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10.モナークの失恋 ★
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10.モナークの失恋
モナークはオメガ、特有の巣作りをしていた。
巣作りは、オメガの脳内のフォルモンバランスを整える為にパートナーのアルファの匂いのする物を周りに置く行動だ。
モナークは、長年の恋人のアルファであるアレクサンダーが恋しくて苦しい。
もう、恋人にも友達にも戻れないのに…
アレクサンダーから貰った手紙と和歌と短歌がベッドの上にに積み上げられた。
もう彼の香りが付着していない皮のジャケットを抱いて眠る。
抑制剤を飲んでもオメガのヒートは治らない。
ソル侯爵家とタントラ卿から与えられた、遺伝子相性が90%を越えるアルファ達と騒いでも、気持ちは落ち込むばかりで体調も悪い。
「モナーク様!昨日も、大騒ぎをして!少しは体を大切にしてください!」
タントラ枢機卿の推薦でやってきた、アルファの金髪小柄な少女がズカズカと部屋に入ってくる。
「君…昨日の大騒ぎのなか、僕を心配してくれてたの?」
オメガの中でも最強の呪力と戦闘力を
兼ね備えるモナークの遊び好きは、王宮でも有名だ。
当のモナークは退廃的な気配を漂わせて力なく返事をする。
一方、アメリアは、アルファらしい力強さでモナークをベットから引き剥がす。
小柄なアメリアの何処にそんな力があるか分からないが、長身痩躯モナークとの体格差をものともせず、バスルームに運びこむ。
「私は世界で一番、モナーク・ルミナ・ソル様の大ファンです。大好きで愛してます。」
事前に説明を受けたモナークは、アメリアに絶対に告白はしない。
タントラ枢機卿はモナークの女性の好みを知っている。小柄なアメリアはモナークの好きな女性のタイプと違う。
アメリアも、強い強い制約をソル侯爵家から受けている。
「両思いになったら死ぬじゃん」
「本望ですわ!さっ、お風呂に入ってくださいまし」
モナークの体には少女は臆することなくバスルームの浴槽に彼を放り込んだ。
「君って、本当に強いよね」
「はい!私、モナーク様の大ファンですら!」
少女は屈託なく笑う。
その笑顔に、少しだけ心が軽くなるのを感じる。
モナークの好きなラヴェンダーの香りの泡風呂にモナークの好きな、シルクのガウン。
個人情報を何故しっているのか突っ込みどころ満載だが今はきにしないことにする。
この小柄少女アメリアは上位貴族第三位、時期ラルジュ侯爵だ。
モナークの下働きをする身分ではないが、彼女の二人の姉妹が、酷い呪い付きでモナークの『千本腕のアリス』と契約をして延命していた。
呪い付きの運命と、その運命によりそう家族は過酷な人生をおくる。
いつ死ぬかわからないし、呪いの侵食でつねに激痛に苛まれ、人間の形も成せない者も多い。
しかし、代償として強い呪力を手入れられる為、アメリアのように呪力を貸与されて、強く生きる者もいる。
「モナーク様が妹達に、力を貸してくださって延命しています。
百八十六人の呪い付きの為に、貴方は人生をささげてくれました。
だから、アメリアはモナーク様の為ならなんでもやりますよ!!」
汗で固まったモナークの髪を櫛ですき、湯で流し丁寧に洗髪剤をつけていく。
「貴方様は我が姉妹の命の恩人です」
「ありがとうアメリア」
この世界はモナークにとって優しくない世界だ。けれど、モナークは生きてるだけで恩が増えていく。
手際よく、アメリアが体を洗い、モナークの白い肌にタオルを滑らせていく。
呪いにより体の不自由な姉妹の介護をしているせいか、手際がよい。
「モナーク様、部屋に失礼します。お召し物を着て下さい。タントラ枢機卿から連絡が来てます。」
美しい青年が一人、部屋に入ってく来た。
モナークはオメガ、特有の巣作りをしていた。
巣作りは、オメガの脳内のフォルモンバランスを整える為にパートナーのアルファの匂いのする物を周りに置く行動だ。
モナークは、長年の恋人のアルファであるアレクサンダーが恋しくて苦しい。
もう、恋人にも友達にも戻れないのに…
アレクサンダーから貰った手紙と和歌と短歌がベッドの上にに積み上げられた。
もう彼の香りが付着していない皮のジャケットを抱いて眠る。
抑制剤を飲んでもオメガのヒートは治らない。
ソル侯爵家とタントラ卿から与えられた、遺伝子相性が90%を越えるアルファ達と騒いでも、気持ちは落ち込むばかりで体調も悪い。
「モナーク様!昨日も、大騒ぎをして!少しは体を大切にしてください!」
タントラ枢機卿の推薦でやってきた、アルファの金髪小柄な少女がズカズカと部屋に入ってくる。
「君…昨日の大騒ぎのなか、僕を心配してくれてたの?」
オメガの中でも最強の呪力と戦闘力を
兼ね備えるモナークの遊び好きは、王宮でも有名だ。
当のモナークは退廃的な気配を漂わせて力なく返事をする。
一方、アメリアは、アルファらしい力強さでモナークをベットから引き剥がす。
小柄なアメリアの何処にそんな力があるか分からないが、長身痩躯モナークとの体格差をものともせず、バスルームに運びこむ。
「私は世界で一番、モナーク・ルミナ・ソル様の大ファンです。大好きで愛してます。」
事前に説明を受けたモナークは、アメリアに絶対に告白はしない。
タントラ枢機卿はモナークの女性の好みを知っている。小柄なアメリアはモナークの好きな女性のタイプと違う。
アメリアも、強い強い制約をソル侯爵家から受けている。
「両思いになったら死ぬじゃん」
「本望ですわ!さっ、お風呂に入ってくださいまし」
モナークの体には少女は臆することなくバスルームの浴槽に彼を放り込んだ。
「君って、本当に強いよね」
「はい!私、モナーク様の大ファンですら!」
少女は屈託なく笑う。
その笑顔に、少しだけ心が軽くなるのを感じる。
モナークの好きなラヴェンダーの香りの泡風呂にモナークの好きな、シルクのガウン。
個人情報を何故しっているのか突っ込みどころ満載だが今はきにしないことにする。
この小柄少女アメリアは上位貴族第三位、時期ラルジュ侯爵だ。
モナークの下働きをする身分ではないが、彼女の二人の姉妹が、酷い呪い付きでモナークの『千本腕のアリス』と契約をして延命していた。
呪い付きの運命と、その運命によりそう家族は過酷な人生をおくる。
いつ死ぬかわからないし、呪いの侵食でつねに激痛に苛まれ、人間の形も成せない者も多い。
しかし、代償として強い呪力を手入れられる為、アメリアのように呪力を貸与されて、強く生きる者もいる。
「モナーク様が妹達に、力を貸してくださって延命しています。
百八十六人の呪い付きの為に、貴方は人生をささげてくれました。
だから、アメリアはモナーク様の為ならなんでもやりますよ!!」
汗で固まったモナークの髪を櫛ですき、湯で流し丁寧に洗髪剤をつけていく。
「貴方様は我が姉妹の命の恩人です」
「ありがとうアメリア」
この世界はモナークにとって優しくない世界だ。けれど、モナークは生きてるだけで恩が増えていく。
手際よく、アメリアが体を洗い、モナークの白い肌にタオルを滑らせていく。
呪いにより体の不自由な姉妹の介護をしているせいか、手際がよい。
「モナーク様、部屋に失礼します。お召し物を着て下さい。タントラ枢機卿から連絡が来てます。」
美しい青年が一人、部屋に入ってく来た。
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