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10章:二王の邂逅とアルブレヒトの目的

2話:飼い猫になります(チェルル)

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 王都に戻ってきた翌日、シウス、アルブレヒトと一緒に馬車に乗り込んだチェルルは何とも言えない空気に窒息しそうだった。

 シウスは黙っている。これはあまり問題ない。二人きりで会話なんてどうしていいかだし、下手に話しかけられても反応に困る。
 けれどアルブレヒトだ。ニコニコとしているけれど気配はどこか鋭い。何か企んでいるか、思うところがあるのか。

「のぉ、チェルル」
「なに、宰相さん」
「ハムレットの奴は、兄に何かしたのかえ?」

 とても小さな声で問いかけられるが、それこそチェルルはわからない。アルブレヒトにハムレットについて何かを問われた事はないのだ。
 けれどアルブレヒトは人に見えないものを見る。なにか、気にくわないものがあるのだろうか。

 そうしているうちに馬車はハムレットの屋敷の前に辿り着いてしまった。

 見上げると、とても懐かしい。ここで過ごした時間をありありと思い出す。
 途端に、会いたくなった。でも、会ってくれるだろうか。思わず首輪をギュッと握る。お別れもしないくらいだったから、少し不安で苦しい。嫌われていたらどうしよう……。

 チェルルの葛藤など素知らぬ様子で、シウスが屋敷のドアを叩いてすぐにドアが開いてしまう。
 前日に通達はしてあったから、エントランスに皆が並んで立っていた。

 先頭に立って扉を潜ったアルブレヒトを見て、皆が暫く言葉もなく立ち尽くしていた。それもわからないわけじゃない。現実味がなくて、都合のいい夢を見ている感覚だと思う。チェルルだってそんな感じだった。
 生きているかもわからない。どこにいるかもわからない。そんな時間が五年も続いたら、全員一度は「もう死んでいるかも」なんて考えたに違いない。
 その人が、目の前に立っているのだから。

 それでも真っ先に我慢できなくなった奴が飛び出した。声を上げて大泣きしながらアルブレヒトに駆け寄るハクインを、アルブレヒトがとても優しく抱きとめている。幼子にするみたいに優しく撫でて、背中も撫でて。腕の中でわんわんと泣くハクインに微笑んでいる。

「アルブレヒト様! アルブレヒトさまぁ!!」
「ただいま、ハクイン。心配をかけてしまいましたね」
「あるぶれびどざまぁぁ!」

 精神的には一番素直で幼い故の事だ。あまりに泣くから引きつけ起こしそうになって、鼻水と涙でぐしゃぐしゃで。そんなハクインに微笑んで頭を撫で、ハンカチで鼻をかんであげたアルブレヒトは怒りもしない。
 普通、どっかの小貴族でもジェームダルでは怒る。服を汚しただけで殴り殺される事がある。平民が貴族に歩み寄るだけでも蛆虫を見るような顔をされることが多い。

 変わらない。優しくて、大らかで、温かい。色んな顔をするけれど、アルブレヒトの優しさは変わらない。

 ハクインが落ち着いて、アルブレヒトの視線は立ち尽くしたまま手で口を覆い、ボロボロと泣いているレーティスに移った。微笑んで歩み寄り、そっと肩口に頭を寄せるように抱き寄せた。

「辛い思いをさせてしまいましたね。すみません、私のせいです」
「ちが……! アルブレヒト様、私は……」
「貴方が無事で良かった。それだけが救いです。レーティス、よく生きていてくれましたね」
「アルブレ、ヒト、様」

 背中に手を回して、縋るように泣き崩れたレーティスの体を労るように何度も撫でて、アルブレヒトは慈悲の顔を見せている。とても穏やかな様子にすっきりと泣いてもう大丈夫と思っていたチェルルまでもらい泣きしてしまいそうだった。

「アルブレヒト様」

 レーティスの背後に二人の赤毛が膝をつく。家臣の礼をした二人は、それでも顔を上げられない。
 アルブレヒトは頷いてレーティスの体を離すと、そっと二人に近づいた。

「すまない、アルブレヒト様。俺が側にいたのに、こんな事に……」
「ダンクラート、貴方は良くやってくれました。貴方がいなければ、ここにいる皆の命はなかったでしょう。勿論、私の命も。お前は何も恥じる所はありませんよ」
「だが、俺は皆にアルブレヒト様の守りを任されたってのに! こんな体たらくで……」

 逞しい肩が微かに震え、言葉も震えている。泣いている姿なんて見た事がない。悔しげな顔はしても、涙は見せずにグッと我慢をしていた。それが、ダンクラートという男の背中だった。

