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異世界召喚
第一話 大変異
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約五十年前に起きた大変異――どこからともなく現れた隕石が大気圏で焼失したあと、世界の夜明けと共に人類の三分の一は新たな進化を遂げた。
いわゆる超能力や魔法、超人やミュータントと呼ばれる様な力を発現する者が現れたのだ。
その種類は千差万別で、ある者は火を吹き、ある者は空を飛ぶ。また、ある者はカメレオンのように長い舌を持ち、ある者は狼男のように牙と爪を持ち全身が毛で覆われている。
つまり、見た目に変化が無い者もいれば、見た目から変異したとわかる者もいる。
それは差別を生んだ――かと思いきや、意外とそうで無かったりもする。
「よぉよぉお前だろ? この辺りで最強の奴ってのは」
普通の人間にこうやって絡まれることがあるほど、今では差別も無い。
「知らん。人違いだろ」
「いや、違わないな。この辺りで猫の超人類はお前だけだろう? その白髪、耳、尻尾――じじぃかと思ったよ」
「ほっとけ、ラグドールの毛並みだ。じゃあな」
超人類――変異した人類の呼び名であり、俺もその一人だ。とはいえ、猫耳と尻尾が生えているだけでこれといった力は無い。ある意味、見た目だけの変異は珍しいらしい。
「行かせねぇよ」
しかしまぁ、こうやってしつこく付き纏ってくる奴のほうが珍しい。この辺りで見ない顔だからどこかから来た最強を目指すヤンキーとかかな。
「言われたことねぇのか? 超人類には喧嘩を売るな、って」
「知らねぇな。俺はただ強い奴と戦いたいだけだ」
通せんぼをする男が拳を構えてくると前から後ろから続々と仲間らしい人間たちが姿を現した。いや、居ることは知っていたけどな。
「困ったな……じいちゃんに一般人には手を出すなって言われてるんだけど」
「ハッ! 自分の尻尾を見て見ろよ。おっ立ってるぜ?」
ああ、本当に困ったものだ。この尻尾や耳は感情を隠し切れない。
いざこざはごめんだ。どうしたものかと考えていると、背後から近付いてくる奴の気配に気が付いた。
「お前、本当に強いのか?」
「だから人違いだって言っただろ? なんだよ、この辺りで最強って」
「つーか、強さ以前にその顔、その体……本当に男か?」
「はぁ……制服でわかるだろ。どう見たって男だ」
筋肉はついているが太くならないのは仕方が無い。なんたって猫だから。
「この際、男か女かはどうだっていい! 俺は強い奴をぶっ飛ばしたいだけなんだよ!」
「はぁあ――しょうがない」
そして。
――
十五人を相手に、使った時間は十五分。一人一分か。まぁ、上々だな。
「く、そ……つえぇな……超人類」
「超人類かどうかは関係ねぇよ。俺は猫耳と尻尾が生えているだけだからな。あとは俺が強いんじゃなくてお前らが弱いんだよ」
ほぼ全員一発で倒れたしな。まぁ、それは言わないでおこう。
「じゃあ、俺は帰る。お前らは? 救急車が必要なら呼んでやるけど」
振り返ってみれば全員が倒れたまま顔を横に振ったり、手を振ったりして拒否してきた。そこまで強く殴ったつもりも無いし、一時間もすれば普通に帰れるようになるだろう。
「ん?」
倒れている奴らに再び背を向けた時だった。
突然、地面が光ったかと思い視線を向ければ円の中に不思議な紋様が浮かび上がっていた。
「なんだこれ……魔法陣? ――っ!」
確認しようとしゃがみ込めば、目が眩むほどの光に思わず片手で視界を遮った。
そして瞼を開いた先にいたのは――こちらを見上げる大勢の人間たちだった。
いわゆる超能力や魔法、超人やミュータントと呼ばれる様な力を発現する者が現れたのだ。
その種類は千差万別で、ある者は火を吹き、ある者は空を飛ぶ。また、ある者はカメレオンのように長い舌を持ち、ある者は狼男のように牙と爪を持ち全身が毛で覆われている。
つまり、見た目に変化が無い者もいれば、見た目から変異したとわかる者もいる。
それは差別を生んだ――かと思いきや、意外とそうで無かったりもする。
「よぉよぉお前だろ? この辺りで最強の奴ってのは」
普通の人間にこうやって絡まれることがあるほど、今では差別も無い。
「知らん。人違いだろ」
「いや、違わないな。この辺りで猫の超人類はお前だけだろう? その白髪、耳、尻尾――じじぃかと思ったよ」
「ほっとけ、ラグドールの毛並みだ。じゃあな」
超人類――変異した人類の呼び名であり、俺もその一人だ。とはいえ、猫耳と尻尾が生えているだけでこれといった力は無い。ある意味、見た目だけの変異は珍しいらしい。
「行かせねぇよ」
しかしまぁ、こうやってしつこく付き纏ってくる奴のほうが珍しい。この辺りで見ない顔だからどこかから来た最強を目指すヤンキーとかかな。
「言われたことねぇのか? 超人類には喧嘩を売るな、って」
「知らねぇな。俺はただ強い奴と戦いたいだけだ」
通せんぼをする男が拳を構えてくると前から後ろから続々と仲間らしい人間たちが姿を現した。いや、居ることは知っていたけどな。
「困ったな……じいちゃんに一般人には手を出すなって言われてるんだけど」
「ハッ! 自分の尻尾を見て見ろよ。おっ立ってるぜ?」
ああ、本当に困ったものだ。この尻尾や耳は感情を隠し切れない。
いざこざはごめんだ。どうしたものかと考えていると、背後から近付いてくる奴の気配に気が付いた。
「お前、本当に強いのか?」
「だから人違いだって言っただろ? なんだよ、この辺りで最強って」
「つーか、強さ以前にその顔、その体……本当に男か?」
「はぁ……制服でわかるだろ。どう見たって男だ」
筋肉はついているが太くならないのは仕方が無い。なんたって猫だから。
「この際、男か女かはどうだっていい! 俺は強い奴をぶっ飛ばしたいだけなんだよ!」
「はぁあ――しょうがない」
そして。
――
十五人を相手に、使った時間は十五分。一人一分か。まぁ、上々だな。
「く、そ……つえぇな……超人類」
「超人類かどうかは関係ねぇよ。俺は猫耳と尻尾が生えているだけだからな。あとは俺が強いんじゃなくてお前らが弱いんだよ」
ほぼ全員一発で倒れたしな。まぁ、それは言わないでおこう。
「じゃあ、俺は帰る。お前らは? 救急車が必要なら呼んでやるけど」
振り返ってみれば全員が倒れたまま顔を横に振ったり、手を振ったりして拒否してきた。そこまで強く殴ったつもりも無いし、一時間もすれば普通に帰れるようになるだろう。
「ん?」
倒れている奴らに再び背を向けた時だった。
突然、地面が光ったかと思い視線を向ければ円の中に不思議な紋様が浮かび上がっていた。
「なんだこれ……魔法陣? ――っ!」
確認しようとしゃがみ込めば、目が眩むほどの光に思わず片手で視界を遮った。
そして瞼を開いた先にいたのは――こちらを見上げる大勢の人間たちだった。
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