった。
「ここが、一年を過ごす下宿だよ」
「凄い……。ここ、シキ様の別宅か何か?」
もしくは王太子宮かと思った。
けれどグランレイは首を横に振って笑った。
「違うよ。ここは元王宮の高官だった人の屋敷。確か、800歳を超えているかな」
「800!!」
そんなのもうヨボヨボのお爺ちゃんじゃん!
竜人族は流石にそこまでは生きない。平均1000年を生きる魔人族だからこそある話だ。
僕はどんなお爺ちゃんが出てくるのかドキドキしていた。けれど出てきた人は、僕の想像など及ばない人だった。
「ほぉ、それが竜人の坊やかい。随分と可愛らしいものだ」
玄関で出迎えてくれた人は見た目30代で十分に通じる美しい容姿の人だった。
長い白髪に、白い肌。秀でた額に小ぶりな金色の牛の角が生えている。少しきつめの金の瞳が僕を見て、ニヤリと笑った。
「なんでも、初恋を拗らせて説教留学らしいの。若い事はいいことだ」
楽しそうに弄るこの人を前に、僕は完敗を感じて小さくなるしかなかった。
管理人ランスロット(通称ランス様)の家を出て、今は人族の区画へと来ている。
魔人族の街は魔神達が住む区画と人族が住む区画が明確に分けられて、双方の間にはゲートがある。これも、城に天人族の国へいくゲートがある関係らしい。
「こんなにきっちりと分ける必要あるの?」
「あるらしい。天人族の国には珍しい薬草や長寿の実、何よりも生命の木の母体がある。それらを悪用したり、無断で持ち出す者が過去にいたそうだ。だからこそ入国する者の管理を徹底しているんだ」
なんとなく聞いて、随分お堅い世界だと溜息をつく。確かに悪用はいけないけれど、その為に閉鎖的になっているのはつまらない。魔人族も天人族もあまり他の種族と関わりを持たない種族だから、勿体ないような気がしている。
そうこうしている間に人族の区画についた。物が多くてごちゃっとしてて、僕としては宝探しみたいで楽しい。目を輝かせていると、隣でグランが俺を笑った。
「笑うなよ」
「いや、子供みたいだと思って」
「子供って言うな!」
「いいじゃないか、可愛いんだし」
「可愛い」という言葉に思わず心臓が跳ねる。言われ慣れているはずの言葉なのに、グランが言うと少し恥ずかしくなるのだ。
誤魔化すみたいに少し先を進みながら店先をひやかす。ついでにお菓子のお店で大量購入した。飴やクッキー、マフィンなんかをあれこれ買うその背後で、やっぱりグランが笑っている。
「笑うなっての!」
「だって」
「くっそ!」
今にも腹を抱えて笑いそうなこいつを黙らせたい。僕は購入したばかりのマフィンをグランの口に押し込んだ。一瞬驚いたみたいに紫の瞳が見開かれる。けれど素直に咀嚼して、キョトンと小さく呟いた。
「美味しい」
そう言うと、店へと少し戻ってしまう。出てきたばかりなのに突然で僕の方が驚く。何事かと思えば、グランもまたクッキーやマフィンを買っていた。
僕はそれを見て笑っている。案外面白い奴だ。行動が突飛で予想出来なくて、しかもお菓子って。
「僕のこと子供って言えないじゃん」
「悪い、美味しくてつい」
「お菓子、好き?」
「あぁ、好きだ。魔人族は基本食べなくても生きていけるんだが、俺は母上の血が混じっているからか食べるのが好きなんだ」
「食べなくても生きていける! どんな仕組みだよ!」
知らなかった。魔人族と接する事が稀だし、あんまり興味もなかったから勉強しなかった。
グランは苦笑している。多分、普通に常識なんだろう。
「魔力が高いから、それを巡らせておけば生命維持が出来る。食べる事や酒は娯楽のようなもので、必要ではないんだ」
「そう、なんだ。なんかつまんないな、それも」
母上が料理上手で、いつも美味しい食事を囲んでいた。大人になったら全員揃う事は少なくなったけれど、子供の頃は皆が揃って食卓を囲んで、ご飯を食べる時間が幸せだった。
グランは僕を見て弱く笑う。そして不意打ちに、僕の鼻を摘まんだ。
「ふぎゃ!」
「ほら、次に行こう。そういう事情だから、ここで食事をしたり食べ物買ったりしないとろくな食事が出てこないよ」
「まじかよ!」
「あぁ、マジだよ」
笑ったグランは先に行く。俺は面食らって、そして必死に今後の食糧事情を考える事になった。
結局この日は人族の区画で食事をして戻ってきた。食材を買おうにも、そもそもの調理器具が揃っているかを見てからにしたい。食材買っても調理器具なしじゃ話にならないし二度手間だ。
ランス様の屋敷に戻って早速調理器具を確認すると、コンロやオーブン、保存庫などは充実している。食器類もある程度揃っていた。けれどやっぱり、圧倒的に調理器具が足りていない。鍋もフライパンもお玉もボールもザルも泡立て器もない。一通り買わなければ。
「エッツェルが料理をするのは、意外だな」
ぐったり疲れた僕の側で、グランがそんな事を言う。僕は起き上がるのも億劫にソファーに寝転がり、視線だけを彼に向けている。
「意外ってなんだよ」
「だって、やらなそうだ」
「失礼な奴」
「悪かったって」
苦笑するグランに、僕はそっぽを向いた。腕にクッションを抱いて、尚もゴロゴロだ。
僕の母上は料理が上手い。父が惚れ込んだ一つが母上の料理だ。僕は末っ子で、特にやることもなく役割もない。だから母上の料理の手伝いをしていた。
一番上の姉上エヴァが主にケーキなどのスイーツ作りを楽しんだように、僕は食事を作るのが好きだ。これと言って役に立たない僕でも、料理を作ると皆がとても嬉しそうな顔をするから。
そんな事で磨いた腕は母上には劣るもののそこらのレストランよりもずっと上手いと自負している。
不意にクシャリと髪を混ぜるように撫でられた。大きくて温かい手が心地いい。でも少しだけ反発がある。初恋拗らせたふて腐れ野郎は面倒臭いんだ。
「拗ねたのか?」
「拗ねた」
「ごめん」
「嫌だ」
「エッツェル」
優しい声が僕を呼んでいる。この声、意外と心地いいんだ。
でも素直じゃない。なんせ失恋してまだ一ヶ月経っていない。気持ちの切り替えなんて全然出来ていない。僕の中にはまだガロン様がいる。
でも母上の言いたかった事は理解した。だから、もう二度とガロン様に迷惑をかけないと誓った。ハロルド様にも謝りたかったけれど、きっと僕が行っても余計に辛い思いをさせてしまうからやらなかった。このままフェードアウトするのが一番いいんだ。
不意に、寂しくなった。僕は国にとって賑やかしで、他国に迷惑をかけて、留学させられて。
もしもこのままいらない子になって、誰も僕を必要としてくれなくなったらどうしよう。母上だって凄く怒っていたし、父上も留学を勧めてきた。
もう帰ってこなくていい。そういう意味だったらどうしよう……。
「ふがぁ!」
不意に鼻を摘ままれて、僕は睨んだ。こっちは真剣に考えていうのになんてことをするんだ!