 アルブレヒトは穏やかに微笑み、肩をポンと叩く。レーティスやハクインに見せたものよりも、やや上司の顔だ。

「ダンクラート、これからです。祖国に平和を取りもどす為にもお前の力が必要です。こんな不甲斐ない主ですが、力を貸してくれますか?」
「! もち、ろん! 勿論だ、アルブレヒト様」

 抱擁も、優しい言葉もいらない。信頼を示すだけでアルブレヒトは穏やかに頷き、そしてその側で同じように膝をつくキフラスに向き合った。

「俺は、貴方に頂いた騎士の誇りを穢す事ばかりをしてきました。騎士の称号を、お返ししたく思います」
「それは不要ですよ、キフラス。不在の間、よく仲間を守ってくれました」
「……守ったのは、俺ではありません。騎士団が情けを掛けてくれなければ、チェルルも、リオガンも、レーティスも失っていた。俺には皆を率いる力など」
「いいえ。お前がいて、ここまで引っ張ってきてくれたのです。お前がいなければとうの昔に、皆の気力は切れていたでしょう。お前は立派な隊長です」

 強く一つ頷き、アルブレヒトは右腕にダンを、左腕にキフラスを抱き寄せて間に入る。三人で、なんだか複雑な兄弟はそれでもアルブレヒトが楽しそうに笑うから、大人しくその抱擁を受け入れるより他になかった。

 一通りの再会劇。だがそこに一人混じらない奴がいた。皆を少し遠くから見て、泣きたいのを我慢していたリオガンをアルブレヒトが見つける。震えたまま、あまり感情の動かないまま、それでも沢山の思いを抱えている。

「リオガン、おいで」

 立ち上がり、ふわりと微笑んだアルブレヒトが大きく両手を広げる。それでようやく、リオガンは歩み寄ってその腕の中で甘えた。泣きながら胸元に顔を押し当てている。

「アルブレヒト様……俺、ごめんなさい」
「謝る事はありませんよ。よく頑張ってくれました」

 とても静かに、でもリオガンにしては素直に頭を撫でられている姿を見るとほっとする。昔から甘える事を我慢して、もの凄く無愛想だけれど気遣ってくれるから。

 ようやく昔の感じが戻ってきた。やっぱりアルブレヒトがいないと駄目なんだ。心なしか雰囲気も明るくなって、皆の心の枷も切れたように思った。

 その時、不意に後ろから強く抱きしめられてチェルルは声を上げた。離さないという強い力、ふわりと香る薬の匂い。けれど抱きしめる腕は記憶のものより少し細くて、筋が目立つように思えた。

「寂しかった」

 ボソリと耳元でした声は苦しそうで、でもしっかりとしていて。聞いた途端に胸の内が苦しくなった。

「先生」
「猫くん、おかえり。寂しくて、死にそうだった」

 もう一度「寂しい」と繰り返したハムレットの顔は本当に苦しそうで、いっそ体の具合でも悪いんじゃないかと思えてしまった。

 ハムレットが顔を上げる。その先には先程とは表情の違うアルブレヒトがいる。どこか冴え冴えとして鋭くて、感情が消えている。
 これには他のメンバーも驚いていて、レーティスなどは慌ててフォローしようとしているけれどその前に、アルブレヒトが距離を詰めてしまう。
 そしてハムレットもチェルルを離して前に出る。一触即発、そんな言葉が似合いそうなピリピリした空気にチェルルは慌ててしまった。

「貴方が、アルブレヒトさん?」
「えぇ。貴方が、ハムレットさんですね?」
「あぁ」

 緊張した声が発せられている。まさかここで喧嘩とかにならないよな? もしそうなったら……どちらの味方をすればいいんだろう。
 主としてはアルブレヒトの味方をしたい。けれどチェルル個人としてはハムレットを捨てられない。
 胸が苦しくなる。こんな空気嫌だ。どちらも大事な人なのに、睨み合いなんてしないでほしい。

 けれど、そんなチェルルの前でハムレットは突然、深々とアルブレヒトに向かって頭を下げた。
 とてもプライドの高い人だ。どんな相手だって頭を下げるなんて嫌いな人だ。きっと自国の皇帝にだって易々とは頭を下げないだろう。そんな人が、今とても深く頭を下げている。
 信じられない光景にチェルルは黙って固まっていた。

