8 / 24
閃き
しおりを挟む
「ふん! ふん! ふん!」
腹筋をしながら今日の予定を考える。
朝の日課として筋トレとランニングを始めて1週間が経とうとしていた。
竹モドキで水筒や籠なんかも作り、ここのところは穏やかな日々を過ごしている。
しかし昨日、この世界に来て初めての雨が降った。
ちょうど洗濯をして乾かしていたところだったのに……
そろそろ屋根が欲しい……
幸いこの場所は気温が安定していて、丘の上ならば風通しも良く、過ごすには快適だったのだ。
そもそも四季はあるのか?今まで考えたことなかった……冬が来るなら尚更備えなければならないだろう。
ということで家を作ろうと思う。
ただ家といっても今の俺に出来るのは木に葉っぱを被した程度のものだろうが……
「ふんっ!……っはぁ~しんど」
筋トレを終え、準備をして木や葉っぱなどの材料を取りに行くことにする。
「っていっても太い木は流石に無理だなぁ」
あれから新たに石斧や石ナイフなど作ってみたが、流石に太い木を切り倒せる程の強度はないだろう。
仕方がないので腕くらいの太さの木を見つけ石斧を打ちつけていく。
「ふぅ……結構きついなぁ……こりゃ一日じゃ終わらんぞ」
適度に休憩しつつ、一日かけて必死に集めた木は5本であった。
それから3日かけて大量の資材を集めた。
「これ、で、最後だぁ!」 スカーン
最後の木を切り倒し、俺はその場にへたり込んだ。
「はぁ、はぁ、これだけあれば足りるだろ」
ピンポーン
《スキル『伐採』を獲得しました》
―――――――――――――――――――――――
『伐採』: 木竹を伐り倒す際、補正がかかる。
―――――――――――――――――――――――
「はぁはぁ、おぉ『伐採』か……先にくれ」
理屈はわかるが、ついつい本音が漏れてしまった
次回からは楽できそうなので、ここは納得しておく。
木材を丘まで運び、しばし休憩する。
「ふぅ、さて、問題はどうやって建てるかだな」
とか言いながら大体の構想は固まってる。
まず等間隔に3×3の穴を掘る、それぞれの穴に柱を建て、天辺に梁をツタで結ぶ、この時真ん中の列だけ長めの柱にしておく、そして細めの木を格子状に組み天井に括り付け、上から重ねた葉っぱを取り付ければ、はい完成。
あまりにも杜撰な脳内設計図だが、とりあえずは雨を凌げればいいのだ。
実際に2日後に完成した時には何とも言えない達成感があった。
ついでに竹を交互に編んで壁を作り出来上がった小屋モドキの中で寝転んでみる。
「はははっ秘密基地みたいだな」
子供の頃近所の公園で、木と木の間に布を結んで隠れ家とか言って遊んでたな……
やってる事は昔と今で全く変わってねぇじゃねぇか……
まぁ補強やら増築やらは追い追いする事にして、今はこれで満足するか……
少しセンチメンタルな気持ちになり寝返りをうち、ステータス画面を開く。
―――――――――――――――――――――――
名前:西村 京
年齢:27
生命力 : ∞
体力:98/180
魔素量:100/100
筋力 : 28
技量 : 45
知力 : 20
魔力 : 10
速度 : 18
幸運 : 11
《スキル》
『精神耐性(中)』『毒耐性(小)』『採取』『伐採』
《ゴットスキル》
『全適性』『万物視』『不老不死』
―――――――――――――――――――――――
増えてはいる……微々たるものだが……
続けていればいずれあのゴリラを追い越せるのか?
それとも頭打ちになって伸びなくなるのか?
やっぱり魔物を倒してみるか……
一昨日資材集めに結界の壁際に行った時、サッカーボール程のネズミを見かけたのだ。
気になってよく見てみるとそのネズミは魔物だった。
ステータスも軒並み50前後で、スキルには『隠形』というのがあった。
俺には『万物視』があったから見えたが、ゴリラには見向きもされてなかった。
恐らくスキルの効果で何とか生き抜いている魔物だろう……
アイツなら今の俺でも倒せるかもしれない。見える俺にはむしろおあつらえ向きだ。
明日武器を作って探してみるか……結界の外に出るのは初めだ、どうしても緊張する。
…………結界内から攻撃できんじゃね?