けれど、見下ろしている紫の瞳はとても真っ直ぐで、とても心配そうで、僕は文句を言うのを忘れていた。
「そんなに不安そうな顔をしないでくれ」
「不安なんて」
「していた。捨てられた子犬みたいだった」
「!」
グランの言葉に、僕は反論できなかった。不安だった、寂しかった、怖かった。きっと、縋り付くような目をしていたんだろう。それを見られた事は、とても恥ずかしかった。
「もぉ、出てってよ」
「嫌だ」
「なんでさ」
「こんなに苦しそうな顔をした奴を一人にしておけない」
「はぁ?」
尚も真剣な顔で言われて、誤魔化すように素っ頓狂に声を上げる。平気ですよっていうポーズを頼むから察してよ。情けない顔を見られたくないし、同情なんてものもいらないんだから。
知っている、強がりだって。それでも今は強がっていたいんだ。
でも、グランは僕を包むように抱きしめる。僕を横抱きにしたグランは暴れるのも物ともしない。細くても逞しい体が僕をベッドに運んで、そのまま抱きしめるようにして一緒に横になる。
僕は心臓バクバクで、妙な緊張をしている。
「ちょっと!」
「なに?」
「なに? じゃない! 何で隣に寝てるのさ!」
「寂しいだろ?」
「違うし!」
「泣きそうな顔してる」
「泣かないし!」
「いいから、このまま寝よう。もう夜も遅くなったよ」
何にも良くない。けれどグランは勝手に灯りを落として僕を抱きしめて、そのまま眠ってしまった。
規則的に聞こえる息づかい、側でする心臓の音、触れる体温の温かさ。
僕は真っ赤になりながらも徐々に落ち着いていく。そして、目の前にある安らぎに目を閉じた。
直ぐに心地よくなって、僕は深く安らかに眠っていった。
正直、不安だらけで何も安心材料がない。頼れる人もいない知らない国に一人で出されるんだ、怖くて当たり前だ。
僕は今まで両親の側を離れた事はないし、精々が他の竜人族のお城に行くくらいだ。こんなに、自力で帰れない場所に来る予定なんてなかったんだ。
「つきましたよ」
僕を迎えに来た魔人族の王妃をしているシキ様に連れられて、僕は長く暗いトンネルをくぐり抜ける気分だった。実際は魔人族が使う空間移動の方法なんだけれど、体感としてはトンネルを潜った感じになる。
そうして開けた視界に入ってきた景色は、僕には馴染みのないものだった。
街はとても整備されている。石畳で、街灯があって、家もとても綺麗だ。
けれどここに木や植物はない。公園らしい場所には緑が見られるけれど、その他の場所では乏しい。
竜人の国は違う。街の中に緑が多くて、明るくて。道だって大きな街では石造りだけれど、他では土がむき出しになっている部分も多い。
本当に知らない場所に来てしまった。それを思い知るみたいで、僕は不安と寂しさと悲しさに胸元を握った。
「不安そうな顔をしていますね」
不意に声をかけられて、僕はそちらを見る。シキ様が苦笑している。
この方は母上の友人で、母上と同じ異世界からこの世界へと来た人。でも、雰囲気はまったく違う。温かい日だまりみたいな母上と違って、シキ様はどこか鋭い切っ先がある。油断は絶対に出来ない感じの人だ。
「警戒していますか?」
「そんな事は」
「貴方はマコトさんと同じで、嘘の付けない子ですね」
くすくすと綺麗に笑ったシキ様が、城のテラスから中へと促してくれる。それに従って、僕も中へと入った。
城はどこも作りが似ている。ただ、そこを歩く人々の様子はまったく違う。頭についている角が魔人族の特徴。その形は様々だ。色も白、黒、銀、赤などがある。物珍しくて、ついつい見てしまった。
「そんなに魔人族が珍しいですか?」
「え?」
「ずっと見ているでしょ? 角」
指摘されて、カッと熱くなる。お上りさんみたいにキョロキョロしていたのかと思うと恥ずかしかった。
「あの角は、それぞれ誇りを持っているのですよ。ある意味でセックスシンボルのようなものです」
「セックスシンボル?」
つまり、自分の魅力をアピールしているってこと?
