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10章:受け達の初夢

4話:女体化なんて望んでない!(キアラン)

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 現状の理解が追いつかないまま、キアランは真っ赤を越えて紙のように真っ白になっていた。

「どうしたんですか、キア先輩?」
「どうし、どうして、俺は何を!」

 キアランは自分の体を見て驚愕に震えた。なぜならあるはずのない胸がたわわに膨らみ、あるはずのものがツルンとしているのだ。

「どうして俺は女性になっているんだ!」

 感覚や精神的には元のキアランのまま。だが体は女性だ。しかもけっこう胸もあり、腰も括れ、寂しい腹筋が更にふにゃふにゃと柔らかい。

 どうして……何があってこうなったんだ!

 こんなキアランの上に裸で乗っているトレヴァーは、キョトンとした顔で首を傾げた。

「どうしてって……オリヴァー様の変な薬で」
「なにぃ!!」

 奴の薬にこんな効果の物があるのか! 危険だとは思っていたが思った以上に危険だろうが!

「ほら、年末パーティーの余興で女装、当たったじゃないですか。あれでキア先輩暴れるからって、薬飲まされて」
「確かに女装はさせられた! だがあの時は男だったはずなんだ……どうして……」
「副作用だって言ってましたよ。一晩だけだって」
「嘘だ……」

 混乱しているが、そうだっただろうか? 薬なんて飲んだか? だが実際女性の体になっているわけだから飲まされたのかもしれない。あいつはおかしな薬も作っているし、そもそもがエロいから。

「……それで、こんな俺をお前は犯そうとしたのか」

 ジロリとトレヴァーを睨む。こいつは好きだと言ってくれたが、やっぱり女性の方がいいのだろうか。許可もなくこんな体のキアランに盛るくらいなんだから、やっぱり女性のがいいに決まっている。

 だがトレヴァーは顔を真っ赤にしてブンブンと首を横に振った。

「違いますよ! キア先輩が言いだしたんですよ、女性の体でどんな風に感じるのか試してみたいって」
「なっ! 俺がそんな……あぁぁ……」

 絶対に言わない。とは言えない。なぜなら今も好奇心はある。こんな事体験したくてもできないだろうから、興味はある。
 だが、本当に? 酔っていて……酔ってこいつを誘った前科があった。

「あの、嫌ならやっぱり止めましょうか?」

 そろそろっとベッドを降りようとするトレヴァーは見るからにしょんぼりしている。というか、完全に勃っている。これで放り出すのは流石に可哀想なんじゃ……

「あの、トレヴァー!」
「はい?」
「その……俺がする分には、その……構わない、から」
「え?」

 トレヴァーのポカンとした顔。どう動いていいかわからない様子。こういう部分が初心なんだと思える。そもそも初めての相手がキアランだったらしい。

 いつまでも石化したまま動かないトレヴァーの腕を引いたキアランは、彼をベッドの上に上げた。そして座った彼の股座に身を低くして顔を近づけた。

「キア先輩!」
「俺がするから動くな!」

 目の前にある昂ぶりをマジマジと見たことがない。フェラは恥ずかしすぎる。
 だが今は、ジッと形を覚えるように見てしまう。そして大きく口を開け、躊躇いながらも口腔に招き入れていく。
 匂いが口いっぱいに入ってくる。少し塩っぱい、雄の匂い。躊躇ったけれど、嫌いじゃない。

「キア先輩、それ……」
「んっ、気持ちいいか?」
「はい、とても……その……っ!」

 ビクンと腰が揺れる。顔を真っ赤にしたトレヴァーが見下ろしているのに興奮している。
 ジュンと腹の奥が熱くなっていく。疼く感じがとても強い。同時に何か、濡れた感触があって驚いた。思わず片手で濡れた部分を確かめて真っ赤になってしまった。