「チェルルの事が好きです。決して彼を不幸にはしません。彼を、僕にください」

 胸の奥がギュッと締まる。嬉しい苦しさに窒息しそうだ。好きになって、でもこの想いは届かないかもしれないと諦めも何処かにあった。不安で……でもそれを口にすると現実になりそうでできなくて、本当はとても悩んでいた。

 アルブレヒトの表情は変わらない。そのままの視線がチェルルを見た。

「チェルル、貴方はどうなのですか?」
「……え?」
「貴方は、この人の事をどう思っているのですか?」

 不安になるほど冷静な目。射すくめるような。だからこそ、嘘はつけない。チェルルはそっとハムレットに近づいて、その体に触れた。

「俺も、この人の事が好きです。アルブレヒト様、俺……全部終わったらこの人の側にいたい」
「チェルル……」
「先生の側にいたいよ」

 ハムレットが体を起こし、チェルルを抱き寄せる。腕に力がこもって、震えているのがわかった。苦しそうに眉根が寄って、耳元で「ごめん」と呟いてくる。何に対する「ごめん」なのかわからないけれど、「うん」と言って背中を撫でた。

「なるほど、相思相愛でしたか」
「あの……」
「ハムレットさん、その子の件ですが」

 ハムレットがビクリと体を震わせ、引き寄せる。絶対に渡すものかと言わんばかりの力だ。
 その目の前で、アルブレヒトはニッコリと綺麗な笑顔を浮かべた。

「貴方にお引き渡しする事はできません」
「な!!」

 これにはチェルルの方が声を上げた。若干抗議気味だ。まるで意地悪するような顔をしているアルブレヒトが初めて憎らしく思えてしまった。

「お願いします」

 もう一度頭を下げたハムレットの側でチェルルはアルブレヒトを睨み付ける。意地悪で楽しむなんて悪趣味だ!

「今は自国の問題がとても大きくなっています。チェルルには、私の力になってもらいたい。ですので、この問題が解決するまではお引き渡しする事はできません」
「……問題が、解決すればいいのですね?」
「それまで二人の絆が途切れなければ、改めて考えます。ですが、一旦お返しください」
「……」

 ハムレットがグッと拳を握る。その手にチェルルは手を重ねて、申し訳なく眉根を寄せた。

 自国に戻って、現状を見てしまった。あまりに悲惨な国の有様を知ってしまった。
 確かにあれを放置して一人幸せになる事はできない。

「まぁ、ですが」

 場に合わない声を出したアルブレヒトが悪戯っぽく笑う。唇に指を当てて。でも、さっきよりも随分柔らかな視線だ。

「私も暫くこの国から動けません。その間は、貴方にお預けいたします」
「……え?」
「ダンクラート、キフラス、レーティスは私について城へ。今後の話にお前達も加わってください。リオガン、ハクイン、動ける様に準備をお願いします。シウス、構いませんね?」
「手配はしておる故、問題ないが」
「では、それで。チェルル、お前は任務の疲れをしっかり癒やしなさい。次にでる時は易々とは戻ってこられませんよ」

 あっさりと背中を向け、戸惑い気味の仲間を連れて出て行ってしまう。残されたのは呆気に取られるチェルルと、ほぼ放置のハムレットだけだった。

「あ、はは。疲れた」
「先生!」

 ドサリと床に座り込んだハムレットに慌てて近づいたチェルル。その手を取って引き寄せたハムレットの腕の中に、チェルルはあっという間に抱き込まれた。

「苦手だな、君の元飼い主。怖いよ、あのタイプ」
「あの、普段は違うんだよ? 本当はとても優しくて……」
「味方にはね。父と同じ顔をする。敵とみなされたら徹底的に潰しにかかる人だと思う。これで君を不幸にしたら、僕消されるかも」
「えぇぇ!!」

 どんな相手にも分け隔てなくて、穏やかなアルブレヒトが印象に残っているチェルルとしてはそんな話し到底信じられない。
 けれど一瞬見せた冴え冴えとした眼差しを思い出すと、何故か体の芯が冷たく震えた。

 ハムレットの手が優しく髪や背中を撫でている。けれど優しいばかりではない。ぞくぞくとしたものが体を微かに走っていく。

「あの、先生?」
「寂しくて、苦しかった。ごめん、猫くん。僕の勝手で君を傷つけたのに、手放せなくなってたのは僕の方だった。ううん、手放せなくなってたからこそ、離れていく君に苛立ったんだ」

