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1章 クズ勇者の目標!?
クズ勇者、イカる
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「あ?なんだこれ?」
リョーマがフィールについて行こうとした時、リョーマの目の前にヒラヒラと一枚の紙が落ちてきた。
その落ちたその紙を拾おうと手を触れた時、リョーマは一瞬にしてもの凄く強い光に飲み込まれ。
「これは……?!」
この光はリョーマがこの時代に来る時にも起きた光に似ていた。
しばらくして、リョーマの視力が戻ると、そこは元の時代のリョーマの部屋でも出店が並ぶ平和な街でもなかった。
「な、なんだこれ……何が起きたんだ?」
リョーマの視界に映るもの全てが巨大な炎をあげて燃え盛っている。家も出店も全て……。だが、おかしな事に人の気配が全く無い。
何がどうなってんだよ!?さっきまでは普通だっただろ!
「ふぅ……一旦落ち着こう」
まずは今の状況から整理していこう。確か俺が紙に触れた直後、気付いたらこうなっていた。
それに時間が進んだのか知らねぇが、さっきに比べて辺りが暗くなってる。火のおかげ明るいが、時間的には夕方か早朝か。
夢は幻覚の可能性は拭いきれないが、肌で感じるこの熱さがどうも作り物とは思えねぇんだよな。
「どうなってんだよ……ん?なんだあれ?」
リョーマがふと視線を下げた時、視界にあるものが入った。
それは一枚の紙だった。燃え盛る炎の中、不自然な程キレイな状態で、なおかつ燃えずにその紙は存在していた。
リョーマは不思議に思い、その紙を急いで回収した。
「クソッ……やっぱ熱いな」
リョーマはその紙に視線を落として書いてある文字を読み上げていく。
「『祝・人魔平和協定締結』、だと?」
まさか、あの一瞬で俺はこの祭りが開催される締結日まで来ちまったのか?
普通に考えれば、そんな芸当到底不可能……だが、それが実際に起きて、俺はそれを二度も体験している。
「だいたい状況はわかった。さて、あとはこの状況の原因だけだな」
にしてもスゲェ荒れてんな。どうせ人間か魔族がこの期に及んで攻撃を仕掛けたんだろうがな。
「でもな……フィールや魔王が居るのにこんなことが可能なのか?」
ハッキリ言ってアイツらを普通の人間が仕留められるとは思えねぇ。
「にしてもおかしいな。魔族どころか人間の気配すら全く感じねぇ……まさか!」
リョーマは咄嗟に魔族たちの住む世界があるドアの方を向いた。そこには先程と何も変わらぬ姿で鎮座しているドアがある。
コレだけ燃えている中でコイツだけ燃えてないだと? 偶然にしてはなんだか出来すぎだ。
こりゃまるで、あえてここを燃やさなかったとしか思えねぇな。
「とりあえず安否の確認だな」
リョーマは静かにドアを開けた。そこには先程と変わり映えしない青々とした草原があった。その光景を見て安堵したリョーマ。だが、それも一瞬だった。
「マジ、かよ……」
幻想的に映る草原の中に似合わぬほど赤々とした炎に包まれて黒い煙を上げているレンガ造りの家があった。
意味わかんねぇ……なんで家だけ燃えてるんだよ。
「ん?……おいおい、マジかよ」
家の中に生命反応が単語ある。魔族は二十ぐらい居たはずなのに、だ。
四天王や魔王、側近だって居た。それなのに、ただの火事で三人を残して壊滅だと?
