~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭

文字の大きさ
上 下
9 / 59
異世界転生

バトルロイヤル

しおりを挟む

 フェンリルがリングに上がるのと同時に開始の合図が掛かる。
 
 すると、剣士1、2がフェンリルに向かっていく。しかしただ馬鹿正直に突っ込む訳じゃない。剣士1が剣士2より前にいる。
 
 俺は剣士1、2ではなく他の奴の行動も見て思わず関心してしまった。寄せ集めのチームでちゃんと機能しているのだ。この場合、すごいのは個人ではなく指揮者だ。今回の指揮者は剣士1ではない。弓3と魔法使い3だ。あの2人が常に足と首を動かし周りを見ている。
 
 剣士1がフェンリルに両手剣を振りかさず。
 フェンリルみたいな素早いモンスターにとってそれは回避してから、攻撃するまでの流れを作るのに、非常に都合がいい相手だ。だから本来なら剣1は今の攻撃をフェンリルに避けられ、フェンリルから1撃貰って即死する筈なのだが……。ここは流石チームプレイだ。
 剣士2が続く様な攻撃でフェンリルに攻撃させないよう防いでる。
 剣士2は剣士1とは違って片手剣で盾とその動きの素早さがチャームポイントだ。あの2人は指揮者の下で見事にその連携プレイをこなしている。
 
 剣1が大きな1発をいれる。フェンリルがそれを避ける。そこに剣士2が流れるように攻撃する。剣士2は攻撃をしながらも的確に盾で確実にフェンリルの攻撃を防ぐ。そしてその間に剣士1が次なる攻撃のモーションに入る。それを魔法使い3が剣士2に、フェンリルをそこへ誘導するよう指示する。そしてその剣士2の行動のサポートに弓1、魔法使い1がそれぞれ、威嚇攻撃をしている。決してフェンリル当てる事のない誘導するための攻撃。
 
 そしてそれを続けているとフェンリルの回避行動が追い付かなくなる。その隙を弓3と魔法使い3は見逃さない。
 弓2と魔法使い2に攻撃命令を出す。凄く良い連係プレイだ。しかし――
 
 「……剣士3の存在意義がねぇなぁ」
 
 剣士3だけは特に何かをしている訳ではない。ただ、剣士1、剣士2のサポートをしているが、剣士1と剣士2は素晴らしいコンビで助けを必要としてない。
 
 「これなら3トップで動いた方がよかったんじゃねぇか?」
 
 ただ、弓3と魔法使い3は見る限り馬鹿ではない。あれも何か意味があってあそこに配置してる。俺にはそれが詠めない。
 
 「しかし、本当に指揮者がいいな」 
 
 指揮者のお陰でフェンリルと互角に渡りあえる。
    “今は”。
    フェンリルはまだ能力を使ってない。それはこの戦いに余裕があるからだ。しかしこっちはギリギリの戦い。特に全線2人は。あの2人が動けなくなったら終わりだ。ん? 待てよ? そいうことか。剣士3の配置意味。
 
 不意にそれが脳を横切ったのであった。それはもう確実な事だった。
 
 交代要員だ。おそらく剣士1のだ。あれだけ、大きな剣をずっと振っていて疲れない訳がない。
 
 剣士3は剣士1が疲れた時に一瞬で役割が交代出来るようにあそこにいるんだ。 
 
 「……しかし、この戦いの構造が分かると暇だな。まあ、お客さんと実況者は忙しそうだけど」
 
 実況者はずっと、この1連の動きを細かく場内に伝えてる。加えて観客者は、ずっと応援をしている。ずっとギリギリな戦いをしているから。
 
 「そうだな。あと5分だけ待とう。それで、これ以上戦いを有利に運べなかったら、俺が動こう」
 
 本当はこいつら全員が脱落してからスパッと狩るつもりだったのだが……退屈というのは非常に苦痛だ。分からない物を、分かる様に見るのは楽しいけど、分かる物を見ていてもつまらない。
 
 そして――5分という時間はあっという間だった。少しずつ剣士達の体力が限界に近づいてるのが分かる。
 
 「ようやく俺の出番だな」
 
 俺は気配を消し弓3の後ろまで移動する。弓3は見事に気づかない。戦いの指示で手一杯で自分の事まで気を配る余裕だどないらしい。
 
 「邪魔だ。消えろ」 
 
 「え?」
 
 弓3の耳元でそう言った。弓3はそれがどういう意味が理解が出来なかったらし、キョトンとした声を口から漏らした。
 
 弓3の首を掴み、俺はそのまま場外に投げ捨てる様な勢いで投げる。
 
「な、何をする!?」
 
 飛ばされた弓3が俺の投げられた直後、俺の腕を掴もうと手を伸ばした。俺はそれに応える様に手を伸ばした。そして――
 
 「な!!」
 
 弓3からその弓を奪い取ったのであった。
しおりを挟む
感想 159

あなたにおすすめの小説

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

固有スキルが【空欄】の不遇ソーサラー、死後に発覚した最強スキル【転生】で生まれ変わった分だけ強くなる

名無し
ファンタジー
相方を補佐するためにソーサラーになったクアゼル。 冒険者なら誰にでも一つだけあるはずの強力な固有スキルが唯一《空欄》の男だった。 味方に裏切られて死ぬも復活し、最強の固有スキル【転生】を持っていたことを知る。 死ぬたびにダンジョンで亡くなった者として転生し、一つしか持てないはずの固有スキルをどんどん追加しながら、ソーサラーのクアゼルは最強になり、自分を裏切った者達に復讐していく。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

世界が終わってしまうから、俺に本気を出させないでくれ

桐山じゃろ
ファンタジー
10歳になったローツェは突然、自分の前世を思い出す。転生に至る前に遭った不思議な存在、与えられた強力すぎる力、転生の意味……わからないことだらけだけど、とりあえず学院で前世の不幸を吹き飛ばすほどの青春がしたい!

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

処理中です...