 ギュッと強く抱きしめてくる。一緒に流れ込む苦しさを嬉しいと受け止めている。気持ちが悪いくらい素直なハムレットがとても珍しくて、でも切なさもこみ上げてくる。

 改めて、この人が好きだ。それを強く思ってしまう。


 立ち上がって、手を引かれるままに到着したのはハムレットの寝室。大きな天蓋付きのベッドにはまだ日差しが差し込んでくる。
 部屋に招かれ、ドアが閉じられる。そして背中から抱きすくめられた。

「先生、あの……」
「嫌?」
「嫌じゃ、ないけれど」

 落ち着かない。ハムレットの手が肌を撫でる度にゾクゾクしてしまう。本当に抱擁程度の事で、いやらしい空気はない。むしろハムレットは少し落ち込んでいて、慰めてあげたいくらいなのに。

「猫くんがいなくなってね、途端に全部が面白くなくなったんだ。食事も美味しくなくて。大好きな解剖すら、つまらなくて……寂しくなって眠れなくて、どうしてこんな風になるのかわからなくてイライラもして……でも、全部君がいないからだって思ったら、会いたくてたまらなくなったんだ」

 ギュッと強くなる力。痩せたように見えたのは気のせいじゃない。やつれたように見えたのは、気のせいじゃない。

 抱きすくめられ、顔だけ後ろを向かされて、唇が重なった。
 ゾクゾクっと走ったのは間違いなく快楽だ。もっと欲しいのは、好きだからだ。

 至近距離で見るハムレットの瞳が濡れている。憂いもある、そんな柔らかな眼差しだ。

「これが人を好きになるって事なんだね。こんなに苦しいなんて、知らなかった」
「先生……」
「不治の病なんて言うけれど、本当なんだね。この病気は僕でも直せない。特効薬は、君だけ」

 手が明確に艶を帯びて触れてくる。ビクンと体が反応して、甘い息が漏れた。

「猫くんは、僕の事好き? 流されていない? 本当に僕と、ずっと一緒にいてくれる?」

 不安そうに問いかけられる。泣きそうなこの人を見て、それ以外の言葉なんて紡げない。紡ぐつもりもない。
 チェルルは体を反転させてギュッと首に抱きつくと、しっかりとした声で伝えた。

「先生が好きって俺は言ったよ。嘘なんかじゃないよ。任務の間、この首輪と先生の事を凄く思ってた。苦しい時もこの首輪に触れて、大丈夫って思ってた。俺、先生の側にいる。難しくても絶対にいるから。だから俺の事、ずっと飼って」

 優しさをくれる人。それだけじゃない楽しさと、切なさをくれる人。庇護されるんでもなく、友人でもない。なのにずっと側にいたい人。

 腰に手が回って、優しく包まれて、改めてキスをする。啄まれるような微かな触れ合いなのに気持ちが焦ってしまう。もっと触れて欲しい。もっと抱きしめて。そんな感情が溢れてしまう。

「わかってる? 僕は懐に入れたら手放せないよ? 君を閉じ込めたくなる。それでも、好き?」
「いいよ、家猫はお家が一番安心出来る。先生が、俺の家になってくれるなら」
「沢山、甘やかしてあげる」
「それも困るけれど……でも、先生には甘えたい」

 思えばこんなに甘える人はこの人だけ。神父は皆のお父さんだった。仲間は友人で、主は主のまま。でもこの人にだけは甘えたい。

 抱き上げられて驚く。声を上げると楽しそうに笑っているハムレットがいる。痩せたのに力は強いまま、ベッドに優しく下ろされて、その上にハムレットが陣取った。

「確かめても、いいかな?」
「……うん、いいよ」

 腕を伸ばすとその腕の中に身を寄せるハムレットと抱き合って、確かな体温を感じて。泣きたいくらい幸せになった。


 まだ、日は高かった。でも、夜まで待てなかった。
 互いに服は脱いでしまって、今は啄むようにキスをしている。くすぐったいくらいの短い触れ合い、なのに待てなくて求めてしまう。体が熱くなって、もっと欲しくて唇を開けて、舌を差し出した。

「んぅ……」

 しっかりと触れあった唇がより深くを求めて角度を変えていく。ハムレットの長い舌が口内のそこここを味わうように舐め回していく。くすぐったい……けれど、気持ちいい。ぞくぞくっと背中を伝って頭の中がぼんやりする。互いの舌を絡め合って、息継ぎの度に呼吸が乱れて、それでもまたキスをする。止められない。

「猫くん、色が白いね」

 確かめるようにハムレットの大きな手が体を撫でる。くすぐったいような、ゾクゾクしたものが走り抜けて身を捩った。

「くすぐったいの?」
「だ、て……っ」
「ふふ、可愛い。でも、感じてもいる?」
「わかんないよ。こんなの、初めてなんだもん」

 隠密なんてのは色仕掛けも時に使う。そうして情報を引っ張って来る事だってある。でもチェルルは今までその手を使わなかった。怖かったし、何となく嫌だった。誰かに裸を見せるのが苦手なんだ。