「やっぱ、救いようなんてねぇんだよ、人間にはよ」
リョーマは燃え盛る魔族の家に一切の躊躇無く突撃して行った。
家の中に入ったリョーマは生命反応を頼りに家の中を駆け巡った。時々視界に移るのは正確に核を刺されて死んでいる四天王や幹部の魔族たちだ。
「はぁ、はぁ……なんでテメェがここに居んだよ」
リョーマはベッドの上で血だらけで倒れているフィールの姿を見つけた。幸いにもまだ生きている。
リョーマは最後の生命反応があった人物であるフィールを抱えると、魔法を使って一瞬にして家の外へ避難した。リョーマが避難した先には先に連れてこられてた魔王リザドラと側近のビランが倒れていた。
魔王リザドラはこの中で一番顔色が良かった。なぜなら、魔王は今には核が二つ存在しているためだ。今回はたった一つしか壊されていないため、何とか生きていたのだ。
だが、側近の方の核は破壊されてはいないが半壊状態であり、もう長くは持たないと思われる。
「はぁ……てめぇはあんなところで何をしてたんだよ」
フィールは全身に斬られたような傷が無数にあった。生命反応も微弱で今にも死にそうだった。
リョーマはフィールを魔王の隣にそっと置くと、急いで全力の治癒魔法を三人にいっぺんに施した。
クソッ!こんなことになるならもう少し回復魔法を覚えるべきだった……!
一番弱い回復魔法しか使えねぇ。側近を助けるには今の俺の治癒魔法じゃ無理かもしれねぇ。ギリギリ魔王とフィールはいけるだろう……。だが、だとしても、ここで諦めるわけにゃいかねぇ!
「ハハッ……全く。俺はいったいなにがしてぇんだろうな」
この状況は俺が望んでいたことなのに、いざ魔王とフィールが死にかけていると、こんなことして……。俺は何がしてぇんだ。
「ったく。あなたはこちらの人間だと思い命を助けたのに、実際はそちら側なのですか?」
「…………テメェらか、こんなことしやがったのは?」
「だとしたらなんです?」
身なりからしてかなり高貴な身分の人間だと思われるその人物の後ろには黒い服に身を包んだ人間が十人ほど居た。
その黒服は帯刀しており、戦闘態勢に入っていた。
なるほどな。俺はやっぱり人間を助けたいわけじゃねぇんだな。少しホッとしたぜ。
「テメェら……よくも俺の獲物を横取りしやがったな?」
リョーマはゆっくりと立ち上る。
そして、話しかけてきた人間の方を見つめて、後ろに立つ人間たちに対して殺気を込めて睨み付ける。
黒服たちは体をビクつかせたものの、戦闘態勢が崩れることはなかった。
「さて、テメェらにもしてやらねぇとな……死の救済をな」
リョーマがフィールについて行こうとした時、リョーマの目の前にヒラヒラと一枚の紙が落ちてきた。
その落ちたその紙を拾おうと手を触れた時、リョーマは一瞬にしてもの凄く強い光に飲み込まれ。
「これは……?!」
この光はリョーマがこの時代に来る時にも起きた光に似ていた。
しばらくして、リョーマの視力が戻ると、そこは元の時代のリョーマの部屋でも出店が並ぶ平和な街でもなかった。
「な、なんだこれ……何が起きたんだ?」
リョーマの視界に映るもの全てが巨大な炎をあげて燃え盛っている。家も出店も全て……。だが、おかしな事に人の気配が全く無い。
何がどうなってんだよ!?さっきまでは普通だっただろ!
「ふぅ……一旦落ち着こう」
まずは今の状況から整理していこう。確か俺が紙に触れた直後、気付いたらこうなっていた。
それに時間が進んだのか知らねぇが、さっきに比べて辺りが暗くなってる。火のおかげ明るいが、時間的には夕方か早朝か。
夢は幻覚の可能性は拭いきれないが、肌で感じるこの熱さがどうも作り物とは思えねぇんだよな。
「どうなってんだよ……ん?なんだあれ?」
リョーマがふと視線を下げた時、視界にあるものが入った。
それは一枚の紙だった。燃え盛る炎の中、不自然な程キレイな状態で、なおかつ燃えずにその紙は存在していた。
リョーマは不思議に思い、その紙を急いで回収した。
「クソッ……やっぱ熱いな」
リョーマはその紙に視線を落として書いてある文字を読み上げていく。
「『祝・人魔平和協定締結』、だと?」
まさか、あの一瞬で俺はこの祭りが開催される締結日まで来ちまったのか?
