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第1章 ボーイミーツプリンセス
第11話 異世界ステータス
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「“金剛鉄鬼”とか、嫖客で雇うより、どっちかっていうと始末させる側よね……」
アンヴァはまだ警戒しながら三人を値踏みする。
アマトのみ華麗にスルーした。戦力外の青瓢箪は値を見る価値もないのだ。
「あのう、僕はたまたまこの世界に転移してきただけでですね……」
「ああ、やっぱり異世界人なのね、あなた」
「やっぱりって、よくあるんですか?」
「あるわよ、《剣と魔法の異世界》じゃ、それなりに」
「え、特別な存在じゃないんですか?」
異世界人はレアな存在ではないという。
そういえば、ファンローラの語る伝説でもこの世界の人々は、転生者や異世界人の末裔だというようなことを語っていた。
「レアなスキルとかチート持ってる異世界人って結構いるんだけど、あんまり持たないのよね。病気か盗賊に身ぐるみ剥がされて死ぬし」
「えええ……」
「なんかさー、どんだけ元の世界がなまっちょろいのか知らないんだけど、勇者気取りのやつからコロッと死ぬのよね。ときどきすごいのも来るんだけどね」
まあ、そうかもしれない。
《大触壊》とかいう文明崩壊が起こったせいで、衛生状態もよくなければ、治安も最悪な状態である。
この《剣と魔法の異世界》は、リアル中世寄りのファンタジー世界なわけで、気をつけないと赤痢やペストとかの伝染病で死んでもおかしくない。
現代知識で無双する余白があるのだが、文明度ゼロでは内政すら難しいだろう。国ないし。
「一応、僕女神様から世界を救う勇者だって言われてきたんですけど」
「ふーん、紹介状とかある?」
「ないですけど」
「でしょうねー」
あしらわれている感じである。
「なんでもいい、手っ取り早く稼げる依頼を出せ」
「まあ、あることはあるけど。その前にステータスチェックさせてよ」
「そういうことできるんだ……」
いきなりのゲームライク展開である。
ひょっとすると、このステータスチェックで何か見つかっていないチートやスキルが見つかるかもしれない。
「じゃ、ゴルガスから、いいですかね?」
「わしのか、まあいい」
アンヴァが何か占い盤みたいなものを取り出すと、空中に光で映像が投影される。
文明度は低いが、こういうものはあるらしい。
そして次の内容が映し出された
/////////////////
“金剛鉄鬼”ゴルガス
クラス:ローグ8Lv、ファイター11Lv、ノーブル1lv
能力値:
乾:18 兌:15 離:11 震:9
巽:9 坎:12 艮:5 坤:5
スキル:
《鎖武器》1、《怪力》2、《頑健》2、《苦痛体制》2
チート:
《鉄仮面》
/////////////////
「なんか能力値が漢字なんですけど……」
「漢字って?」
まず、漢字という概念が伝わらない。そりゃそうだろう。
アマトがこの世界の文字を読めるのは、女神の加護だ。
よくよく見たら漢字ではない言語だが、脳内に飛び込んでくる際に漢字に変換されているのだ。なかなか面倒くさい。
アマトもよく知らない字がいくつかある。
「これですよこれ、この能力値の字なんですけど」
「これ八卦よ。この世界じゃ、能力値は八卦で表すのが常識なの」
「八卦……?」
なんだかよくわからない常識である。
しかし、そう言われるとアマトも少しは聞いたことがある。
中国の占いで使われるものだ。
「どういう意味なんですかね?」
「面倒くさいわねー」
そう言いながら、アンヴァはあれこれ教えてくれた。
そんなわけで、変換するとこうである。
/////////////////
“金剛鉄鬼”ゴルガス
クラス:ローグ8Lv、ファイター11Lv、ノーブル1lv
能力値:
筋力:24 器用:15 敏捷:11 知力:9
感知:9 精神:12 魅力:5 幸運:5
スキル:
《鎖武器》1、《怪力》2、《頑健》2、《苦痛体制》2、《悪名》5
チート:
《鉄仮面》
アイテム:
鎖斧、ソフトレザー、テクニカル
/////////////////
これならわかりやすい。
ちなみに、大体のニュアンスであって、そのままではない可能性は十分にある。
だが、このチートの《鉄仮面》は意味がわからない。
どういうチートになるんだろうか?
「不利な特徴だから、特別にボーナス振ってんのよ」
「あっ、そういうのもチートなんだ」
まだ法則性が把握できないが、不利な特徴があるとキャラクター作成ポイントが追加で貰えるとか、そういうものらしい。
《鉄仮面》が外せないので、その分ボーナスを振り込んだらしい。おそらく【乾】……【筋力】であろう。
あと、気になるのがノーブル1Lvである。
どう見ても貴族には見えないのだが、事情があるのだろうか?
ちなみに、アイテムのテクニカルというのは民用品のピックアップトラックに機銃を積んだあれのことだ。ソマリア紛争での呼び名が広まったものである。
「次は、わたしもよろしいでしょうか!」
ファンローラがわくわくしながら立候補する。
確かに、彼女のステータスは気になる。
/////////////////
“無双烈姫”ファンローラ
クラス:マーシャルアーティスト20Lv、プリンセス3lv
能力値:
乾:9 兌:18 離:16 震:5
巽:12 坎:16 艮:15 坤:3
スキル:
《キック》20、《軽功》8、《殺気感知》3、《悪名》10
チート:
《外家拳》
アイテム:
プリンセスドレス、ポーション×3
/////////////////
ステータスを見た途端、アンヴァが震え上がった。
「む、むむむむ“無双烈姫”!?」
「そうですけど、何か」
さすが《悪名》10だ。ゴルガスより轟いている。
しかし、クラスのマーシャルアーティスト20Lvというのは納得である。あとスキルの《キック》20とか。ファンローラのステータスは極振り特化系である。
「えっと、わたし【震】5なんですか……」
【震】は【知力】に当たる能力値である。
【知力】が数字で表されるとキツい。
平均を下回る数字だとバカだってことを意味してしまう。ゴルガスより低いわけだし。それに【坤】も幸薄いってことだろう。
全般的にステータスは高いのだが。【魅力】にあたる【艮】も平均以上あるのだからいいほうだ。
だが、アマトが気になるのはそのチートだ。
「《外家拳》って……」
「拳法の流派? そういうもんらしいわね」
「はあ……」
「武林においては肉体筋力を鍛錬する技を外家、呼吸法や内功を鍛錬するのを内家というのだ」
まず、武林という言葉が謎であるが、どうも武術界とかそういう意味らしい。
《剣と魔法の異世界》には、武術界が存在するようだ。
肉体の鍛錬が外家、発勁や気功が内家なのだ。
アマトはやはり知らぬことだが、現実世界の中国拳法では、少林寺の僧たちが出家したので外家の拳とも呼び、これに対して大極拳などの武当派の拳が対抗の意味で内家を名乗ったという説もある。必ずしも技法や鍛錬法を意味しないこともある。
「じゃあ、次は勇者様ね」
/////////////////
“只者”アマト
クラス:エクセレント1Lv
能力値:
乾:8 兌:8 離:7 震:12
巽:9 坎:7 艮:12 坤:6
スキル:
なし
チート:
《封印》
アイテム:
パーカー、タブレット菓子(イチゴ味)、錆びた短剣
/////////////////
「あー、これはゴミだわ」
「ちょっと、本人の前でそんな」
さすがに言われると傷つく。
確かに能力値が平べったく、高くても12というの泣けてくる。キャラメイクのやり直しを要求できるのではないか? それでも【知力】はファンローラの倍以上あるのだが。【幸運】が地味に低いのもつらい。【幸運】だけで乗り切るという目もなくなった。
クラスのエクセレント1Lvは、勇者の証だ。
だが、成長できそうな自信がない。
ていうか、あんだけのオークやモヒカンを倒したファンローラに同行しているのだから、レベルが上がってもいいはずだ。
スキルなしも悲しくなってくる。
しかし、チートは持っているのだ。
「なんですかね、この《封印》って?」
「そんなのわかるわけないじゃん」
アンヴァがやる気なく答えた。
しかし、チート《封印》は夢が広がる。
きっとこれが解けるとすごいチートになるに違いない。