 ハムレットは嬉しそうに目を細くする。機嫌がよくて、ずっと体を触っている。脇腹や、胸の辺りや、腹を。

「もっ、そんな触らないでよ先生。俺の体、貧相なんだから」
「貧相?」
「そうだよ。肉もつかないし、痩せっぽっちで。背だってもう伸びないし」

 コンプレックスなんだ。ちゃんとした家で育ったキフラスやダン、レーティス、ベリアンスは皆背が高くてちゃんと大人の体をしている。けれど教会育ちで小さな時に食べるのに困ったチェルル、ハクイン、リオガンはあまり成長できなかった。
 リオガンは親の影響か身長は高くなったけれど、やっぱり食べても太れない。チェルルとハクインに関しては小柄で肉付きもあまり良くなくて、食べても肉が付きにくい。
 だから裸を見られたくない。化けるときも体型の補正が必要になってしまう。

 ハムレットは尚も尚もを触っている。手は上半身から太股の内側に。皮膚が薄くてくすぐったくて、なんだか体が痺れてくる。勝手に息が上がりそうだ。

「気にしていたんだね」
「だって……」
「僕はどんな体だって欲情するよ。猫くんだったら」
「え?」
「もっと言えば、怪我をしても愛していられる。体に傷が残っても、腕や足がなくなっても……凄く嫌だし、やった奴は絶対に許さないけれど、それでも愛せる。それでも問題なく欲情できる。猫くんが猫くんのままでいてくれれば、僕は何も問題ない」

 なんだか、妙にドクドク心臓が煩い。いや、普通に考えればこれは溺愛というか、狂愛? ちょっと危ないレベルだと思う。だって普通、傷物って嫌うでしょ? 体に傷が付いたくらいならまだだけど、腕や足がなくてもって……。
 でも、嬉しいし安心した。どんな姿になっても捨てられないって思ったら、心地よかった。変なの、どっぷりこの人にはまり込んでいる。

「俺、愛されてる?」
「勿論」
「先生、いつからそんなに俺の事思っててくれたの?」
「わかんないよ。でも……君で満たされだしたのはきっと早い。素直になれなかったのは、僕が意地っ張りだった。君がいなくなって二ヶ月、何も手につかなくて屍みたいなのに息はしてるんだ」

 ギュッと抱きしめられる。温かい。五月の、まだ少し冷たさもある空気に冷えた体が温もってくる。

「君は何してるかな? 今、何所にいるんだろう。元気なのかな? 怪我してないかな? そんな事ばかり、気付くと思っていたんだ。焦げたパンケーキに、潰れた目玉焼き、塩っぱかったり薄かったりするスープ」
「ちょっと!」
「そんなのがとても食べたくて……苦しかった」

 料理の手伝いをするといつも失敗ばかり。でもそんな失敗作を笑って食べて「不味い!」と言ってくれたのも、全部ハムレットだった。
 こみ上げるのは大好きばかりじゃない苦しさと切なさ。そして、離れないという強い思いだ。

「チェルル」
「!」

 不意に名を呼ばれて、ドキリとする。たったこれだけなのに感じが違っている。心臓の音がうるさくなった。

「全部、欲しい。駄目かな?」
「いや、今更駄目っていわないでしょ?」

 だってもう、体が疼いている。体に触れる手の一つ一つにドキドキしている。今止められたら逆に切なくてたまらない。

 笑って、次には真剣な青い瞳が見下ろしてきて、その唇が肌に触れていく。小さなリップ音を立てながら肌の上を滑っていくから、恥ずかしいやらムズムズするやらで小さく息が漏れてしまう。

「可愛い乳首。色が白いから、ピンク色がよく映えるんだね」
「え? あっ! やぅぅ!」

 チュッと小さな音を立てて乳首を吸われて、ビクッと体が震えた。気持ちがいい……かは、まだ掴めない。でも、腰の辺りが疼いた。

「感度がいいね。他の人に触らせちゃ駄目だよ」
「しないよ、そんな、あぅぅ!」

 小さく吸われて、濡れた舌に舐められて、なんだかゾクゾクする。これ、気持ちいいんだ。頭がぼんやりして、体がムズムズして、心臓がドキドキする。自分じゃどうしようもない反応をしている。

