クズ勇者が伝説の英雄になるまで

パチ朗斗

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1章 クズ勇者の目標!?

クズ勇者、復讐する 1

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「まったく……ひでぇ有様だな、こりゃ」

  リョーマの視界は赤一色だった。天すらも赤く照らす程の強力な炎は未だに民家を焼き続けていた。

「…………ふっ。こりゃありがてぇ……!!」

 この街にはまだ生存者が居やがるぜ。この怒りをどこにぶつけるか困ってたところだ。

  リョーマは手のひらを天に向けて、魔法を発動させる。

「『千剣の天泣』」

  突如として街全体を覆うほど巨大な青白く光る魔法陣が現れた。

 生命反応は何ヶ所かに分散してるか。それも一つ一つの生命反応も密度はかなりのものだ。逃げずにここに留まるなんてな。どうやら、俺に殺して欲しいようだな。

「まぁ……ホントは一人一人殺してやりてぇんだがな」

  リョーマは空いているもう片方の手を力強く握りしめた。

「受け取れ、俺からの断罪お礼だ」

  そうしてリョーマは魔法を発動させた。

  無数の魔剣が、その巨大な魔法陣から剣先を出した。

「さて、俺の手で殺すのあいつらぐらいか」

  そう呟きリョーマはゆっくりと歩みを進める。向かう先リョーマの目先に建つ城だ。

  無情に振り注ぐ魔剣は例外無くリョーマを避けて地面に降り注ぐ。

  時々人間の断末魔が微かに聞こえ、その度にリョーマの口角は上がる。

「良かったよ。俺からの贈り物は相当気に入ったみたいでよ」

 にしても、これだけ居てなんでさっきは生命反応の探知に引っ掛からなかったんだかな。

  その答えは目の前の王の住まい……王城にあった。

「自分の住まいだけは全力で守るか……ホントにクズしか居ねぇな、この街は」

  目の前の城の場所にのみ分厚い防御結界が張ってある。他の場所に隠れていた住民たちは薄い結界で最低限の耐久性しかない結界だったのだ。

 民を捨てて強度な結界を作ったか。それでも何度も破壊されてるがな。

 それだけ結界が張れるなら街を覆う事もできるのにな。

「そう来なくっちゃな。殺しがいがねぇもんな」

  リョーマは城の方に手を向けた。

「逃げんなよ……『重力魔法』発動」

  轟音と共に空から赤く不気味に光る柱が降りてきた。

  その柱は城を円上に囲むように地面に刺さる。

「テメェらだけでも……俺が直接……な。祝福のあめだけじゃ足りねぇだろ?喰らえ……『アパラージタ』」

  鈍く黒光りする大剣が城の上に現れた。

「俺がたどり着く前に死ぬかもな……」

 この魔法ならあのウザってぇ結界も貫通できるだろうな。

  アパラージタと呼ばれた大剣の先が結界に触れた。

  防御結界は容易く壊れ、結界を貫通してゆっくりと城に近付く。結界の内部に侵食したアパラージタを停める結界ものはもうない。

 いや、街の人間の断末魔を聞こえたし、これで良かった。

「さて、急ぐか」

  リョーマは王城へ向かって駆け出した。
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