アンヴァはまだ警戒しながら三人を値踏みする。
アマトのみ華麗にスルーした。戦力外の青瓢箪は値を見る価値もないのだ。
「あのう、僕はたまたまこの世界に転移してきただけでですね……」
「ああ、やっぱり異世界人なのね、あなた」
「やっぱりって、よくあるんですか?」
「あるわよ、《剣と魔法の異世界》じゃ、それなりに」
「え、特別な存在じゃないんですか?」
異世界人はレアな存在ではないという。
そういえば、ファンローラの語る伝説でもこの世界の人々は、転生者や異世界人の末裔だというようなことを語っていた。
「レアなスキルとかチート持ってる異世界人って結構いるんだけど、あんまり持たないのよね。病気か盗賊に身ぐるみ剥がされて死ぬし」
「えええ……」
「なんかさー、どんだけ元の世界がなまっちょろいのか知らないんだけど、勇者気取りのやつからコロッと死ぬのよね。ときどきすごいのも来るんだけどね」
まあ、そうかもしれない。
《大触壊》とかいう文明崩壊が起こったせいで、衛生状態もよくなければ、治安も最悪な状態である。
この《剣と魔法の異世界》は、リアル中世寄りのファンタジー世界なわけで、気をつけないと赤痢やペストとかの伝染病で死んでもおかしくない。
現代知識で無双する余白があるのだが、文明度ゼロでは内政すら難しいだろう。国ないし。
「一応、僕女神様から世界を救う勇者だって言われてきたんですけど」
「ふーん、紹介状とかある?」
「ないですけど」
「でしょうねー」
あしらわれている感じである。
「なんでもいい、手っ取り早く稼げる依頼を出せ」
「まあ、あることはあるけど。その前にステータスチェックさせてよ」
「そういうことできるんだ……」
いきなりのゲームライク展開である。
ひょっとすると、このステータスチェックで何か見つかっていないチートやスキルが見つかるかもしれない。
「じゃ、ゴルガスから、いいですかね?」
「わしのか、まあいい」
アンヴァが何か占い盤みたいなものを取り出すと、空中に光で映像が投影される。
文明度は低いが、こういうものはあるらしい。
そして次の内容が映し出された
/////////////////
“金剛鉄鬼”ゴルガス
クラス:ローグ8Lv、ファイター11Lv、ノーブル1lv
能力値:
乾:18 兌:15 離:11 震:9
巽:9 坎:12 艮:5 坤:5
スキル:
《鎖武器》1、《怪力》2、《頑健》2、《苦痛体制》2
チート:
《鉄仮面》
/////////////////
「なんか能力値が漢字なんですけど……」
「漢字って?」
まず、漢字という概念が伝わらない。そりゃそうだろう。
アマトがこの世界の文字を読めるのは、女神の加護だ。
よくよく見たら漢字ではない言語だが、脳内に飛び込んでくる際に漢字に変換されているのだ。なかなか面倒くさい。
アマトもよく知らない字がいくつかある。
「これですよこれ、この能力値の字なんですけど」
「これ八卦よ。この世界じゃ、能力値は八卦で表すのが常識なの」
「八卦……?」
なんだかよくわからない常識である。
しかし、そう言われるとアマトも少しは聞いたことがある。
中国の占いで使われるものだ。
「どういう意味なんですかね?」
「面倒くさいわねー」
そう言いながら、アンヴァはあれこれ教えてくれた。
そんなわけで、変換するとこうである。
/////////////////
“金剛鉄鬼”ゴルガス
クラス:ローグ8Lv、ファイター11Lv、ノーブル1lv
能力値:
筋力:24 器用:15 敏捷:11 知力:9
感知:9 精神:12 魅力:5 幸運:5
スキル:
《鎖武器》1、《怪力》2、《頑健》2、《苦痛体制》2、《悪名》5
チート:
《鉄仮面》
アイテム:
鎖斧、ソフトレザー、テクニカル
/////////////////
これならわかりやすい。
ちなみに、大体のニュアンスであって、そのままではない可能性は十分にある。
だが、このチートの《鉄仮面》は意味がわからない。
どういうチートになるんだろうか?
