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3.近くて遠い ★
しおりを挟む広々とした寝台の上、二人きりの世界が広がっていた
「キスしてもいいか?」
「大丈夫です。いらしてください」
ジュードの声に緊張感がある。
体は抱かしてくれても、心まで開いてくれないだろう。アレクサンダー諦念する。
ジュードがゆっくりと瞳を閉じると、アレクサンダーの唇が優しく重なり、懇願するように舌が慎重に差し入れられた。噛まれた首が疼き、同時に胎の中が熱を帯びて蠢く。
「あ……ん。」
自分の声だとは信じられない甘い声がジュードの口から漏れる。
久しぶりの行為に、恥ずかしさと欲望が交錯し、アレクサンダーに縋りつきたくなる気持ちを必死に堪えていた。
敵国の貴族のαに抱かれる日が来るとは思わなかった。
「触って痛くないか?」
優しい声がジュードを包む。公務員のジュードとは対照的に、国の防衛戦で戦っていたアレクサンダーの体力は雲泥の差だった。
「行為は二年ぶりですが……もっと、奥にください。」
必死に顔を背けながらねだるジュードの姿にの、ぎこちなさにアレクサンダーは納得がいった。紅潮する顔が可愛らしくてたまらない。アレクサンダーの理性が崩れそうになる。
胸の先端を口に含み、腰を深く差し入れると、ジュードの長い足が限界まで広げられる。それでもアレクサンダーは自制し、激しく動かないよう努めた。本能のまま、抱き潰したくなかったからだ。
「アッ…いや……やぁ」
「ダメだ、はなさい。側にいてくれ」
アレクサンダーが囁く。その言葉に、自分だけの番だともう離れたくない気持ちが深まった。ジュードの白い肌を丁寧に暴き、その全てを快感の波で包み込む。ジュードの中で強くなる局部が敏感なところに当たり、目の前に星がちらつく。
「…あっ…いっちゃう」
「見せて」
アレクサンダーは力強くジュードを騎乗位にさせ、飴色の髪が扇情的に蒸気した肌に張り付いた。
「見ないでください」
「無理……ジュードは綺麗だ」
アレクサンダーはジュードの深い所へと繋がろうとする。細い腰が跳ね上がり、白い顎がひるがえる。
アレクサンダーが腰を打ちつける度に、ジュードの体が震えた。
「俺だけの番」
アレクサンダーは、強い欲望に抗わず彼はジュードの奥深くに白濁を放った。
「満足できましたか?」
ジュードの声は穏やかだがひんやりと冷たい。
「まだ足りない。ごめん。手加減できない」
アレクサンダーは苦笑いを浮かべながらジュードの艶やかに笑う姿を見つめる。
「加減なんていりません」
ジュードの翠玉のような瞳に浮かぶのはアレクサンダーの姿だ。
その美しい瞳に自分の欲望が映り込む。
そして、ジュードの表情にαに対しての何かしらの強がりを感じた。
そう、笑顔にかくされた警戒心。
うなじを噛んで肉体を重ねてもお互いを理解するには、遠い。
このΩに正しい愛を与えたかった。
彼は今までどのくらいの他人に何をされて来たのだろう。
この番を誰にも触らせてたくない。
アレクサンダーは理性がαとして正しく蕩ける。もう言い訳などせず、何度も何度もジュードを貫いた。その度にジュードの体は強烈な快感に震え、絶頂の波に溺れていく。
その姿にアレクサンダーは心から愛おしさを覚えた。
「やっちまった……」
意識を失ったジュードを見てアレクサンダーは愕然とした。やり過ぎたと後悔したが、後の祭りだ。
気を失ったジュードの姿を見つめるアレクサンダーは、心の中で強く誓った。
ジュードの心を大切にしたい。
『αに支配されるものか』
ジュードの強い意志をアレクサンダーも感じ取っていた。
「命の半分をモナークに使ったから、俺の命は短い。でも、そんな俺を選んでくれたジュードに感謝してる。だから、俺ができることは何でもしたい。」
彼は震える手で、優しくジュードの薄紅の唇に自分の唇を重ねた。その接触は短くとも甘く、二人の心が一瞬にして繋がるような気がした。
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