普通に考えれば、そんな芸当到底不可能……だが、それが実際に起きて、俺はそれを二度も体験している。
「だいたい状況はわかった。さて、あとはこの状況の原因だけだな」
にしてもスゲェ荒れてんな。どうせ人間か魔族がこの期に及んで攻撃を仕掛けたんだろうがな。
「でもな……フィールや魔王が居るのにこんなことが可能なのか?」
ハッキリ言ってアイツらを普通の人間が仕留められるとは思えねぇ。
「にしてもおかしいな。魔族どころか人間の気配すら全く感じねぇ……まさか!」
リョーマは咄嗟に魔族たちの住む世界があるドアの方を向いた。そこには先程と何も変わらぬ姿で鎮座しているドアがある。
コレだけ燃えている中でコイツだけ燃えてないだと? 偶然にしてはなんだか出来すぎだ。
こりゃまるで、あえてここを燃やさなかったとしか思えねぇな。
「とりあえず安否の確認だな」
リョーマは静かにドアを開けた。そこには先程と変わり映えしない青々とした草原があった。その光景を見て安堵したリョーマ。だが、それも一瞬だった。
「マジ、かよ……」
幻想的に映る草原の中に似合わぬほど赤々とした炎に包まれて黒い煙を上げているレンガ造りの家があった。
意味わかんねぇ……なんで家だけ燃えてるんだよ。
「ん?……おいおい、マジかよ」
家の中に生命反応が単語ある。魔族は二十ぐらい居たはずなのに、だ。
四天王や魔王、側近だって居た。それなのに、ただの火事で三人を残して壊滅だと?
「やっぱ、救いようなんてねぇんだよ、人間にはよ」
リョーマは燃え盛る魔族の家に一切の躊躇無く突撃して行った。
家の中に入ったリョーマは生命反応を頼りに家の中を駆け巡った。時々視界に移るのは正確に核を刺されて死んでいる四天王や幹部の魔族たちだ。
「はぁ、はぁ……なんでテメェがここに居んだよ」
リョーマはベッドの上で血だらけで倒れているフィールの姿を見つけた。幸いにもまだ生きている。
リョーマは最後の生命反応があった人物であるフィールを抱えると、魔法を使って一瞬にして家の外へ避難した。リョーマが避難した先には先に連れてこられてた魔王リザドラと側近のビランが倒れていた。
魔王リザドラはこの中で一番顔色が良かった。なぜなら、魔王は今には核が二つ存在しているためだ。今回はたった一つしか壊されていないため、何とか生きていたのだ。
だが、側近の方の核は破壊されてはいないが半壊状態であり、もう長くは持たないと思われる。
「はぁ……てめぇはあんなところで何をしてたんだよ」
フィールは全身に斬られたような傷が無数にあった。生命反応も微弱で今にも死にそうだった。
リョーマはフィールを魔王の隣にそっと置くと、急いで全力の治癒魔法を三人にいっぺんに施した。
クソッ!こんなことになるならもう少し回復魔法を覚えるべきだった……!
一番弱い回復魔法しか使えねぇ。側近を助けるには今の俺の治癒魔法じゃ無理かもしれねぇ。ギリギリ魔王とフィールはいけるだろう……。だが、だとしても、ここで諦めるわけにゃいかねぇ!
「ハハッ……全く。俺はいったいなにがしてぇんだろうな」
この状況は俺が望んでいたことなのに、いざ魔王とフィールが死にかけていると、こんなことして……。俺は何がしてぇんだ。
「ったく。あなたはこちらの人間だと思い命を助けたのに、実際はそちら側なのですか?」
「…………テメェらか、こんなことしやがったのは?」
「だとしたらなんです?」
身なりからしてかなり高貴な身分の人間だと思われるその人物の後ろには黒い服に身を包んだ人間が十人ほど居た。
その黒服は帯刀しており、戦闘態勢に入っていた。
なるほどな。俺はやっぱり人間を助けたいわけじゃねぇんだな。少しホッとしたぜ。
「テメェら……よくも俺の獲物を横取りしやがったな?」
リョーマはゆっくりと立ち上る。
そして、話しかけてきた人間の方を見つめて、後ろに立つ人間たちに対して殺気を込めて睨み付ける。
黒服たちは体をビクつかせたものの、戦闘態勢が崩れることはなかった。
「さて、テメェらにもしてやらねぇとな……死の救済をな」
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