「可愛い。猫くん、とっても美味しい」
「俺、食べ物じゃないっ」
「満たされるからいいよ。凄くご馳走」

 嬉しそうに言われたら照れるしかなくて、恥ずかしくて視線を外した。
 それでもずっと、チュッと音を立てて肌を吸われている。ビクビクするの止まらなくなってきた。気のせいじゃない気持ちよさに掠れた声が出る。甘ったるい声なんて初めてだ。体に触れられてこんなにぼーっとするなんて、知らなかった。

「あぁう! ひっ! あぁ、先生指は強いよぉ!」

 執拗に唇が乳首を吸って、舐めている。その反対側は指で捏ねられている。転がされて、押し込まれて、摘ままれている。口でされる優しい刺激とは違って、指は直接的でイタ気持ちいい。

「勃ってきたね。ほら、硬くてコリコリして、可愛いよ」
「知ってるけれど! あぅ! だから、そこばかりするの止めてよぉ」

 ジンジンする。ジワジワ痺れていって、頭の中が霞んでいく。自分がわからなくなりそう。気持ちいい事に攫われてしまいそう。

 ハムレットは楽しそうに笑っている。そしてゆっくりと手を下へ伸ばしていった。

「はぁ、あっ……なんでぇ」

 肌が全部気持ちいい。触れられる場所が全部ゾクゾクする。腰が浮きそう、背中反りそう。息が上がって、駆け上がってくるものに蝕まれてしまう。

「敏感になってる。ここは、もっと敏感だね」
「いやぁ! あっ、だめ!」

 突然昂ぶりを握られて、チェルルはビクビク痙攣した。優しく握られて、扱かれて、それだけで達してしまいそう。息が出来なくて喘いだ。

「ここも可愛い。先端ピンク色。誰にも触らせたことないって感じで、好き」

 うっとりとした声、濡れた瞳。ハムレットは躊躇い無く先端に浮いた先走りを舐め、そのまま温かい口内にジュブジュブ招き入れていく。
 「ひやぁ!」という、女の子みたいな声が出た。下肢が途端に蕩けていきそうでガクガク震えてしまう。頭が真っ白になった。直接的な快楽に心臓が壊れそう。

「やっ、だめぇ! あっ、きたな……」
「平気だよ?」
「俺、今日まだ風呂入ってない!!」

 昨日はちゃんとしたけれど、今日だって半日経ってる。汚いし、こんな場所を舐められるなんて知らない。
 でも、ハムレットは止めない。口をスライドさせて扱かれて、喘ぐチェルルを見て楽しんでいる。

「いやぁ……はぁ……出ちゃうったらぁ……」

 力が入らない。体は勝手に反応する。もう自分の意志じゃどうにもならない。

「猫くんはどこも綺麗。君の匂い、僕は好きだよ」
「う、そ……っっ」
「嘘じゃない。なんて言ったらちょっと違うけれど、君なら平気かなって。思ったとおり、平気だったから」

 何が平気なんだよ! 恥ずかしくて死ねる!

 でも、まだこれは序の口だった。唇の動きが強くなって、早くなって、唾液濡れの昂ぶりが刺激されると声を抑えられず涙を流して喘ぎまくった。ドクドク熱がこもって、暴れている。

「だ、出るから口!!」

 言って、背中を叩いてもどけてくれない。駄目だ、このままこの人の口に出してしまう。止められないブルブルっとした痙攣が襲ってきて、チェルルはどうする事も出来ずに彼の口の中に吐き出した。

「あぁ、いやだったら……舐めちゃ、だめぇ……」

 敏感になっている先端を舐められて、搾り取るみたいに扱かれて腰が抜けてしまいそう。力がまったく入らない。自分の体なのに言う事をきかない。
 ハムレットは吐き出したものを飲み込んで「不味い!」と言ったのにこれを止めない。先端も、全部綺麗に口で舐めて、とても満足そうな顔をした。

「キスする?」
「いま!!!」

 今さっき自分の精を飲み込んだ口ですけれど!