「ちょっと先輩、それダメですよ……したくなります」
「んっ、だがここが濡れて……なんか、熱い」

 ツルンとして何もない股間が濡れている。その割れ目に指を這わせて弄ると、より痺れる部分がある。そこを何度も擦るともっと奥から濡れて溢れてくる。

 腹の奥が熱くて気持ちいい。トレヴァーと普通に体を繋げる時もこの辺りが疼くが、今はその何倍も強い感じがする。ジンジンして、締まっていく。

 見上げたトレヴァーは顔を真っ赤にしている。同時に舌を這わせる部分は熱く脈打つようで、匂いも濃くなっていった。

「あの、先輩。俺にもさせてくれませんか」

 切なそうに見下ろす目が少し必至だ。こういう部分が年下っぽくて可愛いと感じる。余裕がなく、始めると欲しがりな様子が好きだったりする。
 また、腹の奥がキュンとした。欲しがっているような気がする。

 考えた。たった一晩の戯れみたいなもので、普段も月に数回は男同士で抱き合っている。多少見てくれや感じ方が違うだけで、根本的なものが変わったりはしていない。こいつとは好き合って恋人をしている。
 それに、万が一このまま戻らず女性のままでも、トレヴァーが離れるとは思っていない。

「いいぞ」

 許したら、トレヴァーは嬉しそうな顔をした。

 丁寧にベッドに押し倒され、手が胸を優しく揉む。ふにゃふにゃと柔らかく歪むのはおかしな感じがする。普段はつるぺたなのだから当然だ。
 だが、乳首に与えられる刺激はいつもよりも気持ちいい。すぐにコリコリと硬くなり、ジンと奥が疼いてたまらない。

「気持ちいいんですね」
「んっ」
「こちらも濡れてます」

 指が割れ目をなぞる。少し硬い指の腹が僅かに硬い部分を擦ると、カッと熱くなって腰が揺れ、高い声で鳴いた。

「ここ、ですか?」
「あっ、止め! あぁ!」

 なんだここ、気持ちよすぎて少し痛い。腹の奥が締まるのがわかる。

 だがドンドン濡れて腰を震わせるキアランを見て、トレヴァーはより入念にそこに触れる。やがてほんの少し尖ってしまった感じがする。ジンジンする。

「指、痛いですか? それじゃあ……」
「へ? ちょ! やぁぁ」

 指で辛そうだから舌でという発想は間違っていると思う!

 トレヴァーは何の躊躇いもなく気持ちいい部分を舌で探り出し、先を硬くしてクリクリと舐めてくる。それだけでたまらなくて、ビクンビクンと腰が浮いた。
 腹の中がドクドクいって、漏らしたみたいにベタベタに股が濡れている。もの凄く恥ずかしい。しかも、中でイッたのと似た感覚が広がって腰が立たない。

 トレヴァーは慣れているみたいに丁寧にしてくれる。どうして慣れてるんだと拗ねそうになったが、そう言えばこいつは普段も丁寧にフェラをしてくれる。隅々だ。
 確かに、アレに似ている感じがする。

 指が一本、とても丁寧に侵入してくる。普段と違う部分で感じる指は容易に侵入できてしまう。濡れているからだろうか。
 その指が確かめるように奥へと潜り込んでくるのは恥ずかしくて気持ちもいい。暴かれていくような羞恥心がすごい。
 浅い部分も確かめているが、その指が腹側の何かに触れると切迫した気分になる。気持ちいいとかではなくて、これは!

「やっ、そこは止め!」
「でもココやると、中すっごくうねって濡れてきますよ」
「ちが! あぁ、ダメ! なんか……漏れるぅ!!」

 ツンとした感じにブルブルっと背が震え、堪えようという理性と出したいという欲求がせめぎ合う。
 こんなに頑張って耐えているのに、トレヴァーは指を二本に増やしてその一点を同じリズムで突き上げてきた。

「あぐ! あっ、あぁ! も……むりぃぃぃぃ!」

 排泄感に負けて透明な液体が勢いよく溢れ出た時の絶望感と気持ちよさに、キアランは震えた。トレヴァーの指を締めつけてイッている。お漏らしが気持ちよくてイクなんて、恥ずかしい変態じゃないか。