魔人族ではない僕にはその良さが分からなかったけれど、確かに皆色々と違った形や色をしているのは見ていて興味深かった。
「大きく雄々しい角は力強い男の象徴。捻れた一角などは美しいでしょ? 羊のように丸まった物はその巻きや大きさ、形の善し悪しがあります。小ぶりな物は可愛らしい」
「魔人族だけが分かる魅力ですか?」
「まぁ、そうなりますね」
シキ様はそう言って笑っている。この方も人族で、しかも異世界人だ。角のセクシーさは分からないのだろう。
そうして城の中を移動したシキ様に連れられて入ったのは、大きな執務室だった。
そこには二人の魔人族の人がいる。
一人は長い黒髪に浅黒い肌の、厳しそうな顔立ちの端正な人だった。紫の瞳がミステリアスに思える。
そしてその人の側に、もう一人立っている。
同じく艶やかな黒髪で、肌は褐色。涼やかな紫の瞳は同じだが、顔立ちはどこかシキ様にも似ている。少し渋い感じのある先の人よりも中性的な美貌もあるように思う。
「エッツェル、紹介しますね。奥のが私の夫で、この国の王アルファードです」
立ち上がり、こちらへと歩み寄る長髪の人物は背も高い。角は金色で捻れた牛のような力強いものがついている。
にこやかな笑みで握手を求められて、僕は緊張しながらもそれに応じた。
「良く来てくれた、エッツェル。シキから君の話は聞いている。文化の違いに戸惑う事も多いだろうが、実りのある留学にしてもらいたい。困った事があれば気軽に相談してくれ」
「お気遣い、有り難うございます」
一応は王族としての振る舞いをした。あまり得意ではないけれど、人前に出る事はあるのだから。
「次に、私の息子です。グランレイ」
呼ばれて近づいてきた黒髪褐色のその人は、とても整った顔をしている。静かな中に艶がある。紫色の瞳が僕を見て、ふと人好きのする笑みを見せた。
「初めまして、エッツェル。君が来ることを聞いて楽しみにしていた。こちらにいる間、俺が君の案内をさせてもらう事になった。生活も同じくするからよろしく」
「えっ、生活も?」
案内というのは分かる。同じ王族同士だし、年齢は彼の方が少し高そうだけれどそこまで離れてはいない。自然な流れだ。けれど、生活ってなに??
「実はこの城に、許可のない者を泊める事はできないんだ」
「天人族とのゲートがありますから、その関係なのですが。でも大丈夫ですよ。信頼できる人の家に下宿出来るようにしています。ですが、招いた側の人間がいないというのもおかしな話なので、この子をつけます」
「はぁ……」
うん、なんとなく理屈は繋がった。
僕は改めてグランレイを見上げた。目が合うと、彼は少し茶目っ気のある表情で笑って僕にウィンクする。似合うだけに、ちょっとドキッとした。
「それでは早速移動しましょうか。亜空間移動すれば直ぐですし」
「母上、それでは何の為の留学なんです?」
直ぐにでも送り届けようという感じのシキ様に対して、グランレイが苦笑する。そして、戸惑う僕の横に立った。
「この国を見てもらうのも一つの留学の醍醐味ではありませんか。歩いて行きますよ」
「手間ですよ?」
「徒歩十五分の距離を手間だと言ったらどこにも行けませんよ」
そう言って、僕を見下ろしてにっこりと微笑む顔はとても優しい。穏やかな紫の瞳は僕にだけ向けられていて、ドキドキとしてしまう。
「疲れているか、エッツェル」
「え? ううん」
「では、歩きながら街を少し案内する。下宿先は大通りに面しているから迷う事はないよ」
手を繋ぐわけでもないのに、僕はグランレイの後に続く。シキ様とアルファード様にお辞儀をして、僕は待っているグランレイの横に並んだ。
魔人族の町並みはなんだか落ち着かない。馬車も綺麗な黒塗りが多いし、地面は石畳。整然としていて綺麗だけれど、綺麗過ぎる。
「そんなにキョロキョロして。珍しいのか?」
「え?」
隣を歩くグランレイが僕を観察するようにしている。その目はどこか深くを探られているようで、僕は視線を逸らした。
「竜人族の街と作りが違うから、落ち着かないだけ」
「竜人族の街はもっと緑が多いと母上が言っていた。俺はこの町から出たことがないから分からないが」
「そうなのか?」
なんだ、似てる。僕も今まで自分の国から出たことがない。
そう思ったら、少し距離が近くなった気がした。大人びているだけでそんな事はないのかもしれない。僕は見上げて、嬉しくて笑った。
「僕も自分の国を出たことがないんだ。だから、不安で……。でも、グランレイも僕と一緒だ」
嬉しくて笑ったら、グランレイは驚いたように目を見開いて、次には視線を逸らしてしまった。僕はそれが少し寂しい。何か嫌な事を言ってしまっただろうか。もしかして、「一緒」だなんて言ったからかな?