 ニヤリと笑ったから嫌がらせだとわかった。そして小さく頬にキスされた。

 サイドボードから何やら出てくる。クリームみたいなそれを手に取ったハムレットが、奥の窄まりに触れてクニクニ動かす。
 ムズムズして恥ずかしい。男同士のセックスでそこを使うのは知っているけれど、知識と実際はかなり違う。

「恥ずかしいの?」
「恥ずかしいよ!」
「でも、もう入っちゃうから」
「え? うそ……あっ、はぁぁぁ」

 ツプッと、指が一本入ってくる。ヌルヌルしているし、妙に潤ってるしで抵抗がなさすぎる。細いハムレットの指が当然のように直腸検査の如く中で蠢いている。

「あぁ、それいやだぁ」
「あっ、前立腺硬くなってる。気持ちいい?」
「わかんないったら!」

 自分でも撫でられている部分がクリクリと硬くなっているのは何となく感じられる。そこを押されると、ブルッと震える。けれど気持ちいいかと言われるとまだわからない。
 でも徐々に痺れてきた。疼いて、撫でられると声が出る。甘ったるい声を上げてハムレットの指を受け入れている。

「いい反応。猫くん、気持ちいいね?」

 チェルルは首を何度も振って頷いた。気持ちいい。二本の指が穴を通り過ぎる時、その刺激にブルブル震える。指先が敏感な硬い部分を押し上げる時、我慢できない声と透明な先走りが溢れ出てくる。腰が揺れる。意識が濁る。気持ちいい事だけを追っている。

「指、もう少し慣らすね。そしたら頂戴」
「う、ぐん、っ!」

 指が増えて、少し痛い。お尻の穴が一杯に開いてハムレットを飲み込んでいる。捻られて、クリームと一緒にぐしょぐしょのぐじゅぐじゅになっていく。お漏らししてるみたい。気持ち悪いのに気持ちいい。

「指だけでこんなに興奮する。優しくできなかったらごめんね」
「興奮、してるの?」
「してるよ。見る?」

 熱に浮いて、視界が濡れている。その目で見たハムレットはとても色っぽかった。瞳は濡れて、肌は色付いて、下半身は大きく育って濡れそぼっている。

「あ……」

 怖い、とも思う。今からアレを受け入れるのだから。でもそれ以上に嬉しい。こんなやせっぽっちの男の体で、こんなに興奮して欲情してくれる。

「嬉しそうに笑わないでよ。我慢できなくなる」
「うん、嬉しい。俺で、いいんだ」
「? 当たり前でしょ? 他じゃこうはならないよ?」
「ランバート、にも?」
「拘るね。まぁ、それは僕が悪いか。じゃあ、これから君だけって証明してあげる」

 指が抜けていく、そしてたっぷりのクリームを塗ったハムレットの楔が後孔へとあてがわれ、ゆっくりと埋まった。

「はぁぁ! あっ、あぁぁぁ!」
「っ! いいよ、息吐いてね。少しずつ、入れるからね」

 よしよしと体を撫でて、甘やかすみたいにキスをされる。甘くて蕩けそう。痛いのに、辛くない。涙がこぼれて、笑っている。

 時間をかけてゆっくりと、ハムレットはチェルルの中に全てを埋め込んだ。汗ばんだ体が疲れたみたいに倒れてきて、抱きしめると彼は笑っていた。

「猫くんの中、狭いね。それに、とても熱い」
「そう、なの?」
「凄く、気持ちいい。猫くんだから、気持ちいいんだよ」

 黒い髪を撫でられて、髪にも、額にもキスを降らせて囁かれる。くすぐったいくらい嬉しい。

「チェルル」
「っっ!」

 耳元、息が触れるような距離で囁かれる名前。ゾクゾクッとして、震えてしまう。

「嬉しいの? 中、キュって締まった」
「だって、普段名前なんて呼ばないから」
「恥ずかしいから。照れ隠しね」
「わかりづらい!」
「そうだよ、僕はわかりづらいの!」
「んあぁぁ!」

 不意打ちで腰が押し込まれて、熱い肉杭が奥を抉った。ビクビクっと震えて、痺れていく。気持ちいい痺れの余韻がまだ体中を巡っている。

「チェルル、僕が欲情するのは君だけ。ランバートは弟で、欲情なんてしない。君は、もっと特別なんだよ」
「あっ、かはぁ、あぁ、奥しながらいわないでぇ!」

 グチュ、ズチュと腰を引かれ、また入れられて。頭の中グチャグチャになる。気持ち良くておかしくなる。熱くて痺れて嬉しくてそれだけのものになりそう。

「こんな時じゃないと言えない事もあるよ」
「先生!」
「名前、呼んで。知ってるでしょ?」

 名前? 名前、知ってる。

「ハム、レット」

 涙で目も頬もグチャグチャで、唇からは唾液が溢れて、顔も体も真っ赤ではふはふしている。
 名前を呼んだ途端、ハムレットは蕩けるような甘い顔で微笑んだ。

「くるね、これ。もっと呼んでよ、チェルル!」
「あっ! ふか……壊れるよハムレット!!」
「僕だけにならいいよ。もっと、溺れてっ」

 抉られる度に体中が心臓みたいにバクバクしてる。息、吸えてるかわからない。苦しいし、気持ち良くて時々意識が飛んでいるのに、幸せで満たされて凄い。
 首に抱きついて、ギュッと寄せた。そしたらハムレットの腹にチェルルの昂ぶりが擦れて、腹の底から頭のてっぺん、足先まで一気に強い電流が走って痺れたみたいに痙攣した。