「あっ、潮噴いちゃいましたね」
「……潮?」
「はい、多分。匂いとかもしませんし、水みたいなものですよ」
「……お漏らしじゃない?」
「ありません」

 この瞬間の安堵感ったら、なかった。

 指が沢山中を押し上げながら触れてくる。グチャグチャと音を立てているのが恥ずかしい。同時に興奮もしているが。

「トレヴァー、もう……っ切ない」
「はい」

 恥ずかしそうに顔を赤くしたトレヴァーが指を抜き、そこに自身の熱くなったものを当てる。そしてゆっくりと押し入ってくるのを感じ、キアランはビクビク震えながら受け入れた。
 ヌルリとしていて受け入れやすい。中の粘膜で感じる熱や太さに苦しさを感じる。
 だが同時に嬉しくもあって、キアランは笑った。

 男でも、女でも、この瞬間が一番幸せな安堵感をくれるものなんだな。

 好きだと思う気持ちはどちらも変わらない。それを確認している気がする。

 やがてゆっくり、少し痛いと思う瞬間もありつつも繋がれた。
 奥の硬い部分が突き上げられてキュンとする。行き止まりまでしっかりと入っている。

「先輩、辛くないですか?」
「平気、だ。動いていいぞ」

 許すと遠慮がちに腰が揺すられる。それだけでコリコリと擦れて、たまらなく気持ちいい。これを繰り返されるとイッてしまう。
 ズンズンと余裕なく腰を振るトレヴァーは、胸を触ったりキスをしたりと愛してくれる。それが嬉しくて応じると、奥が締まって痺れてたまらない。

「先輩、俺もう……抜きますから」
「い、ぃ! 中に出せっ」
「でも!」
「いいから!」

 トレヴァーの腰に足を回して固定してしまう。こうすればもう逃げられないだろう。
 案の定気持ち良さそうに喘ぎながら、トレヴァーは最奥にしっかりと全て出し尽くした。熱いものが満たしていく。何か、感じちゃいけない部分で感じる快楽に頭の中が飛ぶ。
 終わりを伝えるようにキスをするのを受け入れたまま、キアランは心地よく意識を飛ばすのだった。

◇◆◇

 肩を揺すられて目を開けると、トレヴァーが心配そうな顔で覗き込んでいた。

「大丈夫ですか、キア先輩? うなされてましたよ」
「トレヴァー? っ!」

 頭が痛い。ゆっくり起き上がると、いつもの光景が目の前にある。つるんと何もないフラットな胸、多少元気な息子がしっかりついている。

 あれは、夢だったのだろうか。

 思いだしたら動揺が広がっていく。夢とはいえ、とんでもないものを見てしまった。よりにもよって女体化だぞ!

「大丈夫ですか? はい、水です」
「あぁ、すまない……」

 受け取り、僅かに口に含む。そうして落ち着くとあれこれ思いだした。

 昨日の年末パーティーの余興で、ルイーズと一緒に女装させられたのだ。
 ルイーズは綺麗だし、堂々としているからとにかく似合った。深紅のドレスに胸パット、化粧や小物まで自分できっちり整え、まるで舞台にでも立っているかのように振る舞っていた。
 それに比べてキアランは逃げたくてたまらず、オリヴァーに無理矢理着せられ更に酒を飲まされたのだ。

「俺、沈んだのか?」

 問うと苦笑されるから、多分間違いない。本当に申し訳なく、夢の中までとんでもない事をさせてしまい、もう顔が上げられない。

「あれはオリヴァー様が悪いですよ」
「情けない姿を見せてしまった」
「そんな! それに、その……綺麗でしたよ」

 ほんの少し赤くなってそっぽを向いたトレヴァーの耳が赤い。それを見たキアランは逆に力が抜けて、思わず笑い出していた。

「先輩!」
「あぁ、悪いな」

 だが、こういう部分が可愛いと思えるんだよ、俺は。

 キアランの笑みに少し拗ねるトレヴァーを、改めて愛しいと感じるキアランであった。
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