「グランレイ、僕何か嫌な事言っちゃった?」
「え?」
「視線、そらしたから。ごめん、僕そういうのわかんなくて。嫌な事があったら言って、直したい」
「相手の気持ちをもう少し考えろ」と、シーグル兄上に言われる。不用意な言葉が相手を不快にさせると言われた。僕の場合はまだ子供の域を出ないし、悪意はないのだと伝わるから大事にならないだけなんだって。
怒らせたかな。不安になって見たら、グランレイは少しだけ耳を赤くして小さく何かを呟いたみたいだった。残念ながら声は聞こえなかったけれど。
「嫌な事なんてない。ただ、少し予想外だったんだ。エッツェルは旅行や国外視察なんかには行かなかったのか?」
「ううん、僕は行ってない。一番上の兄上が優秀で、僕みたいな末っ子の我が儘な奴がいても邪魔だもん」
言っていて、自分が情けない。結局、王子としての力なんて僕にはないんだ。僕に集まる人はみんなとても軽い。所詮は賑やかしなんだって思える。
俯いている僕の頭に、ポンと手が乗った。見ればグランレイが気遣わしい目で僕を見ていた。
「そんな顔をしないでくれ。せっかくこうして知り合ったんだから、俺は君には沢山楽しんでもらいたい。そして、この国の事を好きになってもらいたい」
僕よりもずっと立派で、しっかりとしているグランレイ。年は近いのかもしれないけれど、僕よりずっと大人だ。
俯いた僕はこの顔を上げられない。僕は本当に、何の為にここに来たんだろう。反省の為なのは勿論。でも、「大切な事を学んで来なさい」と言った父上の言葉の意味は今もまだ理解ができなかった。
案内されたのは表通りに面したアパート。四棟が真ん中の中庭を囲むように四角く建っている。それが四階まであった。
僕が案内されたのは四階分を登り切った更に上、屋上に当たる部分。その扉を開くと、そこは建物の屋上とは思えなかった。
「うわぁ……」
溜息が出る。そこは見渡すかぎりに空中庭園だった。噴水があり、背の低い生け垣と花壇が綺麗に整備されている。
その先にあるのは真っ白い屋敷だった。
「ここが、一年を過ごす下宿だよ」
「凄い……。ここ、シキ様の別宅か何か?」
もしくは王太子宮かと思った。
けれどグランレイは首を横に振って笑った。
「違うよ。ここは元王宮の高官だった人の屋敷。確か、800歳を超えているかな」
「800!!」
そんなのもうヨボヨボのお爺ちゃんじゃん!