「不利な特徴だから、特別にボーナス振ってんのよ」
「あっ、そういうのもチートなんだ」
まだ法則性が把握できないが、不利な特徴があるとキャラクター作成ポイントが追加で貰えるとか、そういうものらしい。
《鉄仮面》が外せないので、その分ボーナスを振り込んだらしい。おそらく【乾】……【筋力】であろう。
あと、気になるのがノーブル1Lvである。
どう見ても貴族には見えないのだが、事情があるのだろうか?
ちなみに、アイテムのテクニカルというのは民用品のピックアップトラックに機銃を積んだあれのことだ。ソマリア紛争での呼び名が広まったものである。
「次は、わたしもよろしいでしょうか!」
ファンローラがわくわくしながら立候補する。
確かに、彼女のステータスは気になる。
/////////////////
“無双烈姫”ファンローラ
クラス:マーシャルアーティスト20Lv、プリンセス3lv
能力値:
乾:9 兌:18 離:16 震:5
巽:12 坎:16 艮:15 坤:3
スキル:
《キック》20、《軽功》8、《殺気感知》3、《悪名》10
チート:
《外家拳》
アイテム:
プリンセスドレス、ポーション×3
/////////////////
ステータスを見た途端、アンヴァが震え上がった。
「む、むむむむ“無双烈姫”!?」
「そうですけど、何か」
さすが《悪名》10だ。ゴルガスより轟いている。
しかし、クラスのマーシャルアーティスト20Lvというのは納得である。あとスキルの《キック》20とか。ファンローラのステータスは極振り特化系である。
「えっと、わたし【震】5なんですか……」
【震】は【知力】に当たる能力値である。
【知力】が数字で表されるとキツい。
平均を下回る数字だとバカだってことを意味してしまう。ゴルガスより低いわけだし。それに【坤】も幸薄いってことだろう。
全般的にステータスは高いのだが。【魅力】にあたる【艮】も平均以上あるのだからいいほうだ。
だが、アマトが気になるのはそのチートだ。
「《外家拳》って……」
「拳法の流派? そういうもんらしいわね」
「はあ……」
「武林においては肉体筋力を鍛錬する技を外家、呼吸法や内功を鍛錬するのを内家というのだ」
まず、武林という言葉が謎であるが、どうも武術界とかそういう意味らしい。
《剣と魔法の異世界》には、武術界が存在するようだ。
肉体の鍛錬が外家、発勁や気功が内家なのだ。
アマトはやはり知らぬことだが、現実世界の中国拳法では、少林寺の僧たちが出家したので外家の拳とも呼び、これに対して大極拳などの武当派の拳が対抗の意味で内家を名乗ったという説もある。必ずしも技法や鍛錬法を意味しないこともある。
「じゃあ、次は勇者様ね」
/////////////////
“只者”アマト
クラス:エクセレント1Lv
能力値:
乾:8 兌:8 離:7 震:12
巽:9 坎:7 艮:12 坤:6
スキル:
なし
チート:
《封印》
アイテム:
パーカー、タブレット菓子(イチゴ味)、錆びた短剣
/////////////////
「あー、これはゴミだわ」
「ちょっと、本人の前でそんな」
さすがに言われると傷つく。
確かに能力値が平べったく、高くても12というの泣けてくる。キャラメイクのやり直しを要求できるのではないか? それでも【知力】はファンローラの倍以上あるのだが。【幸運】が地味に低いのもつらい。【幸運】だけで乗り切るという目もなくなった。
クラスのエクセレント1Lvは、勇者の証だ。
だが、成長できそうな自信がない。
ていうか、あんだけのオークやモヒカンを倒したファンローラに同行しているのだから、レベルが上がってもいいはずだ。
スキルなしも悲しくなってくる。
しかし、チートは持っているのだ。
「なんですかね、この《封印》って?」
「そんなのわかるわけないじゃん」
アンヴァがやる気なく答えた。
しかし、チート《封印》は夢が広がる。
きっとこれが解けるとすごいチートになるに違いない。
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