「ひぅ! あぁあぁぁぁ!」
「っ! ごめん、中に出すね」

 焼き切れるような快楽に打ちのめされて、自由にならずビクビク痙攣を繰り返して、壊れたみたいに白濁を吐き出した。
 そして体の深い部分を数度激しく抉られてから、奥深くに熱いものを受け止めた。

 はっはっと息をして、それでも火照った体や思考がストップした頭は動かない。呆然と見つめている間に、ハムレットが壮絶な色気を見せて微笑んで、優しいキスをしてくる。

 この人が好きだ。この人の側にいるのが、幸せだ。

 ズルッと抜けた楔、抜け落ちる熱が少し寂しい。けれどそれ以上の抱擁をくれるから、寂しいなんて思わない。腕を伸ばせば抱きしめてくれる。満足して、微笑んだ。

 体を清められて、ぼんやりされるがままにされて、外はいつの間にか夜になっている。ご飯も食べていないのにお腹は空いてない。違う部分がお腹いっぱいで、大満足だから。

 でも、冷静になると一つ苦しい事もある。
 隣で安心して抱きしめてくれる人を見上げて、チェルルはそっと声をかけた。

「先生」
「なに?」
「あの、ね。俺……国を取りもどすまではここでゆっくりは、できない」

 口に出した途端、ハムレットの体が揺れた。ギュッと抱きしめる腕も強くなった気がする。けれど言わなければ。後になって言えばきっと、もっと傷つける。

「俺、ね。故郷で沢山のことを見てきた。故郷が、お世話になった人が……国に踏みにじられていた。このままじゃいけない。アルブレヒト様を王様にして……それからじゃないと、安心して過ごせない。だから……もう少しだけ戦わせて」

 肌に触れる手がギュッと少し痛く握られる。これはわざとじゃない。ハムレットも怖いんだって、わかった。
 それでも聞いてくれる。前みたいに拒絶はない。黙って聞いて、考えてくれている。

「……本音と建て前、どっちを聞きたい?」
「本音」

 建て前ってなにさ。今更そんな取り繕うような言葉はいらない。どんなに苦しい言葉でも、ちゃんと聞きたいと思う。

 ギュッと抱きしめられる。ハムレットの胸に顔を埋めて、彼の言葉を待った。

「離したく、ない」

 切なく苦しい言葉はチェルルにも刺さる。けれど、受け入れる。チェルルだって離れたくない。でも、これだけは……

「今離したら次はいつか、わからない。知らない場所で怪我をしたら? 死んでしまったら。僕は追えない。このまま何処かに君を隠して、閉じ込めてしまいたい」
「……うん」
「でも……それじゃ猫くんは後悔するよね?」

 思いもよらない言葉にチェルルは見上げる。青い瞳が悲しそうに、でも見守るように見つめて髪を撫でていく。
 この顔は知らない。苦しい事を我慢している顔は初めて見た。

「平気なフリをしたとしても、ずっと心の奥に後悔を抱える。ずっと気にして……そんな君を見ているのはきっと、僕も苦しい」
「先生」
「僕も後悔する。だから……行っておいで」

 思いがけない言葉にチェルルは目を丸くする。絶対に反対されて、ダダを捏ねて、喧嘩になったりすると思っていた。せっかく結ばれたのにまた、離れて行くことを覚悟していた。
 でも、ハムレットはとても優しい顔をしている。何度も優しく頭を撫でて、あやしてくれる。それに泣きそうになったのはチェルルの方だった。

「でも、忘れないで。君の帰りを待つ人がここにいる。君に何かあったら、僕は悲しい。死んだりしたら壊れてしまうよ」
「うん」
「僕も国内でやれる事をしておく。今のうちに国に恩を売っておくから」
「うん」
「……君の作ったパンケーキ、食べたいな」
「おれ、焦がすっ、よ? い、いいの?」
「いいよ」

 ハムレットの腕の中で子供みたいに泣きながら抱きついた。温かいこの場所が居場所になった。
 背中を撫でる穏やかな動きに甘えながら、チェルルは久しぶりに温かな夢を見た。
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