竜人族は流石にそこまでは生きない。平均1000年を生きる魔人族だからこそある話だ。
僕はどんなお爺ちゃんが出てくるのかドキドキしていた。けれど出てきた人は、僕の想像など及ばない人だった。
「ほぉ、それが竜人の坊やかい。随分と可愛らしいものだ」
玄関で出迎えてくれた人は見た目30代で十分に通じる美しい容姿の人だった。
長い白髪に、白い肌。秀でた額に小ぶりな金色の牛の角が生えている。少しきつめの金の瞳が僕を見て、ニヤリと笑った。
「なんでも、初恋を拗らせて説教留学らしいの。若い事はいいことだ」
楽しそうに弄るこの人を前に、僕は完敗を感じて小さくなるしかなかった。
管理人ランスロット(通称ランス様)の家を出て、今は人族の区画へと来ている。
魔人族の街は魔神達が住む区画と人族が住む区画が明確に分けられて、双方の間にはゲートがある。これも、城に天人族の国へいくゲートがある関係らしい。
「こんなにきっちりと分ける必要あるの?」
「あるらしい。天人族の国には珍しい薬草や長寿の実、何よりも生命の木の母体がある。それらを悪用したり、無断で持ち出す者が過去にいたそうだ。だからこそ入国する者の管理を徹底しているんだ」
なんとなく聞いて、随分お堅い世界だと溜息をつく。確かに悪用はいけないけれど、その為に閉鎖的になっているのはつまらない。魔人族も天人族もあまり他の種族と関わりを持たない種族だから、勿体ないような気がしている。
そうこうしている間に人族の区画についた。物が多くてごちゃっとしてて、僕としては宝探しみたいで楽しい。目を輝かせていると、隣でグランが俺を笑った。
「笑うなよ」
「いや、子供みたいだと思って」
「子供って言うな!」
「いいじゃないか、可愛いんだし」
「可愛い」という言葉に思わず心臓が跳ねる。言われ慣れているはずの言葉なのに、グランが言うと少し恥ずかしくなるのだ。
誤魔化すみたいに少し先を進みながら店先をひやかす。ついでにお菓子のお店で大量購入した。飴やクッキー、マフィンなんかをあれこれ買うその背後で、やっぱりグランが笑っている。
「笑うなっての!」
「だって」
「くっそ!」
今にも腹を抱えて笑いそうなこいつを黙らせたい。僕は購入したばかりのマフィンをグランの口に押し込んだ。一瞬驚いたみたいに紫の瞳が見開かれる。けれど素直に咀嚼して、キョトンと小さく呟いた。
「美味しい」
そう言うと、店へと少し戻ってしまう。出てきたばかりなのに突然で僕の方が驚く。何事かと思えば、グランもまたクッキーやマフィンを買っていた。
僕はそれを見て笑っている。案外面白い奴だ。行動が突飛で予想出来なくて、しかもお菓子って。
「僕のこと子供って言えないじゃん」
「悪い、美味しくてつい」
「お菓子、好き?」
「あぁ、好きだ。魔人族は基本食べなくても生きていけるんだが、俺は母上の血が混じっているからか食べるのが好きなんだ」
「食べなくても生きていける! どんな仕組みだよ!」
知らなかった。魔人族と接する事が稀だし、あんまり興味もなかったから勉強しなかった。
グランは苦笑している。多分、普通に常識なんだろう。
「魔力が高いから、それを巡らせておけば生命維持が出来る。食べる事や酒は娯楽のようなもので、必要ではないんだ」
「そう、なんだ。なんかつまんないな、それも」
母上が料理上手で、いつも美味しい食事を囲んでいた。大人になったら全員揃う事は少なくなったけれど、子供の頃は皆が揃って食卓を囲んで、ご飯を食べる時間が幸せだった。
グランは僕を見て弱く笑う。そして不意打ちに、僕の鼻を摘まんだ。
「ふぎゃ!」
「ほら、次に行こう。そういう事情だから、ここで食事をしたり食べ物買ったりしないとろくな食事が出てこないよ」
「まじかよ!」
「あぁ、マジだよ」
笑ったグランは先に行く。俺は面食らって、そして必死に今後の食糧事情を考える事になった。
結局この日は人族の区画で食事をして戻ってきた。食材を買おうにも、そもそもの調理器具が揃っているかを見てからにしたい。食材買っても調理器具なしじゃ話にならないし二度手間だ。