バルナの皮は結界を通過して俺の顔面にぶち当たった。
【不可侵】の聖域なのに……
つまりはお互い攻撃は通るのである。しかも相手は魔物だからこっちの存在は認知出来ない。
もしかして、気づかれずに一方的に攻撃出来るんじゃないか……?
「俺は天才か……」
なんて事に気づいてしまったんだ! これは頑張ればあのクソゴリラも倒せるかもしれない理論だぞ!
「シャァ! やってみるか!」
勢い勇んで立ち上がる京。
すると天井を結んでいたツタが解け屋根が落ちてくる。
ガタンガタンと落ちてくる屋根に下敷きになり、気を失う天才の夜は更けて行く。
腹筋をしながら今日の予定を考える。
朝の日課として筋トレとランニングを始めて1週間が経とうとしていた。
竹モドキで水筒や籠なんかも作り、ここのところは穏やかな日々を過ごしている。
しかし昨日、この世界に来て初めての雨が降った。
ちょうど洗濯をして乾かしていたところだったのに……
そろそろ屋根が欲しい……
幸いこの場所は気温が安定していて、丘の上ならば風通しも良く、過ごすには快適だったのだ。
そもそも四季はあるのか?今まで考えたことなかった……冬が来るなら尚更備えなければならないだろう。
ということで家を作ろうと思う。
ただ家といっても今の俺に出来るのは木に葉っぱを被した程度のものだろうが……
「ふんっ!……っはぁ~しんど」
筋トレを終え、準備をして木や葉っぱなどの材料を取りに行くことにする。
「っていっても太い木は流石に無理だなぁ」
あれから新たに石斧や石ナイフなど作ってみたが、流石に太い木を切り倒せる程の強度はないだろう。
仕方がないので腕くらいの太さの木を見つけ石斧を打ちつけていく。
「ふぅ……結構きついなぁ……こりゃ一日じゃ終わらんぞ」
適度に休憩しつつ、一日かけて必死に集めた木は5本であった。
それから3日かけて大量の資材を集めた。
「これ、で、最後だぁ!」 スカーン
最後の木を切り倒し、俺はその場にへたり込んだ。
「はぁ、はぁ、これだけあれば足りるだろ」
ピンポーン
《スキル『伐採』を獲得しました》
―――――――――――――――――――――――
『伐採』: 木竹を伐り倒す際、補正がかかる。
―――――――――――――――――――――――
「はぁはぁ、おぉ『伐採』か……先にくれ」
理屈はわかるが、ついつい本音が漏れてしまった
次回からは楽できそうなので、ここは納得しておく。
木材を丘まで運び、しばし休憩する。
「ふぅ、さて、問題はどうやって建てるかだな」
とか言いながら大体の構想は固まってる。
まず等間隔に3×3の穴を掘る、それぞれの穴に柱を建て、天辺に梁をツタで結ぶ、この時真ん中の列だけ長めの柱にしておく、そして細めの木を格子状に組み天井に括り付け、上から重ねた葉っぱを取り付ければ、はい完成。
あまりにも杜撰な脳内設計図だが、とりあえずは雨を凌げればいいのだ。
実際に2日後に完成した時には何とも言えない達成感があった。
ついでに竹を交互に編んで壁を作り出来上がった小屋モドキの中で寝転んでみる。
「はははっ秘密基地みたいだな」
子供の頃近所の公園で、木と木の間に布を結んで隠れ家とか言って遊んでたな……
やってる事は昔と今で全く変わってねぇじゃねぇか……
まぁ補強やら増築やらは追い追いする事にして、今はこれで満足するか……
少しセンチメンタルな気持ちになり寝返りをうち、ステータス画面を開く。
―――――――――――――――――――――――
名前:西村 京
年齢:27
生命力 : ∞
体力:98/180
魔素量:100/100
筋力 : 28
技量 : 45
知力 : 20
魔力 : 10
速度 : 18
幸運 : 11
《スキル》
『精神耐性(中)』『毒耐性(小)』『採取』『伐採』
《ゴットスキル》
『全適性』『万物視』『不老不死』
―――――――――――――――――――――――
増えてはいる……微々たるものだが……
続けていればいずれあのゴリラを追い越せるのか?
それとも頭打ちになって伸びなくなるのか?