ランス様の屋敷に戻って早速調理器具を確認すると、コンロやオーブン、保存庫などは充実している。食器類もある程度揃っていた。けれどやっぱり、圧倒的に調理器具が足りていない。鍋もフライパンもお玉もボールもザルも泡立て器もない。一通り買わなければ。
「エッツェルが料理をするのは、意外だな」
ぐったり疲れた僕の側で、グランがそんな事を言う。僕は起き上がるのも億劫にソファーに寝転がり、視線だけを彼に向けている。
「意外ってなんだよ」
「だって、やらなそうだ」
「失礼な奴」
「悪かったって」
苦笑するグランに、僕はそっぽを向いた。腕にクッションを抱いて、尚もゴロゴロだ。
僕の母上は料理が上手い。父が惚れ込んだ一つが母上の料理だ。僕は末っ子で、特にやることもなく役割もない。だから母上の料理の手伝いをしていた。
一番上の姉上エヴァが主にケーキなどのスイーツ作りを楽しんだように、僕は食事を作るのが好きだ。これと言って役に立たない僕でも、料理を作ると皆がとても嬉しそうな顔をするから。
そんな事で磨いた腕は母上には劣るもののそこらのレストランよりもずっと上手いと自負している。
不意にクシャリと髪を混ぜるように撫でられた。大きくて温かい手が心地いい。でも少しだけ反発がある。初恋拗らせたふて腐れ野郎は面倒臭いんだ。
「拗ねたのか?」
「拗ねた」
「ごめん」
「嫌だ」
「エッツェル」
優しい声が僕を呼んでいる。この声、意外と心地いいんだ。
でも素直じゃない。なんせ失恋してまだ一ヶ月経っていない。気持ちの切り替えなんて全然出来ていない。僕の中にはまだガロン様がいる。
でも母上の言いたかった事は理解した。だから、もう二度とガロン様に迷惑をかけないと誓った。ハロルド様にも謝りたかったけれど、きっと僕が行っても余計に辛い思いをさせてしまうからやらなかった。このままフェードアウトするのが一番いいんだ。
不意に、寂しくなった。僕は国にとって賑やかしで、他国に迷惑をかけて、留学させられて。
もしもこのままいらない子になって、誰も僕を必要としてくれなくなったらどうしよう。母上だって凄く怒っていたし、父上も留学を勧めてきた。
もう帰ってこなくていい。そういう意味だったらどうしよう……。
「ふがぁ!」
不意に鼻を摘ままれて、僕は睨んだ。こっちは真剣に考えていうのになんてことをするんだ!
けれど、見下ろしている紫の瞳はとても真っ直ぐで、とても心配そうで、僕は文句を言うのを忘れていた。
「そんなに不安そうな顔をしないでくれ」
「不安なんて」
「していた。捨てられた子犬みたいだった」
「!」
グランの言葉に、僕は反論できなかった。不安だった、寂しかった、怖かった。きっと、縋り付くような目をしていたんだろう。それを見られた事は、とても恥ずかしかった。
「もぉ、出てってよ」
「嫌だ」
「なんでさ」
「こんなに苦しそうな顔をした奴を一人にしておけない」
「はぁ?」
尚も真剣な顔で言われて、誤魔化すように素っ頓狂に声を上げる。平気ですよっていうポーズを頼むから察してよ。情けない顔を見られたくないし、同情なんてものもいらないんだから。
知っている、強がりだって。それでも今は強がっていたいんだ。
でも、グランは僕を包むように抱きしめる。僕を横抱きにしたグランは暴れるのも物ともしない。細くても逞しい体が僕をベッドに運んで、そのまま抱きしめるようにして一緒に横になる。
僕は心臓バクバクで、妙な緊張をしている。
「ちょっと!」
「なに?」
「なに? じゃない! 何で隣に寝てるのさ!」
「寂しいだろ?」
「違うし!」
「泣きそうな顔してる」
「泣かないし!」
「いいから、このまま寝よう。もう夜も遅くなったよ」
何にも良くない。けれどグランは勝手に灯りを落として僕を抱きしめて、そのまま眠ってしまった。
規則的に聞こえる息づかい、側でする心臓の音、触れる体温の温かさ。
僕は真っ赤になりながらも徐々に落ち着いていく。そして、目の前にある安らぎに目を閉じた。
直ぐに心地よくなって、僕は深く安らかに眠っていった。
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