やっぱり魔物を倒してみるか……
一昨日資材集めに結界の壁際に行った時、サッカーボール程のネズミを見かけたのだ。
気になってよく見てみるとそのネズミは魔物だった。
ステータスも軒並み50前後で、スキルには『隠形』というのがあった。
俺には『万物視』があったから見えたが、ゴリラには見向きもされてなかった。
恐らくスキルの効果で何とか生き抜いている魔物だろう……
アイツなら今の俺でも倒せるかもしれない。見える俺にはむしろおあつらえ向きだ。
明日武器を作って探してみるか……結界の外に出るのは初めだ、どうしても緊張する。
…………結界内から攻撃できんじゃね?
バルナの皮は結界を通過して俺の顔面にぶち当たった。
【不可侵】の聖域なのに……
つまりはお互い攻撃は通るのである。しかも相手は魔物だからこっちの存在は認知出来ない。
もしかして、気づかれずに一方的に攻撃出来るんじゃないか……?
「俺は天才か……」
なんて事に気づいてしまったんだ! これは頑張ればあのクソゴリラも倒せるかもしれない理論だぞ!
「シャァ! やってみるか!」
勢い勇んで立ち上がる京。
すると天井を結んでいたツタが解け屋根が落ちてくる。
ガタンガタンと落ちてくる屋根に下敷きになり、気を失う天才の夜は更けて行く。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
オリュンポス
ハーメルンのホラ吹き
ファンタジー
悠久の時を生き続ける種族たちの星。
別名:神々の世界【オリュンポス】では、いつ始まったのかも分からない神域を広める領土戦争が何億世紀にも渡り続いていた。戦の時代に産み落とされた主人公も【常世の終焉】と呼ばれた神界戦争に参加し、自領を広げ【禍威の混沌狐】と畏怖の対象にされるまで登りつめた。しかし、複数の神によって封印された過去の神となった主人公。
幾億の時を経て封印から逃れることに成功した主人公は...
異世界転移したので、のんびり楽しみます。
ゆーふー
ファンタジー
信号無視した車に轢かれ、命を落としたことをきっかけに異世界に転移することに。異世界で長生きするために主人公が望んだのは、「のんびり過ごせる力」
主人公は神様に貰った力でのんびり平和に長生きできるのか。
幸福の王子は鍵の乙女をひらく
桐坂数也
ファンタジー
「わたしをひらいて世界を救って下さい」
少女サキのやっかいごとにいきなり巻き込まれたぼく。異世界のすご腕剣士にぼくまで命を狙われるはめに。なんで?
「それは遼太さん、あなたが鍵の乙女をひらく『開錠の者』だからです」
そんなこと言われても、平凡な大学生のぼくにどうしろと?
でもひとり健気に立ち向かうサキをほっておけなくて、ぼくらは助け合い、かばい合い、一緒に逃げて、そして闘う。世界のエレメントを取り戻すために。
なんの取り柄もないぼくが世界を救う方法はただひとつ。火の鍵の乙女サキをひらくこと。そのためには……自分に惚れさせること? 誰だそんなギャルゲーみたいな設定作ったやつは?
世界の命運をかけた恋の駆け引き、ここにはじまる。
鍵の乙女は全部で6人。ぼくはすべての乙女をひらけるのか? かわいい女の子とラブラブになれるのか? それは嬉しいんだけど、いいことばかりじゃないみたい。
鍵の乙女をひらくごとに、ぼくは自分の何かを失う。五感、記憶、感情……。それでもぼくは、鍵の乙女をひらくのか? 世界と、少女たちを救うことができるのか?
「小説家になろう」でも連載中です。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
外れスキル「トレース」が、修行をしたら壊れ性能になった~あれもこれもコピーで成り上がる~
うみ
ファンタジー
港で荷物の上げ下ろしをしてささやかに暮らしていたウィレムは、大商会のぼんくら息子に絡まれていた少女を救ったことで仕事を干され、街から出るしか道が無くなる。
魔の森で一人サバイバル生活をしながら、レベルとスキル熟練度を上げたウィレムだったが、外れスキル「トレース」がとんでもないスキルに変貌したのだった。
どんな動作でも記憶し、実行できるように進化したトレーススキルは、他のスキルの必殺技でさえ記憶し実行することができてしまうのだ。
三年の月日が経ち、修行を終えたウィレムのレベルは熟練冒険者を凌ぐほどになっていた。
街に戻り冒険者として名声を稼ぎながら、彼は仕事を首にされてから決意していたことを実行に移す。
それは、自分を追い出した奴らを見返し、街一番まで成り上がる――ということだった。
※なろうにも投稿してます。
※間違えた話を投稿してしまいました!
現在修正中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる